第2章
ジョセフ・スミス-預言者,聖見者,啓示者
この神権時代の預言者であるジョセフ・スミスは,天から受けた啓示に常に忠実であり,予任されていた召しを果たし,自らの血で
ウィルフォード・ウッドラフの生涯から
末日聖徒イエス・キリスト教会の新会員であったころから,ウィルフォード・ウッドラフは預言者ジョセフ・スミスについての
「ジョセフとの初めての対面は少々変わったものでした。彼に会ったのは野外でのことで,兄のハイラムも一緒でした。ジョセフは実に古い帽子をかぶり,的をねらって射撃をしていました。紹介されると,家に招待してくれました。
わたしは招待に応じ,どのようなことが学べるかと思って彼を注意深く見ていました。家に向かいながら,彼は娯楽に時間を費やしたのは久しぶりだと言いました。
家に到着して間もなく,ジョセフは隣の部屋に入って行き,おおかみの毛皮を持ち出して来て言いました。『ウッドラフ兄弟,なめすのを手伝ってもらえませんか。』そこでわたしは
これが,この最後の神権時代の偉大な聖見者,預言者ジョセフ・スミスとの初めての出会いでした。」2
この経験を回想しながら,ウッドラフ大管長は教会の指導者がそのようなことをするのを見て気分を害する人もいただろうと語る。しかし公私にわたってジョセフ・スミスを見てきた結果,預言者の使命に対するウッドラフ大管長の
1897年3月19日,90歳のウッドラフ大管長は
「わたしはジョセフ・スミスが神のまことの預言者であり,時満ちる最後の神権時代に主の教会すなわち王国の基を据えるように,神によって定められた人物であったことを
ウィルフォード・ウッドラフの教え
公にも個人的にも,預言者ジョセフ・スミスは慈愛に満ち,憐 れみ深く,忠実であり,誠実であった
わたしはジョセフ・スミスとともに幾千マイルを旅しました。わたしは彼の気性を知っています。5
わたしは,これまで見てきたジョセフ兄弟の姿や行いに非常な喜びを感じてきました。なぜなら彼は公私にわたり全能者の
彼の心は人類家族の幸いを願う気持ちで,永遠のように膨れ広がっていました。7
もし彼にその力があったならば,ジョセフ兄弟は人類家族の全員を救いの原則のうちに受け入れていたことでしょう。8
彼がその到来を告げるように召された神権時代は,これまで人に与えられてきた中で最も大いなる神権時代です。そしてその先頭に立つ人物が必要でした。─神と兄弟たちに忠実であり,聖見者,啓示者であり,揺れることも疑うこともない神への信仰を持ち,粘り強く,目の前にある大いなる業を推し進めるよう人々を励ます人物が必要とされていたのです。9
ジョセフ・スミスは末日に神の業を確立するように予任されていた
ジョセフ・スミスは,ふさわしいときに肉体を持って生まれ,神の霊感と訪れを受け,その手に託された使命に対するふさわしさを得,また備えるために,幾千年もの間,霊界にとどめておかれました。10
ジョセフ・スミスはエレミヤと同様に,生まれる前から主によって任命されていました。主はエレミヤに次のように言われました。「わたしはあなたをまだ母の
預言者ジョセフ・スミスは,父なる神,イエス・キリスト,聖霊,および天使たちから教えを受けた
よくジョセフ・スミスは教養がなく無学な人物であったと言われます。ジョセフは農夫の息子であり,教育の機会にはほとんど恵まれませんでした。完全な福音を世に明らかにするために,どのような入門書を持っていたのでしょうか。何もありませんでした。ただ天使の教えによって,神の声によって,そして聖霊の導きと力によって教えを受けたのです。ジョセフ・スミスを通して世に明らかにされてきた原則は,神が生きておられるように確かに真実です。天使たちや聖霊の影響力はすでに地上に表れており,人の子の来臨まで増し続けるでしょう。12
ジョセフは聖霊を受け,そして祈りに対する答えとして,御父と御子から教えを授けられました。御父はジョセフにこうおっしゃいました。「これはわたしの愛する子である。彼に聞きなさい。」〔ジョセフ・スミス-歴史1:17参照〕ジョセフはイエス・キリストの言葉に厳密に従い,救い主のように殺されるまで従い続けました。13
この教会を組織するに当たって神の預言者に示された力と同じ力が,これまでの神権時代で人の子らに示されたとは,わたしの知るかぎりどこにも記されていません。その力が示されたのは,御父と御子が預言者ジョセフの祈りにこたえてともに
預言者ジョセフ・スミス以上に,御父なる神と御子なる神,聖霊なる神と一つとなって親しく交わった……人物がいたとは思いません。神権を受けるように召された日から殉教のときまで,啓示の力がジョセフとともにありました。また霊感の力が日々ともにありました。このことは教義と聖約の書に収められた,ある啓示にはっきりと示されています。主がジョセフを
ジョセフ・スミスは,まるで全能者の預言と啓示と定めに取り囲まれているようでした。彼は教えを受けなければなりませんでしたが,人からでも,人の思いによってでもなく,神の天使から教えを受ける必要がありました。神の啓示が必要であり,何年にもわたって示現と啓示によって教えを受けました。そして,彼に教えと指示を与え,この教会の基を据えるために彼を備えるよう神から遣わされた聖なる天使たちによって教えを受けました。
……ジョセフ自身,永遠の示現に包まれなければ,自分が基を据えてきた業の重要性を理解することができませんでした。思いが開かれたときに,ジョセフは多くの点で神の計画を理解することができました。ジョセフはこれらの啓示とともにあり,導かれたのです。16
試練や迫害にもかかわらず,預言者ジョセフ・スミスは自分の証に忠実であり続けた
ジョセフが神から知らされた原則をキリスト教世界に伝えると,人々の間にすぐに悪感情が生まれました。ジョセフは,神や神の道を知らない先祖から受け継がれてきた言い伝えや,天の救いの真理に反した代々の言い伝えと戦わなければなりませんでした。17
聖職者も人々も,全世界が敵対して立ち上がりました。何が問題だったのでしょうか。その理由は,ほかの預言者や使徒の場合と同じでした。ジョセフはイエス・キリストの福音の神権時代をもたらし,それが民の言い伝え─代々受け継がれてきた言い伝えと衝突したのです。18
ジョセフ・スミスの生涯は戦いの連続であり,あらゆる方面から,とりわけ当時の聖職者からの反対に遭いました。しかしジョセフはそれを乗り越えました。そして,およそ14年にわたって働いた後に肉体にあって
ジョセフ・スミスが抱いたあらゆる感情,あらゆる思い,そしてその生涯のあらゆる行いは,ジョセフがまさに命を犠牲にしても真理の原則を守る決意をしていたことを証明しています。20
主はジョセフに,彼が死に至るまで主の聖約に忠実であるかどうかを試そうと言われました。主は実際にジョセフ・スミスを試されました。たとえ全世界と戦い,偽りの友の裏切りに耐えなければならなくても,また生涯が苦難と心労の連続であっても,ジョセフは自らが経験したあらゆる苦難や投獄,襲撃,虐待の中で,常に神に忠実であり,友に忠実でした。21
教会の行く末を見据えて,預言者ジョセフ・スミスは十二使徒を備え,主の業を前進させるために権能を与えた
教会は1830年4月6日,6人の会員をもって組織されましたが,ジョセフには1粒のからし種のようにして始まったこの王国が,地上における大いなる教会すなわち王国になるという信仰がありました。22
ジョセフ・スミスは自ら公言したとおり,神の預言者,聖見者,啓示者でした。ジョセフはこの教会すなわち王国の基を据え,王国の
死を迎える少し前に,預言者ジョセフは主から霊感を受けて,自らがこの地上を去るのを予期していました。これは様々な形で示されていますが,特にそれまでに受けていた聖なる神権のすべての鍵と権能を十二使徒に授けたいと切に願った点に見ることができます。ジョセフ・スミスは使徒たちが必要なものを授けられて十分な資格を持っていること,そして自分は神の王国を十二使徒の手にゆだねたことを,個人的にも公にも宣言しました。
わたしウィルフォード・ウッドラフは,その場にいた者の中で肉体を持って生きている最後の人物として,すべての国民に対して最後の
「兄弟の皆さん,わたしは自分に授けられた神の王国の
そしてこの証を記録するときに,あのとき部屋を満たしていたのと同じ
預言者ジョセフ・スミスは自らの血をもって証 を結び固めた
ジョセフ・スミスは証を世に伝え終えるまで生きました。そして鍵と力と祝福のすべてをブリガム・ヤングやほかの兄弟たちの頭上に結び固めた後,また鍵を地上に据えて,もはや永遠に取り去られることのないようにした後,また以上を行って,あの記録,あの啓示の書,すなわちこの世代のすべての人々─ユダヤ人と異邦人,シオンとバビロン,地のすべての国民の行く末に関する事柄を宣言した後,ジョセフ・スミスはカーセージの監獄で自らの血をもってその証を結び固めました。その場所において,ジョセフ・スミスと兄ハイラムの命は,邪悪で神を敬わない者たちの手によって奪われたのです。25
なぜ預言者と兄ハイラムがわたしたちの中から取り去られることが許されたのか,当時のわたしには不思議に思えました。しかし,ジョセフ・スミスは神の命令によって,また天の力と啓示によって,この大いなる時満ちる神権時代の基を据えるように定められていたのです。ジョセフ・スミスは世に送られ,これを最後に,地上にキリストの教会を組織し,世を人の子の来臨に備えるように定められていました。ジョセフの死後,わたしはそのことについて思い巡らした結果,彼は死ぬように定められていたのだと確信するようになりました。─この神権時代に対する証として自らの血を流すために。26
ジョセフ……は世を去る日まで,イエスについての証に誠実かつ忠実であり,また雄々しくありました。27
ジョセフは証を述べ,それを記録に残し,自らの血をもって結び固めて命を捨てました。そして,その証は
研究とレッスンのための提案
この章を研究する際,またはレッスンの準備をする際に,以下の項目について深く考える。さらに助けが必要な場合は,ⅴ-ⅸページを参照する。
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ウィルフォード・ウッドラフのジョセフ・スミスとの対面は,どのような点で変わったものでしたか(13-14ページ参照)。この話から預言者ジョセフ・スミスについてどのようなことが分かるでしょうか。
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14-15ページを開き,ジョセフ・スミスの人柄についての項を読んでください。公私にわたったジョセフ・スミスの人柄を知ることは,なぜ役に立つのでしょうか。ジョセフ・スミスの私生活での振る舞いは,わたしたちの教える力や指導力にどのような影響を与えるでしょうか。
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ジョセフ・スミスが完全な福音を学んだ方法について,どのようなことが印象に残りましたか(15-17ページ参照)
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預言者ジョセフはどのように逆境に立ち向かいましたか(18ページ参照)。その模範をどのように役立てることができますか。
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預言者ジョセフ・スミスが王国の
鍵 を十二使徒に渡したのはなぜですか(18-20ページ参照)。これを知ることはなぜ大切なのでしょうか。 -
ジョセフ・スミスの死に対するウッドラフ大管長の言葉を読んでください(21ページ)。ジョセフとハイラム・スミスが払った犠牲について思うとき,どのように感じますか。
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預言者ジョセフ・スミスについてのウッドラフ大管長の言葉を読んで印象に残ったことは何ですか。
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預言者ジョセフ・スミスに対する
証 を得ることは,なぜ大切なのでしょうか。預言者ジョセフに対する証を強めるために何ができるでしょうか。
関連聖句-2ニーファイ3:6-15;教義と聖約5:10;135章;ジョセフ・スミス-歴史