第28課
社会の基本単位である家族の地位を高める
はじめに
現代の預言者は次のように宣言しています。「わたしたちは,全地の責任ある市民と政府の行政官の方々に,社会の基本単位である家族を維持し,強めるために,これらの定められた事柄を推し進めてくださるよう呼びかけるものであります。」(「家族—世界への宣言」『リアホナ』2010年11月号,129)この課は,生徒たちがどのようにこの預言者の勧告に従い,またそれを守ればよいのかを理解する助けとなるでしょう。
背景となる読み物
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トーマス・S・モンソン「強く,また雄々しくあれ」『リアホナ』2014年5月号,66-69
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ダリン・H・オークス「真理と寛容のバランスを取る」『リアホナ』2013年2月号,29-35
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L・トム・ペリー「世界中どこでも-なぜ結婚と家族が大切なのか」『リアホナ』2015年5月号,39-42
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“Transcript of News Conference on Religious Freedom and Nondiscrimination”(2015年1月27日),mormonnewsroom.org/article/publicstatement-on-religious-freedom-and-nondiscrimination
教えるための提案
アルマ43:9,30,45,48
家族の教義と道徳的基盤を守るというわたしたちの務め
この課で家族を守るというわたしたちの責任に焦点を当てることを生徒に伝えることで,このレッスンに対する生徒の準備を行います。七十人のブルース・D・ポーター長老の次の言葉を紹介します。
「教会はこの世界全体と比べたら小さな組織です。しかし,末日聖徒は一つの民として,自分たちの模範の力や世論を説得する能力を過小評価するべきではなく,否定的な傾向を逆転させ,主の門に入り,主の選ばれた道を歩むよう,神を求める者に勧めるべきです。わたしたちは,一致した考えを持つ人々や組織と協力して,家族を守り,世界に向けて警告の声を上げ,人々を招き入れるために,できる限りの努力をしなければなりません。」(“Defending the Family in a Troubled World,” Ensign, 2011年6月号,18)
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今日の世の中において家族を守るための末日聖徒の責任について,皆さんはどんな考えを持っていますか。
ニーファイ人が彼らの宗教の自由や家族重視の価値観をレーマン人によって脅かされたときが多くあったことを,生徒たちに話します。彼らの経験を研究することで,わたしたちの時代に当てはめることのできる原則を学ぶことができます。(聖文をわたしたち自身に当てはめることは,あなたがこの課で強調できる聖文研究の技術です。)アルマ43章に記録されているニーファイ人の経験の一つを説明します。
アルマ43:9,30,45,48をホワイトボードに書き,今日の世の中で家族重視の価値観や宗教の自由を守る重要性を理解する助けとなる言葉や表現を,生徒たちに探してもらいます。それらの言葉や表現に印を付けるように,生徒たちに勧めます。
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わたしたちの家族重視の価値観や宗教の自由を守ることの重要性を示しているのは,どの言葉や表現でしょうか。わたしたちの家族重視の価値観や宗教の自由を守ることの重要性について,どんな原則を学びましたか。(答えには次の原則が含まれるでしょう。わたしたちには,家族重視の価値観や宗教の自由を守り,その地位を高める神聖な務めがある。)
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教会員が自分の地域社会の中で家族の地位を高め,守ることが,なぜ重要だと思いますか。
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ソーシャル・メディアを使って,どのように家族の地位を高め,守ることができるでしょうか。
十二使徒定員会のL・トム・ペリー長老(1922-2015年)による次の言葉を掲示します。
「わたしたちは,神御自身が設けられた家族の組織に取って代わろうとする偽りの新しいライフスタイルにことごとく反対する主張を発信していこうと思っています。また,伝統的な家族関係から喜びと達成感が得られるという主張を発信していこうと思っています。わたしたちは全世界の人々に向かって声を上げ続け,なぜ結婚と家族がこんなにも大切なのか,なぜ現在もこれから先も大切なのか,主張していかなければなりません。」(「世界中のどこでも-なぜ結婚と家族が大切なのか」『リアホナ』2015年5月号,42)
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ペリー長老によると,わたしたちは家族について何を宣言するべきでしょうか。
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あなたがこれまでに気付いた中で,家族の重要性を断言し,家族に対する攻撃を防御するために,他の人々は立ち上がって何を行ってきましたか。(家族を守ることは,必要なときに家族を公的に守るだけではなく,強い家族を育てることでもあることを指摘します。)
十二使徒定員会のニール・L・アンダーセン長老が語った次の経験を紹介します。
「先日わたしは,アメリカ合衆国出身の,あるローレルの若い女性と話しました。彼女の電子メールから引用します。
『この1年間,フェイスブックで友達になった人たちが結婚についての意見を投稿し始めました。多くの人が同性結婚に賛成し,末日聖徒の青少年の数人がそうした意見に対して「いいね」(訳注-フェイスブックで他の人の投稿に対する好意的な気持ちや同意を示すための機能)を押していました。わたしは何も書きませんでした。
わたしは従来の結婚観を信じているということを注意深く述べることにしました。
自分のプロフィール写真のキャプションとして,「わたしは男女間の結婚が正しいと信じています」と書きました。ほぼ即座にメッセージが返ってきました。「あなたは利己的よ。」「独善的ね。」奴隷所有者に例えた人もいました。活発な教会員の親友からは,こう書かれました。「時代遅れにならないようにね。世の中が変わっているのだから,あなたも変わらなくては。」
わたしは反論しませんでしたが,自分の意見を削除しませんでした。』
最後に彼女はこう言いました。『モンソン大管長がおっしゃったように,時には「一人でも気高く立たなくてはなりません。」わたしたち教会の青少年が一致して,神と神の生ける預言者の教えに忠実に従うよう願っています。』」(「霊を滅ぼす嵐」2014年5月号,19)
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家族の地位を高め,守ることについて,どんな経験をしたことがありますか。
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あなたの言葉や行いは,隣人にどのような影響を及ぼしたでしょうか。
わたしたちが家族を強める事柄を推し進め,擁護するときに,地域社会に肯定的な影響を与え,天の御父の計画の目的を前進させることができることを証してください。
アルマ46:10-13,16;48:7-13
神の助けを受け,隣人へ敬意を払うことで家族を守る
アルマ46章および48章は,ニーファイ人が再びレーマン人に脅かされたことが記録されていることを生徒たちに話します。クラスを二つのグループに分けます。クラスの半分にはアルマ46:10-13,16,他の半分にはアルマ48:7-13を研究してもらいます。家族を維持し強める事柄を推し進めるのに,どのように適切に司令官モロナイの模範に従えるのかを,生徒たちに見つけてもらいます。十分に時間を取ってから,これらの聖句を自分たちの時代に当てはめるのを助けるために,次の質問をします。
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アマリキヤと彼の部下の奮闘は,今日家族を攻撃する人々の奮闘にどう当てはめることができるでしょうか。
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司令官モロナイの行動からどのようなことを学べるでしょうか。(生徒たちが次の原則を理解できるように助けます。神の助けを求め,わたしたちの持てる全てを尽くして励むときに,わたしたちは自分の家族,宗教,自由を守るための知恵と力を授かる。)
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家族を守り強める事柄を推し進めるのにふさわしい方法には,どんなものがあるでしょうか。
ゴードン・B・ヒンクレー大管長(1910-2008年)と十二使徒定員会のダリン・H・オークス長老の次の話を用いて,前の質問の話し合いを助けてもよいでしょう。
「地域社会の良い活動に参加しましょう。重大な道徳的問題が関係していて,わたしたちの原則を曲げることはできない状況もあるかもしれません。しかし,そのような場合,無愛想にならずに丁重に反対することができます。わたしたちが受け入れることのできない立場の人々の誠実さを感謝することができます。人柄ではなく原則について話すことができます。」(Teachings of Gordon B. Hinckley 〔1997年〕,131)
「信仰のある人々が公の場で自分の見解を広めようとする場合,その方法と主張は,信条を共有しない人々の意見と見解を常に許容するものでなければなりません。信仰のある人として常に愛をもって語り,敵対する人に忍耐と理解と思いやりを示さなければなりません。キリスト教の信仰を持つ人々は,隣人を愛し(ルカ10:27参照),赦すように命じられています(マタイ18:21-35参照)。『〔わたしたちを〕呪う者を祝福し,〔わたしたちを〕憎む者に善をなし,〔わたしたちを〕不当に扱い迫害する者のために祈りなさい』という救い主の教えをいつも心に留めていなければなりません(マタイ5:44)。」(ダリン・H・オークス「真理と寛容のバランスを取る」『リアホナ』2013年2月号,34-35)。
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ヒンクレー大管長やオークス長老が教えた原則をどのように実践できると思いますか。
以下の原則を強調します。わたしたちが家族を守り強める事柄を推し進めるときに,隣人に対する敬意と彼らの考えに対する寛容を示さなければならない。
家族を強める事柄を推し進める
次の言葉を提示し,一人の生徒に声に出して読んでもらいます。
「わたしたちは,全地の責任ある市民と政府の行政官の方々に,社会の基本単位である家族を維持し,強めるために,これらの定められた事柄を推し進めてくださるよう呼びかけるものであります。」(「家族—世界への宣言」『リアホナ』2010年11月号,129)
2015年1月に,教会の指導者たちは公式に記者会見を開き,宗教の自由を守り,家族の尊厳を擁護する法律を通過させるために,政府高官を招いたことを生徒たちに話します。教会の指導者たちはこの声明の中で特に宗教の自由を守ることについて述べましたが,それらの言葉は家族重視の価値観を守ることにも当てはまるものでした。多くの宗教の自由は,結婚の尊厳など,家族のことに直接関連しています。
その記者会見で発表されたことの要約として,ダリン・H・オークス長老の次の言葉を生徒たちに紹介します。
「末日聖徒イエス・キリスト教会は,イエス・キリストの教えと信仰を持つ人々を含む全ての人に対する公平さに基づき,以下の原則を明言いたします。
1.わたしたちは,他の人の健康または安全を害することなく,自分の良心の命じるとおりに信仰を実践するために,全ての人に神から授かった憲法上の権利を与えるよう主張します。
2.わたしたちは,同じ良心の自由が,自分で選んだ宗教上の信念に従う全ての男女,またはそうすることを選べば全く何の宗教にも属さない全ての男女にも当てはまることを認めます。
3.法律は,価値観の異なる人々を尊重しながらも,全ての人々の自由を守るという均衡を保つ形で起草されなければならないとわたしたちは信じています。
4.わたしたちは,人種,民族,宗教的信条,経済状況,あるいは性別や性的嗜好の違いに基づく迫害を含む,あらゆる種類の迫害と報復に反対します。」(ダリン・H・オークス,“Transcript of News Conference on Religious Freedom and Nondiscrimination”〔2015年1月27日〕,mormonnewsroom.org/article/publicstatement-on-religious-freedom-and-nondiscrimination)
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この宣言から,皆さんが社会の基本単位である家族を強める事柄を推し進める助けとなるような,どんなことを学びましたか。(この話し合いの一部として,主の方法で子供を育てること,隣人の家族を支援すること,教会の召しを尊んで大いなるものとすること,地域社会を強化することは,全て家族の地位を高める事柄であることを強調します。)
家族を守り強める事柄を推し進めるために何ができるかを生徒たちに考えてもらいます。
生徒の読書課題
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ダリン・H・オークス「真理と寛容のバランスを取る」『リアホナ』2013年2月号,29-35
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L・トム・ペリー「世界中どこでも-なぜ結婚と家族が大切なのか」『リアホナ』2015年5月号,39-42