聖文
アルマ書30


第30章

はんキリストのコリホル,キリストとしょくざいげんれいをあざける。コリホル,かみそんざいせず,ひとらくはなく,つみたいするばつはなく,キリストもそんざいしないとおしえる。アルマ,しょうらいキリストがられることと,ばんぶつかみそんざいしめしていることをあかしする。コリホル,しるしをもとめ,ものえなくなる。あくてん使のようにコリホルにあらわれ,かたることをかれおしえていた。コリホル,みつけられてぬ。げんぜんやく七十六ねんから七十四ねんいたる。

1 さてよ,アンモンのたみがジェルションのていじゅうしたのち,またレーマンじんがそのからはらわれ,レーマンじんたいがそのたみによってほうむられたのち

2 レーマンじんたいはおびただしいかずであったのでかぞえられることなく,ニーファイじんしゃかぞえられなかったが,そのたみかれらのしゃほうむったのち,そしてだんじきいのりのわったのち,(ニーファイのたみのさばきつかさのとうだい十六ねんには)ぜんへいつづくようになった。

3 そしてたみは,しゅいましめをまもるようにつとめ,またモーセのりっぽうしたがってかみしきげんみつまもった。かれらはモーセのりっぽうじょうじゅするまで,そのりっぽうまもようにおしえられていたからである。

4 このように,ニーファイのたみのさばきつかさのとうだい十六ねんには,一ねんかんこくみんあいだにまったくがなかった。

5 そして,さばきつかさのとうだい十七ねんはじめも,つづへいであった。

6 ところが,だい十七ねんすえに,ゼラヘムラの一人ひとりおとこがやってた。そのおとこはんキリストであった。かれげんしゃたちがキリストのらいりんについてかたったげんはんたいして,たみおしえをはじめた。

7 このときには,ひとしんじょうきんするほうりつはなかった。ひとびとびょうどうたちほうりつがあることは,まったくかみいましめにはんしていたからである。

8 せいぶんには,「あなたがたつかえるものを,今日きょうえらびなさい」とある。

9 そこで,もしひとかみつかえたいとおもうならば,かみつかえるとっけんがあった。いや,そのひとかみしんじるならば,かみつかえるとっけんがあった。しかし,たとえひとかみしんじなくても,そのひとばっするほうりつはなかった。

10 しかし,ひとごろしをすれば,そのひとけいしょせられた。また,りゃくだつするものばっせられ,ぬすものばっせられ,かんいんおこなものばっせられた。まことに,すべてこのようなあくおこなものばっせられた。

11 ひとびとざいおうじてさばかれるというほうりつがあったからである。にもかかわらず,ひとしんきょうはんたいするほうりつはなかった。したがって,ひとぶんおこなったはんざいについてだけばっせられたので,すべてのひとびょうどうたちにあった。

12 そして,まえをコリホルというこのはんキリストは,(ほうりつかれをまったくこうそくできなかったので)キリストはいないとたみおしえをはじめた。そして,かれつぎのようにべた。

13 「おお,おろかでむなしいぼうもとしばられているひとびとよ,あなたがたはどうしてこのようなおろかなことにそくばくされているのか。あなたがたはどうしてキリストをのぞんでいるのか。だれもしょうらいこることをることはできない。

14 よ,あなたがたがげんび,せいなるげんしゃからつたえられたとっているこれらのことは,よ,あなたがたのせんおろかなつたえである。

15 あなたがたはどのようにしてそれがたしかであるとかるのか。よ,あなたがたはまだていないものごとることはできない。だから,しょうらいキリストがあらわれるということをまえもってることはできないのである。

16 あなたがたはしょうらいとおして,ぶんたちのつみゆるされるのがかるとう。しかしよ,それはせいしんがおかしくなっているけっである。このようなせいしんさくらんは,じっさいにはないことをしんじるようにまどわす,あなたがたのせんつたえのためにしょうじたものである。」

17 コリホルはこのようなことをほかにもおおたみかたり,ひとびとつみのためにおこなわれるしょくざいなどありないこと,ひとみな,このしょうがいらすもわるらすも,そのひとたいしょかただいであるから,ひとみなぶんしつおうじてさかえ,ぶんちからおうじてしょうること,またひとがすることはどんなこともけっしてつみにならないことをたみげた。

18 かれたみにこのようにいて,おおくのひとこころまどわし,へいぜんあくおかさせ,まことに,おおくのだんじょまどわしてみだらなおこないをさせた。そして,ひとねばそれでわりである,とたみかたった。

19 またこのおとこは,かつてレーマンじんであったアンモンのたみなかでこのことをおしえようとして,ジェルションのへもった。

20 しかしよ,アンモンのたみおおくのニーファイじんよりもけんめいであった。かれらはコリホルをらえてしばり,そのたみだいさいであるアンモンのまえれてった。

21 そこでアンモンは,かれをそのからさせた。そこでかれはギデオンのき,そのたみにもおしえをはじめた。しかし,ここでもあまりせいがらなかった。かれらえられてしばられ,そのだいさいだいさばきつかさのまえれてかれたからである。

22 そこで,だいさいはコリホルに,「なぜあなたはほうぼうあるまわってしゅみちげようとしているのか。なぜキリストはあらわれるはずがないとこのたみおしえて,かれらのよろこびをさまたげるのか。なぜせいなるげんしゃたちのすべてのげんさからってかたるのか」とたずねた。

23 このだいさいはギドーナであった。コリホルはギドーナにこたえた。「そのわけは,わたしがあなたがたのせんおろかなつたえをこのたみおしえていないからであり,またむかしさいたちによってもうけられたおろかなしきつとめにぶんしんしばりつけるように,このたみおしえていないからである。むかしさいたちはたみはいするけんりょくけんのううばり,たみがそのあたまげることなくあなたのことしたがうようにするために,たみなかにとどめておこうとして,それらのしきつとめをもうけたのだ。

24 あなたがたは,このたみゆうたみであるとう。よ,わたしにわせれば,このたみれいじょうたいにある。あなたがたはむかしげんしんじつであるとう。よ,それらがしんじつであることはあなたがたにはからない,とわたしはおう。

25 あなたがたは,このたみおやそむきのためにつみのあるらくしたたみになっているとう。よ,おやのためにつみわない,とわたしはおう。

26 またあなたがたは,しょうらいキリストがるともっている。しかしよ,しょうらいキリストがることはあなたがたにはけっしてからない,とわたしはう。あなたがたはまた,キリストがつみのためにころされるともっている。

27 このようにしてあなたがたは,せんおろかなつたえによって,あなたがたののぞむままにこのたみまどわしている。そしてあなたがたは,このたみろうきるほどにべようと,まるでれいででもあるかのようにたみよくあつしている。そのため,たみはあえてゆうふるってあたまげようとせず,またあえてぶんたちのけんとっけんきょうじゅしようともしない。

28 まことにこのたみは,さいたちをいからせるのをおそれて,ぶんしんのものもあえて使つかおうとしない。このさいたちはぶんたちののぞむままにたみにくびきをかけ,またぶんたちのつたえとげんそうまぐれとくうそういつわりのおくによって,もしたみさいたちのことのとおりにおこなわなければ,たみかみばれるそんざいしゃいからせることになるとたみしんませた。しかし,かれらのかみは,いまだかつてひとたこともなくってもおらず,にもげんざいにもらいにもけっしてそんざいしないものである。」

29 さて,だいさいだいさばきつかさは,コリホルのこころがかたくなであるのをると,またかれかみさえもののしろうとするのをると,かれことにまったくおうじることなく,かれしばらせてやくにんわたし,ゼラヘムラのおくった。それは,かれをアルマとぜんそうとくであるだいさばきつかさのまえすためであった。

30 さてコリホルは,アルマとだいさばきつかさのまえされても,ギデオンのかたったようにかたり,けいことつづけた。

31 またかれは,アルマのまえたいげんそうし,さいたちときょうたちをののしり,かれらはたみろうによってきるほどべるためにせんおろかなつたえでたみまどわしているとってかれらをなんした。

32 そこで,アルマはかれった。「あなたはわれわれたみろうきるほどべるようなことはしていないことをっている。よ,わたしは,たみかみことらせるためになんくにほうぼうたびしたが,さばきつかさのとうはじめからいまいたるまで,ぶんはたらいてせいかつかててきた。

33 またわたしは,きょうかいおおくのつとめをたしてきたが,これまでぶんはたらきにたいして一セナインほうしゅうけたことはなかった。わたしの同胞はらからも,さばきつかさのしょくつとめるもののほかはみなそうである。そして,さばきつかさのしょくにあるものも,ほうりつさだめられたとおり,つとめたかんぶんほうしゅうけるだけである。

34 では,もしきょうかいでのはたらきにたいしてなにほうしゅうけないとすれば,われわれは,しんらせて同胞はらからよろこのをよろこびとするほかに,どのようなとくがあってきょうかいはたらくのであろうか。

35 また,あなたしんわれわれなんほうしゅうけていないことをっているのに,どうしてわれわれるためにこのたみおしえをいているとうのか。また,あなたは,このたみこころなかにこのようなよろこびがちているのは,われわれがこのたみあざむいているためだとでもおもっているのか。」

36 するとコリホルはアルマに,「そのとおり」とこたえた。

37 そこで,アルマはかれに,「あなたはかみがましますことをしんじるか」とたずねた。

38 するとかれは,「いや」とこたえた。

39 また,アルマはかれった。「あなたはかみがましますことをまたもやていし,キリストもていするのか。よ,あなたにう。わたしはかみのましますことと,しょうらいキリストがられることをっている。

40 あなたはなんしょうがあってかみじつざいせず,またキリストはられないとうのか。あなたのことのほかにはなにひとしょうがないと,わたしはあなたにげる。

41 しかしよ,わたしはすべてのぶつをもって,これらのことがしんじつであるとあかしする。また,これらのことがしんじつであることをあかしするすべてのぶつがあなたにもあるのである。それでもあなたは,これらのことをていするつもりか。あなたはこれらのことがしんじつであることをしんじるか。

42 よ,わたしは,あなたがしんじていることをっている。ところがあなたはいつわりをれいりつかれている。あなたがぶんかみたま宿やどらないようにとおざけてしまったので,あくがあなたをはいするちからったのである。そして,あくかみたちをほろぼすためにさまざまさくりゃくはたらかせ,あなたをほうぼうかせるのである。」

43 すると,コリホルはアルマに,「もしあなたが,かみのいることをかくしんさせるしるしをわたしにせ,まことに,かみちからのあることをしめしてくれるなら,あなたのことしんじつであることをなっとくするだろう」とった。

44 しかし,アルマはかれった。「あなたはすでにかずかずのしるしをじゅうぶんっている。あなたはかみこころみようとするのか。あなたの同胞はらからであるこのすべてのひとあかしと,すべてのせいなるげんしゃたちのあかしがあるのに,あなたは『しるしをせてくれ』とうのか。あなたのまえせいぶんいてある。まことに,ばんぶつかみがましますことをしめしている。まことに,だいも,だいおもてにあるばんぶつも,だいうんどうも,またおのおのせいぜんうんこうしているすべてのわくせいも,それらのすべてがこうぜんけんそうぞうぬしがましますことをあかししている。

45 それでも,あなたはほうぼうあるまわってこのたみこころまどわし,かみじつざいしないとかれらにあかしするつもりか。また,あなたはそれでも,このようにあかしするすべてのものにさからってていするつもりか。」するとコリホルは,「そのとおり。しるしをせてくれないかぎり,わたしはていする」とこたえた。

46 そこでアルマはかれった。「まことに,あなたのこころがかたくなであって,なおもしんれいさからってれいほろびをまねこうとしていることを,よ,わたしはなげかわしくおもう。

47 しかしよ,あなたがなかちになって,あなたのいつわりとへつらいのことによりおおくのひとほろびにいたらせるよりは,むしろあなたしんほろびるほうよい。したがって,もしあなたがもういちていするならば,まことにかみはあなたをたれるであろう。あなたはものえなくなり,くちひらくことができず,もはやこのたみあざむくことができなくなるであろう。」

48 ところが,コリホルはアルマに,「わたしはかみそんざいていはしないが,かみがいるとはしんじない。だから,かみがいることはあなたたちにはからないとっているのだ。しるしをせてくれなければ,わたしはしんじない」とった。

49 そこで,アルマはかれに,「あなたにしるしをしめそう。あなたはわたしのうとおりものえなくなるというのがそれである。わたしはかみによってう。あなたはものえなくなり,こんくちくことができないであろう」とった。

50 アルマがこのことえると,アルマのことのように,コリホルはものえなくなり,かたることができなくなった。

51 さて,だいさばきつかさはこれをると,べてコリホルにしめし,「あなたはかみちからみとめるか。あなたはだれにしるしをしめすようにアルマにもとめたのか。あなたにしるしをしめすために,かれがほかのひとびとくるしめることをねがったか。よ,かれはもうすでにあなたにしるしをしめした。それでもなおあなたははんろんするか」とげた。

52 するとコリホルも,べてしめし,った。「わたしはいまはなすことができないので,ものえなくなったことをみとめます。また,かみちからによるのでなければ,わたしにこのようなことがけっしてきないことも,わたしはっています。また,わたしはかみがましますことをまえからっていました。

53 しかしよ,あくがわたしをあざむいたのです。あくてん使姿すがたでわたしにあらわれて,『このたみみなかみもとめてまよっているので,ってかいしんさせよ』といました。またあくはわたしに,かみはいない』い,わたしがうべきこともおしえてくれました。そこで,わたしはあくことおしえてきました。わたしは,あくことにくおもいにこころよいので,それをおしえてきたのです。また,わたしはそれをおしえてついにおおきなせいこうおさめたので,ぶんでもそれがしんじつだとまったくしんじるようになりました。このようなわけで,わたしはしんさからい,とうとうこのおおきなのろいをまねいてしまいました。」

54 さて,コリホルはこのようにうと,そののろいがられるようにかみいのってほしいとアルマにこんがんした。

55 しかし,アルマはかれに,「こののろいがあなたからられると,あなたはまた,このたみこころまどわすようになるであろう。だから,しゅのぞまれるとおりになるがよい」とった。

56 そして,そののろいはコリホルからられなかった。そして,かれされ,ものうていえいえめぐるようになった。

57 いっぽう,コリホルのこったことは,すぐぜんらされた。まことに,だいさばきつかさがくにのすべてのひとこくし,コリホルのことしんじたひとびとに,おなさばきをけることのないようにすみやかにあらためなければならないとげたのである。

58 そこでかれらはみな,コリホルのあくみとめ,ふたたしゅするようになった。そして,これによってコリホルにならったざいあくあとった。コリホルはいえいえめぐり,ものうていのちをつないだ。

59 さて,ニーファイじんからかれ,ゾーラムというおとこひきいられてぶんたちをゾーラムじんぶようになったたみがあったが,コリホルはそのたみなかあるまわっていたときに,よ,たおされてみつけられ,とうとうんでしまった。

60 このことから,しゅみちげるものまつかる。また,あくわりのにはぶんらをたすけようとせずすみやかにごくきずりむということも,わたしたちにかるのである。