2021年
ワクワクするお話を聞かせて
2021年11月号


ワクワクするお話を聞かせて

mom telling bedtime story to boy

そろそろねる時間です。けれどもサムはまだねむくありません。

「ママ,ワクワクするお話をして」とサムは言いました。「ママが小さかったころのことを聞かせてよ。」

「いいわ」とママが言いました。ママはサムのかみをなでて,少し考えました。

「小さいころね」とママが言いました。「ママたちは町づくりごっこが大好きだったの。毛布や椅子を使って家を作ったわ。きょうだいたちはみんな仕事を持っていたのよ。」

「ママの仕事は何だったの?」サムは聞きました。

「お店やさんよ。紙でお金を作って,食べ物や新聞を買えるの。自分たちの町で遊ぶのが大好きだったわ。」

「ほかには何をしたの?」サムは聞きました。

「あるときは,町に動物園を作ったの。ぬいぐるみを使ってね。」

サムは自分のテディベアをさし出しました。「こういうの?」

「そう,そういうの」とママは言いました。「みんな動物園に見に来られるの。」

サムはテディベアをだきよせました。「ママ,もっと聞かせて。」

「おたがいに手紙も書いたりしたわね。うそっこの郵便受けにそれを入れて。サムのおじさんが郵便屋さんで,みんなの家に手紙をとどけてくれるの。手紙をもらうのは楽しかったなあ。」

brother and sister playing at pretend town

サムも手紙を書きたくなりました!明日,書いてみようかな。

「時々けんかもしたわ」とママが言います。「それでもごめんなさいと言って,また一緒に遊んだの。みんなで仲良くして,楽しむことを学んだわ。」

「ぼくとアバと同じだね」とサムは言いました。

「そうね」とお母さんが言いました。「そのとおりよ。あなたたちも今,仲良くすることを学んでいるわね。」

「ママのお話,楽しかった」とサムは言いました。「また明日,別のワクワクするお話を聞かせてくれる?」

「もちろん」とママが言いました。「サムのお父さんが小さいころのお話を聞かせてあげるわ。」

ママはサムにキスして,毛布をきちんとかけ直しました。

「おやすみ」とサムは言いました。そして目をとじ,動物園や町や紙のお金のことを思いうかべました。

November 2021 Friend magazine.