総大会
イエス・キリストは親の強さです
2023年4月総大会


15:13

イエス・キリストは親の強さです

皆さんの子供たちがイエス・キリストを信じる信仰を築き,主の福音と教会を愛し,生涯にわたって義にかなった選択をする備えができるよう助けてください。

昔々,ある父親が夜のビショップリック集会に出かけようとしていました。すると4歳の娘が,パジャマ姿で『モルモン書ものがたり』を1冊手にして目の前にやって来ました。

「なぜ集会に行かなくちゃいけないの?」と娘が尋ねると,

「ビショップリックの顧問だからだよ」と,父親は答えました。

「でも,パパはわたしのお父さんなのよ!」と,娘は言い返します。

父親は娘の前にひざをつき,言いました。「ねえ,それを読み聞かせて,眠るのを手伝ってほしいのは分かるけど,今晩は,ビショップのお手伝いをしないといけないんだよ。」

娘はこう答えました。「ビショップには,眠るのを手伝ってくれるパパはいないの?」

日々イエス・キリストの教会で熱心に奉仕している,数え切れないほどの会員の皆さんに,絶えず感謝しています。皆さんの犠牲は,実に神聖なものです。

しかし,この少女が恐らく理解していたように,同じくらい神聖でかけがえのないものがあります—それは,親が子供を養い育てることであり,天の規範を反映するものです。1わたしたちの天の御父,神であられる親は,御自分の子供たちが地上の親から教えと養いを受けるとき,確かに喜ばれます。2

親の皆さん,子供を育てるために皆さんが行っているすべてのことに感謝しています。そして子供の皆さん,親を育てるために皆さんが行っているすべてのことに感謝しています。なぜなら,どの親も承知しているとおり,子供が親から学ぶのと同じくらい,親は子供から信仰,希望,慈愛について度々学ぶからです!3

親には神聖な義務がある

皆さんは,子供を地上に送り出す度に天の御父が負われる,とてつもないリスクについて考えたことがありますか。その子供たちというのは,御父の霊の息子および娘です。無限の可能性を有しており,慈しみと恵みと真理の栄えある存在となるべく運命づけられています。それでも,助けを求めて泣く以外には何もできないほど,どうしようもなく無力な状態で,地球にやって来るのです。神のみもとにいたころの記憶は,自分がほんとうは何者で,どのような人物になり得るのかという知識とともに,覆い隠されています。子供たちは周囲の人々,とりわけ親を通じて観察したことに基づき,人生,愛,神,神の計画に対する理解を形成していきますが,実のところその親自身も,いまだ様々なことを理解しようと努めているさなかなのです。

生まれたばかりの赤子

神は親に,「愛と義をもって子供たちを育て,物質的にも霊的にも必要なものを与え,また……神の戒めを〔守る〕ように教えるという神聖な義務」を与えておられます。4

最高の親であっても,これだけで,安眠を妨げられるに十分です。

親の皆さんに対するわたしのメッセージは,次のとおりです。

主は皆さんを愛しておられます。

皆さんとともにおられ,

その傍らに立っておられます。

義にかなった選択をするよう子供たちを導くに当たり,皆さんに強さをもたらしてくださいます。

この特権と責任を,勇気と喜びをもって受け入れてください。この天の祝福の源を,ほかのだれにも譲らないでください。福音の価値観と原則という枠組みの中で,日々の選択に関して子供たちを細部にわたり導くのは,皆さんなのです。皆さんの子供たちがイエス・キリストを信じる信仰を築き,主の福音と教会を愛し,生涯にわたって義にかなった選択をする備えができるよう助けてください。実に,それこそが親のために備えられた神の計画です。

サタンは皆さんに敵対し,心をかき乱しては,落胆させようとします。

しかし,子供は一人残らず,天に直接つながるキリストの光を受けています。また救い主は皆さんを助け,導き,励ましてくださいます。主の助けを求め,主に尋ねてください。

主イエス・キリスト

イエス・キリストが青少年の強さであるように,イエス・キリストは親の強さの源でもあられます。

主は愛を大いなるものとしてくださる

わたしたちは,子供に導きと教えをもたらすうえで,自分より適任とされる人がほかにいるのではないかと思うことがあるかもしれません。しかし,自分がどれほど不十分だと感じていても,皆さんには比類なき,適任とされる要素があります—それは,子供に対する皆さんの愛です。

子供に対する親の愛は,宇宙で最も強い力の一つです。この地球上で真に永続するものはわずかですが,そのうちの一つが親の愛なのです。

さて,もしかすると,皆さんは子供との関係が理想には程遠いと感じているかもしれません。それこそ,救い主の力が発揮される場と言えます。病を癒される主は,人間関係を癒すこともおできになります。パンと魚を皆に行き渡らせた主は,皆さんの家庭における愛と喜びを増し加えることもおできになるのです。

子供に対する皆さんの愛は,真理を教え,信仰を築くうえで,恵まれた環境を整えてくれます。皆さんの家庭を,祈りと学びと信仰の家,喜びあふれる経験の家,居場所のある家,神の家としてください。5そして,「御父が御子イエス・キリストに〔従う者〕に授けられ〔る主の〕愛で満たされるように,……熱意を込めて御父に〔祈って〕」ください。6

主は小さな,簡単な努力を大いなるものとしてくださる

親として皆さんが持てるもう一つの強みは,日々,継続的に影響をもたらす機会です。仲間や教師,メディアのインフルエンサーが来ては去って行く一方で,皆さんは,子供の人生に最も絶え間なく,安定した影響を及ぼすことができます。

皆さんの努力は,子供たちが世にあって耳にする大声に比べれば,か弱く思われるかもしれませんし,あまり功を奏していないように感じることもあるでしょう。しかし,「主は小さな手段によって大いなることを成し遂げられること」を心に留めてください。71回の家庭の夕べ,1回の福音に関する会話,あるいは1回の模範で,子供の人生が瞬時に変わることはないかもしれませんが,1滴の雨粒で,植物がたちまち成長するわけではないのと同じです。しかし,小さな簡単なことを,来る日も来る日も一貫して行うことが,ふいに起こる洪水よりもはるかに豊かに子供たちを養うのです。8

それが主の方法です。主は,雷のような声ではなく,静かな細い声で,皆さんおよび皆さんの子供に語りかけられます。9主はナアマンを「何か大きなこと」によってではなく,身を洗うという簡単な行いの繰り返しによって癒されました。10イスラエルの子らは荒れ野にあってウズラのごちそうを楽しみましたが,彼らを生き長らえさせたのは,日ごとの食物—マナというささやかでシンプルな奇跡でした。11

兄弟姉妹の皆さん,日ごとの食物を整え,提供するうえで最善の場は家庭です。信仰と証は,普通で自然な方法で,一口ごとに,小さなちょっとした瞬間に,また日常生活の絶え間ない流れの中で,最もよく育まれるのです。12

あらゆる瞬間が,教える機会です。あらゆる言葉や行いが,選択の指針となり得るのです。13

努力の効果をすぐには目にできないかもしれませんが,諦めないでください。「すべてのことは時節にかなって起こる」と,主は言われました。「それゆえ,善を行うことに疲れ果ててはならない。あなたがたは一つの大いなる業の基を据えつつあるからである。」14神の貴い子供たちが,自分の真の姿を学び,イエス・キリストとその福音,また主の教会に対する信仰を築くのを助けること以上に,大いなる業があるでしょうか。イエス・キリストは,皆さんのたゆまぬ努力を祝福し,大いなるものとしてくださいます。

主は啓示を与えてくださる

主が親を支援してくださるもう一つの力強い方法は,個人の啓示という賜物です。神は親を導くうえで,御自分の御霊を注ぎたいと切に願っておられます。

祈りを覚え,御霊に敏感であるなら,主は隠れた危険について警告してくださいます。15主は皆さんの子供の賜物,強み,口に出さない心配事を明らかにしてくださいます。16神は御自分と同じ目をもって子供たちを見ることができるように—子供の外の顔かたちではなく心を見られるように,皆さんを助けてくださいます。17

神の助けがあれば,純粋な天の方法をもって,子供のことを理解できるようになります。個人の啓示によって家族を導くようにという神の申し出に応じるよう,皆さんをお招きします。祈りの中で神の導きを求めてください。18

大きな変化

恐らく,イエス・キリストが親に与えてくださる最も重要な助けは,心の「大きな変化」です。19それは,だれもが必要としている奇跡です。

少しの間,次の状況を想像してみてください。あなたは教会で,家族についての話を聴いています。話者は,完璧な家庭,ひいては完璧な家族について話しています。夫婦がけんかをすることなどありません。子供たちが聖典を読むのを中断するのは,宿題をする時だけです。BGMには「共に愛し合え」の曲が流れています。20皆が楽しげにトイレ掃除に協力するという話に移る前から,あなたはすでにこう思っています—「うちの家族は絶望的だ。」

愛する兄弟姉妹,気を楽にしてください!その場にいる聴衆の全員が同じことを思っています!実際のところ,すべての親が,自分は力不足ではないかと心配しているのです。

幸い,親には神聖な助けの源があります。それは,イエス・キリストです。キリストこそ,わたしたちの心が大きな変化を遂げる源なのです。

救い主とその教えに心を開くなら,主は皆さんの弱さを示してくださいます。謙遜な心をもってイエス・キリストを信頼するならば,主は弱さを強さに変えてくださいます。21主は奇跡の神なのです。

それは,皆さんと皆さんの家族が,絵にかいたような理想像に至るということでしょうか。そうではありませんが,皆さんはよりよくなることができます。救い主の恵みによって一歩ずつ,親に必要な特質,すなわち神とその子供たちに対する愛,忍耐,無私の心,キリストを信じる信仰,義にかなった選択をする勇気をさらに育んでいくようになるのです。

イエス・キリストは教会を通じて支援を与えてくださる

イエス・キリストを信じる信仰を築く努力は,家庭中心かつ個人に焦点が当たるものであり,それをサポートするのが教会です。聖文と預言者の言葉のほかにも,救い主の教会は,親と子供が義にかなった選択をするのに役立つ多くのリソースを提供しています。

『青少年の強さのために—選択の指針』
  • 『青少年の強さのために—選択の指針』は,「すべきこと」と「すべきでないこと」のリストではありません。イエス・キリストの生涯と教えを中心とした選びをするのに役立つ,永遠の真理を教えるものです。子供と一緒に読み,子供の意見を聞きましょう。これらの永遠かつ神聖な真理が,彼らの選択の指針となるように助けるのです。22

  • FSYカンファレンスもまた,すばらしいリソースです。青少年全員が参加するようにと願っています。ヤングシングルアダルトの皆さんには,こうしたカンファレンスにメンターやカウンセラーとして参加するようお招きします。親の皆さんには,青少年がFSYから持ち帰る霊的推進力をさらに発展させるようお招きします。

  • 末日聖徒イエス・キリスト教会の子供と青少年には,教師やアドバイザー,メンターがいます。多くの場合,皆さんは,若人の信仰と証を築き,支えるうえで肝心な時期に,彼らの人生に携わることになります。中には独身成人の方,自分の子供を持ったことのない方もいます。神の子供たちに皆さんが喜びをもってささげる奉仕は,神の目に神聖なものです。23

奇跡を決して諦めない

愛する友人,愛する兄弟姉妹の皆さん,子供の中に信仰を築くことは,花の成長を助けるのに似ています。茎をぐいっと引っ張って,背丈を伸ばすことはできません。つぼみをこじ開けて,開花を早めることはできません。また,花を放置しておきながら,花が成長し,自然と咲き誇るのを期待することはできません。

次世代のために行えること,行わなければならないことは,栄養豊富な肥えた土壌とよどみない天の水へのアクセスを提供することです。雑草や,天からの光を遮るものを何であれ取り除き,成長に向けて最良の条件を整えます。次世代が霊感に基づく選びをするのを忍耐強く待ち,神に奇跡を起こしていただきましょう。その結果は,独力で成し得たものよりも美しく,見事で,喜びに満ちたものとなるでしょう。

天の御父の計画において,家族関係は永遠に続くものと意図されています。だからこそ,過去の成果に誇りを持てなかったとしても,親として,皆さんは決して諦めないのです。

偉大な癒し主,救い主であられるイエス・キリストには,常に新たな始まりがあります。主は絶えず希望をもたらしてくださいます。

イエス・キリストは家族の強さです。

イエス・キリストは青少年の強さです。

イエス・キリストは,親の強さです。

このことを,イエス・キリストの御名により証します,アーメン。

  1. 「ほとんどの親が,自分の子供たちに道徳を教えるという,本能的な願いを持っています。これは天の御父の計画における奇跡の一端です。御父は御自分の子供たちが,天にある家族の永遠の規範に倣い,地上に来ることを望んでおられます。家族は永遠の王国における基本的な組織単位であり,御父は,地上においても家族が基本単位となるよう意図されています。地上の家族は完全ではありませんが,神の子供たちをこの世界に歓迎する最善の機会を与えてくれます。地上で唯一,わたしたちが天で感じた愛にもっとも近い愛,すなわち両親の愛によって迎えるのです。家族はまた,わたしたちを神のみもとへ導くのに最も優れた,道徳や真の原則を守り,伝える最善の方法でもあります。」(ヘンリー・B・アイリング「神の家族の集合『リアホナ』2017年5月号,20)

  2. もちろん,神の御心が必ずしも「天に行われるとおり,地にも」(マタイ6:10)行われている現状ではないことを,わたしたちは知っています。現世でわたしたちが果たし得る親の務めは,神という理想的な親に比べれば確かに見劣りします。神は疑いなく,そのことを理解しておられます。神は家族関係における,あらゆる悲しみと心痛のために涙しておられるに違いありません。それでも,神がこれまでに家族を見捨てられることはありませんでした。これからもそうです。なぜなら,神は御自分の子供たちの永遠の行く末のために,栄えある計画を備えておられるからです。その計画の中核を成すのが,家族なのです。

  3. マタイ18:1-5モーサヤ3:19参照

  4. 家族—世界への宣言」ChurchofJesusChrist.org。教義と聖約68:25-28も参照

  5. 家庭での学びの土台は人間関係『救い主の方法で教える—家庭と教会で教えるすべての人のために』30-31参照。教義と聖約109:8も参照

  6. モロナイ7:48

  7. 1ニーファイ16:29アルマ37:6-7も参照

  8. 家庭での学びには簡単で小さな,一貫した努力が必要『救い主の方法で教える』31参照。デビッド・O・マッケイ大管長はこう教えています。「小さくささいなことだからといって,取るに足りないなどと考えないようにしようではありませんか。結局人生とは,小さな事柄の積み重ねなのです。わたしたちの命も,物理的には心臓の小さな鼓動によって保たれているのです。もしもこの小さな鼓動が停止してしまったなら,この世の命は断たれてしまいます。巨大な太陽は宇宙における強大な力ですが,わたしたちが太陽光線から祝福を受けられるのは,それが小さな光線として注がれ,日光として地球全体を照らしてくれるからです。暗い夜は,小さく見える星の瞬きによって心地よいものとなります。同様に,まことのクリスチャンとしての生活は,家庭〔における〕この時,この一瞬に示される小さな,キリストのような行いによって形成されていくのです。」(『歴代大管長の教え—デビッド・O・マッケイ』219)

  9. ヒラマン5:30参照

  10. 列王下5:9-14参照

  11. 出エジプト16章参照

  12. 生涯にわたって神の聖約の道を歩めるよう子供たちを備える『わたしに従ってきなさい—個人と家族用:新約聖書 2023年』付録(デジタル版のみ)参照

  13. 家庭での学びは計画することもできるが,自然にできる場合もある『救い主の方法で教える』31;1ペテロ3:15参照

  14. 教義と聖約64:32-33

  15. マタイ2:13参照

  16. アルマ40:141:142:1参照

  17. サムエル上16:7参照

  18. 1ニーファイ15:8参照

  19. アルマ5:13

  20. 「共に愛し合え」『賛美歌』192番参照

  21. エテル12:27参照

  22. 「子供であれば,道徳について教える責任が両親にあります。両親は子供一人一人の性質や理解力,知能をよく知っています。そして,各々の子供とよいコミュニケーションを確立して維持するために,生涯にわたって努力します。両親は,自分の子孫の繁栄と幸福にかかわる道徳上の究極の決定をする最良の立場にいます。」(ジェームズ・E・ファウスト「律法の中でもっと重要な,公平とあわれみと忠実『聖徒の道』1998年1月号,63)

  23. そのほかに特筆すべきリソースが二つあります。今年の『わたしに従ってきなさい』のデジタル版には,「生涯にわたって神の聖約の道を歩めるよう子供たちを備える」と題する新たなセクションがあります。これには,子供たちがバプテスマその他の聖約と儀式に備えるうえで助けとなる,簡単な家庭中心のアイデアが提案されています。また,新たに改訂された『救い主の方法で教える』には,「家庭と家族」と題するセクションがあり,キリストのような教え方の原則を家庭で適用する方法が述べられています(30-31ページ参照)。