心の中まで禁止令を敷くことはできません
筆者はアメリカ合衆国カリフォルニア州在住です。
教会がガーナに初めて入って来たときに,政府は教会やその慣習などについてよく把握していませんでした。それによって,様々なうわさが飛び交いました。その後10年にわたって,教会が大きくなるにつれ,うわさも拡大していきました。アメリカ合衆国がガーナ政府に対してスパイ行為を行うために男たちを送り込んでいるといううわさを耳にしました。さらに,教会に反する書籍が出回ると,政府はかなり敏感になりました。
凍結
1989年6月14日,ガーナ政府は教会の建物を封鎖し,宣教師たちを帰還させ,公式な教会の活動をすべて禁止しました。その期間をわたしたちは「凍結」と呼んでいます。しかし,まだ18歳の少女だったわたしにとっては,ある日突然,教会に行くことができなくなったと発表があったことしか分かりませんでした。会員が近づかないように,教会堂には見張りの兵士すらいる状態でした。
わたしたちは礼拝堂に集まることができなかったので,教会の指導者から,自宅で聖餐会を開いてもよいという許可を受けました。家族に神権者がいない場合は,神権者のいる家族のところに行くように勧められました。混乱もありましたが,とても特別な時でした。わたしたちは証を分かち合い,お互いがより親密になりました。
どのように自分はモルモンだと言えるでしょうか?
凍結期間のあるとき,わたしは全寮制の学校に行くために家を離れなければなりませんでした。学校に着いてから,先生の一人がわたしが末日聖徒だと知って,わたしを目の敵にして教会の悪口を言いました。ほんとうにひどい言葉をたくさん言いました。よく不思議に思ったものです。「どうしてわたしばかり目の敵にするの?福音の教えを信じてはいるけど,わたしも普通の人なのよ。」
ある日,彼はわたしがもう自分のことをモルモンとは言えないだろうと聞いてきました。凍結のことを知らないはずがありません。わたしたちの文化では,大人に逆らうことはあり得ません。そして彼はわたしの先生であったため,反論できませんでした。しかしその瞬間,わたしは自分に証があることに気がつきました。どのようにしてそれらの言葉がわたしの口から出たのか分かりませんが,御霊がともにあったので,わたしは立ち上がりこう言いました。「教会はわたしの心の中にあります。だれもわたしの心の中まで凍結することはできません。」
それ以来,彼はわたしに構わなくなりました。
1990年11月,ガーナ政府は凍結を解除し,教会員たちは再び自由に礼拝してよいと宣言しました。学校内にはラジオもテレビもなかったので,あの先生がそれを知ってすぐにわたしを呼びに来てくれました。わたしを見るなり先生はこう言いました。「君の教会の禁止令が解除されたよ!また教会に行けるんだな。」
先生も喜んでくれました。
心の中まで凍結することはできません
凍結の間に教会にとどまって,ともに礼拝した人たちは,とても強いきずなで結ばれました。わたしたちはほんとうの兄弟姉妹となりました。今では,遠くに行ってしまった人たちもいますが,何かあればすぐに連絡が来ます。わたしたちは開拓者のように感じます。
自分が信じていることが真実だと知っていて,それに対しての証があるなら,試練があっても信仰が揺らぐことはないと,人々に言いたいと思います。自分が何かが真実であることを知っていて,それを信じているのであれば,だれもそれを奪うことはできません。あなたの心の中にあるものまで凍結することはできないのです。