2020
友人を自殺で亡くした後に,助けを求める
2020年2月


ヤングアダルト

友人を自殺で亡くした後に,助けを求める

自分の力でうつ病を乗り越えられると思っていましたが,結局,助けを求めることで何もかも変わりました。

woman reaching out to young man

イラスト/ミシェル・マカレビー

何年か前の夏のある日,仲の良い友達が自殺したという知らせが届き,衝撃を受けました。正直なところ,どうしていいのか分かりませんでした。何も考えられず,何もできないまま,黙って机の前に座っていた記憶があります。

あらゆる思いや感情が押し寄せ,何が何だか分からなくなりました。しかし,自分は大丈夫だ,乗り越えられると,ずっと自分に言い聞かせていました。ところが翌月,うつ病と悲しみの大波にのみ込まれそうになりました。涙が止まらず,眠れない夜が続きました。ベッドから出られない朝もありました。祈りは聞き届けられないと思いました。聖典を読んでも何も感じないので,気がめいりました。絶望し,何かがいい方に向かうとは思えませんでした。

長い間,こんな気持ちを人に話す気にはなれませんでした。みんなわたしが友達を亡くしたことを知っていて,話し相手になろうとしてくれましたし,助けようともしてくれましたが,わたしはいつも断りました。「迷惑をかけたくない」と思っていました。「それに,みんなも心配事や問題を抱えている。わたしの悩みに構ってなどいられるわけがない。」

ある日曜日,この深い悲しみに耐えられなくなりました。聖餐会の間,いてもたってもいられなくなり,やっとのことで集会が終わると,廊下に飛び出して建物を出ようとしました。もうすぐで玄関というところで,何年も前に息子を自殺で亡くしたワードの女性に出くわしました。目が合うと,御霊は,今こそ自分の気持ちを話すときだと告げました。

こわごわと,震える声で彼女を呼び止めて聞いてみました。「少しお話ししてもいいですか。助けてもらいたいのです。」

身に起こったことと気持ちを説明するわたしに,彼女は耳を傾けてくれました。それから,躊躇することなくわたしの腕を取り,目に涙をためてわたしを見詰めて言いました。「これはあなたのせいではないし,あなたはとても愛されているということを,ぜひ知ってもらいたいの。」

二人とも,話を続けながら涙を抑えることができませんでした。わたしは雲が晴れていくように感じました。ようやく生活に一筋の光が差し込んできたのです。その日彼女が廊下で話してくれたことはすべて,わたしの祈りへの答えでした。

そのときの出来事から何にも増して悟ったのは,気持ちを話すことにより,ついに癒しの過程が始まったということです。わたしはなぜか,自分の力でどのようなことにも立ち向かえるし,助けは要らないと思い込んでいました。愛してくれる人や助けたいと思ってくれる人が周りにたくさんいたのに,分かっていませんでした。

「心を一つにし,思いを一つに〔する〕」とは(モーセ7:18),人の心の痛みは自分の痛みであり,自分の痛みは人の痛みでもあるということを理解することだと知りました。これは,必要なときに助けるだけでなく,必要なときに進んで助けを受けるということでもあります。ただ助けてもらうだけで変化が生じ,ついにわたしは精神的に完全に回復しました。

この経験から数年たち,率直に言って,今が人生でいちばん幸せです。かなりの努力に加え,最終的には神の恵みにより,この一連の出来事の前よりも強い人間になりました。祈り,奉仕,弱さ,謙遜さ,治療,無数の祝福,そのほか多くのもののおかげで,ここまでだとり着くことができました。天の御父と家族と親しい友人たちの助けのおかげで,切り抜けられました。助けを求められたことに感謝しています。それが癒しの鍵でした。