「前書き」『救い主を通して癒される:アディクションからの立ち直りプログラム 立ち直りの12のステップガイド』(2023年)
「前書き」『アディクションからの立ち直りプログラム 立ち直りの12のステップガイド』
前書き
アディクションに苦しんでいるのがあなた自身か,あなたの身近にいる人かを問わず,本ガイドは,あなたの人生にとって祝福となるでしょう。アルコホーリクス・アノニマスの許諾を得て,12のステップに手を加え,末日聖徒イエス・キリスト教会の教義,原則,信条を採り入れたものとなっています。本ガイドでは,各ステップが順番に,関連する福音の原則とともに提示されています。これらのステップを実践する方法を学ぶうえで,本ガイドは役立つでしょう。あなたの状況がどうであれ,これらのステップはあなたがキリストのもとに来て,立ち直りと癒しの祝福を受ける助けとなります。
アディクションには,タバコ,アルコール,コーヒー,茶,および薬物(処方薬と非合法の薬物)などの物質の摂取が含まれます。またギャンブル,ポルノグラフィーの視聴,色欲,不適切な性行為,ビデオゲーム,不適切なテクノロジーの使用,摂食障害といった行動も含まれます。医療専門家はアディクションを身体的な病気と考えていますが,身体的な側面は問題の一部にすぎません。アディクションは,思い,体,霊に影響を及ぼすため,解決策は病気のあらゆる側面に対処するものでなければなりません。
本ガイドは,特定のアディクションに特化したものではありません。人々は様々な種類のアディクションに苦しんでいますが,多くの人がこのガイドで概説されている道筋に共通の解決策を見いだしています。これは,あらゆる種類のアディクションから回復したいと願う人のためのワークブックであり,参考資料です。本ガイドは,末日聖徒イエス・キリスト教会が主催するアディクションからの立ち直り支援集会の主要な読み物です。
様々なアディクションの破壊的な影響に苦しみ,長期にわたる立ち直りを経験した男女がこのガイドの作成に協力し,12のステップを実践した経験を分かち合うよう招かれました。彼らの視点(本ガイドでは「わたしたち」として語られています)は,アディクションの苦悩と,癒しと立ち直りの喜びを伝えるために用いられています。これらの人々から慰めと支援を得ることでしょう。教会指導者と専門カウンセラーも,本ガイドの執筆・作成を助けました。これら多くの著者たちが持ち寄った知恵と経験は,イエス・キリストの贖罪が現実のものであることと,アディクションからの立ち直りが可能であることについてのもう一つの証となっています。
わたしたちは立ち直り集会にあなたをお招きします。(「わたしたち」とは,様々なアディクションの破壊的な影響に苦しみ,長期にわたる立ち直りを経験した男女です。)対面,ビデオ,電話,録画(許可を得たもの)の形式で行われる集会を見つける方法については,アディクションからの立ち直りプログラムのウェブサイト(AddictionRecovery.ChurchofJesusChrist.org)をご覧ください。恐れにとらわれて,立ち直り集会に出席することで得られる祝福から遠ざかることのないようにしてください。この集会は理解と希望と支援の場であり,自分が独りではないことに気づき,立ち直ることができると知る場所であることを知ってください。わたしたちにとって本ガイドが最も効果的であったのは,伴走者とビショップとともにステップを進めたときでした。わたしたちの中には,立ち直りの道のりで専門のカウンセラーの助けを借りた人もいました。
アディクションに苦しんでいることを正直に認めるとき,立ち直りは始まります。ある人々にとっては,立ち直り集会で自分がアディクト(依存症患者)であることを認めることが,正直になり,自分のアディクションがどれほど強力となり得るかを思い起こす助けとなります。しかし,そうすることで神に寄せる希望や信頼が制限されることのないように注意する必要があります。自分をアディクトとして特徴づけると,イエス・キリストはわたしたちを癒し,わたしたちの性質そのものを変えることがおできになるという真理を,意図せずに否定してしまうことになるかもしれません。立ち直りの過程で,わたしたちは皆,アディクションが振るう力を正直に認めることと,同時にイエス・キリストが完全な霊性を取り戻させてくださると信じることとのバランスを見いださなければなりません。
アディクションを抱えているかもしれないと感じていて,自由になりたいという望みがわずかでもあるなら,あるいはその望みを育みたいと思っているなら,本ガイドで概説されているイエス・キリストの福音の原則をともに研究し,実践するようお招きします。真心からこの道を歩むならば,アディクションから立ち直るための力をイエス・キリストの中に見いだすことでしょう。
ロバート・D・ヘイルズ長老は次のように説明しています。「常習行為は生まれながらの人がしきりに求めるものであって,決して満足を得られ……ません。それは満たされることのない欲望です。」(「物心両面で賢い養い手となる」『リアホナ』2009年5月号,10)
そして,アディクションに陥っている多くの人々が感じたいと切望するものを,ヘイルズ長老は次のように述べています。「しかし,神の子であるわたしたちが何よりも必要とし,追及しなければならないのは主だけが与えてくださるものです。それは主の愛,主の価値観,主の守り,主の自信,未来への主の希望,そして永遠の喜びをもたらす,神の愛への確信です。」(「物心両面で賢い養い手となる」10)
今いる場所と目指す場所の隔たりは乗り越えられないように思えるかもしれませんが,アディクションからの立ち直りプログラムと本ガイドは,多くの人がアディクションから立ち直りへの道のりを歩むのを助けてきましたし,あなたも同じようにできるよう助けてくれます。