依存症
付録:伴走者を選ぶ


「付録:伴走者を選ぶ」『救い主を通して癒される:アディクションからの立ち直りプログラム 立ち直りの12のステップガイド』(2023年)

「伴走者を選ぶ」『アディクションからの立ち直りプログラム 立ち直りの12のステップガイド』

伴走者を選ぶ

伴走者とともに取り組むことで,立ち直りの過程をより実りあるものとすることができます。伴走者は,あなたが直面している問題やアディクション,常習性のある行為を克服するために,あなたの成長と決意を支えてくれます。立ち直りの旅において,あなたは独りではありません。伴走者は,「慰めの要る者を慰めることを望み,……神の証人になることを望んでいる」(モーサヤ18:9)人です。できるだけ早く伴走者とともに取り組むことを検討してください。

伴走者とは?

伴走者は,12のステップに自分自身が取り組んで立ち直った経験を持つ人です。彼らは,あなたが自分では気づいていないような,立ち直りに関連した具体的な問題を理解しているかもしれません。伴走者はあなたの親友あるいはメンタルヘルスの専門家になるというわけではありません。伴走者の役割は,あなたが立ち直りのステップに取り組んでいくのを助けることです。

伴走者を見つける

教会のアディクションからの立ち直りプログラムでは,個人に特定の伴走者を割り当てることはしていません。あなたは個人の経験や必要,性格に合った方法で,伴走者の支援を申し入れることができます。伴走者による支援については,あなたと伴走者,そして主との間でよく話し合って決定します。

伴走者になってくれる人を見つけるのは難しいと感じるかもしれませんが,ほかの人たちに助けてもらうことができます。伴走者を見つける最も良い方法は,対面の立ち直り集会に出席することです。同様の問題を抱えている人は,あなたの苦しみに共感する能力が高いことが多いです。以下のアイデアは,適切な伴走者を決める際に役立つでしょう:

  1. だれに伴走者になってもらうかについて,祈りと断食を通して天の御父からの霊的な導きを求めます。

  2. 長い期間にわたり立ち直りの過程を歩んで12のステップに取り組んできた人から選びます。

  3. 人々が立ち直りの経験を分かち合うときに耳を傾け,自分がだれとつながりを持つとよいかを考えます。

  4. グループリーダーと進行役に,進んで助けてくれる適切な候補者を紹介してもらうことができます。

  5. あなたがふさわしいと感じる人に頼みます。

  6. 自分と同性の伴走者を選ぶべきです(伴走者が親族である場合を除く)。

  7. 自分自身が変わるプロセスを歩み始めるとき,身体的,感情的,霊的に不安定な状態になることがあります。伴走者と依存的な関係にならないように注意してください。

  8. いつでもだれかに一時的な伴走者になってくれるよう頼むことができます。伴走者はいつでも交代することができます。

効果的な伴走者となる

伴走者になることは,あなた自身が,救い主イエス・キリストを通して立ち直りと癒しを見いだす12のステップに取り組みながら得てきた,経験や信仰,希望を分かち合う,すばらしい奉仕の機会です。伴走者は,思慮深い質問をし,リソースを示し,ステップに取り組む方法について実際に役立つ支援を行い,支援を受ける人に立ち直り集会への出席を勧めます。伴走者は,その人の立ち直りに自分以外の人たちが関与するかもしれないことを理解し,その人がほかの人に支援を求めたり,伴走者を変更することを選んだりしても,気分を害したりはしません。以下は,効果的な伴走者となるための幾つかの原則です:

  1. 何よりも神を優先する。いつも神を覚え,あなたが支援する人が神に頼るように助けてください。その人があなたに過度に依存しないように気をつけてください。伴走者としてのあなたの責任は,天の御父と救い主に頼って導きと力を求めるよう相手を励ますことです。あなたの役割は,信仰と希望に関するあなたの経験を分かち合うことで,あなたの支援する人が自分は神に愛され,支えられていると感じられるように助けることです。

  2. 立ち直りに積極的にかかわる。伴走者は,だれかを支援する前に,かなりの期間(通常12か月以上)にわたって立ち直りの取り組みを経験していて,立ち直りの原則の実践と研究に積極的に携わっている必要があります。ほかの人の伴走者になると,自分自身の立ち直りについてそれまでよりもプレッシャーを感じるようになるかもしれません。ほかの人の支援をすることによって,自分自身の立ち直りが危うくなることがないように注意してください。伴走者はセルフケアを実践し,必要なときには助けや支援を求めます。

  3. 謙遜になる。 伴走者としてのあなたの役割は,自分の強みを使って支援や導きを与えることです。

  4. ほかの人の選択の自由を尊重し,忍耐を働かせる。効果的な伴走者の務めは,「説得により,寛容により,温厚と柔和により,また偽りのない愛により,優しさと純粋な知識によ〔って〕」(教義と聖約121:41-42)もたらされます。どのような形であれ,相手を正そうとすることは避けてください。相手が原則や実践方法について考えられるように助け,その後,自分自身で決断するときに支援します。彼らの選択の自由を尊重し,彼らが主に頼るときに主が助けてくださるという希望を持ってください。あなたが助けている人は,まだ前進する準備ができていないかもしれません。不健康な行為を繰り返したり,心から変わることに関する原則や行いの実践がなかなか進まないかもしれません。伴走者は,立ち直りに向かって旅をする人に忍耐強くなければなりません。

  5. 無私の奉仕を行う。無私の奉仕には,見返りを期待せずに与えることが求められます。伴走者は,理解する能力に優れていて,自分が支援する人のために,進んで時間と努力をささげるべきです。あなたが支援する人からの称賛や感心,忠誠心,そのほかの感情的な報いを求めないようにしてください。

  6. 個人的な責任を大切にする。伴走者になることは,あなたが支援する人があなたの時間やリソースを無制限に利用できるという意味ではありません。家族や教会,仕事,自分の時間を含む,あなたが関与するほかの事柄を大切にすることで,健全な境界線を定めることの大切さについて模範を示すことができます。モーサヤ4:27でベニヤミン王が与えている勧告を覚えておいてください。「これらのことはすべて,賢明に秩序正しく行うようにしなさい。人が自分の力以上に速く走ることは要求されてはいないからである。」

  7. よく祈る。だれかの伴走者になることを選ぶときにはいつも,その人の現在の必要に最も役立つ原則や行いを知るために,主の導きを求めてください。奉仕する方法について考えるときにはよく祈り,いつも御霊の導きを受けるように努めてください。

  8. 真理について証する。共感できるということを相手に知ってもらうために,経験を分かち合うよう促しを感じることがあるかもしれません。また,救い主とその癒しの力について,あなたの証を述べてもよいでしょう。神は奇跡の神であられるという真理が鍵となります(モロナイ7:29参照)。主の憐れみと恵みについてあなたの証を分かち合うことが,あなたが提供できる最も重要な奉仕の一つになるかもしれません。

  9. 秘密を守る。伴走者として,あなたには相手のプライバシーを守る責任があります。匿名性と守秘義務は,人の伴走者を務め,助ける能力を高めるための基本原則です。