3ニーファイ2－5章

用意ができており，主の力をもっていた

ミネルバ・タイカート（1888－1976年）画「ラコーニアスの答え」1949－1951年，リネンに油彩，メゾナイトに貼付，36x48インチ。ブリガム・ヤング大学美術館。

まさしく，わたしたちが救い主の再臨につながる困難に直面するのと同じように，ニーファイ人は主が彼らのもとに来られる前の数年間，困難に直面しました。ガデアントンの強盗団がニーファイ人を滅ぼすと脅迫したのです。しかし，ニーファイ人は「彼らと戦いを交える用意ができており，主の力をもって」（3ニーファイ4：10）いました。ニーファイ人のように，準備をすることで困難を克服することができます。この課は，霊的にも物質的にも準備をすることで，主の力を受けるのに役立ちます。

効果的で義にかなった行動を取るよう生徒を促す。生徒が聖文を研究するときは，その話に記録されている選択や行動の結果を生徒が認識できるようにしてください。それらの教訓を自分の生活に関連付け，どのように忠実に救い主に従うかを決めるよう，生徒を励ましてください。

生徒の準備：生徒には，物質的または霊的な準備をすることからもたらされる祝福について，家族や教会指導者と話し合ってもらいます。

学習活動案

備える

この活動は，準備することの大切さを生徒が理解することを目的としています。生徒が備えなければならない状況を考えられるようにします。準備ができていることで祝福を受けたときや，準備ができていないために苦労したときのことを分かち合うとよいでしょう。

これまでに，準備ができている，または準備ができていないと感じたときのことを考えてください。

• それはどのような状況でしたか。準備ができている，またはできていないと感じたのはなぜですか。

• 準備ができていないと感じた場合，将来に向けてよりよく準備するために何をしましたか。

• 現在直面している，または将来直面する可能性のある困難に霊的に準備するために，どのようなことをしたことがありますか。

3ニーファイ2－5章を研究しながら，物質的にも霊的にも将来への準備として何ができるか分かるよう，御霊の導きを求めてください。

ラコーニアスの備え

預言者サムエルは，イエス・キリストの降誕のしるしとして暗闇のない夜があるだろうと預言しました。この預言が成就したとき（3ニーファイ1：15－19参照），「民の大半は信じて，主に帰依し」（ 3ニーファイ1：22）ました。しかし数年後には，一部の人々が信じなくなり始めました。

次の活動では，クラスを二つのグループ，または二人一組に分けるとよいでしょう。生徒の半数は，以下の聖句のうち一つを読み，見つけたことをクラスまたはパートナーに発表するとよいでしょう。

3ニーファイ1：27－30と3ニーファイ2：1－3を読み，一部の人々が主から離れた理由を見つけてください。

• これらの聖句から学べる教訓で，現代において主に忠実であり続けるのに役立つものにはどのようなものがありますか。

ガデアントンの強盗団は数を増し，ニーファイ人と戦いました。それにこたえて，「主に帰依していたレーマン人は……，同胞であるニーファイ人と結束し」（3ニーファイ2：12）ました。ガデアントン強盗団の首領，ギデアンハイは，ニーファイ人の大さばきつかさ，ラコーニアスに手紙を書きました。手紙の中で，ギデアンハイはニーファイ人が降伏しなければ滅ぼすと脅迫しました（3ニーファイ3：1－10参照）。

3ニーファイ3：11－12を読み，ラコーニアスがどのように反応したかを見つけてください。

• ラコーニアスが主を信じている証拠には，どのようなものがあると思いますか。

ニーファイ人が準備したことと，ホワイトボードに書いてください。以下の聖句を様々なクラスの生徒やグループに割り当てるとよいでしょう。人々が物質的にも霊的にも準備するために行ったことを，生徒にホワイトボードに書いてもらいます。

• 3ニーファイ3：13－16

• 3ニーファイ3：17－21

• 3ニーファイ3：22－26

• 3ニーファイ4：3－4

生徒が物質的な準備を理解できるよう，ニーファイ人がどのようにとりでを築き，見張りを配置し，物資や食糧を集めたかを指摘するとよいでしょう。霊的な準備として，ニーファイ人がどのように悔い改め，救いを求めて祈ったかを指摘するとよいでしょう。

• どの準備が最も役に立ったと思いますか。それはなぜですか。

• これらの準備は，生徒が主に頼るうえでどのように役立ったと思いますか。

3ニーファイ4：7－12を読み，ニーファイ人が霊的にも物質的にも準備することで，どのように祝福されたかを見つけてください。

• この話からどのような原則を学ぶことができるでしょうか（3ニーファイ4：10参照）。

この話から学べる原則の一つは，霊的にも物質的にも自らを備えるとき，困難を克服し堪え忍べるように主が強めてくださる，ということです。

現代における準備

現代での類似事項と，ホワイトボードに書き，わたしたちが現代においてできる準備のリストを作成できるよう生徒を助けます。それらは，ニーファイ人と同じような準備や，預言者たちがわたしたちに行うよう勧告している準備でもかまいません。わたしたちが現代において直面している具体的な課題と，これらの準備が主の力を受けるための準備にどのように役立つかを話し合ってください。生徒がアイデアを考えるのに役立つように，「物質的な備えに関するリソース」（3：09；ChurchofJesusChrist.orgにあります）を見てもらうとよいでしょう。

• 自分の作ったリストから一つ以上の準備を選択してください。その準備は，わたしたちが現代において直面している具体的な課題を克服するのにどのように役立つでしょうか。

• わたしたちが準備することで，主はどのようにわたしたちを強めてくださると思いますか。

ガデアントンの強盗団は包囲を行いましたが，ニーファイ人が神の助けを得て準備を行ったため，失敗しました。結局，ガデアントンの強盗団は撤退しました。強盗団はニーファイ軍によって壊滅させられ，捕虜となったり殺されたりしました（3ニーファイ4：16－27参照）。

3ニーファイ4：30－33；5：1－4を読み，主によって強められたことに対して，人々がどのように反応したかを見つけてください。

• 人々の反応は神への信仰をどのように示しましたか。

以下の招きを表示し，じっくりと考えてもらうとよいでしょう。また，ネルソン大管長の言葉も表示し，生徒に深くじっくりと考えてもらうとよいでしょう。

物質的にも霊的にも準備することによって，主の力を感じたときのことをじっくりと考えてみてください。

ラッセル・M・ネルソン大管長は，準備をすることの祝福について次のように証しています：

「敵は攻撃の手を緩めません。ですから，決して備えの手を緩めることはできないのです。物質的，情緒的，霊的に自立すればするほど，サタンからの容赦ない攻撃を防ぐ備えができます。……

行く手に困難がないと言っているわけではありませんが，備えができていて，主の御手に使われる者としての備えを怠らない人には輝かしい未来が待っていることを，わたしは約束します。」（ラッセル・M・ネルソン「信仰をもって将来を待ち望む」『リアホナ』2020年11月号，75－76）

必要に応じて，生徒が準備する必要のあるものの例を分かち合ってください。例えば，宣教師としての奉仕，教育の機会，キャリア，自然災害，救い主の来臨などです。

あなたが準備しなければならない困難や状況，出来事について考えてください。今日，自分がどの程度準備できていると感じるか，熟考してください。これらの質問に答えるときは，御霊の導きを求めてください。

• 準備のため，あなたは具体的にどのような行動を取ることができますか。

• 準備の際，どのように主を頼ることができますか。

準備することでもたらされる祝福について証します。生徒が直面する可能性のある困難と，物質的にも霊的にも準備する方法について家族と話すように勧めます。

注釈と背景情報

どのように準備したらよいか

ラッセル・M・ネルソン大管長は，次のように教えています：

「わたしたちは，『備えていれば恐れることはない』と約束されています〔教義と聖約38：30〕。この約束には今日，深い意味があります。主が断言されたように，今日の未曽有の試練にもかかわらず，イエス・キリストの上に基を築き，主の力を引き寄せる方法を学んだ人々は，この時代に特有の不安に屈する必要はないのです。」（ラッセル・M・ネルソン「神殿とあなたの霊的な基」『リアホナ』2021年11月号，93－94）

大管長会のダリン・H・オークス管長は，次のように宣言しています：

「再臨の時に起こると預言されている事柄に対して物質的および霊的な備えをする必要があります。最も怠りがちな備えは，目に見えにくく，より難しい霊的な備えです。」（ダリン・H・オークス「再臨への備え」『リアホナ』2004年5月号，9）

十二使徒定員会のデビッド・A・ベドナー長老は，次のように説明しています：

「現世で試される経験に備えて努力する中で，わたしたちは救い主の模範に倣うべきです。主は『ますます知恵が加わり，背たけも伸び，そして神と人から愛された』御方です〔ルカ2：52〕。知的，身体的，霊的，社会的，それぞれの分野でバランスよく備えられていたのです。」（デビッド・A・ベドナー「これによって彼らを試し」『リアホナ』2020年11月号，9）

十二使徒定員会のクエンティン・L・クック長老は，次のように教えています：

「現世で経験する嵐や誘惑は，ほとんどの場合，予測が不可能です。しかし，これだけは言えます。それは避けられません。わたしたちのだれもが必ず直面するチャレンジや誘惑を克服するには，義にかなった備えと神から授かる守りが必要です。わたしたちには何が起こっても神殿にふさわしくあろうという決意が必要です。備えていれば恐れることはありません。」（クエンティン・L・クック「ブリストルの船のように─順風でも逆風でも，神殿にふさわしく」『リアホナ』2015年11月号，39）

3ニーファイ2：15。「彼らののろいは取り去られ〔た〕」とは，どのような意味か

ニーファイの時代にレーマン人が受けたのろいとは，「彼らの罪悪のために」「〔主の〕前から絶たれ〔る〕」ことでした（2ニーファイ5：20－21）。こののろいは，人々が邪悪であるかぎり続きました。レーマン人が後にイエス・キリストの福音を受け入れたときには，「神ののろいはもはや彼らから離れ去〔り〕」ました（アルマ23：18）。3ニーファイ2章では，主に帰依したレーマン人からののろいが取り去られました（3ニーファイ2：12，15参照）。

補足学習活動

救い主の準備の模範

救い主の準備の模範を確認することは，生徒の役に立つかもしれません。ルカ2：52と「注釈と背景情報」の項にあるデビッド・A・ベドナー長老の言葉を読むとよいでしょう。生徒がこれらの分野で準備できる方法について話し合います。また，生徒が設定した「子供と青少年」の個人の成長の目標を参照してもらうのもよいでしょう。

3ニーファイ2：1－3。霊的な経験を覚えておく

霊的な経験を覚えておくことの重要性について話し合うとよいでしょう。3ニーファイ2：1－3を読んだ後，過去の霊的な経験を忘れたらどうなるか話し合うとよいでしょう。その後，霊的な真理に対する証を覚え，新たにするために取る行動を，生徒に分かち合ってもらいます。また，以前の霊的な経験を学習帳に記録してもらうとよいでしょう。

このテーマに関するほかの情報は，以下を参照してください：

• ヘンリー・B・アイリング「記憶にとどめ，覚えておきなさい」『リアホナ』2007年11月号，66－69

• ロナルド・A・ラズバンド「忘れない」『リアホナ』2016年11月号，113－115

• ニール・L・アンダーセン「人生にとって霊的に重要な記憶」『リアホナ』2020年5月号，18－22

3ニーファイ3：2－12。ラコーニアスをそそのかすギデアンハイ

この活動は，人々を誤った道へ導くために，サタンとサタンに従う者たちがどのように甘言，偽りの約束，脅迫という手段を用いるかを生徒が理解するのに役立ちます。3ニーファイ3：2－10を読み，ギデアンハイがラコーニアスの信仰を弱めるために用いた策略を示す言葉や表現を見つけてください。今日，青少年に対して同様の策略がどのように用いられているかを話し合います。その後，3ニーファイ3：11－12を読み，ラコーニアスがどのように反応したかを見つけてください。義にかなった男女は，悪人を恐れたり，脅迫に屈したりする必要がないことを話し合ってください。

3ニーファイ5：23－26。イスラエルの集合

生徒に，3ニーファイ3－4章のニーファイ人の集合を，イスラエルの集合にたとえてもらうとよいでしょう。3ニーファイ5：23－26を読み，イスラエルの集合について話し合ってください。人々が「自分たちの贖い主，神の御子イエス・キリストを知る」ようになるときに（3ニーファイ5：26），イスラエルが集合することを生徒が理解できるように助けます。

ラッセル・M・ネルソンとウェンディー・W・ネルソン「シオンのつわもの」（ワールドワイド・ユース・ディボーショナル，2018年6月3日）​『リアホナ』別冊（ChurchofJesusChrist.org​）も参照してください。放送ビデオのタイムコード29：50－33：36と38：18－45：09を見るとよいでしょう。