「第116課:教義と聖約103章:イスラエルの陣営を組織する」『教義と聖約 セミナリー教師用手引き』 (2025年)
「教義と聖約103章」『教義と聖約 セミナリー教師用手引き』
第116課:教義と聖約102-105章
イスラエルの陣営を組織する
1834年2月24日,預言者ジョセフ・スミスは主から啓示を受け,ミズーリで苦しむ聖徒を支援するためにボランティアの一団を組織するよう命じられました。召しに応えて,後にイスラエルの陣営として知られるようになるグループに加わる人々に,主は深い信仰をお求めになりました。この課は,生徒が主から与えられた戒めに従うのに役立ちます。
今回は,教義と聖約102-105章 を学習する週にイスラエルの陣営の経験について学ぶ3つの課の最初です。レッスン時間を十分に取れず,3つの課を別々に教えられない場合は,内容を組み合わせる工夫をしてください。
ホワイトボードの片側に人の簡単な線画を描きましょう。反対側に永遠の命 という言葉を書いたら,真ん中に何らかの障壁を描きます。その後,ウィルフォード・ウッドラフ大管長の次の言葉を紹介します。
ウィルフォード・ウッドラフ大管長(1807-1898年)は,次のように述べています。
「わたしは救いと永遠の命を追い求め,わたしとわたしの求めるものの間に立ちはだかるものは何も要らない。」(Wilford Woodruff, in Journal of Discourses , 17:246)
そのように回答した理由を考えてください。今日の学習で,天の御父から聖霊を通して与えられる教えと霊的な促しに注意を払ってください。戒めが難しいと思えるときでも救い主に従う助けとなります。
1833年後半にミズーリの聖徒たちが直面した状況について覚えていることを分かち合ってもらうことが有益かもしれません。必要なら,聖徒たちが迫害され,家から追い出されたことを思い起こさせます。
預言者ジョセフ・スミスはこの状況に関して御心を知るために天の御父に祈りました。教義と聖約103章 に記録されている啓示は,ジョセフ・スミスとほかの教会指導者たちがミズーリの聖徒たちを助ける方法について評議した日に与えられました。
教義と聖約103:15-18,22,27-28 を読み,イエス・キリストが聖徒たちに行うよう命じられたことを見つけてください。
主はそれぞれに,10人,20人,50人,100人の隊を組織するよう命じられました。500人を招集しましたが,少なくとも男性100人の参加をお求めになりました(教義と聖約103:29-34 参照)。合計で200人強の男性が,イスラエルの陣営として知られるグループに参加しました。この一団は後にシオンの陣営と呼ばれます。
生徒に二人一組で次の聖句を読んで以下の質問について話し合ってもらうとよいでしょう。
教義と聖約103:20,36 を読んで,イスラエルの陣営に参加する人たちに主が約束されたことを見つけてください。
この課の最初に紹介した言葉で,ウィルフォード・ウッドラフ大管長はイスラエルの陣営に加わるという自分の召しについて話していたことを説明します。先ほどの言葉の前に大管長が何を話したかを紹介するとよいでしょう。
ウィルフォード・ウッドラフは,イスラエルの陣営に加わるという自分の決断を次のように述べています。
「命の危険を冒してミズーリへ行くよう召され,わたしたちのわずか一握りが兄弟たちを救うために出かけて行った。まさに信仰によって進む必要があった。隣人たちはわたしを呼び止め,行かないよう頼み込んで言った。『行ってはいけない。行けば命を失う。』わたしはこう答えた。『ミズーリに足を一歩踏み入れた瞬間に球が胸を貫通する〔撃たれる〕と分かっていたとしても,わたしは行きます。』……それが神の業に関して当時感じていたことだったし,今もそのように感じている。「わたしは救いと永遠の命を追い求め,わたしとわたしの求めるものの間に立ちはだかるものは何も要らない。」(Wilford Woodruff, in Journal of Discourses , 17:246; spelling modernized)
生徒が学んだことを発表するとき,次のような真理を見つけているかもしれません:イエス・キリストを信じる信仰を働かせると,主の戒めに従う意欲と能力が高まるのが分かる。
以下の質問をホワイトボードに掲示してもよいでしょう。クラスで話し合う前に,まず二人一組か少人数のグループで話し合ってもらうことができます。最初の質問に対する答えをホワイトボードに書いてもらってもよいでしょう。
次の学習活動は,イエス・キリストの戒めに従うために主を信じる信仰を働かせることについて生徒がさらに学ぶのに役立ちます。以下の学習の選択肢を掲示して,生徒が研究する時間を取るとよいでしょう。クラスを3つに分け,各グループに以下の選択肢の一つを割り当てるか,少人数のグループで学習する課題を生徒に選んでもらってもよいでしょう。
従うのが難しい戒めに直面している友達がいると想像してください。以下の選択肢から一つを選び,その友達に伝えたい教えと真理を見つけてください。
選択肢3: 『青少年の強さのために—選択の指針』 (小冊子,2022年)の中の教え
時間を取って生徒が学習活動を終えたら,見つけたことを発表する機会を設けましょう。次のような質問をするとよいでしょう。
時間を取って,学んだことを自分自身の生活に応用することについて考えるとき,天の御父の導きを求めるよう促します。以下の質問を掲示して,答えを学習帳かデジタルノートに記録してもらうとよいでしょう。
あなたにとって従うのが難しそうな戒めについて考えてください。
この戒めが難しい理由は何ですか。
今日学んだことの中で,この戒めにさらによく従う助けとなる事柄を見つけてください。
この戒めに従うために,イエス・キリストを信じる信仰を働かせる助けとなる計画を立てましょう。
教義と聖約103:12 。艱難はどのように祝福をもたらすか
大管長会のヘンリー・B・アイリング管長は,次のように教えています。
「愛に満ちた全能の神が,現世でこれほど厳しい試しを許されるのはなぜかと思うのも無理はありません。それは,霊的に清く大きく成長しなければ,神の御前で永遠に家族とともに暮らせないことを,神が御存じだからです。……
試練のさなかにも聖約に忠実であると証明したときにもたらされる最大の祝福は,自分の性質が変化することです。わたしたちが聖約を守ることを選ぶとき,イエス・キリストの力と贖罪の祝福が効果を発揮できます。心が和らいで,人々を愛し,赦し,救い主のもとに来るよう勧められるようになります。主への信頼が増し,恐れは和らぎます。」(ヘンリー・B・アイリング「試され,証明し,磨かれる 」『リアホナ』 2020年11月号,97-98)
教義と聖約103:20 。神はどれくらい頻繁に天使を使ってわたしたちを助けてくださるか
十二使徒定員会のジェフリー・R・ホランド長老は,次のように教えています。
「初めから,後の神権時代に至るまで,神は天使を使者として使い,御自身の子供たちに愛と関心を示してこられました。……
通常,天使は目に見えません が,見えるときもあります。見えても見えなくても,いつも 近くにいるのです。天使は世界全体に影響を及ぼすほど大きな使命を担うこともあります。もっと個人に向けたメッセージを携えて来ることもあります。時には警告を目的とすることもあります。しかしほとんどの場合,困難なときにあって慰め,憐れみに満ちた関心を何らかの形で示し,導くために訪れるのです。」(ジェフリー・R・ホランド「天使の務め 」『リアホナ』 2008年11月号,29参照)
ラッセル・M・ネルソン大管長は,次のように教えています。
「神の戒めに従えば肉体的にも霊的にも守られます。神の聖なる天使たちがわたしたちを助けようと待ち受けていることを覚えていてください。主はこう述べておられます。『わたしはあなたがたに先立って行こう。わたしはあなたがたの右におり,また左にいる。わたしの御霊はあなたがたの心の中にある。また,わたしの天使たちはあなたがたの周囲にいて,あなたがたを支えるであろう。』〔教義と聖約84:88 〕何という約束でしょう。忠実であれば,主と天使が助けてくださるのです。」(ラッセル・M・ネルソン「信仰をもって将来に臨む 」『リアホナ』 2011年5月号,35)
主の戒めに従う人々が受けられる祝福としてトーマス・S・モンソン大管長(1927-2018年)が語ったことに注意を払うよう勧めるとよいでしょう。
難しい戒めに従うためにキリストを信じる信仰を働かせる選択をすると,天の御父やイエス・キリストのような特質を伸ばすのにどのように役立つか,話し合ってもらうとよいでしょう。
「ボランティア募集」と書かれた貼り紙を掲示するとよいでしょう。1834年2月にオハイオ州カートランドに住んでいて,ミズーリでの苦難について話し合う特別な集会に招かれたと想像してもらいます。
次の質問をします。
教義と聖約103:27 にある主の教えが自分の生活にどのように当てはまるかを生徒がよりよく理解できるように,大管長会のジェームズ・E・ファウスト管長(1920-2007年)の次の言葉を紹介するとよいでしょう。
「わたしたちの多くに求められるのは,教会のために死ぬ ことではなく,生きる ことです。多くの人々にとって,キリストのような生活を毎日送ることは,命をささげることよりも難しいかもしれません。」(ジェームズ・E・ファウスト「主の弟子となる 」『リアホナ』 2006年11月号,22)
イエス・キリストとその福音のために生きるとはどういうことか,生徒に尋ねるとよいでしょう。話し合いの中で,ラッセル・M・ネルソン大管長の次の質問について考えてください。
「あなたは 人生の中で進んで神に勝利を得ていただこうとしていますか。あなたは 人生の中で進んで神を最も重要な影響力としていますか。神の言葉や戒め,聖約を受け入れることは日々の生活にどのような影響がありますか。神の声を何よりも優先させますか。あらゆる野心よりも,神から行うよう求められることを進んで 優先させていますか。進んで 自分の意志を神の御心にのみ込まれるがままにしていますか。」(ラッセル・M・ネルソン「神に勝利を 」『リアホナ』 2020年11月号,94)