セミナリー
第118課:教義と聖約105章:信仰の試練として,彼らはここまで連れて来られなければならなかった


「第118課:教義と聖約105章:信仰の試練として,彼らはここまで連れて来られなければならなかった」『教義と聖約 セミナリー教師用手引き』(2025年)

「教義と聖約105章」『教義と聖約 セミナリー教師用手引き』

第118課:教義と聖約102-105章

教義と聖約105章

信仰の試練として,彼らはここまで連れて来られなければならなかった

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ミズーリ州フィッシング川

イスラエルの陣営がミズーリに到着して間もなく,主はシオンの贖いを「しばしの間待つ」(教義と聖約105:9,13)ことになると明らかにされました。ミズーリの聖徒たちが土地を取り戻すのを助けようと,800マイル(1,280キロ)以上を旅してきたばかりであったこの隊は,帰還せよという主の指示によって自分たちの信仰が試されているのを感じました。この課は,信仰が試されるときに神に忠実であり続けたいという気持ちを生徒が強めるのに役立ちます。

学習活動案

学習経験に備えるよう勧める。学習経験に備えさせることについてさらに学ぶには,『教師養成スキル:熱心に学ぶよう勧める』にある「学ぶ準備をするよう,学習者を招く。」というタイトルの訓練を参照してください。「学習者が次の学習体験に備えることができるような招きを考える」スキルを練習してもよいでしょう。

今回は,教義と聖約102-105章を学習する週に,イスラエルの陣営の経験について学ぶ3つの課の3番目です。1番目と2番目のいずれか,またはどちらも教えなかった場合は,この課に組み込む方法を考えてください。

信仰の試し

次のようなシナリオを紹介してから,質問について話し合うとよいでしょう。

ゴンザレス姉妹は,物心ついたときから専任宣教師として主に仕えるのを楽しみにしていました。伝道の間中ずっと熱心に働き,主に頼りました。そのように努力したにもかかわらず,ゴンザレス姉妹と同僚は,教える相手をほとんど見つけられず,キリストのもとに来てバプテスマを受けるようにという招きを受け入れる人はなおさら見つかりませんでした。伝道に出た友達のほとんどは,多くの人が救い主の福音を受け入れる手助けをしているようでした。

  • ゴンザレス姉妹は,自分の伝道についてどのような否定的な結論を出したくなるでしょうか。

  • 自分の伝道活動を永遠の観点から見ると,結論はどのように変わるでしょうか。

主に仕え,主に従おうとする努力が,期待とは異なる結果になる場合もあることを説明します。このような状況の例を生徒に幾つか発表してもらいます。例えば次のような例が挙げられるでしょう:戒めを守ろうとしているが神に従っていない人の方が幸せに見える,きちんと聖文を研究しているのにあまり多くを得られていないと感じる,福音に従って生活しようと努めているが不安や鬱などの問題を抱えている。

このような状況でどう対処したか,あるいはどう対処するかを生徒に考えてもらいます。主に仕え,主に従おうと努力したにもかかわらず,予期せぬ結果になったときに助けになる教えを,研究の中で見つけるよう勧めます。

イスラエルの陣営に対する主の命令

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シオンの陣営

次の要約を紹介する前に,イスラエルの陣営のオハイオからミズーリへの行軍に関する前回のレッスンから覚えていることを生徒が発表する機会を設けてください。

苦難と奇跡の両方を経験しながら7週間近く行軍した後,イスラエルの陣営はミズーリ州ジャクソン郡に差しかかりました。陣営のメンバーは,主の御心を知り,シオンがどのように贖われるのかを知りたいと願いました。多くの人にとって,シオンを贖うということは,ミズーリの聖徒たちを家に戻すことを意味していました。1834年6月22日,あと1日ほどでジャクソン郡に到着するというところで,預言者ジョセフ・スミスは教義と聖約105章に記録されている啓示を受けました。

教義と聖約105:9を読み,シオンの贖いについて主が何と述べておられるか見つけてください。

  • あなたがイスラエルの陣営の一員だったとしたら,この指示を聞いてどのように感じたでしょうか。それはなぜですか。

教義と聖約105:10-14,17-19を読み,その時点でシオンが贖われない理由として主は何をお示しになったかを見つけてください。

  • 19節の主の教えを,自分の言葉でどのように要約しますか。

    次の質問について話し合う前に,ゴンザレス姉妹のシナリオと,主に従っているのに思うようにならないときの自分自身の経験を生徒に思い出してもらいます。

  • これらの節から,信仰の試しを経験したときに助けになるどのようなことが学べるでしょうか。

次のような真理が生徒なりの言葉で語られるかもしれません:信仰の試しにあっても謙虚さを失わず,神に忠実であり続ける人々に,神は大いなる祝福を用意してくださっている。

必要なら,信仰の試しは,わたしたちがどのような状況にあっても主を信頼し,従うかのテストとなり得ると説明してください。

祝福は信仰の試しの後にもたらされる

聖文には,信仰の試しにあるときに助けになる真理がたくさんあることを説明します。苦難のときにこれらの真理を思い出すと,神に忠実であり続ける助けになります。

少し時間を取って,聖文や教会指導者の言葉から,信仰が試されるとき神に忠実であり続けるのに助けになる教えを見つけてください。例えば,イザヤ55:8-9ローマ8:28エテル12:6教義と聖約76:2-3などを研究するとよいでしょう。

次の質問をする前に,特に重要だと思った言葉をホワイトボードに書いてもらうとよいでしょう。様々な言葉を書いてもらったら幾つかを選んで,書いた生徒に,なぜその言葉が自分にとって重要かを説明してもらいます。

  • 信仰が試されるときや試練のときに,神に忠実であり続けるのに助けになるどのようなことが見つかりましたか。

  • 信仰の試しのとき神に忠実であり続けたことで,あなたやほかの人はどのような祝福を受けたことがあるでしょうか。

そうした経験を生徒に考えてもらってから,あなた自身の経験を話してもよいでしょう。聖典からそうした人の例を見つけてもらってもかまいません。例えば,アブラハム(創世22:1-18参照),ギデオン(士師6:11-167:2-9,15-21参照),またはイエス・キリスト(3ニーファイ11:10-11参照)を調べるとよいでしょう。

イスラエルの陣営のメンバーの多くも,陣営に参加した後に大きな祝福を受けたと感じていたことを説明します。

イスラエルの陣営として行軍し,後に大管長となったブリガム・ヤング(1801-1877年)は,帰還後の会話を次のように回想しています。

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ブリガム・ヤング大管長

「帰ってくると,多くの友人がわたしに尋ねました。なすべき務めのあった男たちが招集れてミズーリへ向かい,一見何も成し遂げずに帰って来たことに何の益があったのかと。『だれが益を得たというのですか。もし主がそうするように命じられたというのなら,どんな目的をお持ちだったのですか。』……このように尋ねる兄弟たちにわたしは十分な報酬を受けたと言いました。しかも大変な利子とともに。そうです,預言者ジョセフとともに旅することで授かった知識は,あふれるほどにわたしを満たしました。」(Brigham Young, “Discourse,” Deseret News, Dec.3, 1862,177)

  • ブリガム・ヤング大管長はイスラエルの陣営での経験を通してどのような祝福を受けたと認識していたでしょうか。

イスラエルの陣営とともに忠実に行軍した人々に対する神の目的と祝福について,もう一つの例を参照できるように,次の要約を紹介しましょう。

主の完全な知恵により,シオンの陣営での試しは,将来の数多くの教会指導者を備えさせました。1835年2月,救い主は預言者ジョセフ・スミスを通して十二使徒定員会と七十人第一定員会を組織されました。最初の使徒の9人,七十人定員会会長の7人全員,および七十人第一定員会のほかの63人全員が,1834年にイスラエルの陣営として行軍した人たちです。

あなた自身の生活について考える

この課で学んだことや感じたことを振り返る時間を設けます。これを行う方法の一つは,以下の質問に対する答えを学習帳に書いてもらうことです。

  • 今日学んだことや感じたことで,信仰の試しを経験するときに助けになることは何ですか。

希望する生徒数人に,書いたことを発表してもらいましょう。この課のまとめとして,今日話し合ってきた真理について証します。

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