「第120課:教義と聖約107:21-100:イエス・キリストの特別な証人」『教義と聖約 セミナリー教師用手引き』 (2025年)
「教義と聖約107:21-100」『教義と聖約 セミナリー教師用手引き』
第120課:教義と聖約106-108章
イエス・キリストの特別な証人
新約聖書の時代に行われたのと同様にイエス・キリストは,主の現代の教会を導き,世界中で主について証するよう,預言者や使徒などを召してこられました。教義と聖約107章 で,イエスはこれら選ばれた指導者の役割を説明されました。使徒はイエス・キリストの特別な証人であると,生徒がより確信できるようにします。
カップを6つクラスに持って来て,小さなピラミッドを作ってください。いちばん下にカップを3つ並べ,その上に2つ積み重ねて,いちばん上に1つ置きます。いちばん上のカップに聖徒たち と書いたラベルや付箋を貼り,それが救い主の教会の会員を表すことを生徒に伝えます。イエスは会員を祝福する一つの手段として御自分の教会を組織されたことが新約聖書に記されていることを説明します。
以下の聖句を読んで,救い主が御自身の時代に,御自分の教会を管理し,聖徒たちを支えるために用いられた召しを見つけてください。
これらの指導者が救い主の教会にいることの祝福について考えるように言います。救い主がこれらの地位に置かれた人々を通してもたらされる祝福を受けるために,自分は何をしているか自問してもらうとよいでしょう。
イエス・キリストに対する証を強めるうえで教会指導者が果たす役割を理解しようと努めるときに,聖霊を招くよう生徒に勧めます。
以下にある教義と聖約107章 の以下の背景を要約するか,読むとよいでしょう。
御父の指示の下に,イエス・キリストは現代において,御自身が現世での務めを果たしたときに築かれたものと同じ土台の上に,回復された主の教会を組織されました(信仰箇条1:6 参照)。主は預言者ジョセフ・スミスに組織構造を明らかにし始め,今日もなお明らかにし続けておられます。救い主は1835年までに,聖徒に仕え,地上で御自身の教会を管理するために,大管長会,十二使徒定員会,七十人,ビショップ,そのほかの神権役員を召されました。教義と聖約107章 には,これらの立場に召された人々に救い主が与えられた責任の幾つかが概説されています。
次の召しをそれぞれ別々の紙に書き,教室のあちこちに掲示するとよいでしょう。生徒をグループに分けて特定の召しを研究するよう割り当ててもいいですし,生徒が各々研究したいと思う召しに移ってもかまいません。
この課の最後のセクションを行う時間を十分に残すようにしてください。
次の聖句を研究し,主の教会の聖徒たちを支えるためにこれらの召しにある人々を,イエス・キリストがどのように用いておられるかを見つけてください。
グループが研究を終えたら,学んだことをクラスで発表してもらいます。
グループの発表が終わったら,イエス・キリストは世界中で主についての特別な証を述べるために使徒を召される ことを教えている,23節 の言葉や表現に印を付けるよう勧めます。
十二使徒定員会のデビッド・A・ベドナー長老は,使徒が「キリストの名の特別な証人」(23節 )になるとはどういうことか,次のように説明しています。
「現代の使徒の役割は,古代の使徒のそれとまったく同じです(使徒1:22 ;4:33 参照)。わたしたちの務めは,全世界に出て行き,『イエス・キリスト,しかも十字架につけられたキリスト』について宣言することです(マルコ16:15 ;1コリント2:2 参照)。使徒は宣教師であり,またキリストの名の特別な証人です。『キリストの名』とは,救い主の使命,死,復活の全体を指します。さらに,主の権能と教義,そして,わたしたちの贖い主,救い主となるという,ほかのだれにもない神の御子としての資質も指します。キリストの名の特別な証人として,わたしたちはイエス・キリストが実在しておられること,その神性,そして主が復活されたことを証します。また,主の無限にして永遠の贖罪とその福音について証します。」(David A. Bednar, “Special Witnesses of the Name of Christ,” Religious Educator: Perspectives on the Restored Gospel , vol. 12, no. 2 [2011], 1)
「キリストの特別な証人 ― ニール・L・アンダーセン長老 」(5:30;タイムコード4:15-5:24を視聴)など,イエス・キリストについて特別な証を述べる使徒の動画を一つ見るとよいでしょう。この証を聴いてどのように感じるかに注意を払うように促してください。
5:30
次の活動に必要な場合は,使徒の最近の総大会の説教 や最近の言葉を生徒に紹介するとよいでしょう。
最近の総大会の説教やそのほかの言葉から,イエス・キリストについての特別な証を述べる使徒の例を探してください。その際,次のうち一つ以上の質問に対する答えを学習帳に書くとよいでしょう。
この使徒たちの特別な証は,イエス・キリストに対するあなたの気持ちにどのような影響を与えますか。
使徒がイエス・キリストについて述べた事柄で,あなたも真実だと思うものにはどのようなものがありますか。あなたはその真理をどのように学びましたか。
使徒のイエス・キリストに対する特別な証から学び続けるためには,生涯を通してどのようなことができるでしょうか。
学んだことを,学習帳に書いた洞察とともに何人かの生徒に発表してもらいます。
主を信じる信仰を強めるために,使徒のイエス・キリストに対する特別な証を引き続き活用するよう勧めます。例えば,総大会の説教を毎週一つ研究したり,ソーシャルメディアで使徒をフォローしたり,次の総大会で使徒のイエス・キリストについての証や教えに特に焦点を当てたりすることを提案するとよいでしょう。
全員が主イエス・キリストの使徒と見なされる大管長会と十二使徒定員会について話す中で,ラッセル・M・ネルソン大管長は次のように教えています。
「15人が聖なる使徒職に召されているということは,わたしたち教会員が大いに守られているということです。なぜでしょうか。これらの指導者の下す決定が全会一致でなければならないからです。全会一致に至るために,御霊がこの15人にどれほど働きかける必要があるか,皆さんは想像したことがあるでしょうか。この15人は,教育の面でも職業の面でも,その背景は多様です。数多くの事柄について,意見も様々に異なります。わたしを信頼してください!預言者,聖見者,啓示者であるこの15人は,全会一致に至ったときに主の御心が何であるかを知ります。主の御心が正確に行われるよう全力を注いでいます。」(ラッセル・M・ネルソン「預言者を支持する 」『リアホナ』 2014年11月号,75参照)
同様のことが教義と聖約68:14-21 に記されています。ジョセフ・フィールディング・スミス大管長(1876-1972年)は,これらの規定は教会の管理ビショップの職のみを指すと,次のように教えています。
「これはアロン神権を管理する者だけを指しているのであって,ワードのビショップについてはいかなることも言及していません。さらに,そのような者は大管長会により指名され,油を注がれ,聖任を受けます。……そのような子孫が分からない場合は,大管長会により選ばれた大祭司が管理ビショップの職に就くことができます。」(Joseph Fielding Smith, Doctrines of Salvation , comp.Bruce R. McConkie [1956], 3:92–93)
次の説明は,管理するために神から召されている男女の両方に当てはまります。
「教会の組織や集会,活動を管理する指導者は,主の目的が達成されていることを確認します。指導者はその際,福音の原則や教会の方針,聖霊の導きに従います。
管理する人は,イエス・キリストの模範に従って,優しさと柔和と純粋な愛をもって奉仕します(ヨハネ13:13-15 参照)。管理する召しや割り当てを受けた人は,ほかの人よりも重視されたり,評価されたりするわけではありません(教義と聖約84:109-110 参照)。」(『総合手引き-末日聖徒イエス・キリスト教会における奉仕』 4.2.4 ,ChurchofJesusChrist.org )
また,85-87節,89節 で管理役員に対して繰り返し与えられた指示にも注目してください。管理する人は,ほかの人たちとともに評議会の席に着き,彼らの義務を教えなければなりません。
次の活動は,生徒が使徒の特別な証を研究した後に行うことができます。
イエス・キリストの教会の会員として,生徒は「いつでも,どのようなことについても,どのような所にいても,……神の証人になる」(モーサヤ18:9 )という聖約を交わしていることを説明します。時間を取って,イエス・キリストについての個人的な証を生徒に書いてもらいましょう。数人の生徒を募って,イエス・キリストについての自分の証をクラスで発表してもらいます。
生徒に教義と聖約107:39 を読んでもらいます。「福音の奉仕者」〔訳注:以前の版では「福音の教導者」とされている〕は今日の教会で何と呼ばれるか知っているか尋ねます。生徒が分からなければ,教義と聖約124:91-92 と教義と聖約107:39を相互参照して,福音の奉仕者とは何かを確認してもらうとよいでしょう。また,以下の言葉を紹介してもよいでしょう。
預言者ジョセフ・スミス(1805-1844年)は,次のように教えています。
「〔奉仕者〕とは祝福師です。……地上にキリストの教会が設立される所にはどこでも,自分の息子たちに祝福師の祝福を授けたヤコブのように,聖徒たちの子孫のために祝福師がいなければなりません。」(『歴代大管長の教え―ジョセフ・スミス』 〔2007年〕139 )
祝福師の祝福を受けた生徒を一人以上募って,自分の経験をクラスで話してもらいましょう。祝福師の祝福について具体的に話しすぎないよう生徒に伝えてください。以下の質問が役立つでしょう。
祝福師の祝福を受けることを選択したのはなぜですか。
祝福師の祝福を受け,研究することで,天の御父とイエス・キリストについてどのようなことを学びましたか。
あなたの祝福師の祝福は,あなたにとってどのような助けとなっていますか。
ゴードン・B・ヒンクレー大管長(1910-2008年)の次の言葉を生徒に読んでもらいます。
「皆さんの受けている責任も,わたしの受けている責任も,その重要性に変わりはありません。この教会に,小さな召しとか,つまらない召しなどはありません。わたしたちは皆,責任を果たしていく中で,人々の生活に影響を及ぼすのです。」(ゴードン・B・ヒンクレー「主のみ業 」『聖徒の道』 1995年7月号,76)
教義と聖約107:99-100 を読み,ヒンクレー大管長の言葉がこの聖句とどのように関連しているか深く考えます。
生徒は次の原則を見つけるはずです:主はわたしたちに,自分の義務を学び,その義務をまったく勤勉に遂行するよう求めておられる。 自分の聖典でこの真理に印を付けるよう,生徒を招くとよいでしょう。