セミナリー
第161課-マスター教義の実践10:霊的な知識を得るための原則を応用する


「第161課-マスター教義の実践10:霊的な知識を得るための原則を応用する」『教義と聖約 セミナリー教師用手引き』(2025年)

「マスター教義の実践10」『教義と聖約 セミナリー教師用手引き』

第161課:「家族—世界への宣言」

マスター教義の実践10

霊的な知識を得るための原則を応用する

クラスに出席する生徒たち

マスター教義は,生徒がイエス・キリストとその福音の上に生活の基を築くのに役立ちます。この課では,生徒が自分の生活において有意義なマスター教義聖句を分かち合う機会を設け,霊的な知識を得るための神の原則を学んで応用できるようにします。

学習活動案

マスター教義の復習:分かち合う

今年学んだことを生徒がざっと復習し,生活に影響を与えたマスター教義聖句を分かち合う準備ができるように,ホワイトボードにわたしが好きな……という未完成のフレーズを書くとよいでしょう。

様々な形で「……」を埋めることができます。例えば,「教会歴史上の人物は」「今年学んだ物語は」「クラスメートから学んだことは」などです。空欄を埋めたら,各フレーズに対する自分の答えとそれを選んだ理由を,二人一組で手短に分かち合ってもらいます。

最後に,「マスター教義聖句は」で空欄を埋めましょう。生徒が『マスター教義に関する基本文書』にあるマスター教義聖句のリストを復習する時間を取ります。選んだ聖句と,それが自分にとって何を意味するかをパートナーと分かち合いましょう。次の応用練習をする時間を十分残すようにしてください。

霊的な知識を得るための原則を学び,実践する

次の話を紹介する前に,『マスター教義に関する基本文書』の「霊的な知識を得る」の項目5-12にある原則を,ざっと復習してもらうと有益でしょう。(復習活動案は,本手引きの付録「マスター教義の復習活動」に記載されています。)

注:この課で提案されているテーマは,多くの生徒にとって非常にデリケートで個人的な内容かもしれません。クラスで次の記述について話し合うとき,神が御自分のすべての子供たちを愛しておられることと,わたしたちがすべての人に敬意と愛をもって接するように望んでおられることを思い出してもらいます。

霊的な知識を得るための原則を別の状況に応用する練習をした方が生徒にとってよいと感じる場合は,「補足学習活動」にある「もう一つのシナリオ」の項を参照してください。

十二使徒定員会のジェフリー・R・ホランド長老は,非常に難しい課題に直面した若い男性について述べています。この若い男性の状況を読みながら,霊的な知識を得るための原則を応用することが彼にとって重要である理由を深く考えてください。

ジェフリー・R・ホランド長老

「ふさわしい状態で伝道に出たのに伝道半ばで帰還した青年について話しましょう。彼は同性に引かれる問題と,それに関連して経験したトラウマのために自ら帰還することを選んだのです。ふさわしさは保っていたものの,彼の信仰は危機的状況にありました。日を追うごとに情緒的な苦しみは深まり,霊に覚える苦痛も増していきました。彼は心痛,混乱,怒り,絶望を順繰りに味わっていました。」(ジェフリー・R・ホランド「ごらんなさい。これはあなたの母です『リアホナ』2015年11月号,49)

これに似た状況に伴う自分の理解や気持ちを整理できるようにすることで,生徒はこの課に関連性を見いだすための備えができます。以下のような質問を提示して,それに対する自分の考えを学習帳に書くよう勧めましょう。

  • この若い男性は,天の御父の計画や教会について,どのような疑問や懸念を抱いていると思いますか。

  • それらの疑問や懸念は,彼と天の御父との関係にどのような影響を与えるでしょうか。

  • 似たような状況にある人々が,霊的な知識を得るための原則を理解し,応用することが大切なのはなぜでしょうか。彼らの友人や家族にとっても,これらの原則を応用することが大切なのはなぜでしょうか。

この課では,生徒が抱く質問のすべてに答えられるわけではないことを心に留めておきましょう。神はまだすべての答えを明らかにしてはおられません。この課の目的は,生徒が生活で疑問や懸念に向き合うときに,霊的な知識を得るための原則を応用することによって,イエス・キリストのいっそう忠実な弟子になれるように助けることです。

霊的な知識を得るための原則について学んだことの中から,この若い男性やその友人,家族にとって最も役立つと思うことを発表してもらいます。話し合いの時間を十分に取りましょう。

話し合いの後,使える時間に応じて残りのレッスン教材から教える事柄を選び,生徒がこれらの原則に対する理解を深められるようにします。

この若者がとった行動とは

クラスを二人一組に分けて,各組にホランド長老が語った物語の続きを配るとよいでしょう。この若い男性やほかの人々が,霊的な知識を得るための原則をどのように応用したかを示す証拠に下線を引いてもらいます。

その後,以下の質問を提示し,パートナーと話し合ってもよいでしょう。

ジェフリー・R・ホランド長老

「彼の伝道部会長,ステーク会長,ビショップが彼を助けようと,長い時間をかけて思い巡らし,涙し,彼に祝福を授けました。……〔母親が〕息子に神の力と神の教会について,特に神が彼を愛しておられることについて証を述べました。……また彼女は,息子に対する彼女自身の変わらない不滅の愛を証したのです。……

この〔若い男性〕の性的指向が奇跡的に変わったわけではないことを申し上げなければなりません。変わるとはだれも思っていませんでした。しかし,彼の心は少しずつ変わったのです。

彼は再び教会の集会に出席し始めました。進んで,そしてふさわしい状態で聖餐を受けるという選択をしました。もう一度神殿推薦状を取得し,早朝セミナリーの教師の召しを受けて,すばらしい奉仕をしました。5年たった今,彼は自ら希望して教会の少なからぬ協力を得,主への奉仕を全うするべく伝道地に戻っています。わたしは……この青年〔が示した〕勇気と誠実さと固い決意に涙しました。」(ジェフリー・R・ホランド「ごらんなさい。これはあなたの母です『リアホナ』2015年11月号,49)

  • この若い男性が行った選択は,イエス・キリストを信じる彼の信仰をどのように示しているでしょうか。彼の選択は,天の御父との関係にどのような影響を与えたと思いますか。

  • 彼に対する神の愛を証することを選んだ母親の選択は,なぜ重要だと思いますか。

  • 彼が神の定められた情報源に頼ったことは,どこから分かりますか。彼が研究した情報源は,イエス・キリストを信じる彼の信仰にどのような影響を与えたと思いますか。

  • この若い男性が答えを見つけることができない疑問や懸念もあると仮定しましょう。天の御父と御父の計画に関してあなたが知っていることで,この男性が覚えておくと助けになりそうなのはどのようなことですか。

空欄を埋める

この活動では,以下の3つの未完成の文をホワイトボードに書くとよいでしょう。

『マスター教義に関する基本文書』にある以下の文から一つ選び,記憶を頼りに完成させてみましょう。その後,「霊的な知識を得る」の項の項目5-12を使って答え合わせをします。

  1. 「疑問に対する答えがすぐに見つからないときには……」

  2. 「わたしたちがは,聖霊からの助けを求め,……」

  3. 「信頼の置けない情報源を認識し,それらを避けるようになることで……」

あなたが選んだ文にある原則を理解することが,この若い男性や彼の友人,家族にとって大切である理由を考えてください。

教室内を歩き回って互いの洞察を分かち合ってもらいます。選択肢1を選んだ人,選択肢2を選んだ人,選択肢3を選んだ人のそれぞれ一人以上と互いの考えを分かち合うまで,新しいパートナーを探し続けるよう伝えましょう。

神が定められた情報源

以下の質問を提示するとよいでしょう。その後,聖文や言葉を探す時間を十分に取ってから,答えを発表してもらいます。

必要に応じて,「その他のリソース」にある推奨のリソースを生徒に紹介するとよいでしょう。

  • 教義と聖約(またはほかの聖典)で,この若い男性の助けとなるのはどのマスター教義聖句だと思いますか。

  • 本人や彼の大切な人たちが研究するとよいのは,教会指導者のどのような言葉でしょうか。