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第11課:中央幹部の必要性


第11課

中央幹部の必要性

目的

主が中央幹部を召された理由と,彼らを支持することから得られる祝福について理解する。

導入

救い主は地上におられたときに教会を組織し,人々に神権を授けられた。その中には,救い主についてあかしを述べ,教会を見守るために召された十二使徒やほかの神権の職に就く人がいた。死と復活の後に,キリストはアメリカ大陸のニーファイ人を訪れ,同じように教会を組織された。そして,旧世界の教会の十二使徒に倣って,ニーファイ人に仕える十二弟子を召された。

この終わりの時に,主は預言者ジョセフ・スミスを通してイエス・キリストのまことの教会を再び設立された。この教会は啓示により組織され,救い主が地上におられたときの教会と同じく,十二使徒がいる。使徒に加えて,主は教会全体を導き管理する人を召された。これらの神権者が中央幹部である。

中央幹部はメルキゼデク神権者で,主により次のいずれかの職に召されている。

  • 写真ページ11-a「末日聖徒イエス・キリスト教会の中央幹部」を見る。

大管長会

大管長会は教会の大管長と,同じく中央幹部である2名の副管長で構成される。大管長は末日に回復された教会のあらゆる権能とかぎを有している。また,副管長とともに教会全体を見守り,教会と神権に関するすべての職務を行う力と権能を持っている。

教会の霊的および物質的なすべての事柄を管理する神権の「鍵」を有しているのは大管長である。またそれぞれの地域にあって,ステーク会長や監督,祝福師などに,彼らの職に付随する「鍵」を与えるのも大管長の権限である。

ジョセフ・F・スミス大管長は,この点について次のように述べている。「いかなる職であれ,神権を授けられたすべての男性は,この委任された権能を有する。しかし,この権能の下に執行されるすべての事柄は,適切な時に,適切な場所で,正しく,秩序に従って行われなければならない。これらの働きを指示する力が,神権の鍵である。」(『福音の教義』132)

十二使徒定員会

十二使徒はキリストの特別な証人として主により召され,大管長会の指示の下で行動する。

七十人

七十人は,十二使徒定員会の指示の下で主の名によって働き,教会を築き上げ,すべての国々において教会の諸事をすべて整える(教義と聖約107:34参照)。

管理監督会

管理監督会は,十二使徒定員会と大管長会の指示の下で働き,アロン神権を管理する。管理監督と2名の副監督は,教会の物質的あるいはこの世的な諸事を執り行う。

中央幹部に加えて,多くの神権者が地区代表に召される。彼らは中央幹部ではないが,十二使徒を代表し,世界の各担当地域に教会を築き上げるために召されている。

中央幹部の責任

中央幹部はイエス・キリストの代理人である。救い主御自身は教会の頭であり,啓示により預言者をはじめ中央幹部に指示を授けられる。これらの人々を通して,主は御自身の御心みこころを明らかにし,救いに必要なすべてのことを教えられるのである。

中央幹部は救い主を代表して,以下の事柄を行う。

  1. 全世界の教会を訪問し,会員と地方の指導者に援助と指示を与える。

  2. 教会の一致を保ち,教会が正しい教義を教えるようにする。

  3. ステーク会長やステーク祝福師のような地域の神権指導者を聖任する。

  4. 総大会や地域大会,そのほかの集会で準備した話をする。中央幹部が聖霊に動かされて語るとき,それはキリスト御自身が語られるのと同じである。

    「主なるわたしが語ったことは,わたしが語ったのであって,わたしは言い逃れをしない。たとえ天地が過ぎ去っても,わたしの言葉は過ぎ去ることがなく,すべて成就する。わたし自身の声によろうと,わたしのしもべたちの声によろうと,それは同じである。」(教義と聖約1:38)この方法により,教会員そして教会員でない人々にも教えと霊感を与えるのである。

  5. 十二使徒は,全世界に対するイエス・キリストの特別な証人として召される。彼らの行くあらゆる場所で,キリストの神性を証するのである。ほかの中央幹部も救い主の証をべ伝える。

  6. 教会の管理運営全般に責任を持つ。

  7. 以上の責任を行うとともに,彼らは父親であり夫でもある。教会のほかの父親と同じく,自分の家族を日の栄えの王国に導く責任がある。

中央幹部の必要性

人類の歴史を通じて,天の御父は預言者により地上の人々にその御心を明らかにされてきた。これは,モーセ,キリスト,ジョセフ・スミスなどいずれの時代についても言える真理である。世の中の状態が変わっても,真理は変わらず,神から導きを受ける必要性も変わらない。主が預言者,使徒,そのほかの中央幹部を召して,今もわたしたちを導かれるのはわたしたちを愛しておられるからである。

次の物語は,預言者に従うことにより祝福を受けた人々の話である。

「1959年7月,ついに計画は完了した。タヒチの忠実な会員30名が,ハワイの神殿訪問に必要な経費を得るために働き,節約し,犠牲を払ったのである。伝道部のヨット,パライタ号(意味は「だいしゅうちょう」)をドックに入れて修理し,塗装をし直すために大変な労力が費やされた。当時,フランス政府との間に問題があった。〔最終的に船長のタプ兄弟が港の責任者を説得し,2名の教会員がフランス政府を説き伏せて,パライタ号でハワイに航海する許可を得た。〕

タプ兄弟はフランス当局から許可を得るとともに,デビッド・O・マッケイ大管長の承認を求めるためにソルトレークに手紙を書いた。この許可が下りれば,準備は万端であった。

航海に参加する人が全員,出発前の打ち合わせをするために伝道本部に集まっていた。そのとき,運命を決する電話が伝道部の事務所からかかってきた。……

その日,ソルトレーク・シティーのマッケイ大管長から遣わされた……特使アーネスト・C・ロシターが到着した。彼がもたらした知らせに聖徒はがくぜんとした。長い間願っていた航海を中止するように要請されたのである。タプ兄弟によれば,マッケイ大管長は何の説明もしていない。大管長はロシター兄弟に次のように語っただけである。『タヒチに行って彼らを止めなさい。実行に移すべきではない。彼らの航海を許せば,〔フランス〕政府との間に問題が起きて,教会が彼らのために責任を負うことになるだろう。だから,すぐに行って止めなさい。』

クリスチャンセン伝道部長は,この話を出発の準備のできた聖徒に伝えることに不安を感じて,日記に次のように記した。

『わたしの心はとても重かった。主の聖なる宮でエンダウメントを受けたいという気高い望みを抱く,謙遜けんそんで忠実なこの聖徒たちにどのように説明したらよいか,主の助けが必要であると感じた。わたしは断食して祈った。1959年7月15日午前8時に神権者の集会を召集し,その30分前に忠実な6人の兄弟をわたしの部屋に招いた。わたしはロシター兄弟の助けを借りて大管長会の決定を伝え,8時に集まる神権者にこのメッセージを話すに当たり,彼らの信仰と祈りが必要であると告げた。ロシター兄弟とわたしが話し終えると,6人の兄弟は順番にそれぞれの考えを短く述べた。それを聞いてわたしの胸は喜びでいっぱいになった。彼らは,この地上にいる預言者の勧告に従いたいと言ったのである。

わたしたちは神権者が集っている所に行った。大管長会からのメッセージを聞いた神権者は,これが教会の指導者からの言葉であれば,主の霊感を通して与えられたものであり,主の恵みに愛と感謝を示す唯一の方法は勧告に従うことであると,その確信を述べた。それから,わたしが提議をすると,全員が挙手をして大管長会の指示が受け入れられた。』

そして航海は中止されたが,ロシター兄弟やクリスチャンセン伝道部長をはじめタヒチの忠実な聖徒たちは,神の預言者がなぜそのように勧告したのか,まったく分からなかった。彼らは預言者に対する信仰のゆえに,航海を断念したのである。

後になって船長のタプ兄弟が船に戻ると,『小さなギアが破損していて,修理に100時間から150時間かかるでしょう』と機械工が言った。しかし,タプ兄弟は船を進水させていかりを下ろした。……

『〔船長のタプ兄弟にメッセージを伝えてから〕2,3日後に,わたしは電話を受けた。わたしは伝道本部で地方の教会機関誌を作成していた。電話は港の責任者からだった。

「あなたの船が沈みかけています。」

「何ですって。あの船はドックから出したばかりですよ。」それでも彼は言った。

「船が沈んでいるんだ。とにかく急いで。」

わたしが大急ぎで港に行くと,船体は半ば水に沈んでいた。一等航海士が船底に下りて,何が起きたのか調べようとした。彼はキッチンの排気管が腐っているのを発見した。修理工が腐った木材とさびたパイプの上に塗装をしてしまい,そこが破損して浸水したのであった。

300から400キロ離れた海上で救命ボートに取り残されたりしたらどうするだろうか。予定どおりに航海に出ていれば,腐ったパイプと木はちょうどそのくらいの距離の所で折れていたのである。』

タヒチの聖徒が預言者の勧告を受け入れたときには,マッケイ大管長の心配する理由が分からなかった。しかし,今や神の方法を悟ったのである。タプ兄弟は次のように証を述べた。『これが,マッケイ大管長は主のまことの預言者であると,いつも証をする理由なのです。』」(R. Lanier and JoAnn M. Britsch, “A Prophet’s Warning,” New Era1976年3月号,12,14)

中央幹部は,実際にキリストに代わって語るのである。主は次のように言われた。「何であろうと聖霊に感じて語ることは,聖文となり,主の心となり,主の思いとなり,主の言葉となり,主の声となり,救いを得させる神の力となる。」(教義と聖約68:4

中央幹部は地上における救い主の代表者であるから,彼らが何を語っているかを知り,教えに従うことは大切なことである。現在,中央幹部により強調されている主の教えについて考えてみよう。まず家庭の夕べを開くように勧告している。神殿の建設を助け,系図の探求を行うように勧めている。また,個人と家族の備え(食糧貯蔵も含む)について教え,すべての会員が伝道活動に参加する必要を説いている。

  • 過去10年または20年間に,世の中がいかに急速に変化してきたか考えてもらう。預言者の声に聞き従うならば,今日直面するチャレンジに立ち向かううえでどのような助けになるだろうか。

中央幹部を支持する

主はわたしたちに主の僕に従うように強制されることはない。受け入れることも,拒むこともできる。しかし,中央幹部やほかの指導者を受け入れて支持できるならば,それは大きな祝福である。わたしたちは特定の集会で,挙手をして教会の指導者を支持することを表明するように公式に求められる。そしてわたしたちは彼らを喜んで支持することを右手を挙げて表すのである。しかし,中央幹部を支持するには,単に右手を挙げる以上のことが要求される。彼らの教えを受け入れ,勧告と指導に従い,真に中央幹部を支持するのである。

これらの人々はイエス・キリストの代理人であり,主から引き続き啓示を受けている。主の代理人を敬うことにより,救い主を敬うのである。これら生ける預言者を敬い尊ぶには,彼らの教えを受け入れ,彼らのために祈り,彼らに従う力を求めて祈ることである(ヘブル13:17-18教義と聖約107:22参照)。また,監督や支部長は中央幹部の指示の下に働いているのであり,彼らを支持することによって中央幹部を支持することもできる。

中央幹部を支持する人々には大きな祝福がもたらされる。主は,預言者の教えを信じ最後まで信仰をもって堪え忍ぶ人々には神の持っておられるすべてが与えられる,と言われた(教義と聖約84:36-38参照)。『モルモン書』は,神の預言者を受け入れたアミュレクという偉大な人について伝えている。天使がアミュレクに現れて,預言者アルマが彼のもとを訪れるであろうと告げた。天使は次のように言った。「あなたは彼を自分の家に迎え,食べ物を与えなさい。そうすれば,彼はあなたとあなたの家族を祝福し,主の祝福があなたとあなたの家族のうえにとどまるであろう。」(アルマ10:7)アミュレクはアルマを家に迎え入れた。後にアミュレクは預言者を受け入れたことにより自分と家族にもたらされた祝福について証を述べた。

  • アルマ10:10-11を読む。アミュレクが記した祝福を得るにはどうすればよいだろうか。

中央幹部がわたしたちの家庭を訪れることはないであろうが,彼らの霊感された勧告を家庭に受け入れるならば,同じ祝福を得ることができる。

中央幹部に会うか,話を聞いたことがある生徒がいれば,その経験について,また中央幹部に聞き従うことが大切であると思う理由について話してもらう。

まとめ

中央幹部は,救い主を代表する人である。彼らは神権を持ち,主の教会の業を指導する鍵を持っている。信仰と従順と祈りをもって彼らの勧告に従い,彼らを支持するならば,大いなる祝福を受けるであろう。

ハロルド・B・リー大管長は次のように述べている。「だれか次のように言った人があるが,これはまさに真実である。『人は神の力が教会の指導者のうえにとどまるのを見て,それが胸の中で炎のように燃えるようになるまで,真実の意味で改心したとは言えない。』教会員は,自分たちが正しく導かれているという確信を得,神の人である幹部の兄弟たちが霊感を受け,神の手によって正しく任命されているという確信を得て初めて,真実の意味での改心をするのである。」(「神権の強さ」『聖徒の道』1972年7月号,100)

チャレンジ

  1. 今晩の個人の祈りと家族の祈りで,中央幹部に祝福があるように祈る。

  2. 預言者をはじめとする中央幹部に従う強さと証を求めて祈る。

参照聖句

教師の準備

レッスンの前に以下のことを行う。

  1. 「感謝を神にささげん」(『賛美歌』11番)を開会か閉会で歌うように計画する。

  2. レッスンの中で引用文や聖句を読む割り当てを生徒に与える。

中央幹部

大管長

ヘンリー・B・アイリング

第一副管長
ヘンリー・B・アイリング

トーマス・S・モンソン

大管長
トーマス・S・モンソン

ディーター・F・ウークトドルフ

第二副管長
ディーター・F・ウークトドルフ

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11-a 末日聖徒イエス・キリスト教会中央幹部。最新の「リアホナ」大会特集号には現職幹部の写真が掲載されている。