第22課
家庭における生産と貯蔵
目的
各神権者が家庭における生産と貯蔵の基本を理解し,実践する。
導入
スペンサー・W・キンボール大管長は,すべての末日聖徒が自立し独立するように勧告した(「家族の備え」『聖徒の道』1976年8月号,438-440ページ参照)。この勧告には十分な理由がある。マリオン・G・ロムニー副管長は次のように述べている。「今は,末日である。……主イエス・キリストの再臨を待ち受ける時代に生活しているわたしたちは,日の栄えの王国においてほかのすべての造られたものから……自立できるように,よく備えて生活するようにと教えられている。」(Conference Report,1975年4月,165ページ;教義と聖約78:13-14も参照)
-
写真ページ22-a「災害は思いも寄らないときに襲う」を見る。
キンボール大管長は,古代の預言が成就しつつあることを示し,わたしたちに自立するように勧告している。「さらに多くの災難,竜巻,洪水,……地震……に見舞われる時が近づいている。この世の終わりに近づくにつれ,さらに激しさを加えることであろう。そこでわたしたちは,備えをしなければならない。」(Conference Report,1974年4月,184)
また,次のようにも述べている。「邪悪な時代が来ると,多くの人は瓶に果物を詰め,庭を耕し,果物の木を植えて,日用の食糧だけは自給できるようにしておけばよかったと思うことだろう。主はわたしたちがすべての造られたものから自立するよう計画された。だが農夫がミルクを買い,家屋と土地を持っている者が庭園野菜を店から買っている。やがて店の棚に品物が載らなくなったとき,多くの人々が飢えることであろう。」(「神は欺かれない」『聖徒の道』1975年2月号,80)
-
商店が閉鎖されて,自分の貯蔵品だけですべてを賄わなければならない状況を想像させる。実際にこのような事態が起こるとしたら,どのようなものを家庭で貯蔵し生産しておいたらよいだろうか。
自らの必要を満たす
キンボール大管長は次のような指示を与えた。「最も適切な栽培方法をよく研究していただきたい。……また子供のいる家庭では,責任を与えて,子供も参加させるとよい。」(「家族の備え」『聖徒の道』1976年8月号,439)
ボーン・J・フェザーストーン監督は,自らの必要を満たすために身に付けておかなければならない技術について述べている。「では次に家庭における生産についてお話ししよう。自治体の条例に触れない所では家畜を飼育しなさい。また果樹やぶどうの木,いちご類,野菜などを植えなさい。そうすれば,自家生産で家族の食事を賄うことができるようになり,しかも新鮮なものを食べることができる。家族で食べ切れなかった残りのものは保存して,家庭貯蔵の一部にすることができる。可能な所ではどこでも,食物以外の生活必需品を生産すること。必要なものは自分で作ったり建てたりしなさい。わたしはこれらに付け加えて,皆さんの所有物をすべて美しく手入れし,維持するように申し上げたい。」(「食糧貯蔵」『聖徒の道』1976年8月号,432)
-
次の項目を大きな紙に書いて掲示する。
家畜を飼う
-
写真ページ22-b「鶏は比較的飼いやすい動物である」を見る。
十分な土地があり,法律に触れない地域てば,家畜を購入して飼育すべきである。しかし,どの家畜を飼うか決める前に,正しい飼育方法を学ばなければならない。すなわち飼料,小屋,健康状態を保つために必要な世話について学ぶのである。比較的飼いやすい動物として,鶏,うさぎ,あひる,やぎなどが挙げられる。
-
自分の住む地域で,広く飼育されている家畜の種類について話し合う。それぞれの家畜に必要な飼料,小屋,世話について話し合う。
果樹を植える
果樹は毎年または1年おきに実を結ぶので野菜のように毎年植える必要がない。しかし,木を植えてから実がなるまで数年かかるので必要なときに収穫できるように,なるべく早く植えるべきである。植える前には,手入れ方法とともに木が生長したときに必要な空間について学ぶようにする。
-
自分の住む地域で栽培されている果樹にはどのような種類があるかを話し合う。また,必要な手入れの方法について話し合う。
野菜を作る
-
写真ページ22-c「すべての家庭で野菜を栽培するべきである」を見る。
キンボール大管長は,すべての家庭で菜園を作るように勧めた。この計画に要する資金がないとしても,各家族は自給する方法を学ぶ必要があると述べている。菜園からは新鮮な食物が得られ,余剰分は保存し貯蔵できる。
食糧を貯蔵する
国によっては法律によって食糧貯蔵が禁じられている所もある。そのような国に住む聖徒は,国の法律を敬い守り支持し,食糧を貯蔵しないように,キンボール大管長は述べている(「家族の備え」『聖徒の道』1976年8月号,438ページ参照)。しかし,食糧貯蔵が許される地域では,主の勧告に従い,ほかから食物が供給されなくなる時代に備えて食糧を貯蔵しなければならない。1974年の秋にハリケーンがホンジュラスを襲ったとき,教会員は乾燥させた食品を貯蔵していたことに感謝した。そのわずか2,3か月前に,伝道部長は災害が切迫しているという警告を与え,食糧の貯蔵を始めるようにチャレンジした。そして,蓄えられた大豆,小麦粉,米などが,聖徒を飢えから救ったのである。(ブルース・B・チャップマン,“Hurricane in Honduras,” New Era,1975年1月号,31)
食物を保存し貯蔵するには,幾つかの方法がある。
地中に埋める貯蔵する場所が涼しく乾燥していれば,この方法は根菜類や緑葉野菜に適している。雨が多く排水が悪い場合は,野菜はだめになってしまう。
乾燥させる温暖で日がよく照る時期があれば,果物や野菜をひなたで乾燥できる。ただ面倒なことは,雨が降ってきたら覆いをかけるか取り込まなければならないことである。
瓶詰めにするこの方法は簡単であるが,不適切な方法で行うと危険である。瓶詰めは,食物を貯蔵して風味を保つために良い方法であるが,密封するときには少なくとも低温缶詰法によって処理する必要がある。(そのための装置は数家族で共有するとよい。)また,瓶を破損しないように注意することも必要である。
塩または塩水につけるこれは果物や野菜,肉を保存する安価な方法で,設備もほとんど要らない。
必要な品物を自分で作る
天災に直面することが分かっていれば,料理,暖房,洗濯,体や身の回りの衛生を保つために備えるであろう。このように,燃料や石けんの貯蔵をはじめ,いざというときにそれらを自作できるようになることも大切である。また,救急用品,処方薬品,石けんと洗濯用具,ろうそく,マッチ,そのほか家族のために必要な品物を備える。できるならば,これらの品物を貯蔵するだけでなく,作る方法も学ぶべきである。
持ち物に適切な手入れをし,補修しておく
非常の場合には,家や納屋,さくなどを建て直す必要に迫られることもある,したがって,家族が木材をはじめ建築資材の利用法を学び,道具を用いて家具などを製作し修理できるようになることが大切である。自分の所有物を修理して維持できるようになれば,お金と時間の節約になり,ほかの人に依頼する必要もなくなる。
-
自分の所有物をよい状態に維持しておくことが大切なのはなぜか。
新しい技術を学ぶ
わたしたちの中には何らかの技術を修得して,それをほかの人々に教えることのできる人がいる。そのような人がいなければ,本や雑誌,教室,学校のプログラムなどから学ぶことができる。
-
何か技術を身に付けていて,それをほかの人に教えることのできるような人がだれかいるだろうか。わたしたちが学びたいと思っている技術を教えてくれる人がだれかいないだろうか。実際に役に立つ技術を修得するために,子供に学校で何を学ぶように奨励すべきだろうか。これらの技術を学ぶように家族に勧めるにはどうすればよいか。
まとめ
わたしたちが地上の生活の中で経験する問題や苦難というものは,起こるべくして起こるものである。しかし,自ら食糧の生産を手がけ,自給できるならば,困難な時代への備えとなり,恐れを抱くこともない,主はこのように言われた。「備えていれば恐れることはない。」(教義と聖約38:30)
チャレンジ
-
今週,家庭における生産と貯蔵について妻や家族と話し合う時間を取る。
-
1年分の貯蔵を行うために必要なものを決める。
-
まだ始めていなければ菜園作りに着手し,すでに行っている場合はさらに継続する,何か技術を修得する,ほかのプランに取りかかるなどして,家族の必要を満たすための計画を進める。
教師の準備
レッスンの前に以下のことを行う。
-
政府の関係者や経験者に次の事柄について聞く。
-
あなたの住んでいる地域で飼われている家畜と最も飼いやすい家畜の種類について。
-
あなたの地域に適した果樹の種類とその手入れについて。
-
家や家具,そのほか必要品の製作方法を家族に教えてくれる場があるかどうか。もしなければそのような技術を喜んで教えてくれる人について。
-
-
レッスンで使う大きな紙を用意する。
-
レッスンの中で引用文や聖句を読む割り当てを生徒に与える。