ヘブル 1-10章
御使たちの名にまさっている
イエス・キリストに従う者はすべて信仰の試しを受けます。多くのユダヤ人のキリスト教徒もそうでした。様々な苦難の重圧から,多くのユダヤ人のキリスト教徒が教会から離れ,比較的安全な会堂でのユダヤ教の礼拝に戻りつつありました。パウロはこれらのユダヤ人のキリスト教徒たちに,イエスがモーセ以上の御方であり,その務めがもたらす新しい聖約は,モーセの律法に基づく古い聖約よりも優れていることを示そうとしました。この課は,救い主の称号と役割の幾つかを特定し,研究してその万物への力を学び,信仰を強めるのに役立ちます。
イエス・キリストに焦点を当てる。「主の称号と役割,人格,特質に焦点を当てると,御霊は主を証し,主がどのような御方であられるかをさらに理解し,主を愛し,主のようになりたいという望みが強まります。」(チャド・H・ウェッブ「わたしたちはキリストのことを話し,キリストのことを喜ぶ 」 〔宗教教育セミナリー・インスティテュート年次訓練放送での話,2018年6月12日〕,ChurchofJesusChrist.org)
生徒の準備:生徒に,個人または家族の聖文研究中にイエス・キリストの名称を探し,見つけた名称をクラスで発表する準備をしてもらいましょう。
学習活動案
イエス・キリストの称号
紙を1枚使って,生徒に次の活動をしてもらうのもよいでしょう。そして紙を集めて回答を読み,どの生徒がどれを書いたのかを当ててもらいます。
1分間で,自分自身を表現する言葉を,思いつくかぎり学習帳に書いてください。
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なぜ,その言葉を使いましたか。
あなたを表現する言葉があるように,イエス・キリストを表現する多くの名称や称号があります。これらの称号をより完全に知ることで,主がどのような御方であり,どれほどわたしたちを愛しておられるか,よりよく理解するようになります。
生徒の中には,救い主の称号と役割のリストを学習帳に書いている生徒もいるでしょう。書いていない生徒には,書くように勧めましょう。
すでに知っている救い主の称号を,幾つか学習帳に書いてください。
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イエス・キリストのそれらの称号を知り,理解することは,イエスに対する見方にどう影響しますか。
ホワイトボードに,生徒の答えを箇条書きにするとよいでしょう。生徒のイエス・キリストへの信仰を深めるために,「ティーンエイジャーが救い主について知ることは,なぜ重要だと思いますか」とか「この称号はイエスの人格と特質について何を教えてくれますか」などのフォローアップの質問をしてもよいでしょう。
ラッセル・M・ネルソン大管長は,救い主のことをより深く学ぶときに,わたしたちが祝福を受ける方法を教えています:
「救い主について学べば学ぶほど,主の憐れみ,主の無限の愛,主の力づけと癒し,主の贖いの力を信頼するのが容易になります。」
(ラッセル・M・ネルソン「キリストはよみがえられた—キリストを信じる信仰は山を動かす」『リアホナ』2021年5月号,103)
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ネルソン大管長が述べた救い主の助けは,どのような点で必要なのでしょうか。
生徒がヘブル人への手紙の内容が理解できるように,次の資料を見せるか簡潔に要約するとよいでしょう。
わたしたちが救い主を必要とするように,迫害やその他の圧力のために教会の集会に集えなかったユダヤ人のキリスト教徒たちも,救い主を必要としていたのです。彼らは,慣れ親しんだ事柄,つまりイエス・キリストへの信仰を含まない,比較的安全なかつてのユダヤ教礼拝に戻りつつありました( ヘブル 10:25,38-39 参照)。この書簡の詳細については,『聖句ガイド』の「 ヘブル人への手紙」 の項を参照してください。
イエス・キリストの称号と役割を見つける
パウロは,聖徒たちがイエスの必要性を認識するのに役立ったかもしれない,救い主の多くの称号と役割を語っています。例えば, ヘブル人 1: 2 では,救い主の称号「御子」を強調していますが,これはイエスが「万物の相続者」であることに関連しています。 ヘブル 1:2,10 は,イエスの天地の創造者としての役割を説明しています。
生徒に特定の節を割り当て,二人一組または少人数のグループで読んでもらってもよいでしょう。読み終えたら,生徒が見つけた称号をホワイトボードに書き出してもよいでしょう。
救い主の称号の数例を見たところで次の聖句を読み,イエス・キリストの称号と役割をさらに探してください。見つけたものに印をつけましょう:
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救い主の称号と役割から,あなたが見つけた救い主についての真理は何ですか。
生徒は,イエス・キリストが天地を創造した( ヘブル 1:2,10 参照),またはイエス・キリストは神の御子で,御父に似ておられる( ヘブル 1: 2-3 参照)など,様々な真理を見つけることができるでしょう。
自分の人生の中で,イエス・キリストに行っていただく必要があることを表現する称号か役割を選び,それを1枚の紙の中央に書きます。聖典,「福音ライブラリー」アプリまたはChurchofJesusChrist.orgを利用し,あなたが選んだイエス・キリストの称号についての見解をもっと探してみましょう。作業を始める方法の一つとして, 『聖句ガイド』 で「イエス・キリスト」の項を探すことができます。そこで,救い主に焦点を当てた様々な聖文を調べることができます。
その称号の周りに,イエス・キリストに対するあなたの考え,そしてその称号があなたにとって意味がある理由を書いてください。その考えには,次のようなものがあります:
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読んだ聖句や引用,
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救い主がその役割を果たしてくださることが,あなたの人生にどう役立つかという考え,
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称号を理解することが,イエス・キリストへの信仰をどのように強められるかという考え,そして
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もしあれば,その称号に関する質問。
時間があれば,生徒にそれらの質問に対する答えを見つける時間を取ることもできます。生徒が,考えをクラスや少人数のグループまたは二人一組で発表するのもよいでしょう。イエス・キリストと,主についてさらに学ぶことの重要性を証してください。
イエス・キリストの名称と称号を見つける練習をしたところで,自分が聖文研究でこのスキルをどの程度うまく使っているか,少し考えてみましょう。
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イエス・キリストの称号を探すことで,どのようにイエス・キリストをよく知ることができましたか。
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このイエス・キリストの称号の勉強を,通常の聖文研究にどのように取り入れることができるでしょうか。
新約聖書や他の聖典の研究を続ける中で,個人的にあるいは家族と一緒に,イエス・キリストの称号を探していきましょう。
注釈と背景情報
なぜわたしはイエス・キリストについて学ばなければならないのでしょうか
ラッセル・M・ネルソン大管長は次のように教えています:
ワールドワイド・ディボーショナル,2017年1月
「イエス・キリストに関するあらゆることを学ぶなら,主と神の律法に対する愛が想像をはるかに超えて増すことを約束します。また,罪を避ける力と戒めを守りたいという思いも増すことを約束します。イエス・キリストの弟子をあざける人々の娯楽としがらみから遠ざかる力も増します。……
主の様々な称号や呼び名が皆さんにとって個人的にどのような意味を持つか理解できるよう,祈り,熱心に求めてください。」
(ラッセル・M・ネルソン「預言者,指導力,神の律法」〔ヤングアダルトのためのワールドワイド・ディボーショナル,2017年1月8日〕, ChurchofJesusChrist.org;強調付加)
ヘブル 1:2,10 。創造主としてのイエスの役割は,わたしの人生にどのように影響を与えることができるでしょうか
宗教教育セミナリー・インスティテュート教育長チャド・H・ウェッブ兄弟は,次のように述べています:
「ボイド・K・パッカー会長は熟達した芸術家で,木彫りの鳥を彫ることを楽しみとしていました。ある日,彼が彫刻品を後部座席に置いて,A・セオドア・タトル長老の運転する車に乗っていると,交差点で突如タトル長老がブレーキを踏んだので,彫刻品は床に落ちて壊れてしまいました。タトル長老は落ち込みましたが,パッカー会長は気にせず,『忘れてください。わたしが作ったのでわたしが直せますよ』と言い,そしてそのとおりにしました。すると,さらに頑丈で良い物ができました。パッカー会長はこう言いました。『あなたを作った創造主はどなたですか。あなたの人生の中で,曲がったり壊れたりしたもので主が修復できないものはありません。』」
(チャド・H・ウェッブ「わたしたちはキリストのことを話し,キリストのことを喜ぶ 」宗教教育セミナリー・インスティテュート年次訓練放送,2018年6月12日,ChurchofJesusChrist.org)
イエス・キリストを知ることが,なぜ希望をもたらすのでしょうか
次のロナルド・A・ラズバンド長老が分かち合った経験は,イエス・キリストの称号と役割を知ることが,どのように希望を与えることができるのかということを理解するのに役立ちます。
イエス・キリストこそが,答えです
補足学習活動
モルモン書におけるイエス・キリストの称号を見つける
生徒がキリストの称号を見つけるうえで役立つもう一つの方法が,モルモン書を使用することです。以下の活動を行うとよいでしょう:
生徒に「モルモン書の完全なタイトルは何でしょうか」と質問します。
モルモン書は,イエスがキリストであることをあらゆる人に確信させるために書かれたことを思い出してもらいましょう。
生徒がモルモン書のおもな目的を理解できるように,一人の生徒にエズラ・タフト・ベンソン大管長(1899-1994年)の次の言葉を音読してもらいます:
「誠心誠意で真理を求める人は,霊感あふれるモルモン書の言葉について祈りの気持ちをもって深く考えるなら,イエスはキリストであるとの証を得ることができます。
モルモン書の聖句のうち半分以上は主について述べたものです。キリストに対する様々な呼び名の中には,新約聖書よりモルモン書に頻繁に出てくるものもあります。
モルモン書の中で,主は実に100以上の呼び名で記され,それらの呼び名には,イエスの神性を示す特別な意味があります。」
(エズラ・タフト・ベンソン「キリストのもとに来て」『聖徒の道』1988年1-月号,90)
生徒にモルモン書のどの章を見ても,イエス・キリストを指す呼び名や称号を見つけられるか,調べてもらいます。そして見つけた呼び名や称号を教えてもらい,それがイエス・キリストについて何を教えてくれるかを説明してもらいましょう。
イエス・キリストのその他の称号
生徒がすでに知っている称号をリストにしてから,次のウェブページを参照して,まだ見つかっていない救い主の称号を探してもらうとよいでしょう:ChurchofJesusChrist.org/ComeUntoChrist/believe/jesus/50-names-for-jesus
これにより生徒は,自分に最も意味のある称号を選び研究するうえでの選択肢が増えます。