2014
欺き
2014年10月


また会う日まで

欺き

「おお,悪しき者のあの狡猾な策謀よ」『リアホナ』2010年11月号,108-110から

illustration of a man fishing in a river

イラスト/J・ケン・スペンサー

秋はフライフィッシングをする人々にとって特に楽しい季節です。この時期のマスは,冬の餌不足に備えて体を強めるために,非常に食欲旺盛になるからです。

フライフィッシングをする人は,マスを巧みにだまして捕まえようとします。熟練した釣り人は,マスの行動,天気,水の流れ,マスが食べる虫の種類や,その虫がふ化する時期などを研究します。釣りに使う疑似餌を手作りすることもよくあります。小さな釣り針がはめ込まれたこの疑似餌は完壁でなければなりません。なぜなら,ほんの少しでも出来が悪ければ,マスはそれを見破り,食いつこうとはしないからです。

水面から飛び出て疑似餌に食いついたマスが逃げようともがき,ついに疲れ果ててリールで巻き上げられるのを見るのはスリルがあります。知識や技術を駆使する釣り人と,気高いマスの一騎打ちです。

疑似餌を使って魚をだまして捕まえるのは,ルシフェルがわたしたちを誘惑し,だまし,わなにかけるためによく使う方法と似ています。

マスが空腹に駆られて行動することを知っている釣り人と同じように,ルシフェルもわたしたちの「空腹」あるいは弱さを知っていて,擬似餌を使って誘惑します。そして,わたしたちが餌にかかると,人生という小川から釣り上げ,自分の冷酷な影響下に置いてしまうのです。捕まえた魚をそのまま水に戻してやる釣り人と違って,ルシフェルは獲物を進んで逃がすようなことはしません。彼の目標は,犠牲者を自分と同じように惨めにすることなのです。

ルシフェルがわたしたちに対して使うおもな方法の一つは,偽りを言い,だまし,悪を善,善を悪だと信じ込ませることです。そもそも世の初めの天上の大会議のときから,サタンは「主なる神であるわたしが与えた,人の選択の自由を損なおうとした」のです(モーセ4:3)。

神がお与えになった選択の自由を巡る戦いは今日も続いています。サタンとその手下は,わたしたちの周囲の至る所に疑似餌を置き,わたしたちがだまされて疑似餌に手をつけるのを今か今かと待ち構えています。偽りの方法で釣り上げるためです。

兄弟姉妹の皆さん,人を捕る偽漁師ルシフェルが仕掛けた疑似餌に注意しましょう。ルシフェルが差し出す数々の危険な誘いを見分け,拒むだけの知恵と霊の目を持つことができますように。

そして,どのような種類であれ,依存症に陥ってしまった皆さん,希望はあります。なぜなら神はすべての子供たちを愛しておられるからです。また主イエス・キリストの贖いがすべてのことを可能にするからです。