2016
戦争が,わたしに平安をもたらしました
2016年3月号


戦争が,わたしに平安をもたらしました

soldier reading scriptures

イラスト/アレン・ガーンズ

高校を卒業して5日後,わたしは軍隊に入りました。ベトナムに向けて出発する少し前,入隊は霊的な旅路の始まりだとはっきりとした印象を受けました。

新しい隊に合流して2時間後,野営地で敵のロケット弾がさく裂しました。その夜は迫撃砲による攻撃も続きました。全てが刺激的に思えたのは,2週目になって数人の兵が戦死するまででした。冷静になったわたしは,人生の意義について考え始めました。

それから間もなく,ヘリコプター班の班長を務めるグレイグ・スティーブンズと知り合いました。ある日,宗教の話になりました。グレイグは,自分が末日聖徒イエス・キリスト教会の会員であると言い,もっと知りたいと思うかと尋ねました。わたしの両親は教会員ではありませんでしたが,イエス・キリストを信じる信仰について教えてくれました。

その晩,人けのないバンカー(訳注:装備や物資,人員などを敵から守るために地下に掘られた屋根付きの塹壕)で,グレイグが最初のレッスンを教えてくれました。特に心に焼き付いたのは,レッスンの論理性や彼の教え方ではなく,この若い兵士の誠実さと謙遜さでした。

それから数日間で,グレイグは残りのレッスンを教えてくれました。レッスンが終わるたびに,わたしたちはひざまずいて祈りました。そのたびに,わたしは祈るように言われましたが,わたしにはそれができそうもありませんでした。幾つかの教義の原則について困惑し,もう教会について話を聞くのはやめようと決めたことを覚えています。翌日,グレイグは一日かけて,わたしの質問に答えられる人を探してくれました。

彼は夕暮れ時に,帰還宣教師で他の部隊に所属するヘリコプターのパイロットを連れてやって来ました。この兄弟がわたしの質問に答え,教会が真実であると知っていると証してくれました。それから,自分がこれまで会った誰よりも,わたしはバプテスマを受ける準備ができていると言ってくれたのです。わたしは口が利けませんでした。彼が話し終えると,「確かにそのとおりだ」と思っている自分がいました。

それから少しして,バンカーの中で座ってモルモン書を読んでいるとき,聖文が教えているとおりに,モルモン書が真実かどうか神に尋ねてみようと決心しました(モロナイ10:4-5参照)。わたしは頭を垂れ,主に願い求めました。するとたちまち,それまで経験したことのない温かい気持ちと平安をはっきりと感じたのです。神がわたしの祈りに答えてくださったことが分かりました。モルモン書が真実の書物だと知ったのです。モルモン書が真実だと分かったことで,ジョセフ・スミスが間違いなく預言者であるということも分かりました。それから間もなく,わたしはトンキン湾でバプテスマを受けました。

バプテスマの水から上がったとき,完全に清くなったと感じました。人生がこれ以上ないほど楽しく感じられました。何千マイルも旅して戦場に赴いてようやく,自分の霊が探し求めていた平安を見つけたのです。