ジョーダンの聖文研究仲間
このお話を書いた人はアメリカ合衆国バージニア州に住んでいます。
ジョーダンは,もうキルシの聖文研究仲間でいられなくなってしまったことが,残念でならなかったのです。でも,すばらしいアイデアがひらめきました。
「いのりながらみ言葉読むときに,心の中に温かいみたまがあふれる」(『子供の歌集』109)
ジョーダンは,もう1年以上お姉さんのキルシと会っていませんでした。それは永遠のように思えました。お姉さんはもうすぐ,手術を受けるために伝道から家にもどって来ます。ジョーダンは,キルシが病気なのは悲しかったものの,また一緒にいられるのがうれしくてたまりません。
次の日,ジョーダンが学校から家に帰ると,キルシはソファにすわっていました。ジョーダンは,かけよってキルシをだきしめました。
「ひさしぶりね,ジョーダン。会いたかったわ。」キルシが言いました。
ジョーダンはにっこりしました。「ぼくも,会いたかったよ。病気になっちゃって残念だね。」
「ありがとう,ジョーダン。」キルシは言いました。キルシは,ひざの上にモルモン書をかかえていました。
「一緒に読んでいいかな。」ジョーダンは聞きました。
「自分のモルモン書を持って来たら。一緒に最初から読み始められるわ。」
ジョーダンは急いで自分の部屋に行き,自分のモルモン書を手にしました。「持って来たよ。」急いで戻って来たジョーダンは大きな声で言いました。そして,キルシのとなりにすわりました。
二人は,とびらのページを開きました。「モルモン書—イエス・キリストについてのもう一つのあかし」とジョーダンは読みました。二人は順番に読み進めました。
「伝道中はね,毎日同僚と聖文を研究したの」とキルシが言いました。そして「伝道にもどるまでの間,わたしの聖文研究仲間になってくれないかしら。」とたずねました。
ジョーダンは「いいよ」と答えました。
数日後,キルシは手術を受けました。キルシは,退院して家に帰り,2,3週間休んで病気が治るのを待ちました。キルシとジョーダンは,毎日一緒にモルモン書を研究しました。
伝道地にもどる前,キルシはこう言いました。「ジョーダン,バプテスマを受ける前に,モルモン書を全部読み終えるようにあなたにチャレンジしたいと思うの。」
ジョーダンはそれについて考えました。8才の誕生日まで,もう2,3か月しかありません。たくさん読まなければなりませんが,ジョーダンはやりたいと思いました。「いいよ」と,ジョーダンは答えました。
「読むときに,おいのりして,それが真実かどうか聞いてみてくれるかしら。」キルシはジョーダンにそう聞いてから,言いました。「モロナイは,わたしたちがそうするなら,それが真実だとせいれいが教えてくださると約束しているわ。」
「分かった」とジョーダンは言いました。
キルシが伝道地に帰るまでの間,二人は一緒にニーファイ第二書まで読み進めました。
ジョーダンは,キルシが行ってしまって,とてもさみしくなりました。特に,キルシの聖文研究仲間でいられなくなってしまったことが,残念でならなかったのです。でも,すばらしいアイデアがひらめきました。
ジョーダンは,次の日学校で,親友のジェークのつくえのところに歩いて行きました。
「バプテスマを受けるまでに,モルモン書を全部読むつもりなんだ。ぼくたち二人とも同じ日にバプテスマを受けるから,一緒にやらないかい」とジョーダンは聞きました。
「いいよ。ぼく,まだモルモン書を全部読んだことがないんだ」とジェークが言いました。
毎日学校で,二人はおたがいに同じ質問を聞きました。
「どこまで読んだ?」
「ヤコブ書の終わりまでだよ。君はどこまで読んだ?」
少しして,もう質問する必要がなくなり,ただ顔を見合わせるだけで,言いたいことが分かるようになりました。
「ちょうどバプテスマに間に合うように,読み終わると思うよ」とジョーダンが言いました。
ついに,かれらのバプテスマの日が来ました。
「昨日,終わったよ」と,ジョーダンはささやきました。
「ぼくもさ。」ジェークは言いました。「それに,それが本当かどうか知るためにいのったら,すっごく温かくて幸せな気持ちがしたよ。」
ジョーダンはにっこりしました。「ぼくもだよ。いのったとき,すごく幸せな気持ちがしたんだ。」キルシがチャレンジしてくれて本当に感謝の気持ちでいっぱいでした。今,ジョーダンは,自分のあかしをきずいています。