2017
旅は続きます
2017年11月


旅は続きます

天の御父のもとに帰る旅は,わたしたちの人生の最も重要な旅です。

ブリガム・ヤングは,170年前,初めてソルトレーク盆地を見渡し,こう述べました。「まさにこの地である。」1彼はこの地を知っていたのです。主からそれを示されていたからです。

1869年までに,7万人を超える聖徒が同様の旅をしました。言語や文化,国籍に多くの違いがあるにもかかわらず,彼らは,御父と御子と聖霊の証,イエス・キリストの福音の回復,シオンを築きたいという望みについて語りました。救い主の再臨に備える平和と幸福と美の地を築きたいと思ったのです。

ジェーン・マニング・ジェームズ

ユタに到着した最初の聖徒たちの一人が,ジェーン・マニング・ジェームズです。解放奴隷の娘であり,回復された教会への改宗者であり,数々の困難な問題に立ち向かった非常に立派なキリストの弟子でした。ジェームズ姉妹は忠実な末日聖徒として暮らし,1908年に亡くなりました。

彼女はこう書いています。「わたしは今,こう言いたいです。イエス・キリストの福音を信じるわたしの信仰は,末日聖徒イエス・キリスト教会で教えられているように今は強いです。それどころか,初めてバプテスマを受けた日よりも,可能なかぎり強くなっています。什分の一とささげ物を納め,知恵の言葉を守り,早寝早起きをし,微力ながらすべての人に良い模範を示すように努めています。」2

ジェームズ姉妹は,ほかの多くの末日聖徒と同じように,血と汗と涙でシオンを築いただけでなく,イエス・キリストの信仰をしっかり持ち続けながら最善を尽くして福音の原則に沿った生活をすることにより,主の祝福も求めたのでした。イエス・キリストは心から求めるすべての人に大いなる癒しをもたらす御方だからです。

初期の聖徒たちは完全ではありませんでしたが,基を築きました。わたしたちは,その基の上に,聖約を愛して守る家族と社会を築いているのです。イエス・キリストに対するわたしたちの決意と,遠近を問わず人々を助けようとするわたしたちのボランティア活動のことが,全世界で様々なニュース記事として取り上げられています。3

アイリング管長,あなたの賛辞に,テキサスやメキシコ,その他の地で奉仕してくださった,何万人もの黄色いTシャツの天使たちへの感謝を付け加えさせていただきます。

わたしは次のことを深く確信しています。開拓者であった先祖を含めて,わたしたちの前を行った人々とのきずなをなくしたら,わたしたちは非常に尊い宝を失うことになります。わたしはかつて「信仰こめて,一歩ずつ」という話をしましたし,将来も語り続けます。後の世代も,初期の聖徒たちが持っていた,主イエス・キリストと回復された福音を信じる信仰と同じ信仰を持つ必要があることを,わたしは知っているからです。4

わたし自身の開拓者であった先祖も,手車をひき,幌馬車に乗り,また歩いてユタを目指した信仰ある開拓者でした。彼らも,ジェーン・マニング・ジェームズ姉妹と同様,深い信仰を込めて一歩ずつ,自らの旅を行ったのです。

彼らの日記は,苦難,飢え,また病気についての記述で,さらに神とイエス・キリストの回復された福音を信じる信仰の証で埋め尽くされています。

この世の物には事欠いていましたが,イエス・キリストの教会で見いだした兄弟愛と姉妹愛から豊かな祝福を享受しました。できるときに,互いに仕え合い,また神の神権によって,意気消沈した人を高め,病める人を祝福しました。

ユタ州キャッシュ盆地の姉妹たちは,「困っている人を助けるために一致して働く」という扶助協会の精神を持って聖徒たちに仕えました。5わたしの曾祖母のマーガレット・マクニール・バラードは,夫のヘンリーがローガン第二ワードのビショップを務めた40年間,夫の傍らで仕えました。マーガレットは,その間の30年,ワード扶助協会会長でした。彼女は貧しい人や病気の人,夫に先立たれた女性と孤児を自宅に受け入れ,また亡くなった人にきれいな神殿衣を着せることもしました。

歴史的な19世紀のモルモンの開拓者の旅を記憶にとどめることは適切ですし,重要です。しかし,自ら「信仰こめて,一歩ずつ」進みながら,わたしたちそれぞれの「旅は生涯続く」ということを覚えておくことも必要です。

会員は地元の集会に集う

新しい改宗者は,今はもう合衆国西部の開拓者の定住地に集合しません。その代わりに改宗者は,聖徒たちがイエス・キリストの御名によって天の御父を礼拝する,地元の集会所に集います。全世界に3万を超える集会所が設けられており,すべての人が,自分自身のシオンに集められます。聖文にはこう述べられています。「心の清い者,これこそシオンである。」6

わたしたちは人生の道を歩むときに,「〔主から〕命じ〔られ〕たすべてのことを努めて行う」かどうかを試されます。7

わたしたちの多くは,すばらしい発見の旅をしています。個人の達成と霊的な啓発に至る旅です。しかし,悲しみ,罪,苦悩,絶望に至る旅を行っている人もいます。

ですから,次のように自分に問いかけてみてください。「自分の最終目標は何だろうか。」「自分はどこに向かって歩んでいるだろうか。」「自分の旅は,救い主が約束してくださった『数々の祝福』8に通じているだろうか」と。

天の御父のもとに帰る旅は,わたしたちの人生の最も重要な旅です。それは,毎日,毎週,毎月,毎年続き,それによって天の御父とその愛する御子イエス・キリストを信じるわたしたちの信仰は増すのです。

わたしたちは,どこに向かって人生を歩んでいるか,気をつけなければなりません。弟子たちの次の問いかけに答えられたイエスの助言に注意を払い,それを心に留めなければなりません。「『どうぞお話しください。いつ,そんなことが起るのでしょうか。あなたがまたおいでになる時や,世の終りには,どんな前兆がありますか』。

そこでイエスは答えて言われた,『〔男女を問わず〕人に惑わされないように気をつけなさい。』」9

今日,わたしは,教会の指導者たちからの以前の勧告を繰り返します。

  • 兄弟姉妹の皆さん,キリストの教義を純粋に保ってください。教義に手を加える人々に決して欺かれてはなりません。御父と御子の福音は,この最後の神権時代の預言者,ジョセフ・スミスを通して回復されました。

  • 教会の召しへの聖任や任命を受けておらず,教会員の賛成の支持も得ていない人々に耳を傾けないでください。10

  • 今日の使徒たちや預言者たちが答えていない,あるいは分からないと言っている,教義上の疑問に対して,自分には答えがあると主張している組織や団体,あるいは個人に気をつけてください。

  • また,一獲千金で誘惑する人々に耳を傾けないでください。会員たちがあまりにも多くのお金を失っています。どうか気をつけてください。

一部の地域では,非常に多くの会員が,的のかなたに目を向けています。癒しと助けを得られるとうたい,法外な費用を要求する疑わしい行為について,ひそかな知識を求めています。

1年前に公表された公式の教会の声明では,次のように述べられています。「お金と交換に,奇跡的な癒しを約束する集団や,適切に聖任された神権者によらず,癒しの力を受ける特別な方法があると主張する集団に加わることに慎重であるよう,わたしたちは教会員に強く勧めます。」11

教会の『手引き』で,次のように忠告されています。「会員は,倫理上または法律上疑問のある治療法および健康法を用いるべきではない。地元の指導者は,健康上の問題を抱えている会員に対して,開業している国から免許を与えられている,資格ある専門の医師に相談するように助言するべきである。」12

兄弟姉妹,思慮深くあってください。こうした行為は感情的に訴えるかもしれませんが,霊的にも肉体的にも有害であることが最後に明らかになることを知っておいてください。

開拓者であった先祖にとって,自主自立は必須でしたが,共同体意識も同様に重要でした。彼らは協力し合い,互いに助け合って,当時の物質的また心理的な問題を克服しました。男性のためには神権定員会があり,女性には扶助協会がありました。これらのもたらす成果は,わたしたちの時代にあっても変わりません。

扶助協会と神権定員会は,会員の霊的および物質的な福利を提供します。

「信仰こめて,一歩ずつ」進むことによって福音の道にとどまってください。そうすれば,無事に天の御父と主イエス・キリストのもとに帰ることができます。主はわたしたちの尊い救い主です。世の贖い主です。わたしたちは主の御名をたたえ,どのような方法であれ誤用してはならず,主の戒めを守るように努めなければなりません。そうすれば,主は祝福してくださり,安全に天の家へと連れ戻してくださいます。

わたしの声の届く範囲にいるすべての人にお願いします。今日,自分の旅をしている人を温かく迎え,受け入れてください。旅のどこにいるかは問題ではありません。

人が分かち合うことのできる祝福で,回復のメッセージ以上にすばらしいものはないことを心に留めてください。これを受け入れて生活するときに,永遠の喜びと平安,また永遠の命までもが約束されるのです。わたしたちの精力と力,証を用いて宣教師を助け,彼らが神の子供たちを見いだし,教え,バプテスマを施せるようにしてください。そうすれば,彼らは日常生活の指針となる福音の教義の力を得ることができます。

わたしたちは思いやりをもって神の子供たちを受け入れ,人種差別や性差別,国家主義を含む偏見を,それがどんなものであっても取り除く必要があります。イエス・キリストの回復された福音の祝福は神のすべての子供たちのためのものであることを,心から信じていると言えるようにしましょう。

わたしは証します。「旅は続きます。」福音の道にとどまり,愛と思いやりをもって神のすべての子供たちに手を差し伸べながら進み続けてください。そうすれば,一つとなって心を清め,手を清め,天の御父とその御子を心から愛するすべての人を待ち受けている「数々の祝福」を受けることができます。そうなるように,イエス・キリストの聖なる御名によりへりくだり祈ります,アーメン。

  1. ブリガム・ヤング。ウィルフォード・ウッドラフの記憶による。The Utah Pioneers (1880), 23に引用

  2. Jane Manning James autobiography, ca. 1902, Church History Library, Salt Lake City; see also James Goldberg, “The Autobiography of Jane Manning James,” Dec. 11, 2013, history.lds.org.

  3. 例として,Jill DiSanto, “Penn Research Shows That Mormons Are Generous and Active in Helping Others,” Penn News, Apr. 17, 2012を参照

  4. M・ラッセル・バラード「信仰こめて,一歩ずつ」『聖徒の道』1997年1月号,25-28参照

  5. 「扶助協会の目的」lds.org/callings/relief-society/purposes?lang=jpn。『手引き 第2部:教会の管理運営』9.1.1も参照

  6. 教義と聖約97:21

  7. 教義と聖約97:25

  8. 教義と聖約97:28

  9. マタイ24:3-4

  10. 教義と聖約26:228:1343:6-7参照

  11. Church spokesman Eric Hawkins, Sept. 2016.

  12. 『手引き 第2部』21.3.6参照