2018
すべてのアロン神権者が理解するべきこと
May 2018


すべてのアロン神権者が理解するべきこと

皆さんがアロン神権に聖任されていることは,神の子供たちにキリストの贖いの力を届けるうえで非常に大切なことです。

兄弟の皆さん,この歴史的な大会に皆さんとともに出席できることは特権です。わたしは伝道部会長になったばかりのころ,新任宣教師たちの最初のグループをわくわくしながら迎え入れました。経験のある何人かの宣教師が彼らの集会の準備をしていました。見ると,子供用の椅子を半円形に並べています。

「この小さな椅子は何だい」とわたしが尋ねると,

宣教師たちはどこかすまなそうに,「新しい宣教師の椅子です」と言いました。

わたしたちがほかの人をどう見るかは,その相手が自分の存在と可能性をどう捉えるかに大きな影響を与えると,わたしは考えています。1その日,新しい宣教師たちは大人用の椅子に座りました。

わたしが時々心配に思うのは,神がアロン神権の若い男性に神聖な務めとかけがえのない仕事を託しておられることを理解できるように彼らを助ける代わりに,比喩的な意味でわたしたちは彼らに子供用の椅子を与えているのではないかということです。

トーマス・S・モンソン大管長は,「神の神権を持つ……という意味」を若い男性に理解してもらう必要があると勧告しています。「聖任されている召しの神聖さを霊的な意味で自覚できるように,彼らを導く必要があります。」2

今日わたしは,アロン神権の力と神聖さをさらによく理解して,わたしたちがさらに熱心に神権の義務にまい進できるよう聖霊の導きと霊感を祈り求めます。わたしのメッセージはすべてのアロン神権者に向けたものですが,メルキゼデク神権を持つ人たちもそれに含まれます。

デール・G・レンランド長老は,神権の目的は神の子供たちをイエス・キリストの贖いの力にあずからせることだと教えています。3生活の中でキリストの贖いの力を受けるには,キリストを信じ,罪を悔い改め,儀式によって神聖な聖約を交わしてそれを守り,聖霊を受けなければなりません。4これらの原則は,一度だけ従えばよいというものではありません。それらは,「キリストのもとに来て,キリストによって完全にな〔る〕」ための天に向かって続く進歩の過程で,互いに補強し合い,形成され,連動していくものです。5

では,この進歩の過程でアロン神権はどのような役割りを果たすのでしょうか。どうすれば,アロン神権によってキリストの贖いの力にあずかることができるのでしょうか。この答えは,アロン神権の鍵,つまり,天使の働きと備えの福音の鍵の中にあると思います。6

天使の働き

天使の働きの一つの側面から始めましょう。神の子供たちがイエス・キリストを信じる信仰を持てるようになるには,まず,キリストについて知り,キリストの福音を学ぶ必要があります。使徒パウロの言葉のとおりです。

「聞いたことのない者を,どうして信じることがあろうか。宣べ伝える者がいなくては,どうして聞くことがあろうか。

つかわされなくては,どうして宣べ伝えることがあろうか。……

したがって,信仰は聞くことによるのであり,聞くことはキリストの言葉から来るのである。」7

時の始めから,神は「天使たちを遣わして,人の子らを教え導き,キリストの来臨について明らかにされた」のです。8天使とは,神のメッセージを携えた天からの使いです。9ヘブライ語でもギリシャ語でも,天使の語源は「使者」です。10

天使は権能を受けた使いであって,神から遣わされて神の言葉を伝え,人の信仰を築きます。それとまったく同様に,アロン神権を持つわたしたちは,「教え,またキリストのもとに来るようにすべての人を招〔く〕」ために聖任されています。11福音を宣べ伝えるのは神権の義務です。この義務に伴う力は預言者だけのものでも,宣教師だけのものでもありません。それはあなたにも与えられます。12

では,どのようにしてこの力を得るのでしょうか。12歳の執事やわたしたちは,神の子供たちの心にどのようにしてキリストを信じる信仰を育むのでしょうか。まずキリストの言葉を心に大切に蓄えて,その力がわたしたちの内に宿るようにします。13そうするならばわたしたちは「人々を確信に導く神の力」を持つようになると,主は約束しておられます。14それは,定員会の集会で教えているときかもしれませんし,会員の家を訪問しているときかもしれません。または,友達や家族と話しているときなど,もっと気楽な場面かもしれません。どんな状況であれ,備えができていれば,わたしたちは天使がするように聖霊の力によって福音を教えることができるのです。15

ジェイコブとホームズ兄弟

わたしは最近,パプア・ニューギニアのアロン神権者ジェイコブがモルモン書の力と,悪をはねのけて御霊に従うためにその力がどう役立ったかについて証するのを聞きました。その言葉によってわたしの信仰も,ほかの人たちの信仰も強くなりました。アロン神権者が定員会の集会で教え,証するのを聞いたときにも,わたしの信仰は強くなりました。

若い男性の皆さん,皆さんは権能を受けた主の使者です。皆さんは言葉と行いを通して,キリストを信じる信仰を神の子供たちの心に届けることができるのです。16「皆さんは彼らにとって『仕える天使』とな〔る〕」とラッセル・M・ネルソン大管長は言っています。17

備えの福音

キリストを信じる信仰が強くなってくると必ず,変わりたい,言い換えれば悔い改めたいという気持ちになります。18そのため,天使の働きの鍵に備えの福音,つまり,「悔い改めとバプテスマと罪の赦しの福音」の鍵が伴うのは,理にかなっているのです。19

アロン神権の義務を調べると,悔い改めて良い人になるよう人を導くという務めがあることがはっきりと分かります。20それは,街角に立って「悔い改めよ」と叫ぶという意味ではありません。自分が悔い改め,自分が赦すという意味合いの方が強いのです。そして,周りの人に仕えるときに,悔い改めがもたらす希望と平安を与えることができます。なぜなら,わたしたちが自分でそれを経験しているからです。

わたしは,アロン神権者たちが同じ定員会の会員を訪問するのに同行したことがあります。彼らの気遣いが兄弟たちの心を穏やかにして神の愛が感じられるようにするのを見ました。若い男性の一人が,悔い改めの力について仲間に証するのを聞きました。彼が証すると,仲間は心が穏やかになり,決意を新たにし,キリストの癒しの力を感じました。

ゴードン・B・ヒンクレー大管長はこう教えています。「悔い改めることは,罪の赦しを得ることと同義ではありません。赦しをもたらす力はアロン神権にあるのです。」21アロン神権の儀式であるバプテスマと聖餐は,罪の赦しのために人が悔い改めたことを証し,悔い改めを完成させます。22ダリン・H・オークス管長は,これを次のように説明しました。「わたしたちは罪を悔い改め,打ち砕かれた心と悔いる霊をもって主のみもとに来るように,また聖約に従って聖餐にあずかるよう命じられています。」わたしたちがそのようにしてバプテスマの聖約を更新するなら,主はバプテスマの清めの効果を更新してくださいます。23

兄弟の皆さん,救い主の贖いの力によって,悔い改めた人の心に罪の赦しをもたらす儀式を施すのは,神聖な特権です。24

先日,わたしはある祭司の話を聞きました。努力して,初めて自分で聖餐の祝福をしたのだそうです。祝福したとき,力強い御霊がこの祭司とワードの会員たちに下りました。この集会で後にこの祭司は,その聖餐の儀式で感じた神の力について簡潔ながらもはっきりと証しました。

祭司定員会とブエロンゴ家族

オーストラリア・シドニーで,祭司定員会の4人の会員が,ブエロンゴ家族にバプテスマを施しました。この経験がいかに強い影響を息子に与えたかを,この祭司たちの一人の母親が話してくれました。彼らは「イエス・キリストより権能を受け〔ている〕」ことの意味を理解するようになったのです。25

御存じのように,祭司は神殿で身代わりのバプテスマを施すことができるようになりました。この間,わたしの17歳の息子は,先祖の身代わりのバプテスマをわたしに施しました。アロン神権に対して,また,神の子供たちのために働く特権に対して,親子ともども感謝の気持ちを深く感じました。

若い男性の皆さん,自分の受けている神権の義務を熱心に果たすとき,あなたは「人の不死不滅と永遠の命をもたらす」26神の業に,神とともに携わっているのです。このような経験は,宣教師になって悔い改めとバプテスマについて教えたいという望みを増し,そのための準備になります。また,メルキゼデク神権を受けて生涯にわたって奉仕するための備えにもなります。

わたしたちの模範であるバプテスマのヨハネ

アロン神権者の皆さん,わたしたちには,バプテスマのヨハネと同じ僕となる特権と義務があります。ヨハネは権能を授けられた使者として,キリストについて証し,万人を悔い改めとバプテスマに導くために遣わされました。つまり,これまで論じてきたアロン神権の鍵を行使したのです。そして,こう宣言しました。「わたしは悔改めのために,水でおまえたちにバプテスマを授けている。しかし,わたしのあとから来る人はわたしよりも力のあるかたで,……このかたは,聖霊と火とによっておまえたちにバプテスマをお授けになるであろう。」27

このようにアロン神権は,天使の働きと備えの福音の鍵を持ち,この世で受けられる最大の賜物である聖霊の賜物を,神の子供たちがメルキゼデク神権を通して受けられるよう道を備えます。28

神は何と深遠な責任をアロン神権者に与えておられることでしょうか。

招きと約束

「神の神権を持つ……という意味」29を理解できるよう若い男性たちを助けるようにとモンソン大管長は言いました。親の皆さんと神権指導者の皆さん,この勧告の大切さを感じることができますか。アロン神権を理解してその義務を尊んで大いなるものとする経験は,彼らが忠実なメルキゼデク神権者,力ある宣教師,義にかなった夫・父親となるための備えになります。奉仕を通して彼らは,神権の力,すなわち神の子供たちの救いのためにキリストの御名によって働く力が現実にあることを理解し,それを実感するようになります。

若い男性の皆さん,神は皆さんのために一つの業を用意しておられます。30皆さんがアロン神権に聖任されていることは,神の子供たちにキリストの贖いの力を届けるうえで非常に大切なことです。この神権の義務を生活の中心にするならば,かつてないほど神の力を感じるようになることを約束します。皆さんは自分が,神の業を行うという聖なる召しを受けた神の息子であることを理解するようになるでしょう。そして,バプテスマのヨハネのように,皆さんは神の御子が再び来られるときのために道を備える助けをするのです。これらの真理を証します。イエス・キリストの御名によって,アーメン。

  1. これはモーセに起こったことである。驚くべき方法で神にまみえた後,モーセは自分に対する見方が変わった。自分を神の子と見るようになったのだ。そのような見方ができるようになると,サタンに打ち勝つのも容易になった。サタンはモーセを「人の子」と呼んでいる(モーセ1:1-20参照)。トーマス・S・モンソン「人が将来なり得る姿を見る」『リアホナ』2012年11月号,68-71;デール・G・レンランド「神の目を通して」『リアホナ』2015年11月号,93-94も参照

  2. Thomas S. Monson, general conference leadership meeting, Mar. 2011.

  3. デール・G・レンランド「神権と救い主の贖いの力『リアホナ』2017年11月号,64-67参照

  4. 2ニーファイ31-32章3ニーファイ11:30-4127:13-21エテル4:18-19モーセ6:52-688:24参照

  5. モロナイ10:32。『わたしの福音を宣べ伝えなさい—伝道活動のガイド』6も参照

  6. 教義と聖約13:184:26-27107:20参照

  7. ローマ10:14-15,17。ジョセフ・スミスは,これと同じ真理を教えている。「信仰は,神の僕たちの証を通じて神の言葉を聞くことによってもたらされます。その証には,常に預言と啓示の霊が伴います。」(『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』385)

  8. モロナイ7:22アルマ12:28-3013:21-2432:22-2339:17-19ヒラマン5:11モロナイ7:21-25,29-32教義と聖約20:3529:41-42モーセ5:58参照。マタイ28:19ローマ10:13-17も参照

  9. See George Q. Cannon, Gospel Truth, sel. Jerreld L. Newquist (1987), 54

  10. See James Strong, The New Strong’s Exhaustive Concordance of the Bible (1984), Hebrew and Chaldee dictionary section, 66, Greek dictionary section, 7

  11. 教義と聖約20:59

  12. ヘンリー・B・アイリング「彼らも強くなるためである『リアホナ』2016年11月号,75-78;アルマ17:3ヒラマン5:186:4-5教義と聖約28:3参照

  13. 1ヨハネ2:14アルマ17:226:1332:42参照。『神への務めを果たす—アロン神権者用』は,これを達成するための大切なツールである。

  14. 教義と聖約11:21教義と聖約84:85も参照

  15. 2ニーファイ32:3教義と聖約42:1450:17-22参照

  16. モロナイ7:25参照

  17. ラッセル・M・ネルソン「神権を敬う『聖徒の道』1993年7月号,43。アルマ27:4も参照

  18. アルマ34:17ヒラマン14:13参照

  19. 教義と聖約84:27

  20. 教義と聖約20:46,51-59,73-79参照。『神への務めを果たす—アロン神権者用』は,わたしたちの義務を理解するための大切なツールである。

  21. ゴードン・B・ヒンクレー「アロン神権—神からの賜」『聖徒の道』1988年6月号,49

  22. D・トッド・クリストファーソン長老はこう説明している。「水によるバプテスマは,悔い改めの過程の最終段階,つまり,最高の段階です。罪を捨て,従順の聖約を交わすことにより,悔い改めは完了します。確かに,その聖約を交わさないかぎり悔い改めは完了しないのです。」(「キリストを信じる信仰を築く『リアホナ』」2012年9月号,14-15参照)D・トッド・クリストファーソン「悔い改めという神の賜物」『リアホナ』2011年11月号,38-41;ジョセフ・スミス訳—マタイ26:24(『聖句ガイド』)も参照

    聖餐の儀式は「毎週神聖な聖約を更新する機会であり,これによってわたしたちは,バプテスマと確認の霊的な清めと同じ効果をもたらす救い主の贖いの恵みにあずかる者となることができ〔る〕」(「神と交わす聖約を理解する『リアホナ』2012年7月号,21)。ダリン・H・オークス「いつも御子の御霊を受ける『聖徒の道』1997年,1月号,66-69も参照

  23. ダリン・H・オークス「アロン神権と聖餐」『リアホナ』1999年1月号,42

  24. デビッド・A・ベドナー長老は,こう説明している。「回復された主の教会で執行される救いと昇栄の儀式は,儀礼や象徴的な所作をはるかに超えたものです。むしろ,各個人の生活に天の祝福と力が流れ込むことのできる,認可された経路となるのです。」(「いつも罪の赦しを保つ『リアホナ』」2016年5月号,59-60)

  25. 教義と聖約20:73

  26. モーセ1:39

  27. マタイ3:11

  28. 教会の多くの指導者が,現世で受ける最大の賜物を聖霊だとしている。

    ダリン・H・オークス管長はこう言っている。「常に聖霊の導きを受けるということは,わたしたちが現世で持てる財産の中で,最も貴いものです。」(「アロン神権と聖餐」『リアホナ』1999年1月号,42)

    ブルース・R・マッコンキー長老は,次のように教えている。「永遠の見地から言えば,永遠の命こそが神のあらゆる賜物の中で最大のものです。しかし,視野を狭めてこの世だけを見るならば,聖霊の賜物が,現世で得られる最大の賜物なのです。」(“What Is Meant by ‘The Holy Spirit’? ” Instructor, Feb. 1965, 57)

    ウィルフォード・ウッドラフ大管長は次のように証している。「もし皆さんが聖霊を受けているならば—一人一人がそうあるべきですが—,わたしは皆さんに向かって次のように言うことができます。すなわち,地上で人に与えられるものの中で,それ以上に大いなる賜物はなく,それ以上に大いなる祝福も,それ以上に大いなる証もありません。皆さんは天使の働きを受け,多くの奇跡を目撃し,地上で多くの不思議を見るかもしれません。それでもわたしは断言します。聖霊の賜物こそが,人が授かることのできる最も大いなる賜物なのです。」(『歴代大管長の教え—ウィルフォード・ウッドラフ』49)

    そして,デビッド・A・ベドナー長老はこう付け加えている。「わたしたちが守る神の戒めと,わたしたちが従う教会指導者の霊感に満ちた勧告は第一に御霊を伴侶とすることを目的としています。基本的に,福音のすべての教えと活動は生活の中で聖霊を受けることにより,キリストのもとへ行くことが中心となっています。」(「聖霊を受けなさい『リアホナ』2010年11月号,97)

  29. Thomas S. Monson, general conference leadership meeting, Mar. 2011

  30. モーセ1:6参照