番組を選ぶ
ブルックがもうカミールの友達をやめたいと思ったらどうしますか?
「神は守る,ぎをなせ」(『賛美歌』151番)
「昨日,すごく面白い番組を見たの。ぜったい見た方がいいよ。だからさ,今度一緒に見ない?」ブルックが言いました。
カミールは学校からの帰り道,親友とおしゃべりをするのが大好きでした。ブルックとはたくさんの共通点があるので楽しいのです。
「いいね!」カミールはじゃあねと手をふって,玄関の中に入りました。
宿題を終えた後,カミールはテレビをつけ,ブルックが言っていた番組を見つけました。明日,ブルックと番組の話をするのが楽しみだな!
番組はたしかに面白いものでした。登場するキャラクターたちが,ばかばかしいことをして,ジョークを言いました。カミールはたくさん笑いました。けれども,キャラクターの言ったこと全部が面白かったわけではありません。かれらが使っていた言葉のせいで,カミールはおなかの中がムズムズするような気持ちになりました。それは良くない言葉でした。
どうしたらいい?カミールは考えました。これらの言葉は好ましくないものだと,カミールは知っていました。それでも,番組の最後がどうなるのか知りたいと思いました。明日,ブルックに番組のことを聞かれたら何て言おう。
ため息をついて,カミールはテレビを消しました。
お母さんが帰ってきた後,カミールは夕食のためにテーブルのじゅんびを手伝いました。「学校はどうだった?」お母さんがたずねました。
カミールはフォークとスプーンを出しました。「楽しかったよ!ただ,……ブルックがぜったい見た方がいいって言う番組があって。見てみたんだけど,出てくる人が悪い言葉を使ってたの。いやな気持ちになったから,テレビを消しちゃった。」
「すごくいい選びをしたと思うわよ。」
「だけど,ブルックは一緒に見たいって言ってたんだよ。ブルックは親友なの!音楽も,アイスクリームも,本も,同じのが好きなのに……。」
お母さんが,テーブルにパスタのお皿を置きました。「そうね。でもだからといって,あなたたちのすること全部が同じでなきゃいけないってことはないわ。あなたが良い気持ちのしないことなら,特にそうよ。友達とちがう選びをしてもいいのよ。」
「どういう意味?」カミールは聞きました。
「わたしたちが悪い言葉を使わないことを選ぶのは,せいれいを感じられるようにするためなの。」お母さんは説明します。「でも,わたしたちと同じ標準を持っていない人もいるわね。だからといって,その人たちが悪い人というわけじゃないわ。」
カミールはそれでも,ブルックが番組のことを聞いてきたらどうなるかが心配でした。ブルックとは何でも話してきたのに!もしブルックに,子供っぽいと思われたらどうしよう。それどころか,ブルックにもう友達をやめたいと思われたら?
カミールはねる前においのりをしました。天のお父様,明日ブルックと話をするのをお助けください。どうか勇気を下さい。カミールはベッドに入り,学校でのことがうまくいくように願いました。
「カミール!」ブルックが校庭の向こうからよびました。しばふを走って,カミールの方へやって来ます。「あの番組どうだった?面白かったでしょ?」
カミールは深く息をすいこみました。「実は,ちょっとしか見なかったの。」
ブルックはとまどったような顔をしました。「どうして?」
カミールは少し考えました。いそがしかったからって言っちゃえばいいかな。ブルックは何て言うだろう。「あのね,……番組を見なかったのは,好きじゃない言葉が使われてたからなの。見ていて良い気持ちがしなくて。」
「そっか。」ブルックはおだやかに言いました。それから,こう言ったのです。「分かった。一緒に見なくても大丈夫。二人とも好きな番組をさがすか,何かちがうことを一緒にしようよ。」
「うん。」カミールはにっこりと笑いました。それから二人は友人同士,一緒に教室まで歩きました。ずっとおしゃべりをして,大声で笑いながら。
このお話を書いた人は,アメリカ合衆国ユタ州に住んでいます。