セミナリー
ヒラマン1-4,6章:ひどい争いがあった


「ヒラマン1-4,6章:ひどい争いがあった」『モルモン書 教師用手引き』(2024年)

「ヒラマン1-4,6章」『モルモン書 教師用手引き』

ヒラマン1-4,6章

ひどい争いがあった

考え事をする不幸な若い女性

あなたの周りでは,争い,分断,不和,反乱はどこに見られますか。司令官モロナイ,ヒラマン,大さばきつかさのパホーランの死後間もなく,ニーファイ人は多くの争いの結果に苦しみました。それでも,イエス・キリストを通して平和を求めることを選んだ人たちがいました。この課では,争いがもたらす影響と,争いの多い世界でキリストに平安を見いだす方法を学ぶことことができます。

生徒が帰属意識を培えるようにする。セミナリーは生徒にとって安心できる場所でなければなりません。生徒が互いに会話したり,話を聞いたりすることで,一体感や相互理解を深める機会を提供しましょう。ほかの人の経験や視点を尊重し,高く評価するよう生徒を促します。

生徒の準備:生徒に,自分の人生で争いの種となっている人のためやものについて祈ってもらいます。

学習活動案

注:モルモン書の高慢のサイクルについては,『わたしに従ってきなさい―個人と家族用:モルモン書 2024年』ヒラマン1-6章の研究概要で論じられています。

争い

生徒が争いの影響を理解できるよう,ホワイトボードに次のようなバブルチャートを書き,学習帳に同じ図を書いてもらうとよいでしょう。

空白のバブルチャート

バブルチャートの中央に争いという言葉を書いてください。その言葉の周りに,ソーシャルメディアや友人の間など,生活の中で争いが見られるところを幾つか書いてください。この図には,後ほどさらに書き加えていきます。

以下の質問について深く考えたり,話し合ったりするよう生徒に勧めるとよいでしょう。

  • 争いはあなたの人生に直接的または間接的にどのような影響を与えますか。

  • 人と意見が合わないとき,あるいは,争いを好む人に直面したとき,あなたはどのように対応しますか。

ヒラマン書の研究を始めるに当たり,争いがニーファイ人にどのような影響を与えたかに注目してください。また,争いの多い世界でイエス・キリストから平安を見いだす方法を考えてください。

家庭,教会,地域社会における争い

長年にわたる戦争の後,ニーファイ人はレーマン人から土地を取り戻すことができました。司令官モロナイとヒラマンは,その後の平和の時代に亡くなりました。神聖な記録は,ヒラマンの息子に与えられました。彼もまた,ヒラマンと名づけられました。それから間もなくして,ニーファイ人は高慢になり,争いが起こりました。

これらの章の出来事の概要を生徒に理解してもらうために,ヒラマン1-6章の見出しを読んでもらうとよいでしょう。

ヒラマン書には,争いが家族,教会,地域社会にどのように影響するかを示す話が書かれています。

クラスの人数が少ない場合,生徒に以下の区分から一つか二つを選んでもらい,クラス全体で研究するとよいでしょう。クラスの人数が多い場合は,生徒に,グループに分かれて一つ以上の区分を一緒に研究してもらうとよいでしょう。生徒が話し合いを終えたら,各区分から学んだことを分かち合ってもらいます。

以下の区分の中から,一つ以上を研究します。

  • 家族:ヒラマン1:1-13を読み,パホーランの死後,争いがパホーランの家族にどのような影響を及ぼしたかを探してください。

  • 教会:ヒラマン4:1-13を読み,教会の高慢と争いが国全体にどのような影響を及ぼしたかを見つけてください。

  • 共同体:大さばきつかさとなるべき人物を巡る争いのために,キシクメンという邪悪な男が秘密のグループを結成しました。すぐに,ガデアントンというもう一人の邪悪な男がグループに加わりました(ヒラマン2章参照)。モルモン書では,こうした種類のグループは秘密結社と呼ばれています(ヒラマン3:23参照)。ヒラマン6:15-21,37-41を読んで,ガデアントンの強盗団によって引き起こされた争いと邪悪が原因となり,ニーファイ人に起こったことを見つけてください。

  • 高慢と争いの結果にはどのようなものがありますか。

生徒がバブルチャートに争いによる結果を書き加えるのを助けましょう。生徒は,円を追加し,すでに書き出した生活の分野における高慢と争いの結果を挙げます。

読んだことから,高慢と争いにより,家族,地域社会,国家間に分断が引き起こされることがあることにあなたは気づいたでしょう。聖典のヒラマン1:44:12-13;または6:38-40の近くに,この真理を書いておくとよいでしょう。

救い主はニーファイ人,に争いの破壊的な側面について教えられました。3ニーファイ11:29-30を読み,救い主が述べられたことを見つけてください。

  • 争いはどこで生じるのでしょうか。なぜ争いは常に破壊的なのでしょうか。

  • 怒りに駆られて行動したくなったときや,争いに直面したときにこのことを知っておくことが重要なのはなぜでしょうか。

  • 救い主はどのような点で,3ニーファイ11:29-30で教えられたことの模範となっておられますか。

イエス・キリストを通して平安を見いだす

ラッセル・M・ネルソン大管長は,日々の生活における対立や争いについて,同様のことを勧めています。ビデオ「霊的推進力」のタイムコード1:38-3:31を見るか,以下の文章を読んでください。

17:18

「愛する兄弟姉妹,今日のわたしの呼びかけは,皆さんの心,皆さんの家庭,皆さんの生活の中で激しさを増している対立を終わらせることです。短気であっても,とげとげしい言葉であっても,皆さんを傷つける人に対する恨みであっても,ほかの人を傷つけようとする気持ちはたとえ何であっても埋めてください。救い主は,ほかの頬を向けるように,敵を愛するように,そして人々を不当に扱う者のために祈るようにと命じておられます。……

わたしたちは平和の君に従う者です。今はこれまで以上に,その御方だけが与えることのできる平安が必要です。わたしたち一人一人が平安と調和を求めずにいて,どうして世界の平和を期待できるでしょうか。兄弟姉妹,わたしは,自分が提案する事柄がたやすいことではないことを知っています。しかし,イエス・キリストに従う者は,全世界が従うべき模範を示さなければなりません。皆さんの心と生活の中で,今激しさを増している個人的な対立を終わらせるために,できることをすべて行うようにお願いします。」(ラッセル・M・ネルソン「霊的推進力『リアホナ』2022年5月号,97)

  • ネルソン大管長の勧めは,わたしたちがイエス・キリストに従ううえでどのように役立ちますか。

あなたのバブルチャートをもう一度見てください。自分が良い影響を与えることができると思う争いの横にチェックマークをつけます。

ホワイトボードに2列の表を作成し,上部に「……によりキリストに平安を見いだすことができる」と書いてください。スペースを確保するためにバブルチャートを消す必要があるかもしれません。各欄の上に次の聖句ブロックを一つずつ書き,クラスを半分に分け,それぞれに各ブロックを研究してもらいます:ヒラマン3:32-36ヒラマン6:1-9

ホワイトボードの文を読み,見つけたことがどのようにキリストに平安を見いだすのに役立つかを,生徒に話し合ってもらいます。

  • ヒラマン3:32-36またはヒラマン6:1-9で読んだ内容を使って,「……によりキリストに平安を見いだすことができる」という文を完成させてください。

  • 一人一人がイエス・キリストのもとへ行くことで,なぜ平安と他者との一致がもたらされるのでしょうか。

  • キリストに平安を見いだす方法として書き出したものから一つを選んでください。自分の生活の中で,その方法を応用したり実践したりするにはどうすればよいですか。

イエス・キリストだけが与えてくださる平安を求めるよう,生徒を励まします(ヨハネ14:27参照)。