「第8課—ジョセフ・スミス—歴史1:151:わたしは筆紙に尽くし難い輝きと栄光を持つ二人の御方を見た」『教義と聖約 セミナリー教師用手引き』
「ジョセフ・スミス—歴史1:1-26」『教義と聖約 セミナリー教師用手引き』
天の御父とイエス・キリストが御姿を現されたことから分かるのは,どの教会に入るべきかというジョセフ・スミスの疑問への答えだけでなく,神会がどのようなもので,この御二方がわたしたちとどのような関係にあるのかといった真理です。この課は,ジョセフの最初の示現によって明らかになった,天の御父とイエス・キリストについての重要な真理を生徒が理解するのに役立ちます。
次の項では,最初の示現の話から,特に天の御父とイエス・キリストとその教会について,生徒に複数の真理を見つけてもらい,その真理を理解してもらいます。
ホワイトボードに棒人間を4つ描き,吹き出しをそれぞれにつけて,その中に次の疑問の一つを書き込みます。(神や神の教会について,クラスの生徒が抱きそうな様々な疑問を自由に書いてもよいでしょう。)生徒をグループに分け,各グループで15-20節 をよく読んで,疑問の一つに対する答えを探してもらいます。各グループの代表者の一人に,自分のグループに割り当てられた疑問の答えを見つけるのに役立つと思う聖句の節の数字を,ホワイトボードの吹き出しの横に書いてもらいます。
ジョセフ・スミス—歴史1:15-20 を読み,この話に基づいて,人が抱きそうな以下の疑問にどのように答えたらよいか考えてください。
質問の答えとしてその節を選んだ理由を,グループごとに全体に向けて発表してもらいます。
生徒が発表するとき,ほかにも次のような質問をするといいかもしれません:「この聖句の中で,現代の人々が理解すべき重要な事柄として,ほかにどのようなことに気づきましたか。」「最初の示現によって明らかになる,神についての一般的な誤解には,ほかにどのようなものがあるでしょうか。」「福音の回復を始めるために,父なる神御自身が御姿を現されたのはなぜだと思いますか。」「17節 で,天の御父がイエス・キリストをジョセフに紹介された方法から,どんなことが学べるでしょうか。」
生徒が発表した真理の裏付けとなる言葉や,生徒が見つけられなかった真理を見つけるのに役立つ言葉を,「その他のリソース」の項から見つけて伝えるのもよいかもしれません。
ジョセフ・スミスは幾つか違った場面で最初の示現の経験を語っていて,細かい部分が記録によって異なっています。このことを知って不安になる人もいます。この輝かしい示現に関する記述が複数あるのは祝福であることを,生徒に理解してもらいます。次の段落に書かれていることを説明するとよいかもしれません。
「補足学習活動」の項にも,役立つアイデアがあります。
ジョセフ・スミスは,世に公表するための公式の教会歴史の一部として,1838年にジョセフ・スミス—歴史の中に最初の示現の記録を残しました。最初の示現について記録がほかにもあるということは,わたしたちにとって祝福です。そのうちの3つは,ジョセフによる記述またはジョセフの話の口述です。それぞれの記録は,異なる時期に異なる人に読んでもらうために作成されたものなので,書かれている経験は,強調されている部分が異なります。例えば,1835年のジョセフの記録からはジョセフが天使も見たことが分かるのですが,1832年の記録では,ジョセフはこのときのことを,神の前にいたために「全身が神の愛で満たされ,数日間その喜びに浸っていた」と言っています(“Joseph Smith’s Accounts of the First Vision ,” josephsmithpapers.org )。
それぞれの記録は,細部で異なっていて,それがわたしたちにとっては祝福となっていますが,天が開いてジョセフ・スミスが御父とイエス・キリストをはじめとする神聖な使者を見たという本質的な部分では,どの記録も一致しています。
数分時間を取って,生徒に「福音ライブラリー」アプリの「最初の示現に関するジョセフ・スミスの記録」の項を調べてもらいます。「ライブラリー 」「教会歴史 」「最初の示現に関するジョセフ・スミスの記録 」の順に選択すると,見つけることができます。生徒にはグループに分かれてもらい,生徒ごとに違う記述を調べてもらうと,天の御父とイエス・キリストについて異なる真理が分かるようになります。
ChurchofJesusChrist.org にあるビデオ「神に願い求める:ジョセフ・スミスの最初の示現 」(6:35)を生徒に見せて,ほかにも真理を見つけてもらうといいかもしれません。このビデオでは,ジョセフ・スミスの各記録に書かれている細部が描かれています。
天の御父とイエス・キリストを中心に教える: 天の御父とイエス・キリストについて自分は何を学んでいるかを生徒に考えてもらうよう招く質問に関するさらなる訓練は,「教師養成スキル―イエス・キリストに焦点を当てる」 にある「学習者が自分の生活の中で,主の愛と力と憐れみを認識できるよう助ける 」というタイトルの訓練を参照してください。
6:35
ジョセフ・スミスの最初の示現から学んだことで,自分にとって大切な真理を一つ,その理由とともに生徒に学習帳に記録してもらい,レッスンを終えるとよいでしょう。何を書いたか,手を挙げてくれた生徒にクラスで発表してもらいます。
生徒がジョセフ・スミス—歴史1:15-20 の聖句の場所と重要語句を暗記できるように助けます。これは,後の課で復習するとよいでしょう。聖句の中の重要語句は,「ジョセフ・スミスは,『筆紙に尽くし難い輝きと栄光を持つ二人の御方……を見た』」です。暗記のための活動のアイデアは,付録の「マスター教義の復習活動」の項にあります。
七十人定員会のアディルソン・デ・パウラ・パレーラ長老は,次のように教えています。
「最初の示現と預言者ジョセフ・スミスから学べる本質的な真理は,神は預言者,聖見者,啓示者を召されて,わたしたちを教え,導き,戒められるということです。」(アディルソン・デ・パウラ・パレーラ「本質的な真理に従って行動する 」『リアホナ』 2017年11月号,115)
十二使徒定員会のM・ラッセル・バラード会長は,次のように説明しています。
「人が人生で抱く疑問の答えがすべて聖書の中にあるわけではないことを,ジョセフは知りました。むしろ聖書は,祈りを通して神と直接話すという,疑問の答えを見いだすことのできる方法を,人々に教えていたのです。」(M・ラッセル・バラード「このような偉大な大義において前進しようではありませんか 」『リアホナ』 2020年5月号,9)
七十人定員会のパトリシオ・M・ジュフラ長老は,ジョセフ・スミスの最初の示現について宣教師から教わったことを,次のように話しています。
9:4
「そのレッスンの間,御霊が幾つかの真理をわたしに確認してくれました。
第1に,神はすべての御自分の子供たちの心からの祈りを聞かれ,天はごくわずかの人だけにでなくすべての人に開かれています。
第2に,父なる神とイエス・キリストと聖霊は,別個の御三方であり,『人の不死不滅と永遠の命をもたらす』〔モーセ1:39 〕という目的において一致しておられます。
第3に,わたしたちは神の形に創造されています。わたしたちの天の御父とその御子イエス・キリストは,わたしたちと同じように骨肉の体を持っておられますが,その体は栄光に満ちた完全なものであり,聖霊は霊の御方です。
第4に,イエス・キリストは,ジョセフ・スミスを通して御自身の福音と真実の教会を地上に回復されました。」(パトリシオ・M・ジュフラ「信仰を込めて求めれば報われる 」『リアホナ』 2021年11月号,23)
十二使徒定員会のニール・L・アンダーセン長老は,次のように説明しています。
「愛にあふれた御父として,神はわたしたちが生活の中で御自身の力,すなわち神性の力を感じるのを助けるための儀式を与えてくださっています。
聖句にはこうあります。『儀式によって神性の力が現れる。』(教義と聖約84:20 )
その力をあなたの生活に招く4つの儀式と祝福を紹介しましょう。……
第1に,わたしたちは聖餐を通して神性の力を感じることができます。……
第2に,わたしたちは神殿に参入することによって神から導きと力を受けることができます。……
神の力をあなたの生活に招く3つ目のものは,あなたの祝福師の祝福です。……
最後に,すべての人に思い起こしてほしいのは,ふさわしい神権者から受ける神権の祝福によってわたしたちの人生に流れ込む力です。」(ニール・L・アンダーセン「神権の儀式と祝福によってもたらされる神性の力 」『For the Strength of Youth―青少年の強さのために』 2021年8月号,10-13)
ホワイトボードに「自分で分かりました」と書き,生徒には20節 のその部分に印をつけてもらいます。神と福音について自分で分かった真理を,生徒に小さな紙に書いてもらい,それを提出してもらいます。紙には,自分の名前を書いても,匿名にしても構いません。数枚の紙を読み上げます。ある真理が自分で分かったとき,それによって生活がどう変わったか,生徒に発表してもらいます。
最初の示現に関する記録が何種類もあることを紹介する前に,同じ真理を語っている話でも,伝える時期や伝える相手が違えば,強調する部分が細部で異なるのは普通だということを,生徒に理解してもらいます。お気に入りの休暇やバプテスマ,そのほかの意義深い経験について,二人一組で話し合うよう生徒に勧めるとよいでしょう。次に,今度は相手を変えて,先ほどと同じ経験を話してもらいますが,今度は細かい事実を追加して話します。
生徒の一人に,相手から聞いた体験談をクラス全体に話してもらいます。次に,同じ体験談を聞いた別の生徒に,細かい部分を付け足してもらいます。両方の話を聞いて細かい部分が分かると,いかにその経験が深く理解できるようになるか話し合います。
レッスンの最後に,ジョセフの示現の中から分かる真理のうち,10代の若者が最も知る必要があると思うものを,その理由を添えて生徒に発表してもらいます。その真理を知ることで,自分の生活がどのように変わったか,あるいはどのように変わる可能性があるかを発表するように言います。
次のビデオは,10代の若者が天の御父について知っておくべき一つの真理を紹介しています。
1:9
ホワイトボードに,簡単な人の輪郭を描いてください。その人の唇に矢印を描き,唇(言葉のこと)で神に仕える方法を,生徒たちに挙げてもらいます。
生徒にジョセフ・スミス—歴史1:19 を読んでもらい,ジョセフの時代に一部の人が,唇をもって主に仕えていたのにもかかわらず,腐敗していると主に見なされた理由を見つけてもらいます。
ホワイトボードの絵の心臓の部分に向けて矢印を描き,心で神に近づく方法を生徒に発表してもらいます。