「第192課:全霊のための教育:霊的な教育とこの世の教育の両方を求める」『教義と聖約 セミナリー教師用手引き』 (2025年)
「全霊のための教育」『教義と聖約 セミナリー教師用手引き』
第192課:将来の教育と雇用に備える
全霊のための教育
霊的な教育とこの世の教育の両方を求める
主は,「〔わたしたちが〕あらゆる点で備えられるため」(教義と聖約88:80 )に,霊的な教育とこの世の教育の両方を追求するようわたしたちを招いておられます。この課は,生徒が将来この世の教育を受けながら,宗教的な教育を継続する計画を立てるのに役立ちます。
レッスンを始めるに当たり,以下のシナリオを紹介するとよいでしょう。
セミナリーに出席していると友達に伝えることを想像してください。セミナリーとは何かを説明すると,友達は「どうしてそんなクラスに時間を割きたいと思うの?」と尋ねてきました。
セミナリーを修了した生徒は,ヤングアダルトの時期に入っても宗教的な教育を継続する機会があることを説明します。この課では,そのような機会を生徒に紹介します。
御霊の促しに注意を払うよう勧めます。御霊の促しは,学業を続けながらずっと霊的な学習を追求することの大切さを認識する助けとなります。また,将来どのような宗教的教育の選択肢を目指すべきかについて,天の御父に導きを求めるよう勧めるとよいでしょう。
教義と聖約の中で,主は,人に仕える備えができるよう,わたしたちは多くの分野の知識を得るべきであると教えておられます。教義と聖約88:78-80,118 を読み,主の勧告を見つけてください。
これらの節で学んだことに基づくと,人に仕える備えができるよう,主はわたしたちに何を学ぶよう求めておられるでしょうか。
生徒は次のような真理を見つけることでしょう:主は,学問を求めるとき,霊的な知識とこの世の知識の両方に焦点を当てるよう招いておられる。 この世の教育 とは,福音の教えとは直接関係のない教育を指すことを説明するとよいでしょう。
この世の教育に集中しすぎて宗教的な教育を受ける時間がないと感じている人に,あなたなら何と言いますか。
質問について話し合う一環として,教義と聖約29:34 を研究すると助けとなるでしょう。主が宗教的な教育とこの世の教育の両方に焦点を当てたいと思っておられるのはなぜか,その理由がよりよく理解できる教えを見つけるとよいでしょう。
ほかの学業と並行して宗教的な教育にも焦点を当てると,天の御父やイエス・キリストとあなたとの関係はどのように強くなるでしょうか。
質問について話し合った後,ヘンリー・B・アイリング管長の次の言葉を紹介するとよいでしょう。
大管長会のヘンリー・B・アイリング管長は,霊的な学習とこの世の学習のバランスを取るよう努めると得られる祝福について,次のように説明しています。
「霊的な学びを優先すべきであることは明らかです。……霊的な学びを第一にするからといって,学業をおろそかにしてよいことにはなりません。むしろ逆に,霊的な学びは学業に目的を与え,より熱心に勉強する意欲をかき立ててくれます。
もし霊的な学びを優先しようとし続ければ,確かに時間の使い方が難しくなるでしょう。しかし,霊的なものを意識的に二の次にするような生活パターンは決してあってはなりません。決してです。それは悲劇につながります。悲劇は最初は目につかないかもしれず,死すべき世で明らかにならないかもしれません。しかし,皆さんが教育に関心を持つのは,単にこの世の人生のためだけでなく,永遠の命のためでもあることを忘れないでください。その現実を霊的な観点からはっきりと捉えているならば,霊的な学習を優先させつつ,この世の勉学に励むことができるでしょう。実際,霊的な観点を持っていなかったときよりももっと熱心にこの世の勉学に取り組めるようになるでしょう。」(Henry B. Eyring, “Education for Real Life ,” Ensign , Oct. 2002, 17–18)
天の御父は,わたしたちが霊的な学習を優先できるよう,教会が運営する教育機関を授けて祝福してくださっています。これら霊感を受けた機関は,神の子供たちを祝福するために設立されました。
生徒がヤングアダルト期に受けられる宗教教育の選択肢について知ることができるように助けてください。
「教会教育システム」というタイトルの資料を配り,様々な選択肢を読んで学ぶ時間を取るよいでしょう。
クラス全体で,「宗教教育インスティテュート」の項を読み,話し合う時間を取ってください。インスティテュートについて生徒が質問できる機会を設けます。地元のインスティテュートの教師や生徒を招いてインスティテュートについて話してもらい,質問に答えてもらうとよいでしょう。
インスティテュートについて話し合った後,配付資料にあるほかの選択肢を読んで学ぶ時間を取ります。様々な選択肢を調べて,わたしたちに対する神の愛と望みの証拠を見つけてもらいます。教会教育システム(CES)の各機関には世界中から生徒が集っていますが,あなたの地域に最も関連する選択肢を紹介すると生徒の役に立つかもしれません。次の表が役に立つでしょう。
対象地域
教会教育システム(CES)機関
ワールドワイド
宗教教育インスティテュート;BYU-パスウェイ・ワールドワイド
合衆国およびカナダ
ブリガム・ヤング大学;BYU―アイダホ校
アジアおよび太平洋諸島
BYUーハワイ校
ユタ州および周辺の州
エンサイン・カレッジ
ほかのCES機関について調べるよう生徒に勧める前に,どの機関が自分に最も合いそうかを評価できるように助けるとよいでしょう。
これを行う方法の一つは,各機関に適した人を説明する事例を作ることです。 もう一つの選択肢は,「どのCES機関がわたしに合っているか」というタイトルの配付資料を配ることです。生徒が配付資料を読み,自分の必要と望みが分かったら,合いそうな教育機関を探すように勧めます。
最も当てはまると思う文に印を付けてください。
仕事やほかの義務があるため,スケジュールには柔軟性が必要である。
過去に良い成績を取ったことがある。
学術面でのメンターがいると助かる。
学費を稼ぐのが難しそうだ。
単科大学も含めて,ほとんどの大学で入学資格を得るのが難しそうだ。
学術的に厳しい経験に興味がある。
少人数制のクラスに興味がある。
大学進学を予定しているが,教会の単科大学や大学に行こうとは思わない。
CESの使命: 家庭,教会,地域社会において指導者を務めるイエス・キリストの弟子を育成すること。
〔ページ1〕
「主は,今日教会で起こっている大いなるイスラエルの集合において,教育を用いておられます。主は御自身の再臨に向けて世を準備しておられ,教会教育システムは,主がそのために用いられる数多くのリソースの一つです。各機関はそれぞれの方法で世界規模の教会を祝福しています。それぞれに異なる目的があり,教会の指導者から世の中とは異なる務めを,そして面白いことに互いに異なる務めを課せられています。」
―クラーク・G・ギルバート長老,教会教育システム委員長
〔ページ2〕
インスティテュートは,ヤングアダルトが学校の内外を問わず友人たちと集まる場です。皆,地上における日常生活の現実と向き合いながら永遠の真理に従って生活するという望みを持っています。インスティテュートの目的は,ヤングアダルトがさらにイエス・キリストのようになるための現実的な道筋を見いだし,応用できるよう助けることです。
インスティテュートは,生徒が信仰の旅路の途中で出会う場所です。そこで生徒は次のようなことを経験します。
聖文と預言者の教えに基づく,キリストを中心とした教科課程。
霊的で実践的な人生の状況をどのように舵取りするかを体験的に探求する。
敬意と理解が得られるため,安心して参加し,質問し,新たな視点を得ることができる場所。
オンラインおよび対面の指導,ワークショップ,双方向ディスカッション。
institute.ChurchofJesusChrist.org でさらに詳しく知ることができます。
BYU-パスウェイ・ワールドワイドにより,だれもが大学の学位を取得できるようになります。
柔軟にオンラインで教育を受けたい生徒,学力に自信をつけたい生徒,高校や中学卒業後の進路を考えるのにもう少し時間が必要な生徒は,BYU-パスウェイ・ワールドワイドの恩恵を受けることができます。
BYU-パスウェイ・ワールドワイドは,180か国以上の学生にサービスを提供しています。
授業は完全オンラインであり,授業料を他校に比べて大幅に抑えています。
学生は市場価値のある修了証書を取得でき,BYUーアイダホ校とエンサイン・カレッジを通じてオンライン学位に移行できます。
修了証書はいずれも1年以内に取得できます。
cesinfo.byu.edu でさらに詳しく知ることができます。
ブリガム・ヤング大学(BYU)の使命は,完全さと永遠の命を求める人をサポートすることです。刺激的な環境での集中的な学習期間を設けており,そこでは卓越性への決意が期待され,人間の可能性の完全な実現が追求されます。生涯を通じて学び,人々に奉仕し続けるスキルと望みを持つ,信仰,知性,性質を備えた学生を育成することを目指しています。
すべての学生に対して,霊的な真理,研究経験,実践的な学習を組み合わせた,霊感あふれる学習の機会を用意しています。
BYUは,大学院進学と充実したキャリアへの出発点となります。
NCAAのアスレチック競技や,世界トップクラスの芸術ならびに音楽パフォーマンスといった,伝統的な大学生活も体験できます。
cesinfo.byu.edu でさらに詳しく知ることができます。
BYU―アイダホ校は,回復されたイエス・キリストの福音に対する証を築き,福音の原則を健全な学術的,文化的,社会的環境で育んでいます。授業は多様な興味や能力を持つ学生が生涯学習と雇用に備えられるよう,実社会での経験を提供するように設計されています。できるだけ多くの学生に,安価で質の高い教育を提供することを目指しています。
cesinfo.byu.edu でさらに詳しく知ることができます。
BYU―ハワイ校は,オセアニアと環アジアの学生を中心に,イエス・キリストの教えを実践することを通して,異文化間の平和と一致を世界に示す模範となる学生を育成しています。BYU―ハワイ校の卒業生は,生涯にわたって奉仕できるよう備えられます。学生は優れた思考力とサーバントリーダー(仕える指導者)の人格を示します。
cesinfo.byu.edu でさらに詳しく知ることができます。
エンサイン・カレッジはユタおよびその周辺地域の学生を中心に,有能で信頼できるイエス・キリストの弟子を育成しています。スキルに基づく教科課程により,学生は1年から4年の間に,水準以上の給与を得るのに備える経験を積むことができます。霊的に養われる環境が,教室での深い学びを補完します。
cesinfo.byu.edu でさらに詳しく知ることができます。
十分な時間を取って生徒が選択肢を読んで調べた後,次のような質問について話し合い,分かったことを発表する時間を取ります。
現在と将来の両方について,霊的な教育を優先するための計画を立ててください。
セミナリー修了までにまだ何年か残っている場合,霊的な教育を優先し続けるための目標を書き留めてください。
セミナリーの修了が近い場合は,次のステップをどうするか書き留めてください。
あなたの計画は,今後も救い主に近づき続けるためにどのように役立つでしょうか。
有志の生徒に計画を発表してもらいます。将来の計画や夢について,親や教会指導者,メンターと話すよう勧めてください。
霊的な学習を優先することの価値について,あなたの証を分かち合ってください。
ゴードン・B・ヒンクレー大管長(1910-2008年)は,人生で宗教的な教育を優先することの重要性について,次のように説明しています。
「あらゆる学びとともに,主について学んでください。あらゆる研究とともに,主を知る知識を求めてください。その知識はあなたが受けるこの世の訓練をすばらしい方法で補って完全なものとし,ほかのいかなる方法でも得ることのできない人生における充実感と人格を与えてくれることでしょう。」(Gordon B. Hinckley, in Conference Report, Oct. 1964, 118)
十二使徒定員会のM・ラッセル・バラード会長は,次のように教えています。
「ヤングアダルトの皆さんは,インスティテュートに登録するべきです。教会の学校に通っているなら,各学期に必ず宗教教育のクラスを取るようにしてください。伝道,永遠の結婚,そして成人としての人生に備えるこの大切な時期に,学んで成長し,聖霊を通して霊感と導きを受ける方法を,これからも続けて見つけなければなりません。セミナリーやインスティテュート,宗教教育のクラスを通じ,丹念に,そして,祈りながら福音を研究することが,その目標を達成する助けとなります。
皆さんが教会の学校に通っているかどうか,あるいは大学に通っているかどうかにかかわらず,忙しすぎて福音が研究できないとは考えないでください。セミナリーとインスティテュート,それに宗教教育のクラスは生活をバランスの取れたものにし,非宗教的な教育に加えて,聖文と預言者や使徒の教えを研究して過ごす機会を提供します。」(M・ラッセル・バラード「ヤングアダルト-最も偉大な世代の人々 」『リアホナ』 2015年5月号,69参照)
ラッセル・M・ネルソン大管長は,次のように約束しています。
「わたしの心の底からの願いの一つは,主が皆さんに明らかにしようとされていることをすべて,皆さんが受け取ることです。セミナリーとインスティテュートが助けてくれます。
セミナリー・インスティテュートを卒業することで,いつか人生で行うであろう最も重要なことにおいて皆さんは優れた能力を発揮することでしょう。真の喜びは皆さんのものになるでしょう!」(ラッセル・M・ネルソン「セミナリーやインスティテュートへ参加するようにという個人的な招き 」2019年2月4日,ChurchofJesusChrist.org )
インスティテュートについてのさらに詳しい情報が生徒のためになるようであれば,「インスティテュートはわたしのためにあります 」にあるビデオコレクションから,ビデオを一つ以上を見せるとよいでしょう。世界中のヤングアダルトがインスティテュートの重要性について証しています。
霊的な教育を受けることが自分にとってなぜ重要かを説明する「理由」文を作成すると,生徒の役に立つでしょう。例えば,次のような文の空欄を埋めてを学習帳に書くとよいでしょう:「霊的な教育を求めることは,……なので,わたしにとって重要である。」
また,次のような質問をすると,霊的な教育が自分にとってなぜ重要なのかを考える際に役立つかもしれません。
レッスンの間にヘンリー・B・アイリング管長の言葉を生徒が読んだ後に,アイリング管長の言葉の中で印象に残ったことを発表してもらうとよいでしょう。その後,次の質問をしてもよいでしょう。
現在の学習の優先順位について考え,その順位を変えることが自分のためになるかどうかを考えてもらいます。