1コリント2章
霊的なものを理解する
真理を見極めることを難しくするこの世的な考えには,どのようなものがあるでしょうか。コリントの聖徒はこの世的な考えに戸惑っており,使徒パウロは,彼らが永続的な霊的真理を学ぶにはどのようにすればよいかを見極めようとしました。このレッスンは,聖霊を招いて霊的なことを学ぶのに役立ちます。
学習活動案
「どのように知っているのか教えてください」
十二使徒定員会のボイド・K・パッカー会長(1924-2015年)は,次のような話を語っています:
「飛行機に乗っていたときのことです。わたしは無神論者を自認する男性と隣り合わせた席に座りました。その人が神を信じていないということを執拗に言い張るので,わたしは証しました。『あなたは間違っています。神は実在しているのです。わたしは神がおられることを知っています。』
彼は反論してきました。『そんなこと分かるはずないでしょう。一体全体だれに分かるというんですか。分かるはずがありませんよ。』わたしがどうしても折れないと見てとると,弁護士だというその無神論者は,証というテーマに関して決定的な意味を持つと思われる質問をしてきました。彼は人を見下すような態度でこう言いました。『まあいいでしょう。それでは,あなたは知っていると言うが,一体どういうふうに知っているのか説明してもらいましょうか。』」
(ボイド・K・パッカー「主のともしび」『聖徒の道』1983年10月号,35-36)
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今日の世の中でこのような質問をどのような形で耳にしたことがありますか。
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この男性の質問に,あなたならどのように答えるでしょうか。
研究しながら,霊的な真理を学ぶ方法をどの程度理解しているか深く考え,より多くのことを学ぶために霊感を求めてください。
霊的な真理を学ぶ
コリントの聖徒は,この世的な考えと福音に生きることを混同していました。その結果,彼らは多くの誤りを犯しました。パウロは,霊的なことを学ぶ方法を彼らが理解するのを助けるために手紙を書きました。
1コリント2:9-14 を読み,霊的な真理を学ぶのに役立つ洞察を調べてください。
なお, 14節 の「生れながらの人」とは,「聖なる御霊の促しよりも,激情,情欲,欲望,肉欲に影響された選択をする人」です(『聖句ガイド』「 生まれながらの人 」の項,scriptures.ChurchofJesusChrist.org)。
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どの節や言葉が印象に残りましたか。どのようなところが気に入りましたか。
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9節 で,天の御父とその愛についてどのようなことを学びましたか。
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天の御父が子供たちに知識を明らかにする方法について,どのような真理を見つけましたか。
これらの節で教えられている真理の一つは,わたしたちは神の御霊を通してのみ神に関わる事柄を知り,理解することができるということです。
霊的な真理を学ぶ方法を理解していないことの例として,パッカー会長が,飛行機で会った無神論者に神が実在していることをどのように知っているかを説明しようとしたときに起きた,次のことを読んでもよいでしょう:
「わたしが『御霊』『証』などの言葉を使うと,その無神論者は『何を言っているのかさっぱり分かりません』と答えてきました。『祈り』『識別の賜』『信仰』などの言葉も,彼には何の価値もないものでした。」
(ボイド・K・パッカー「主のともしび」35-36)
御霊によって学ぶ
学習帳に,聖霊を通して学んだ霊的な真理を書き出してください。また,証を得たいと思っている真理も幾つか書き出しましょう。例として次のようなものが挙げられます:天の御父は実在し,わたしを愛しておられます。イエス・キリストはわたしの救い主であり,ジョセフ・スミスは神の預言者でした。
特定した真理から一つを選択し,以下の質問に答えてください:
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このテーマの真理を,この世はどのような方法で見つけるようにと言うでしょうか。
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聖霊によりこの真理を知るために,あなたはどのようなことをしましたか。あるいは,どのようなことができるでしょうか。
聖霊により真理を学ぶことについてより詳しく学びたい場合は,以下のリソースを研究するとよいでしょう:
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ガラテヤ5:22-23 ; 教義と聖約8:2-3 ; 9:7-8 ; 11:12-14,21-22;138:1-4,11
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『 聖句ガイド 』や Topical Guide ,topics.ChurchofJesusChrist.orgにある「福音のテーマ」ページに記載されている「 聖霊 」などの項
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御霊による学びについての話や記事:David A. Bednar, “Learning in the Lord’s Way,” New Era, Oct. 2018, 50–53;or Richard G. Scott, “How to Learn by the Spirit,” New Era, Sept. 2014, 48
ほかの人が御霊によって学ぶのを助ける
以下にある,パッカー会長の話の結末を読んでください:飛行機に乗っていた男性がパッカー会長の説明を否定したとき,パッカー会長は霊感を受け,その男性に塩の味を説明してくれるよう頼みました。
「何回か口で説明しようとしましたが,できるはずがありませんでした。塩の味というようなごく当たり前のことなのに,彼は言葉だけでは説明できなかったのです。わたしはもう一度彼に証し,こう言いました。『わたしは神がおられることを知っています。あなたはこの証をあざけり,もし分かっているなら,どう分かっているのかちゃんと口で言えるはずだと言いました。霊的なたとえ方をすると,わたしは塩の味を知っています。わたしはこの知識がどのようにして与えられたかを言葉では説明できませんでしたが,それはあなたが塩の味を説明できないのと同じことです。しかし,もう一度申し上げておきますが,神は実在の御方です。生きておられるのです。自分が知らないからという理由だけで,わたしまで知らないなどと言わないでください。わたしは知っているのですから。』……
それ以後,わたしは自分が知っている霊的な事柄を言葉だけで説明できない場合でも,まごついたり,恥じ入ったりしたことは一度もありません。」
(ボイド・K・パッカー「主のともしび」『聖徒の道』1983年10月号,35)
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聖霊が,世の知恵や理性よりも優れた知識の源なのはなぜでしょうか。
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天の御父に知識を求めるには,どのようにすればよいのでしょうか。
聖霊の力によって真理を学び続けるために,あなたがしたいと思うことを学習帳に書き留めましょう。
注釈と背景情報
霊的なことを学ぶためには,どのようにすればよいのでしょうか
七十人のポール・V・ジョンソン長老は,次のように話しています:
「霊的な疑問に対する答えは,心をかたくなにすることなく,信仰をもって願い求め,受けると信じ,熱心に戒めを守る人に与えられます。」
(ポール・V・ジョンソン「霊的なことを学ぶための様式」〔宗教教育セミナリー・インスティテュート衛星放送,2012年8月7日〕,broadcasts.ChurchofJesusChrist.org)
科学的な方法や論理だけで,福音の真理を理解することはできるでしょうか。
大管長会のダリン・H・オークス管長は,次のように述べています:
「宗教についての真理を探し求める際は,祈りや聖霊の証,聖文や現代の預言者の言葉の研究など,その探求にふさわしい霊的な方法を用いるべきです。この世的な教えのために宗教上の信仰を失った人の話を耳にするといつも悲しくなります。かつては霊的な視野を持っていた人でも,自らの選びにより霊的に盲目になって苦しむことがあります。ヘンリー・B・アイリング管長は,このように言いました。『問題は,彼らが自分に見えていると思うことの中にはないからです。問題は彼らがまだ見えていないことの中にあるのです。』〔Henry B. Eyring, To Draw Closer to God: A Collection of Discourses (1997), 143〕。
科学的方法は,いわゆる科学的真理へとわたしたちを導きますが,この『科学的真理』がすべてではありません。『研究によって,また信仰によって』( 教義と聖約88:118 )学ぶことのない人々は,真理への理解を科学的手段で立証できるものに制限してしまうため,真実の探求において人為的な限界を設けてしまうことになります。」
(ダリン・H・オークス「真理と計画」『リアホナ』2018年11月号,25)
「宗教についての真理を探し求める際は,祈りや聖霊の証,聖文や現代の預言者の言葉の研究など,その探求にふさわしい霊的な方法を用いるべきです。この世的な教えのために宗教上の信仰を失った人の話を耳にするといつも悲しくなります。かつては霊的な視野を持っていた人でも,自らの選びにより霊的に盲目になって苦しむことがあります。ヘンリー・B・アイリング管長は,このように言いました。『問題は,彼らが自分に見えていると思うことの中にはないからです。問題は彼らがまだ見えていないことの中にあるのです。』〔Henry B. Eyring, To Draw Closer to God: A Collection of Discourses (1997), 143〕。
科学的方法は,いわゆる科学的真理へとわたしたちを導きますが,この『科学的真理』がすべてではありません。『研究によって,また信仰によって』(教義と聖約88:118)学ぶことのない人々は,真理への理解を科学的手段で立証できるものに制限してしまうため,真実の探求において人為的な限界を設けてしまうことになります。」
(ダリン・H・オークス「真理と計画」『リアホナ』2018年11月号,25)
聖霊はどのようにしてわたしに真理を伝えるのでしょうか。
十二使徒定員会のリチャード・G・スコット長老(1928-2015年)は,次のように述べています:
「皆さんは聞いたり,見たりすることによって,そして特に御霊の促しにより感じることによって,非常に大切な事柄を学ぶとができます。多くの人々は,学びをおもに聞いたり読んだりすることに限定しています。賢くあってください。皆さんが見ることによって,そして特に御霊の促しにより感じることによって,学ぶスキルも伸ばすようにしてください。意識的に,かつ一貫して,皆さんが感じることによって学ぼうとしてください。練習を繰り返すことで,その能力が伸びていきます。御霊から感じることによって学ぶためには,大きな信仰と努力が必要です。そのような助けを信仰に求めましょう。そのような導きにふさわしい生き方をしてください。」
(Richard G. Scott, “How to Learn by the Spirit,” New Era, Sept. 2014, 48)