セミナリー
使徒27-28章


使徒27-28章

預言者に従う

dark ocean storm with lighting and waves at night

使徒パウロは,エルサレムとカイザリヤで迫害され,虐待され,不当に投獄された後,ローマのカイザルの前で上訴することを求めました。ローマに向かう途中,パウロと同行者たちは激しい嵐に襲われ,難破し,ほかの逆境にも遭遇しました。このような状況で,パウロはすべての人の安全を確保するために,霊感を受けた勧告と警告を与えました。この課の目的は,預言者の勧告に従うことの大切さを感じてもらうことです。

聖句の背景の理解。聖句の背景を理解できると,生徒は霊感を受けた著者のメッセージを受け止める用意ができます。著者の霊感を受けた意図を理解できれば,生徒はほかでもない自分にとって必要な真の原則と教義を見つけることができるようになるのです。

生徒の準備:現代の預言者が現在教えていることを,幾つか生徒に研究してもらいます。例えば,最近の総大会の話を読んだり視聴したり,機関誌『For the Strength of Youth—青少年の強さのために』で預言者や使徒の記事を読んだり,小冊子『若人の強さのために』のテーマを幾つか読んだりするとよいでしょう。預言者の勧告に従うことについてどのように感じるか,生徒に深く考えてもらいましょう。

学習活動案

預言者に従う

小冊子『若人の強さのために』に記載されている以下の預言者の勧告や警告を読んでください。

『若人の強さのために』(小冊子)に記載されている以下のような勧告や警告を表示するか,この小冊子を何部か持参するとよいでしょう。「福音ライブラリー」アプリの『若人の強さのために』でも,この勧告や警告を見ることがきます。

「毎日家族に愛を示してください」(14 ページ)

「教育は天の御父の計画で重要な部分を占めています。それはあなたが天の御父に似た者となる助けとなります。……あなたが修得する教育は,現世にあっても来るべき世にあっても,あなたにとって価値あるものとなるでしょう。」(9 ページ)

「いかなる形であれ,下品で,不道徳で,暴力的な娯楽,またわいせつな娯楽に心や目を向けたり,加わったりしないでください。」(11 ページ)

「友達が間違ったことをするようあなたに強く働きかけてきたら,たとえ孤立することになっても,正しいことを擁護する人となってください。」(16 17ページ)

  • あなたは,主の預言者の勧告に従うことに関して,人々がどのような態度を取るのを見てきましたか。

  • 預言者の勧告に耳を傾けようとしない青少年がいるのはなぜでしょうか。

  • 預言者の勧告に従わないと,どのような結果になるでしょうか。

預言者の勧告や指示にあなた自身がどのように応じているか,深く考えてください。 使徒 27章 を研究するときは,聖霊を通して天の御父から霊感を求め,霊感を受けて主の預言者の勧告に従う決意を固めてください。

預言者パウロの勧告

カイザルの前で上訴するためにローマに向かう途中で,パウロは,航海の途中旅人たちを安全に守るために勧告と警告を与えました。

以下の活動を行うには,まず,枠内の上部に書かれた情報を読みます。次に,下部に記載されている 使徒27章 の節を読みます。枠内の中央に,パウロの言葉と行動を簡単な絵で描くか,かいつまんで文章で書きます。パウロの勧告を聞いて人々が何をしたかも,必ず書いてください。

Color Handouts Icon

以下の資料を生徒に配付します。生徒が二人一組または少人数のグループで作業できるようにして,グループごとに異なる聖句ブロックを割り当てるとよいでしょう。あるいは,生徒を4人一組に分け,各々の生徒に異なる聖句ブロックを割り当てて,それを読んで絵を描くか,かいつまんで文章で書いてもらってもいいでしょう。それが終わったら,生徒に完成したものを見せて発表してもらい,グループまたはクラス全体で以下の質問について話し合います。

Paul’s Voyage to Rome

パウロのローマへの航海

ローマ兵は,パウロとそのほかの囚人を約300人乗りの舟に乗り込ませた。激しい嵐が頻繁に起こる晩秋であったため,舟は遅々として進まず,航海は困難で危険なものだった。

使徒27:9-13 を読む

恐ろしい嵐の中で,人々は舟を修理し,積荷を軽くしようとした。

使徒27:20-26 を読む

14日間の恐ろしい嵐の後,彼らは陸地へ近づこうと非常に危険な試みをした。水夫たちは錨を投げおろし,岩に衝突すると思ったために舟から逃げ出そうとした。

使徒27:30-36 を読む

舟をさらに軽くした後,彼らは舟を上陸させようとした。

使徒27:41-44 を読む

  • あなたがこの舟に乗っていたとしたら,パウロの教えを聞いてどのような行動を取ったと思いますか。それはなぜですか。

  • ここで研究したことから,どのような真理を学ぶことができますか。

生徒がパウロの教えから真理を学べるよう,助けてください。学べる原則には,主の僕の警告や勧告を無視すれば,自分自身を危険にさらすことになり主の僕の勧告や警告に耳を傾ければ,主はわたしたちに約束したことを果たしてくださるなどがあるでしょう。

  • あなたが預言者の勧告や教えを信じられるのは,預言者についてどのようなことを知っているからですか。

わたしたちは預言者を通して主の声を聞き( 教義と聖約1:37-38 参照),主の警告はしばしば主が選ばれた預言者を通してもたらされると( 教義と聖約1:1-4 参照),主は教えておられます。今日,わたしたちは,大管長会と十二使徒定員会の会員すべてを預言者,聖見者,啓示者として支持しています。主が預言者を通してわたしたちに語りかけられるのはなぜか,そしてそれはわたしたちに対する主のどのような御心の表れなのか,少し時間を取って深く考えてください。

  • 主が預言者を通して与えられる勧告や警告から,主についてどのようなことが分かりますか。

  • 預言者の勧告に従うか無視するかを選ばなければならない状況を経験をした人はいますか。あなたの経験でも,知っている人の経験でもかまいません,それはどのような状況でしたか。

考えたことを生徒に発表してもらいましょう。

以下の活動では,生徒がこの課の「生徒の準備」で行ったことを見て,それを活用することができます。生徒に預言者の勧告を読んでもらう方法を検討してください。リソースの紙面版をクラスに持参する必要があるかどうか,または生徒が電子機器でリソースを見ることができるかどうかを判断します。

数分かけて,主が預言者を通してわたしたちに与えられた最近の勧告や警告がどこに書かれているか探し,見つかったらそれを研究してください。最近の総大会の話や機関誌『For the Strength of Youth—青少年の強さのために』,小冊子『若人の強さのために』などを調べるとよいでしょう。この課の最初に示した預言者の言葉を入れてもいいかもしれません。

  • 主の預言者からのこの勧告は,どのような点で,あなたへの主の愛と関心,憐れみの証であると言えるでしょうか。

  • 生活の中であなたがこの勧告に従ったとき,その従順な行いに対して天の御父はどのような祝福を与えてくださいましたか。

  • あなたが何らかの形でこの勧告を無視したり,この勧告に従わなかったりすると,愛の深い救い主はこの勧告に従うようあなたを導かれるかもしれません。それはなぜでしょうか。勧告に従うことで,あなたの生活はどのように改善されるでしょうか。

研究した勧告と,それに対する自分の考えや気持ちを,生徒に発表してもらうとよいでしょう。

生活の中で預言者の勧告に従う

  • あなたの生活の中で,感謝している預言者の勧告や警告はありますか。なぜそれに感謝しているのでしょうか。

聖霊を通して天の御父から霊感を受けられるよう努めてください。そうすれば,あなたが主の預言者に従っていることを主が喜んでおられることだけでなく,主があなたのどこを改善するよう促されているかも分かるようになります。心に浮かんだ考えや気持ちを書き留め,それに従う決心をしましょう。感じたことを仲の良い家族や信頼できる教会指導者に伝え,それに従う決心を貫けるよう助けてもらうといいかもしれません。

主の預言者の勧告や警告に従うことから得られる祝福とその大切さについて証して締めくくるとよいでしょう。

注釈と背景情報

預言者の勧告に従うとどのような影響があるか

大管長会のヘンリー B・アイリング管長は,以下のように教えています:

Official Portrait of President Henry B. Eyring taken March 2018.

「預言者の勧告を受け入れないという選択をすると,自分の立つ土台が変わり,わたしたちは今までよりもっと危険な状態にさらされることになります。預言者の勧告を受け入れなければ,将来与えられる霊感に満ちた勧告を受け入れる力が弱まるのです。ノアと一緒に箱舟を造ろうと決断する最良の時は,最初にノアがそれを求めた時でした。その後は,求められては断ることを繰り返す度に,御霊に対する感受性が失われていきました。そして,繰り返されるノアの警告が次第に愚かしく思えてきたところで雨が降り始めるのです。そのときはもう手遅れでした。

人生を振り返ってみると,霊感によって与えられた勧告になかなか従わなかったり,自分は例外だと決めつけてしまったりしたときはいつも,自らを危険にさらしていたことに気づきます。逆に,預言者の勧告に耳を傾け,祈りを通してそれが御心であると確信して勧めに従ったときには,自分が安全な方向に向かっていることが分かりました。」

(ヘンリー・B・アイリング「助言の中に安全を見出す『聖徒の道』1997年7月号,29参照)

Official Portrait of President Henry B. Eyring taken March 2018.

「主は憐れみ深い御方なので,民に危険を警告するよう僕に命じられます。警告するようにという命令に従うことは,より困難であり,重要です。なぜなら最も価値ある警告は,民がまだ現実になると考えていない危険に関するものだからです。」

(ヘンリー・B・アイリング「警告の声『リアホナ』1999年1月号,34参照)

使徒27:9 。「断食期も過ぎてしまい」とはどのような意味か

「断食期」とは,恐らく「贖罪の日」と呼ばれるユダヤ教の祭日を指すと思われます。この日は一般的に,激しい嵐のために地中海を航海するのは安全ではないと見なされる季節の始まりを告げるものでした。「贖罪の日」は通常,9月下旬または10月初旬でした。

使徒27:28 。「ひろ(尋)」とはどのくらいの深さか

尋とは,両手をいっぱいに広げたときの,片方の手の最も長い指の先からもう一方の手の最も長い指の先までの長さのことです。尋は約4キュビトに等しい長さです。

補足学習活動

使徒28章 。神は試練を祝福に変えることがおできになる

使徒28:1-628:7-1428:16-2428:30-31 に記録されているパウロの様々な経験を生徒に研究してもらい, 使徒 28章 に示されているように,忠実であれば,神はわたしたちが試練を自分自身とほかの人たちにとっての祝福に変えることができるよう助けてくださるという真理を生徒に理解してもらいましょう。パウロが遭った様々な試練を幾つか調べ,パウロがいかに忠実だったか考えてもらってもいいかもしれません。今日,青少年の信仰を試すような試練には,どのようなものがあるでしょうか。神が今でも試練を祝福に変えてくださることを示す証拠には,どのようなものがあるでしょうか。