ガラテヤ1章
わたしは,それを人間から受けたのではなく,ただイエス・キリストの啓示によったのである
この世の様々な意見や哲学に戸惑ったことはありますか。ガラテヤの聖徒も,キリストの真の福音から離れさせるような教えを提示され,同じような試練を経験しました。この課は,古代と現代の預言者に与えられたイエス・キリストの言葉に耳を傾けることで,欺きや困惑を避ける方法を学ぶのに役立ちます。
関連性を確立する。関連のある質問,状況,問題などでレッスンを開始すると,導きや方向性を示してくれる福音の原則や教義を教える聖文を生徒たちが調べるように促すことができます。
生徒の準備:生徒を惑わそうとしたり,イエス・キリストの真の福音から離そうとしたりするような,サタンが使う考えや教えの例を発表できるように,生徒に準備をしてきてもらいます。
学習活動案
偽りの考えに遭遇する
以下のシナリオを表示するか,この世の考えに欺かれる可能性のある状況の例を生徒に考えてもらいます。生徒に,二人一組か少人数のグループで,このシナリオと関連する質問について話し合ってもらい,次にクラス全体で話し合います。
以下のような状況で,あなたならどのように対応するかを考えてください:
a.ソーシャルメディアで多くの友人が人気の動画や投稿をシェアしているのを目にします。そこには,家庭や教会で教えられていることと反対の考えが含まれています。
b.学校で,末日聖徒イエス・キリスト教会の会員である複数の友人が,教会の教えに反する意見を述べています。
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このような状況に遭遇する頻度はどれくらいありますか。
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このような状況であなたは何をすべきだと思いますか。それはなぜですか。
ガラテヤの聖徒たちもまた,「キリストの福音を曲げ」ようとした者たちからの教えに遭遇しました( ガラテヤ1:7 )。例えば,一部のユダヤ人キリスト教徒の中には福音の教えを堕落させ,救いはイエス・キリストを通じてのみもたらされるというパウロの教えに疑問を抱く者もいました。
パウロ,ガラテヤの聖徒に偽りの考えを警告する
パウロは,ガラテヤの聖徒の間に広がっている誤った教えに対抗するために手紙を書きました。
ガラテヤ1:6-9 を読んでください。パウロがイエス・キリストの使徒として説いたものとは反対の「福音」を説いた人々について述べたことを調べてください。
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これらの節で何が重要だと思いますか。それはなぜですか。
パウロは,イエス・キリストの福音以外の「〔そのほかの〕福音」を拒むようガラテヤの聖徒に警告しました( ガラテヤ1:9 )。
生徒に,以下の質問に答えるときに,「生徒の準備」で準備してきたことについて振り返ってもらいます:
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イエス・キリストの真の福音から人々を遠ざけてしまう現代の誤った考えには,どのようなものがありますか。
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世の中で誤解されたり曲げられたりしている真の原則には,どのようなものがあるでしょうか。
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そのような別の考えや教えに耳を傾けたり従ったりすると,どのような結果になる可能性があるでしょうか。そのような結果を見たのはいつでしたか。
可能であれば,ビデオ「神が定められた情報源」(タイムコード3:14-4:43)を見て,結果の例を見てみましょう。このビデオはChurchofJesusChrist.orgにあります。
Divinely Appointed Sources
わたしたちは預言者と使徒に真理を求めることができます
パウロはその手紙の中で,ガラテヤの聖徒たちに福音の核心的な真理と,彼の権能と教えの情報源を思い出させています。
ガラテヤ1:1-5,10-12 を読み,聖徒が偽りの教えに欺かれないようにするために,パウロが分かち合ったことを調べてください。
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パウロがガラテヤ人に思い出させた福音の真理とは,どのようなものですか。
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3-5節 にある天の御父とイエス・キリストに関する真理に焦点を当てることは,わたしたちが欺かれないようにするために,どのように役立つと思いますか。
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ガラテヤ人がなぜパウロの教えたことを信じなければならないのか, 1,11-12節 でパウロはどのようなことを教えましたか。
パウロはガラテヤ人に,自分は「人によってでもなく,イエス・キリスト〔によって〕」召された使徒であり( ガラテヤ1:1 ),「イエス・キリストの啓示に〔よって〕」福音を受けたことを( ガラテヤ1:12 )思い出させました。パウロの言葉から学ぶことのできる一つの真理は,イエス・キリストが御自分の預言者と使徒に真の教義を明らかにされるということです。
十二使徒定員会のニール・L・アンダーセン長老は,古代と現代の両方の預言者の言葉の重要性について教えています:
「鉄の棒は神の言葉です。それについて,このように考えてみたいと思います:神の言葉には3つの非常に強い要素があり,それらは互いに絡み合い,互いに支え合って,揺るぎない棒を作り上げているのです。これらの3つの要素には,まず,聖文,または古代の預言者の言葉が含まれます。……
神の言葉の第2の要素は,聖霊を通してわたしたちにもたらされる個人的な啓示と霊感です。……
……第3の要素は,ほかの二つの要素と絡み合う重要な追加要素で〔,〕……生きている預言者の言葉です。」
(Neil L. Andersen, “Hold Fast to the Words of the Prophets” [Brigham Young University devotional, Mar. 4, 2007], speeches.byu.edu)
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これらの情報源を用意するために神が労力を注いでくださったということは,神について何を教えてくれるでしょうか。
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古代および現代の預言者の両方からキリストの言葉を聞くことは,欺かれずに済むのをどのように助けてくれるでしょうか。
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個人的な啓示は,欺かれずに済むのをどのように助けてくれるでしょうか。
可能であれば,ビデオ「神が定められた情報源」(タイムコード4:44-9:11)を見て,古代および現代の預言者の言葉と個人的な啓示が,幾人かの若者が真理を見つけ,欺きを避けるのにどのように役立ったかを確認してください。
Divinely Appointed Sources
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この人々が困難な状況に対応するのを主が助けられた方法について,印象に残ったのはどのようなことですか。
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このビデオを見たとき,あなた自身の人生の状況に関連したどのような考えや感情が湧いてきましたか。
時間が許せば,「補足学習活動」の項の「神が定められた情報源を用いる」活動を活用してもよいでしょう。
あなたの個人的な状況
今日学んだことと感じたことを考えてください。聖霊を通して天の御父の助けを求め,現在あなたが欺かれやすい方法を確認しましょう。あなたのイエス・キリストの証を損なうような誤った教えやこの世的な考えには,どのようなものがあるでしょうか。欺かれそうなものを読んだり,見たり,聞いたりすることがありますか。
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この課で学んだことで,あなたにとって最も助けになったのはどのようなことですか。それはなぜですか。
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欺かれないように自分を守るために,あなたの生活の中で変えたいと思うことは何ですか。
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古代および現代の預言者からイエス・キリストの言葉をよりよく聞くためには,どのようにすればよいでしょうか。それを行えば,あなたにとってどのような違いが生まれるでしょうか。
生徒が深く考えて,書き留めることができるように,十分な時間を取ってください。自発的に手を挙げてもらい,数人の生徒に発表してもらいます。欺きを避けるために,個人的に何ができるかについて個人的な啓示を求めるよう生徒に促します。
注釈と背景情報
パウロは,天からの御使いのメッセージを聞くべきではないと教えていますか。
ガラテヤ1:8-10 におけるパウロの教えは,回復された福音を説く天の御使いという視点に対して議論するために,誤った形で使用されることがあります。しかし,パウロはすべての天の御使いが拒絶されるべきだとは教えていません。なぜなら,この聖句は,天の御使いが確かに終わりの時に新たに福音を伝えるために来ることを示しているからです( 黙示14:6 参照)。むしろ,パウロは,天の御使いであっても,人々を真の福音から遠ざけるために来るならば,拒否されるべきであると教えたのです( アルマ30:53 も参照)。
真理を探すために,神が定められた情報源を使用する必要があるのは,なぜでしょうか。
ChurchofJesusChrist.orgにあるビデオ「真理を見いだす」(4:48)を見ましょう。このビデオでは,大管長会で奉仕していたディーター・F・ウークトドルフ管長が,たとえを使って,人々の知恵を信じるよりも神が定められた情報源から真理を求めることの重要性を説明しています。
真理を見出す
パウロの警告は,今日どのように当てはめることができるでしょうか。
大管長会のダリン・H・オークス管長は,次のように警告しています:
真理と計画
「わたしたちは,情報が大いに広まり普及した時代に生きています。しかし,こうした情報のすべてが真実とは限りません。真理を探し求め,その過程で頼る情報源を選ぶ際には,慎重になる必要があります。この世的な名声や権威を,適格な真理の情報源であるかのように考えてはなりません。芸能人や人気アスリート,あるいは匿名のインターネットの情報源から発信されている情報を信用することに関して気をつける必要があります。一つの分野を極めているからといって,ほかのことにかかわる真理をも極めていると見なしてはならないのです。」
(ダリン・H・オークス「真理と計画」『リアホナ』 2018年11月号,25)
補足学習活動
ガラテヤ3:28 。「イエス・キリストにあって一つ」になる
クラスによっては, ガラテヤ3:28 と,わたしたちの背景にかかわりなく,わたしたちはすべてキリストにあって一つであるという真理に焦点を当てる方が,より重要かもしれません。その場合は,人々はどのようにしてグループに分かれるのかを,生徒に考えてもらいます。例として,人種,宗教,性別,性的指向などが挙げられます。ガラテヤの聖徒たちは,ユダヤ人か異邦人かで分裂していたことを説明してください。
生徒に, ガラテヤ3:26-29 を研究して,キリストにあって一つになることについてパウロが教えたことを確認してもらいます。生徒に,現代の教会員がより一致する一助となるような学習成果を,発表してもらいましょう。 ヨハネ17:20-23 を読み,次のような質問に答えてもらいます:「わたしたちが一致するために,救い主は何をされたのか,また何をし続けておられるのでしょうか。それは,わたしたちがお互いに,救い主と,そして天の御父と一つになることを救い主が望んでおられることについて,どのようなことを教えてくれるのでしょうか。ほかの人や神とより一つになるためには,どのようにすればよいのでしょうか。」
神が定められた情報源を用いる
ガラテヤ1:11-12 で真理を見いだし,イエス・キリストの真の福音から自分を惑わしたり,離れさせるような「〔ほかの〕福音」について議論した後,生徒に,神が定められた情報源を探して,この世の偽りのメッセージに反する真理を見つけてもらいましょう。例えば,生徒は,この世では結婚について,主が定義された形(男性と女性の間で行われる)ものとは別の形で定義することがあることに気が付くかもしれません。このような考えに欺かれないように,生徒に,「 家族—世界への宣言 」を調べて,真理を見つけてもらうとよいでしょう。