マタイ15:1-9
「自分たちの言伝えによって,神のいましめを破っているのか」
なぜイエスの弟子たちは伝統に従わないのかと律法学者やパリサイ人たちから問いただされると,救い主はそれに答えて,神の戒めを破るための言い訳として伝統を持ち出す者を厳しく非難されました。この課は,自分の受け継いでいる伝統のうちイエス・キリストのようになるのに役立つものはどれで,主から自分を引き離すのはどれかを見分けるための助けになります。
学習活動の提案
伝統
次のシナリオを読んでください。
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ある若い女性の家族には,非常にまじめに勉強をするという伝統があります。彼女は,課題で高い評価を受け,試験で良い成績を取ることを期待されています。
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ある若い男性の家庭では,何世代にもわたって,毎日朝と晩に祈ることが優先されてきました。
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多くの少女たちが露出度の高い服を着る大規模な社会的行事が,もうすぐ開かれます。ある若い女性は,この行事でどのような衣装を着るのか,決断しなければなりません。
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あるワードでは,何年もの間,多くの若者たちが日曜学校にまじめに参加していません。遅刻したり,注意散漫だったり,クラス中に携帯電話でメッセージを送ったりゲームをしたりしています。
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年少の生徒を年長の生徒が迎えに行くというのが,ある学校の伝統です。
以下は,上記のシナリオに関連した質問です。各質問に答えてください:
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このような伝統はなぜ大切なのだと思いますか。
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このような伝統は,イエス・キリストのようになるための能力に,どのような影響を及ぼすでしょうか。
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伝統を見直したり,不適切な伝統を変えたりすることが一部の人にとって難しいのは,なぜでしょうか。
この課の学習では,伝統についてのイエス・キリストの教えを幾つか学びます。伝統とは,「代々伝えられていく考えや習慣」(『聖句ガイド』「 言い伝え 」の項,ChurchofJesusChrist.org)のことです。あなたの生活の一部になっている伝統を,学習帳に幾つか書き出しましょう。
伝統に関する救い主の教え
救い主が教えられたことを理解するには, マタイ15章 の状況や背景の知識が役に立ちます。
マタイ15章の背景の解説:救い主の時代,ユダヤ人の指導者たちは,文字に書かれたモーセの律法と同時に,口承の律法を教えていました。口承の律法は神から与えられたものではなく,人々の間に広まっていた言い伝えです。それには,安息日に歩いてもよい歩数や,食事の前に過度に手を洗うなど,人を霊的に清めることを表す規定が含まれていました。伝統的な律法の中には,自己中心的な理由で使われるものもありました。例えば,父と母を敬うことはモーセの律法の戒めでしたが( 出エジプト20:12 参照),中には,口承の律法を巧みに利用して父母の金銭や財産は神にささげられた「そなえ物」であることにして,この戒めを破ることを正当化し( マタイ15:5 ),その金や財産を年老いた両親の世話に使わない人もいたのです。このような変更は,律法や戒めの本来の意図とは異なり,神が喜ばれるものではありませんでした。
マタイ15:1-9 を読み,救い主が言い伝えについて何を教えられたかを調べてください。
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この節で救い主は何を教えておられると思いますか。見つけた真理を一つか二つ,挙げてください。
例えば,不適切な言い伝えに従うと,人は神の言葉を拒んだり無視したりするようになる可能性があるという真理や,神に近づきたいなら,どのような言い伝えがあろうとも主の戒めを優先するべきであるという真理が見つかったかもしれません。
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背景を理解すると,救い主の教えをよく理解するのにどのように役立つでしょうか。
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このような伝統を正したり,排除したりすることを救い主が強く望んでおられたのは,なぜだと思いますか。
この世の伝統に従うか,主の標準に従うかを選ばなければならないという問題は,常に主の民の中にありました( レビ18:30 ; 使徒16:19-24 ; モーサヤ1:5 ; 教義と聖約93:39 参照)。この課の冒頭で話し合った伝統の一つについて考えるか,別の伝統について考えます。次の質問に答えながら,救い主に近づくための能力に,この伝統がどのような影響を及ぼすか,考えてください:
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ある伝統に従うと心が神から離れるか( マタイ15:8 参照),それとも主に向かうかは,どうしたら分かるでしょうか。
学習帳に書いた伝統について,思い出してください。今日の学習で考えた伝統がほかにあれば,それを付け加えてもかまいません。あるいは,あなたが住んでいる地域や国の伝統を書き加えてもよいでしょう。中央初等協会前会長のシェリル C・ラント会長の次の言葉を読んで,そのような伝統を評価する準備をしてください。ラント会長のメッセージはChurchofJesusChrist.orgで視聴することもできます。その後,次の質問について考えてください:
「わたしたちにはどのような伝統があるでしょうか。先祖から受け継いだ伝統で,今はわたしたちが子供に伝えているものもあるでしょう。それは,子供に受け継いでいってほしいと望んでいるものでしょうか。義や信仰の行いに基づいているものでしょうか。この世的な性質を帯びたものでしょうか,永遠に続くものでしょうか。意識的に義にかなった伝統を築いているでしょうか,それとも意識せずに物事をただ受け入れているのでしょうか。世の騒々しい声にこたえようとして築いたものでしょうか,それとも御霊の静かな細い声に影響されて築いたものでしょうか。わたしたちが家庭で築いている伝統は,子供が生ける預言者に従うのを容易にしているでしょうか,それとも難しくしているでしょうか。」
(シェリル・C・ラント「義にかなった伝統」『リアホナ』2008年5月号,13)
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天の御父やイエス・キリストのような者になり,最も重要なことに心を向けるのに役立つ伝統には,どのようなものがあるでしょうか。
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イエス・キリストから自分を遠ざけたり,最も重要なことを達成するのを妨げたりする伝統には,どのようなものがあるでしょうか。自分の生活からそのような伝統を排除するためには,どのような手段を取る必要があるでしょうか。
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救い主の模範は,最も重要な伝統を認識し,それに心を向けるために,どのように助けになるでしょうか。
注釈と背景情報
生活から排除すべき世の伝統にはどのようなものがあるか
「悔い改め,変わる」(『リアホナ』2003年11月号,39)の中で,ダリン H・オークス管長は,「福音の戒め,聖約,文化と相いれない行動様式」について,数多くの例を挙げています。わたしたちの行動は,純潔やポルノグラフィー,教会への出席,正直な行い,階級,社会的な地位などといったことに関しては,世の伝統と異なるかもしれません。ChurchofJesusChrist.orgで,オークス管長の言葉の全部または一部を読むか,ビデオを視聴してください。
「キリストによって作り出される文化」(『リアホナ』2020年11月号,48-50)で,七十人のウィリアム K・ジャクソン長老は,この世の文化とキリストによって作り出される文化を比較しています。ChurchofJesusChrist.orgで,ジャクソン長老の言葉を全部または一部を読むか,ビデオを視聴するとよいでしょう。
自分の文化的伝統を保持したまま,救い主に従うことは可能ですか。
文化的伝統を維持したまま,救い主に従う方法の一例が,以下のビデオで紹介されています。