マタイ5:1-12
至福の教え
山上の垂訓の冒頭で救い主は,人はどうしたら幸せになって祝福を受けられるのかを教えられました。ハロルド・B・リー大管長(1899-1973年)は,この教えは「完全な生活への憲章を具体的に表現している」と述べています(『歴代大管長の教え-ハロルド・B・リー』206参照)。この課では,キリストの特質を知り,その特質を伸ばす計画を立てて,幸福と完成を目指すようになってもらいます。
学習活動案
幸福が増す
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これまででいちばん幸せだったのはいつですか。
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その幸せは続きましたか。その幸せが続いた,あるいは続かなかったのはなぜだと思いますか。
救い主は教導の業を始めたころ,ガリラヤ湖の近くで説教をされました。この説教はしばしば「山上の垂訓」と呼ばれており, マタイ5-7章 に記録されています。主はニーファイの民を訪れたとき,同じような教えを伝え られました( 3ニーファイ12-14章 参照)。
マタイ5:1-12 は「至福の教え(the Beatitudes)」として知られていますが,これは「祝福された」または「幸せ」を意味するラテン語に由来します 。この聖句でイエスが明らかにされた御自身と御父の特質は,現世と来世で真の幸福をもたらします。これらの特質を養うと,天の御父やイエス・キリストのような存在になることができます。
マタイ5:1-12 を読み,救い主が教えられた特質と各特質に約束された祝福を探して印を付けてください。
または,ビデオ「山上の垂訓-至福の教え」(タイムコード0:00-1:15)を視聴し,救い主が教えられた特質に注意しながら聞いてもよいでしょう。このビデオはChurchofJesusChrist.orgにあります。
この聖句から分かる一つの原則は,キリストのような特質を伸ばすと幸せになるということです。
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救い主はどのような生き方をしたために幸福であられたのだと思いますか。
次の特質の一つ以上について学びます。その特質を伸ばし,その特質に約束された祝福を受けるとなぜ幸せになれるのか,よく考えてください。
至福の教え | |
参照聖句 |
特質 |
心が貧しいとは,謙遜であるということ,または,「自分が主に頼らなければならないことを,感謝の思いをもって認めること,すなわち自分が常に主の支えを必要としていることを理解することです。謙遜とは,自分の才能や能力が神から与えられた賜物であることを認めることです。」(「福音のテーマ」「謙遜」の項,topics.ChurchofJesusChrist.org) | |
悲しんでいるとは,悲しみを感じたり,表したりすることです。人は,自分やほかの人が現世の試練に遭うときに悲しむことがあります。罪を悔やんで嘆くこともあります。 | |
柔和であるとは「神を畏れる,義にかなった,謙遜な,素直な,苦難に耐える」ことです〔『聖句ガイド』「柔和」の項,scriptures.ChurchofJesusChrist.org〕。「この特質を持つ人はイエス・キリストに進んで従います。 このような人は落ち着いていて,おとなしく,寛容で従順な気性の持ち主です。」(ウリセス・ソアレス「柔和で心のへりくだった人になる」『リアホナ』2013年11月号,9) | |
義に飢え渇いているとは,神の御心を知り,それを行いたいという大きな望みを持っていることです。 | |
憐れみ深いとは,「ほかの人々の欠点に気づいても,思いやりの心を示し,敬意を表し,赦し,優しく忍耐強くある」ことです(「福音のテーマ」「憐れみ」の項,topics.ChurchofJesusChrist.org)。 | |
心が清い人たちとは,「主を愛し,主に従い,主の戒めを守るために努め,徳高い生活をし,最後まで忠実に堪え忍ぶ努力をしている人たちのことです。心の清い人たちとは,自分の思いを制御して,不道徳なことを考えたり行ったりしない人たちです。」(Sheldon F. Child, “Words of Jesus: Chastity,”Ensign or Liahona, Jan. 2003, 44) | |
平和をつくり出すとは,「ほかの人々が相違点に目を向けるときに,共通の基盤を見つけられるようにする」ことです(ヘンリー・B・アイリング「神権によって学ぶ」『リアホナ』2011年5月号,63)。 | |
義のために迫害されるとは,嘲笑されたり虐待されたりする可能性がある場合でも,イエス・キリストと主の教えに喜んで従い,それを守ることです。 |
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救い主は,これまで上げた特質を聖文やあなたの人生でどのように示してこられましたか。
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あなたが選んだ特質を伸ばすと,どのような点で幸せになると思いますか。それはなぜでしょうか。
自分が持っているキリストのような特質を自覚する
次の自己評価を行ってください。これは,あなたが発揮している特質と,もっと伸ばせる特質を自覚してもらうことを目的としています。
以下に並べた「キリストのような特質」の各項の横に,1から5までの数字を記入してください(1は「あまり伸ばしていない」,5は「よく伸ばしている」を意味します):
__ わたしは心が貧しいです。__ わたしはほかの人が悲しんでいるときは悲しみを感じ,自分が罪を犯したときは神の御心に添った悲しみを感じます。__ わたしは柔和です。__ わたしは義に飢え渇いています。__ わたしは憐れみ深いです。__ わたしの心は清いです。__ わたしは平和をつくり出す人です。__ わたしは迫害されても信念を貫きます。
自分がうまく伸ばしている特質を自覚し,神やイエス・キリストのようになるために進歩していることを神に感謝しましょう。自分がもっと伸ばしたい特質について考え,それを伸ばせるよう神に助けを求めてください。
自分がうまく発揮している特質や,力を入れて伸ばす必要のある特質を見つけるのが難しい場合は,親など信頼できる人に相談するとよいでしょう。あなたの中にどのようなキリストの特質があるか,あなたがもっと伸ばせるキリストの特質は何か,指摘してもらいます。
キリストのような特質を伸ばすうえで救い主が果たされる役割
キリストのような特質を伸ばすには,救い主の助けが必要です。十二使徒定員会の ディーター・F・ウークトドルフ長老は次のように説明しています:
「キリストのような属性は神から賜るものです。主の助けなしに伸ばしていくことはできません。わたしたち皆が必要とする助けの一つは,イエス・キリストの贖いを通じて,だれにでも自由に無料で与えられています。イエス・キリストとその贖いを信じる信仰を持つということは,完全に主に頼るということを意味しています。つまり,主の無限の力や英知,愛に全幅の信頼を置くということです。キリストのような属性は,選択の自由を義にかなって働かせるときに,わたしたちの生活に形となって現れます。イエス・キリストを信じる信仰は行動へとつながります。キリストを信じる信仰を持つと,主を信頼して,主の戒めに従おうとします。たとえ戒めが与えられた理由を完全には理解できなくとも,従おうとします。さらに救い主のような者になろうと努めるとき,自分の生活を定期的に評価し直し,まことの悔い改めの道に従って,イエス・キリストの功徳と贖いの祝福に頼る必要があるのです。」
(ディーター・F・ウークトドルフ「キリストのような属性-翼の揚力となる風」『リアホナ』2005年11月号,102-103)
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この言葉から,キリストのような特質を伸ばすのに役立つどのようなヒントが見つかりましたか。
計画を立てる
天の御父とイエス・キリストのような存在になるための計画を立ててください。その計画には,日頃から実践できる活動で,助けになりそうなことも盛り込んでください。救い主の助けを求めることも忘れないでください。信頼できる家族や友人に,その努力をサポートしてくれるよう頼んでもよいでしょう。『個人の成長-青少年ガイドブック』や学習帳に行動計画を記録することもできます。
注釈と背景情報
救い主は山上の垂訓で御自身の特質についてどう教えられたか
ハロルド・B・リー大管長(1899-1973年)は次のように教えています:
「キリストがこの世に来られたのは,人類の罪を蹟うためだけでなく,神の律法の完全な標準と天の御父に対する従順について世の人々に模範を示すためでもありました。主は山上の垂訓において,御自身の完全な属性について幾らかの啓示をわたしたちに与え,……そうすることによってわたしたち自身の生活の青写真を与えてくださったのです。」
(『歴代大管長の教え-ハロルド・B・リー』206)
義に飢え渇いている人が満たされるとはどういう意味か
救い主はアメリカ大陸で山上の垂訓をなされたとき,義に飢え渇いている人々が「聖霊に満たされる」と述べられました (3ニーファイ12:6) 。
「キリストのような属性」にはほかにどのようなものがあるか
ビデオ「キリストのような特質」(2:53)を見せましょう。このビデオはChurchofJesusChrist.orgにあります。このビデオは,救い主がこの世の生涯で手本として示された特質を,ほかにも紹介しています。