総大会
結び固めの力
2023年10月総大会


14:25

結び固めの力

結び固めの力は,個人の救いと家族の昇栄を神の子供たちにあまねく与えてくれるものです。

少なくともイザヤの時代から,1末日に主の古代の聖約の民であるイスラエルの家は,「長年の離散から,すなわち海の島々から,また地の四方から集められ」,2「彼らの受け継ぎの地」3に戻されることが預言されてきました。ラッセル・M・ネルソン大管長は,この集合について頻繁に力強く語り,これが「今日地上で行われていることの中で最も重要な事柄です」4と述べています。

この集合の目的は何でしょうか。

預言者ジョセフ・スミスに与えられた啓示によって,主はその目的の一つが,聖約の民を守るためであることを明らかにされました。主は,「シオンの地とそのステークに集合することが,防御のためとなり,また嵐と激しい怒りが全地にありのままに注がれるときに,その避け所となるためである」5と言われました。この文脈における「怒り」とは,神の律法と戒めに対する広範囲での不従順の自然な結果であることが理解できるでしょう。

最も重要なことですが,集合は,受け入れるすべての人に救いと昇栄の祝福をもたらすためのものです。集合こそが,アブラハムに与えられた聖約の約束を実現する方法なのです。主がアブラハムに告げられたように,アブラハムの子孫と神権を通して,「地のすべての氏族は……救いの祝福すなわち永遠の命の祝福である福音の祝福を授けられ」6ます。ネルソン大管長はこのように表現しました。「福音を受け入れてバプテスマを受けるとき,わたしたちはイエス・キリストの聖なる御名を受けます。バプテスマは,主がいにしえの時代に,アブラハム,イサク,ヤコブ,そして彼らの子孫に与えられたすべての約束を受ける共同の相続人となることに通じる門です。」7

1836年,カートランド神殿でモーセが預言者ジョセフ・スミスに姿を現し,「地の四方からのイスラエルの集合と北の地からの十部族の導きの鍵を……ゆだね〔まし〕た。」8また,その際にエライアスが現れ,「わたしたちと子孫によってわたしたちの後の時代のすべての者が祝福を受けるであろうと述べて,アブラハムの福音の神権時代をゆだね〔ました〕。」9この権能によって,わたしたちは今,イエス・キリストの福音,すなわち主を通してもたらされる贖いという良い知らせを,あらゆる地の,あらゆる人々に伝え,福音の聖約に入るすべての人を集めています。彼らは「アブラハムの子孫となり,神の教会となり,神の王国となり,神の選民となる」10のです。

同じときにカートランド神殿で,ジョセフ・スミスとオリバー・カウドリに現れた第三の天の使者がいました。それは預言者エリヤでした。エリヤが回復した権能と鍵について,今日わたしはお話ししたいと思います。11すべての神権の儀式を有効にし,地上でも天でもそれらをつなぐ力,すなわち結び固めの力は,幕の両側で聖約の民を集め,備えるために不可欠です。

その何年も前に,モロナイはジョセフ・スミスに,エリヤが不可欠な神権の権能をもたらすことを明らかにし,「わたしは預言者エリヤの手によってあなたがたに神権を現そう」12と語っています。ジョセフ・スミスは後に次のように説明しています。「なぜエリヤが遣わされるのでしょうか。エリヤが神権のすべての儀式を執行する権能の鍵を持っているからです。その権能が与えられ〔なければ〕,儀式を義にかなって執行することはできません。」13つまり,その儀式はこの世においても永遠にわたっても,有効にはならないということです。14

預言者ジョセフ・スミスはこう述べています。「わたしたちが語っていること,すなわち地上で記録し,すなわちつなぎ,かつ天でもつなぐ力があるということは,ある人々には,非常に大胆な教義であると思われるかもしれません。しかしながら,世のあらゆる時代において,主がある人に,あるいはある人々の集団に,実際の啓示によって神権の施しを授けられたときはいつでも,この力が常に授けられてきたのです。したがって,何事であろうと,それらの人が権能によって,主の御名によってなし,正しくかつ忠実に行い,それについての適切かつ正確な記録を記したことは,大いなるエホバの定めによって地上でも天でも一つの律法となり,取り消せないものとなったのです。」15

わたしたちは,結び固めの権能が特定の神殿の儀式にのみ適用されると考えがちですが,その権能はあらゆる儀式を有効にし,死を超えてつなぐ力を持つために必要です。16結び固めの力は正当性の証,例えば,バプテスマが地上と天で認められる証となります。結局のところ,すべての神権の儀式は,教会の大管長の鍵の下で執行されます。ジョセフ・フィールディング・スミス大管長は,次のように説明しています。「大管長は,わたしたち神権者に権能を与えました。そして彼は,わたしたちの持つ神権の中に,結び固めの権能を含めました。そのようなことができるのは,大管長がその鍵を持っているからです。」17

イスラエルの集合には,地上と天での結び固めについて,すなわち神殿の建設と運営について話す際に特別な意味を持つ,もう一つの重要な目的があります。預言者ジョセフ・スミスは次のように説明しています。「世の様々な時代に,神の民が……集められたのはどのような目的のためだったのでしょうか。……第一の目的は,主のために宮を建て,それによって,主がその民に主の宮の儀式と主の王国の栄光を明らかにし,救いの道を教えることがおできになるようにすることでした。なぜなら,特定の儀式と原則があって,それらを教え施すには,その目的のために建てた場所,すなわち宮の中で行わなければならないからです。」18

結び固めの力が神権の儀式に与える有効性は,もちろん,主が定められた場所,すなわち主の神殿で行われる身代わりの儀式にも及びます。ここでわたしたちは結び固めの力の威厳と神聖さを目の当たりにします。それは個人の救いと家族の昇栄を,いつどこで生きていたかにかかわらず,神の子供たちにあまねく与えてくれるものです。このような包括的な機会に見合う神学や哲学,権威はほかに存在しません。この結び固めの力は,神の正義と憐れみと愛の完全な現れです。

結び固めの力にあずかるとき,わたしたちの心は自然と,すでに亡くなった人々に向かいます。末日における聖約による集合は,幕を超えて行われます。神の完全な秩序において,生きている者は,「父」,つまり先祖との永続的なつながりを築くことなしに,完全な意味での永遠の命を経験することはできません。同様に,結び固めの恩恵を受けずに,すでに幕の向こうにいる人や,死の幕を通る人は,身代わりの儀式によって彼らの子孫であるわたしたちに結ばれるまで,また,神の秩序に従ってわたしたちが彼らと結ばれるまで,完全な成長を遂げることはできません。19幕を超えて互いに助け合うという決意は,聖約の約束,つまり新しくかつ永遠の聖約の一部として,分類することができます。ジョセフ・スミスの言葉によれば,わたしたちは「第一の復活に〔わたしたちとともに〕出て来るように死者を結び固めます。」20

最も崇高で神聖な結び固めの力の現れは,結婚における男女の永遠の結合と,世代を越えた人類のつながりにあります。これらの儀式を行う権能はとても神聖なため,大管長は権能の委任を個人的に監督しています。ゴードン・B・ヒンクレー大管長は,あるときこう言いました。「わたしが何度も述べたように,回復にまつわるあらゆる悲しみと苦悩と苦痛により得られたものが,家族を永遠にともに結ぶ,聖なる神権の結び固めの力だけであったとしても,求められた犠牲すべてに匹敵するほどの価値があったと言えるでしょう。」21

永遠の家族を築き,今と後の世代をつなぐ結び固めがなければ,わたしたちは根も枝もないまま,つまり先祖も子孫も持たないまま,永遠に取り残されてしまいます。このあいまいで断絶された個人の状態や,神が定められた結婚と家族関係を否定するつながりは,22地球の創造の目的を妨げるでしょう。そのようなものが一般的な水準となったら,地は主の来臨の時にのろいをもって打たれ,「ことごとく荒廃する」23ときと同じくらい悪い状態になるでしょう。

わたしたちは,なぜ「男女の間の結婚〔が〕神によって定められたものであり,家族は神の子供たちの永遠の行く末に対する創造主の計画の中心を成すものである」24のか理解できます。同時に,不完全な現在において,これが一部の人にとって現実的でないことや,実現する可能性が低いことも承知しています。しかし,わたしたちはキリストに希望を抱いています。M・ラッセル・バラード会長は,わたしたちが主を待ち受けるとき,次のことを忘れないように言いました。「聖文と末日の預言者は,福音の聖約を忠実に守るすべての人々が昇栄の機会を確かに得られると述べています。」25

中には,不幸で不健全な家庭環境を経験し,永遠の家族との交わりを望む気持ちをあまり持てない人もいます。デビッド・A・ベドナー長老は,次のような見解を述べています。「自分の家庭で離婚のつらさを味わった人や,信頼を裏切られて苦い思いをしたことのある人は,どうか,自分から〔家族についての神の規範が〕始まることを忘れないでください。皆さんの世代の鎖の中に,壊れた輪が一つあるかもしれませんが,ほかの義にかなった輪と,残っている輪は永遠に大切なものです。皆さんは自分の鎖を強めることができますし,恐らく,壊れた輪を直す助けもできるでしょう。この鎖は一つずつ,つないでいくものなのです。」26

今年の7月,ジェフリー・R・ホランド長老の奥様であるパット・ホランド姉妹の葬儀で,ラッセル・M・ネルソン大管長は次のように教えています。「やがてパトリシアとジェフリーは再会することでしょう。後に彼らは子供たちと聖約を守る子孫とともに,神が忠実な子供たちのために用意しておられる満ちみちる喜びを経験します。それを考えますと,パトリシアの生涯で最も重要な日付は,彼女が生まれた日でも亡くなった日でもないことが分かります。最も大切な日,それは1963年6月7日,ジェフとセントジョージ神殿で結び固められた日です。……それはなぜでしょうか。地球が創造された目的は,まさに家族が形成され,互いと結び固められるようにすることだからです。救いは個人の問題ですが,昇栄は家族の問題です。だれも独りでは,昇栄することはできないのです。」

少し前に,妻とわたしはユタ州バウンティフル神殿の部屋で,愛する友人の結び固めに参加しました。わたしがこの友人に初めて会ったのは,彼女がアルゼンチンのコルドバでまだ子供のときのことでした。宣教師の同僚とわたしが,伝道本部からほんの数ブロック離れた近隣で伝道していたところ,彼女が自分の家のドアを開けてくれたのです。やがて彼女と母親,それにきょうだいたちが教会に加わり,忠実な会員になりました。今や彼女は素敵な女性となり,その日わたしたちは神殿で,他界した御両親の夫婦の結び固めと,彼女と御両親との親子の結び固めに参列しました。

長年親しくしていた友人夫婦が,聖壇で御両親の代理を務めました。アルゼンチンの友人である彼女が御両親と結び固められたとき,この感動はよりいっそう深いものとなりました。この世から離れた静かな午後のひととき,その場にいたのはわたしたち6人だけでしたが,地上で起こり得る最も重要な出来事の一つが起きていました。わたしは,自分の役割と巡り合わせに感謝しました。わたしは若い宣教師として彼女の家のドアをノックしたときから今に至るまで,何年もの時を経て,彼女を両親や過去の世代の人々に結び固める儀式を執行したのです。

このようなことが,世界中の神殿でいつも起こっています。それこそが聖約の民を集めるための究極のステップであり,イエス・キリスト教会の会員としての最高の特権です。皆さんがこの特権を忠実に求めるなら,この世においても,永遠においても,それが必ず皆さんのものになると約束します。

わたしは,ジョセフ・スミスを通して地上に回復された結び固めの力と権能が実在し,それによって地上でつながれるものは,天でも確実につながれることを証します。教会の大管長であるラッセル・M・ネルソン大管長が,自身の鍵によってこの天与の力の使用を管理する,今日の地上における唯一の方であることを証します。イエス・キリストの贖罪により,不死不滅が現実のものとなり,昇栄を経た家族関係が実現可能なものであることを証します。イエス・キリストの御名により,アーメン。

  1. 例としてイザヤ49章参照

  2. 2ニーファイ10:8

  3. 2ニーファイ10:7

  4. ラッセル・M・ネルソン,ウェンディー・W・ネルソン「シオンのつわもの」(青少年対象のワールドワイド・ディボーショナル,2018年6月3日),「福音ライブラリー」

  5. 教義と聖約115:6

  6. アブラハム2:11

  7. ラッセル・M・ネルソン「永遠の聖約「リアホナ」2020年10月号,4。ラッセル・M・ネルソン「誓約にあずかる者『聖徒の道』1995年7月号,35も参照。「『新しくかつ永遠の聖約』(教義と聖約132:6)とアブラハムの聖約は基本的に同じものであり,神が異なる時期に現世の男女と交わされた聖約を言い表す二通りの方法です。」(ラッセル・M・ネルソン「永遠の聖約」4)

  8. 教義と聖約110:11

  9. 教義と聖約110:12

  10. 教義と聖約84:34

  11. 教義と聖約110:13—16参照

  12. 教義と聖約2:1

  13. 歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』310

  14. 「エリヤの霊と力と召しとは,すなわち皆さんには啓示,儀式,神託,力,エンダウメントの鍵を持つ力があるということです。それは,メルキゼデク神権と地上における神の王国のすべてにかかわるものです。それは,神の王国に属するすべての儀式を受け,得,執行するためのものであり,先祖の心を子孫に,先祖すなわち天にいる人々に子孫の心を向けるためのものです。」(『歴代大管長の教え―ジョセフ・スミス』311)

  15. 教義と聖約128:9

  16. 教義と聖約132:7参照

  17. ジョセフ・フィールディング・スミス,ヘンリー・B・アイリングによる引用「聖約の下にある家族」『リアホナ』2012年5月号,63。注5も参照。

  18. 『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』416—417

  19. 神殿の儀式を通して築かれた先祖とその子供たちとの「固いつながり」(教義と聖約128:18参照)がなければ,「あなたがたは……拒まれるであろう」(教義と聖約124:32)と主は語っておられます。預言者ジョセフが次のように警告したことも驚くに当たりません。「わたしはあなたがたに断言します。これらは死者と生者に関する原則であり,わたしたちの救いに関して軽々しく見過ごすことのできないものです。彼らの救いはわたしたちの救いにとって必要であり,不可欠だからです。それは,パウロが先祖について,わたしたちなしには彼らが完全な者とされることはないと言っているように,わたしたちの死者なしには,わたしたちも完全な者とされることはないのです。」(教義と聖約128:15

  20. 『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』312

  21. Teachings of Gordon B. Hinckley (1997), 475–76.

  22. 教義と聖約132:8—12参照

  23. マラキ4:6教義と聖約2:3参照

  24. 家族—世界への宣言」「福音ライブラリー」

  25. M・ラッセル・バラード「キリストに希望を抱く」『リアホナ』2021年5月号,55

  26. デビッド・A・ベドナー「結びつける輪」(ヤングアダルト対象のワールドワイド・ディボーショナル,2017年9月10日),「福音ライブラリー」