トルティーヤと友達
このお話を書いた人はアメリカ合衆国ユタ州に住んでいます。
「友達がほしいなら,やさしい気持ちを表そう」(Children’s Songbook, 262)
アドリアーナはたいくつでした。双子の妹のディアナと遊びたかったのに,お母さんと一緒に市場に食べ物を買いに行ってしまったのです。アドリアーナはため息をつきました。家は何だか空っぽのような感じがしました。自分も一緒に行けばよかったと思いました。
アドリアーナは,近所のマルガリータの家に行ってみることにしました。マルガリータの子供たちはみんな大人になって,アドリアーナにとってはおばあちゃんのようなそんざいでした。いつも一緒に楽しい時間をすごしました。
アドリアーナが外に出て,マルガリータの家に歩いて行くと,暑い太陽が照りつけました。アドリアーナがドアの中をのぞきこんで,「マルガリータ,家にいる?」と聞くと,
「シー(スペイン語で「はい」の意味),台所にいるわよ」という答えが返ってきました。マルガリータが下を向いて,テーブルにすわっているのが見えました。アドリアーナが入って行くと,マルガリータは顔を上げて,
「こんにちは,アドリアーナ」と言いました。ちょっとにっこりしましたが,さびしそうな笑顔でした。
「どうかしたの?」とアドリアーナが聞くと,
マルガリータはため息をつきました。「あなたが心配することは何もないわ。」
「マルガリータが気分が良くなるように,自分に何かできることはあるかしら?」アドリアーナは考えました。マルガリータは,一緒に料理するとき,いつも楽しそうでした。「トルティーヤを作るのを手伝うのはどう?」
「ちょうど今作ったばかりよ」マルガリータはそう言って,ふきんを持ち上げて,いくつも重なったトルティーヤを見せてくれました。
「じゃあ,トルティーヤを食べるのを手伝うのはどう?」アドリアーナはにやっと笑いながらたずねました。
マルガリータが笑いました。「もちろんよ。じゃあ,一緒に食べるマメを温めてくるわね。」
アドリアーナはマルガリータの横に立ち,なべに入った黒いリフライドビーンズ(トルティーヤにはさんで食べるメキシコのマメ料理)をコンロでかき回しました。マメが温まると,テーブルに運んで来ました。マルガリータはトルティーヤとチーズを持って来ました。
アドリアーナは温かいトルティーヤの上に,マメを乗せて,その上にチーズを乗せました。おいしそうです!今にもかぶりつきたくなりました。でも,まず最初にしたいことがありました。
「おいのりしてもいい?」アドリアーナがマルガリータに聞きました。
「もちろんいいわよ。」
アドリアーナは目をとじて,うでを組みました。「天のお父様,この食事をくださって感謝します。わたしたちが健康で強くなれるように,祝福してください。マルガリータにとって必要なものは何でも助けてあげてください。マルガリータが友達でいてくれて感謝します。イエス・キリストの御名によって,アーメン。」
アドリアーナは目を開けました。マルガリータはにっこりしました。今度は本物の笑顔でした。二人は食べながら,学校やスポーツや本のことを話しました。アドリアーナはマルガリータと話すのが大好きでした。
食べ終わったとき,アドリアーナがマルガリータをぎゅっとだきしめました。「おやつをありがとう。すごく楽しかったわ!」
マルガリータもアドリアーナをだきしめました。「わたしのほうこそありがとう,アドリアーナ。」今日のわたしには友達が必要だったの。」
アドリアーナの顔がかがやきました。わたしたちが友達でよかった。
「わたしも,わたしたちが友達でよかった」とマルガリータが言いました。「残りのトルティーヤを持って帰ったら?わたしはおなかいっぱいだから。」
アドリアーナはずっとスキップして家に帰りました。アドリアーナも大満足でした。でも,トルティーヤを食べたからではありません。頭の先から足の先まで,友情でいっぱいに満たされたからです。
友情のトルティーヤ
トウモロコシの粉で簡単に作れるトルティーヤです。友達と一緒に作って食べるのにぴったりです!必ず,大人の人に手伝ってもらいましょう。
トウモロコシの粉 2カップ
湯 1 1/2カップ
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トウモロコシの粉とお湯をまぜ合わせる。やわらかくなるまでよくこねる。
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小分けにして,小さな玉を作る。2まいのオーブンシートに1つの玉をはさむ。
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平らなお皿などを使って,しっかりと玉をつぶして平らにする。
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フライパンを中火にかけてトルティーヤを焼く。表面がこい色になったら,ひっくり返して焼く。
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マメとチーズを乗せて,めし上がれ!