セミナリー
第180課:主の方法で自立を育む:自立を育むと,物質的にも霊的にも祝福を受ける


「第180課:主の方法で自立を育む:自立を育むと,物質的にも霊的にも祝福を受ける」『教義と聖約 セミナリー教師用手引き』(2025年)

「主の方法で自立を育む」『教義と聖約 セミナリー教師用手引き』

第180課:自立を育む

主の方法で自立を育む

自立を育むと,物質的にも霊的にも祝福を受ける

教えを説かれる救い主

救い主はこう宣言しておられます。「わたしが意図しているのは,聖徒たちに必要なものを与えることである。しかしそれは,わたし自身の方法で行われなければならない。」(教義と聖約104:15-16)イエス・キリストは,聖徒たちが自らを養い,御自身のように人に祝福をもたらすことを学べるように,自立を育めるよう助けてくださいます。この課は,主の方法で自立を育む必要性を生徒が理解するのに役立ちます。

学習活動案

自立

生徒が自立についてすでに何を理解しているかを知ることから,レッスンを始めるとよいでしょう。ホワイトボードに自立と書き,生徒に,その意味と,なぜ自立しようと努めることが大切なのかを説明してもらうとよいでしょう。

魚料理と釣り具の写真を見せて,自立について知っていることを話し合うのを助けるとよいでしょう。家族に食物を提供するうえで自立を育むのに最も役立つものはどちらの写真に写ったものか話し合うよう言います。話し合いの中で,以下の二つの引用文を見せるとよいでしょう。

釣り具
魚料理

ゴードン・B・ヒンクレー大管長(1910-2008年)は,自分で自分を養うことを学ぶことの価値について,次のように説明しています。

ゴードン・B・ヒンクレー大管長

「人に魚を与えるなら,その人は1日の食事を得るが,魚のとり方を教えるなら,一生食べることに困らない,という古いことわざがあります。」(ゴードン・B・ヒンクレー「永代教育基金『リアホナ』2001年7月号,62参照)

大管長会は,自立について次のように教えています。

「主は『わたしが意図しているのは,聖徒たちに必要なものを与えることである』と宣言しておられます〔教義と聖約104:15〕。この啓示は,主からの約束です。主は,物質的な祝福を与え,自立の扉を開くと約束しておられます。自立とは,わたしたちが自分と家族の生活に必要なものを自分で満たす能力のことです。……

どうか,自分が天の御父の子供であることを確信してください。御父は皆さんを愛しておられます。皆さんを決してお見捨てになりません。御父は皆さんを御存じです。そして,自立という霊的・物質的な祝福を差し出す用意をしておられます。」(大管長会『わたしの礎—自立へ向けて』3

  • 自立について,これらの引用文からどのようなことが学べるでしょうか。

    クラスで話し合った後,自立について理解したことを二人一組で互いに要約してもらうとよいでしょう。先ほどの大管長会による引用文の続きを参考までに紹介してもよいかもしれません。その後,どのように要約したかを,協力してくれる生徒にクラスで発表してもらいます。

    主の助けがあれば,わたしたちは自立して,自分と家族に必需品を提供することができるということを,生徒が必ず理解するようにしてください。

  • 自立を育むことを,若いうちに理解しておくことが重要なのはなぜだと思いますか。

  • 自立することを考えて圧倒されている人がいたら,希望を与えてくださる天の御父とイエス・キリストについて,その人にどんなことを思い出してもらえばよいでしょうか。

自立の原則を自分に当てはめる現実的な方法を生徒が理解できるように,次のテーマをホワイトボードに書くとよいでしょう:教育健康雇用財務霊的な強さ。生徒をグループに分け,一つずつテーマを割り当てます。グループで次の事柄について話し合い,その後,クラスで発表してもらいます。

次のテーマのうちの一つについて,下の質問に答えてください:教育,健康,雇用,財務,霊的な強さ。

  • その分野で自立している人のことを,あなたならどのように説明しますか。

  • 10代の若者はどうすればその分野で自立を育むことができるでしょうか。どうすれば主の助けを頂くことができるでしょうか。

  • その分野で,さらに多くを自分で行えるようになることの利点は何でしょうか。

どうすれば自分を養えるかについて,聖霊の促しに注意を払うよう招きます。自分でできるときでも,主に頼る必要があることを生徒が理解できるように助けます。時には周りに助けを求める方がよいこともあります。

主の方法で自立する

主と主の僕から学ぶことができる自立についての原則を生徒が理解できるように,以下の選択肢から一つ選んでください。

  1. 配付資料のアイコン生徒を少人数のグループに分け,配付資料「主の方法で自立を育む」を配ります。各グループ内で,研究する参照聖句と引用文を分担するとよいでしょう。それから,学んだことを互いに分かち合って,一緒に質問に答えてもよいでしょう。

  2. 生徒自身が,参照聖句や教会指導者の言葉を見つけるリソースを持っていて自分で見つけた経験があれば,配付資料の質問をホワイトボードに掲示します。生徒に,聖文と預言者の言葉を調べて,それぞれの質問に対する答えを探してもらいましょう。生徒が研究できるリソースの一つは,「トピックと質問」の「自立」というタイトルの項です。福音ライブラリーアプリやChurchofJesusChrist.orgでも閲覧できます。

主の方法で自立を育む

参照聖句と引用文を研究して,以下の二つの質問の答えを見つけてください。

  1. 自立を育む助けとなる事柄として,主は聖文や預言者を通して何を教えてこられましたか。

  2. 直面するどのような障害を乗り越えるために天の御父の助けが必要でしょうか。

エズラ・タフト・ベンソン大管長(1899-1994年)は,次のように教えています。

エズラ・タフト・ベンソン大管長

「主は心の内側から外側に向けて働きかけられますが,この世は外側から内側に向けて働きかけます。この世は貧民街から人々を連れ出そうとしますが,キリストは人々から悪や汚れを取り去り,自分自身で貧民街から抜け出られるようにされます。この世は環境を変えることによって人間を形成しようとしますが,キリストは人々を変え,それによって彼らが自らの手で環境を変えられるようになさいます。この世は人の行動を変えようとしますが,キリストは人の性質を変えることがおできになるのです。」(エズラ・タフト・ベンソン「神によって生まれる『聖徒の道』1986年1月号,6)

大管長会の一員であったディーター・F・ウークトドルフ管長は,次のように説明しています。

ディーター・F・ウークトドルフ管長

「主の方法は,川辺に腰を下ろし,水が流れ去るまで渡るのを待つことではありません。ともに集まり,袖をまくって仕事に取りかかり,試練という川を渡るために橋を架けたり船を作ったりすることです。」(ディーター・F・ウークトドルフ「主の道にかないて助けをなす『リアホナ』2011年11月号,54-55)

各グループが,学習中に得た答えや洞察を全体に発表する機会を設けましょう。また,自立の原則に従って生活しようと努める中で,主がどのように祝福してくださったか,その例を話してもらってもよいでしょう。

救い主は恵みに恵みを育まれた

生徒は,一度に多くの異なる分野で自立を育もうとすると,圧倒されかねないことに気づくかもしれません。救い主の模範から,自立を育むには時間がかかることを学べると説明します。生徒が次の聖句を読むときに,次の絵を見せるとよいでしょう。

大工の仕事を学ぶイエス

教義と聖約93:11-13を読み,バプテスマのヨハネが救い主の成長について教えたことを見つけてください。(バプテスマのヨハネの記録の一部がジョセフ・スミスに明らかにされ,第93章に記録されました。)

生徒が次の質問に答えるのに助けが必要な場合,恵みに恵みというのは,神の助けを得て少しずつ向上することを意味すると説明するとよいでしょう。生徒に2ニーファイ28:30を読んでもらい,わたしたちも「教えに教え」を加えられて進歩する必要があることが理解できるようにするとよいでしょう。

  • 救い主が「恵みに恵みを受け続け」られたとは,どのような意味だと思いますか(13節)。

  • 恵みに恵みを受け続けるという救い主の模範は,霊的および物質的な自立を育む努力をするうえでどのような助けとなるでしょうか。

自身の生活で自立を育む

自立を育むことについて聖霊が教えてくださったと思われることについてよく考えるよう促します。生徒が振り返るのを助けるために,次のような質問をするとよいでしょう。深く考えて学習帳に答えを記し,現在の自立の状態を自己評価してもらいます。

  • 生活の様々な面で自立を育むことについて,わたしはどれくらい自信を持っているだろうか。

  • これらの面で自分自身を養う能力を伸ばしていくことが,なぜ有益なのだろうか。

  • 生活でさらに自立を育むために,どうすれば主に関与していただけるだろうか。

生活で自立を育む具体的な方法を考えてもらいます。また,自立の力と,それによって人生がどのように祝福されたかについて,あなたの考えや証を生徒に伝えるとよいでしょう。