家族のためのリソース
第5課:積極的なコミュニケーションにより問題に対処する


第5課

積極的なコミュニケーションにより問題に対処する

応用のための提案

あなた自身の必要や状況に合わせて以下の提案に従ってください。

  • 以下の読書課題でジョー・J・クリステンセン長老はこう語っている。「絶えず批判されたり小言を言われたりした結果,良い方に変わったという人はほとんどいません。注意しないと,わたしたちが建設的な批判のつもりで言ったことが,実際には人を落ち込ませる結果になることもあるのです。時には,何も言わずにいた方がよい場合もあります。」(19参照)これからの1週間,ほかの人について何を考え,何を話すかに気をつけて生活する。話すことすべてにおいて相手に思いやりを示し,相手を高めることができるように努力する。

  • 伴侶はんりょの長所を見つける。長所をリストにし,伴侶と分かち合う。

読書課題

以下の記事を研究する。既婚者の場合は伴侶はんりょと一緒に読んで話し合う。

幸福の偉大な計画と結婚

七十人
ジョー・J・クリステンセン

わたしと妻のバーバラには恵まれて6人の子供がいます。何年か前のことですが,その6人全員を連れてわたしの両親のところへ出かけました。父はわたしに向かってこう言いました。「ジョー,おまえたち夫婦も,いよいよ終わりのないことを始めたようだな。」

この復活祭の季節に当たり,わたしたちは全世界の人々に対して,イエスがキリストであり,キリストの聖なる神権と結び固めの権能を通して,結婚や家族が,決して終わる必要もなく,永遠に存続できる,と宣言いたします。

今日,わたしは皆さんに,わたしたちの結婚生活についてお話ししたいと思います。これから,8つの実用的な提案をします。できればこの提案が,現在と将来にわたって結婚のきずなを強めるうえで,役に立つものであってほしいと願っています。

結婚の重要性を心にとどめる

1.結婚が特に重要であることを心にとどめてください。ブルース・R・マッコンキー長老が天の御父の「偉大な幸福の計画」(アルマ42:8)における,結婚の重要性について,次のように言っていますので,よくお聞きください。

「この世に生を受けたその瞬間から,神殿で結婚するそのときまで,わたしたちが教えられる福音の体系というものは,どの部分を取ってみても,結婚の神聖なきずなに入るための準備と資格獲得のために備えられたものである。そのきずなによって,わたしたちはこの世においても,来世においても,夫婦であり続けることができる。……この世において,家族の創造と完成以上に大切なものはない。」(“Salvation Is a Family Affair,”Improvement Era,1970年6月号,43-44)

結婚生活がうまくいくように祈る

2.結婚生活がうまくいくように祈ってください。何年か前,まだ中央幹部が伝道部を巡回して,全宣教師と面接することが一般的に行われていたときのことですが,当時十二使徒定員会の会員であったスペンサー・W・キンボール長老が,伝道の終了を間近に控えた一人の長老と面接をする機会がありました。

「長老,あなたは解任されたら,何をするつもりですか。」

「大学へ戻るつもりでいます。」そして,にこにこしながら,こう付け加えました。「それから,できれば恋をして,結婚したいんです。」

これに対して,キンボール長老は次のような賢明なアドバイスを与えました。「それでは,祈るときには,愛する人と結婚できるように祈るのではなく,結婚する人を愛せるように祈ってください。

自分がもっと親切で,思いやりも深く,謙遜けんそんで,忍耐強く,人に対して寛容であり,そして特に利己的な心を捨てられるよう,祈ることが大切です。

より良い伴侶はんりょになるのを妨げる個人的な問題や弱点を認めるためには,わたしたちは祈りを通して主のみもとへ行き,モルモン書にある次のような力強い約束の恩恵にあずかる必要があります。「もし人がわたしのもとに来るならば,わたしは彼らに各々の弱さを示そう。……もし彼らがわたしの前にへりくだり,わたしを信じるならば,そのとき,わたしは彼らの弱さを強さに変えよう。」(エテル12:27

だからこそ,祈る必要があるのです。日々ともに祈っている夫婦で結婚生活上の重大な問題を抱えている例は見たことがない,と数多くの教会指導者や結婚カウンセラーが言っています。何か問題が生じ,結婚生活に危機が訪れたときには,夫婦でともに祈ることが最も効果的な治療法である場合が往々にしてあるのです。

伴侶はんりょの声に耳を傾ける

3.よく耳を傾ける。時間を作って,伴侶の声に耳を傾けてください。できれば,定期的に話を聞いてあげてください。率直に話し合い,伴侶としてその役割をきちんと果たしているかどうか,評価し合ってください。

あるとき,ブレント・バーロー兄弟は神権者の兄弟たちにこんな質問をしました。「皆さんの中で,啓示を受けたいと思っている人はどれくらいいますか。」全員の手が挙がりました。すると,バーロー兄弟は,「それでは,全員帰宅したら,奥さんにどうしたら自分はもっと良い夫になることができるか,尋ねてみてください」と,提案したのです。彼は次のように付け加えています。「わたしも自分の提案に従ってみました。その日の午後は,妻のスーザンと1時間以上にもわたって,実に有益な話し合いをすることができたのです。」(“To Build a Better Marriage,” Ensign,1992年9月号,7)このような会話はわたしたちにとって,啓示となり得るものです。

兄弟の皆さんの中で,奥さんからこんな言葉を聞いたことのある人はいないでしょうか。わたしは最近,妻から「ジョー,ちゃんと聞いてくれているの」と言われました。わたしがちゃんと聞いているのかどうか,疑問に思ったのは妻だけではありませんでした。しばらく前のことですが,わたしが昼寝をしていたときに,孫娘のアリソンがやって来て,わたしの片方のまぶたを開けると,こう言ったのです。「おじいちゃん,そこにいるの?」わたしたちはいつも「そこに」いて,連れ合いの呼びかけには答えてあげたいものです。

いたずらにあら探しをすることを避ける

4.「いたずらにあら探しをする」ことを避けてください。お互いの欠点に対して過度に批判的にならないことです。だれ一人として完全な者はいない,という点を忘れないでください。わたしたちの目標として,指導者が説いているように,キリストのような者となるためには,まだまだ長い時間が必要なのです。

スペンサー・W・キンボール大管長が言っているように,「いたずらにあら探し」を続けていると,どんな結婚生活でも破綻はたんしてしまいます。(“Marriage and Divorce,”1976 Devotional Speeches of the Year〔1977年〕,148)。一般的に言って,わたしたちは皆,自分の欠点については痛いほど承知しています。だから,人からそれについて度々言ってもらう必要はないのです。絶えず批判されたり小言を言われたりした結果,良い方に変わったという人はほとんどいません。注意しないと,わたしたちが建設的な批判のつもりで言ったことが,実際には人を落ち込ませる結果になることもあるのです。

時には,何も言わずにいた方がよい場合もあります。ローラ・ウォルターズ姉妹は,結婚後間もないころ,ある雑誌で,結婚のきずなを強めるには,夫婦で定期的に率直に話し合う時間を持ち,そのとき,お互いに気に入らない癖があれば,それを指摘するとよい,という記事を読みました。彼女は,その経験を次のように書いています。

「わたしたちはお互いに気に入らないことを5つずつ指摘することにし,わたしから始めました。……わたしは主人に,グレープフルーツの食べ方が嫌いだと言いました。主人は,グレープフルーツを食べるとき,皮をむいて,まるでオレンジでも食べるようにして食べるからです。わたしはそんなふうにグレープフルーツを食べる人を見たことも,聞いたこともありません。若い乙女が,グレープフルーツをオレンジのように食べる夫と生涯を,いや,永遠をともに過ごすなんて,いかにも夢のない話でした。……

わたしの方で〔5つ挙げ〕終わると,今度は主人が,わたしの嫌いな点を挙げる番になりました。……すると,主人はこう言ったのです。『実を言うと,ぼくは君の嫌いな点が何一つ思い浮かばないんだよ。』

息が止まりそうでした。

わたしは急いで主人に背を向けました。自分の目にあふれた涙がほおを伝っていく理由を,どう説明したらいいか分からなかったからです。」

ウォルターズ姉妹は,この話を次のように結んでいます。「性格の不一致を唱える夫婦の話を聞く度に,わたしはいつも,そうした夫婦もわたしが『グレープフルーツ症候群』と名付けた病気で苦しんでいるのではないかと,考えています。」(『リアホナ』1999年9月号,24)

そうです。時には何も言わない方がよいこともあるのです。

いつまでも新婚時代の気持ちを忘れない

5.いつまでも新婚時代の気持ちを忘れないでください。一緒に二人だけで,何かをする時間を作ってください。家族として子供たちと一緒に過ごす時間ももちろん大切ですが,それと同じように,二人だけで毎週定期的に時間を過ごす必要もあります。きちんと時間の調整をしておけば,「結婚生活はとても大切なものだから,それを大切に育てていこう」という両親の気持ちを子供たちに分かってもらえるはずです。そのためには,決意と計画と時間の調整とが必要です。

お金をかける必要はありません。一緒に時間を過ごすことが,いちばん大切な要素なのです。

あるとき,わたしの義父が昼食を終えて再び畑に戻ろうとしたときのことです。義母がこう言いました。「アルバート,戻って来てちょうだい。わたしに『愛してるよ』って言って。」義父は,ニヤッとすると,こんな冗談を言って笑いとばしたのです。「エルシー,結婚したとき,ちゃんと『愛してる』って言ってあげただろう。もし気が変わったら,すぐに教えるから。」「愛してるよ」という言葉を言いすぎることはありません。どうぞ,毎日使ってください。

すぐに「ごめんなさい」と言う

6.すぐに「ごめんなさい」と言ってください。この言葉を口にすることがつらいと思うことがあっても,できるだけ早く「すまなかった,ゆるしてほしい」と言ってください。たとえ,自分にはまったく落ち度がないときでも,そうしてください。真実の愛を育てたいと思ったら,自分の過ちや間違いを素直に進んで認める者になることです。

意見の食い違いが生じたときは,よく話し合い,解決ができればそれに越したことはありませんが,時には沈黙の時間を守るのがいちばんよい場合もあります。ぐっとこらえて,10まで,あるいは100まで数えることが大切です。場合によっては,日が暮れても,怒りを胸に秘めたままにしておいた方が,翌朝目が覚めたとき,問題を落ち着いて冷静に見ることができ,解決のチャンスが広がる場合もあるのです。

時々,こんな話を聞くことがあります。「わたしたちは結婚して50年になりますが,今まで意見の食い違いなど一度もありません。」もしこれが言葉どおりだとしたら,夫婦のうちのどちらかの意見が異常に抑えつけられているか,それともだれかの言うように,どちらかが「真実に対して無知」なのでしょう。聡明な夫婦なら必ず意見の食い違いは存在します。問題は,その解決法をはっきりと知っているかどうかです。そして,そういう努力が,幸福な結婚生活をさらに充実させるための過程の一部なのです。

収入の範囲内で生活する

7.収入の範囲内で生活することを学んでください。結婚生活で起きる最も大きな問題の中には,家計の問題にかかわって起きてくるものが幾つかあります。「米国法廷弁護士協会の調査によると……離婚全体の89パーセントが,その原因をさかのぼると,金銭に関するけんかや非難に行き着く」のだそうです(マービン・J・アシュトン,“One for the Money,” Ensign,1975年7月,72)。予算の範囲内で生活するために,進んで購入を延期したり,差し控えたりしてください。まず先に什分じゅうぶんの一を納め,できるかぎり借金を避けてください。毎月,自分の収入よりも50ドル少ない予算で生活するのは幸福に通じ,収入より50ドル多く使うのは悲劇に通じる,ということを忘れないでください。はさみとクレジットカードを取り出して,ジェフリー・R・ホランド長老が言うように,カードを切り刻む「プラスチックの手術」をしなければならない時が来たのかもしれません。(“Things We Have Learned-Together,” Ensign,1986年6月号,30)

家庭と家族の責任を分担する

8.家庭と家族の責任を平等に果たしてください。ただ座っているだけで,何でもしてもらうのを待つような夫になってはいけません。そういう夫は,生活費を稼ぎ出すのが自分の仕事で,家事や育児は妻一人の責任だと考えています。家庭や家族を維持する仕事は,一人の能力を超えています。

このように家庭のことに関しては,共同責任を負っているのだということを忘れないでください。バーバラとわたしは,毎朝ベッドを整えるのに,二人ですれば1分もかからないことを発見しました。しかも,それだけでベッドが一日中整っているのです。バーバラは,わたしにそういう仕事をさせるのは,それによってわたしに一日中気持ちよく過ごしてほしいからだ,と言っています。それは確かに一理あるとわたしは思っています。

一緒に聖文を勉強する時間を取ってください。そして,キンボール大管長の次のような賢明な勧告に従ってください。「夫婦がそろって度々聖なる神殿へ行き,家庭では家族とともにひざまずいて祈り,教会の集会に出席し,思いにおいても肉体においても完全に清い生活を送り,……神の王国を築くために力を合わせるならば,無上の幸福を味わうことだろう。」(Marriage and Divorce1976年,24)

要約しましょう。

  • 結婚が特に重要であることを心にとどめる。

  • 結婚生活がうまくいくように祈る。

  • よく耳を傾ける。

  • 「いたずらにあら探しをする」ことを避ける。

  • いつまでも新婚時代の気持ちを忘れない。

  • すぐに「ごめんなさい」と言う。

  • 収入の範囲内で生活することを学ぶ。

  • 家庭と家族の責任を平等に果たす。

わたしはイエスがキリストであることをあかしします。あの3日目に墓が空になり,「アダムにあってすべての人が死んでいるのと同じように,キリストにあってすべての人が生かされる」(1コリント15:22)ことを証します。イエス・キリストの回復された福音の中に結び固めの権能があることに感謝しつつ,わたしたちは,かの詩人とともに,確信をもってこう申し上げます。「我は死してさらになんじを深く愛す」(Elizabeth Barrett Browning, Sonnets from the Portuguese43,14行)