家族のためのリソース
第13課:子供に福音の原則を教える(その1)


第13課

子供に福音の原則を教える

その1

応用のための提案

あなた自身の必要や状況に合わせて以下の提案に従ってください。

  • 教義と聖約68:25-28を読む。読みながら,両親から子供たちに教えるように主が命じておられる原則と儀式を明らかにする。あなたの子供や孫,おいめい,その他知り合いの子供にこれらの原則と儀式を教えるためにできることを幾つか計画する。

  • 以下の説教を読んで,ロバート・D・ヘイルズ長老が提案している中で取り組みたいことを一つか二つ選ぶ。機会があったら別の提案に取り組んでみる。

読書課題

以下の記事を研究する。既婚者の場合は伴侶はんりょと一緒に読んで話し合う。

家族を強めること
わたしたちに託された神聖な義務

十二使徒定員会
ロバート・D・ヘイルズ

御霊みたまは家族を強める

家族を強めることは,わたしたち両親や子供,親族,指導者,教師,個々の教会員にとって,神聖な義務です。

家族を霊的に強めることの重要性は,聖文の中ではっきり教えられています。アダムは父親として,エバは母親として,息子や娘に福音を教えました。アベルは神を愛し,そのささげ物は主に受け入れられました。一方,カインは「神よりもサタンを愛し」,重大な罪を犯しました。アダムとエバは「カインとその兄弟たちのゆえに主の前に嘆き悲し」みましたが,子供たちに福音を教えることは決してやめませんでした(モーセ5:12,18,20,276:1,58参照)。

わたしたちは,子供はそれぞれ異なった賜物たまものと才能を持って生まれてくることを理解しなければなりません。アベルのように,生まれつき信仰の賜物を与えられているような子供がいます。一つ一つの決定に思い悩む子供もいます。わたしたち両親は,子供の苦労や苦悩を見て,主に対する信仰を失ったり,弱めたりしてはなりません。

息子アルマは,「自分の多くの罪を思い出してひどく苦しみながら,……イエス・キリストは神の御子であり,世の罪をあがなうために来られる」(アルマ36:17)ことについて父から聞いたことを思い出しました。父親の言葉がアルマを改宗に導いたのです。このように,わたしたちの教えやあかしは,子供たちの心に残っています。

ヒラマンの2,000人の若い兵士は,義にかなった母親が力強く福音の原則を教えたことをあかししています(アルマ56:47-48参照)。

霊的な苦悶くもんのときに,エノスはこう言いました。「永遠の命……について……度々聞いていた……父の言葉が,そのときになってわたしの心に深くしみ込んできた。」(エノス1:3

教義と聖約の主の言葉によれば,両親は子供が「8歳のときに,悔い改め,生ける神の子キリストを信じる信仰,およびバプテスマと按手あんしゅによる聖霊の賜物たまものの教義を理解するように」教えなければなりません。

「また,彼らはその子供たちに祈ることと,主の前をまっすぐに歩むことも教えなければ」なりません(教義と聖約68:25,28)。

福音を教えることは家族を強める

言葉と模範を通して子供に福音を教えるとき,家族は霊的に強められ,強化されます。

生ける預言者の言葉は,家族を霊的に強めるという神聖な義務を明らかにしています。1995年,大管長会と十二使徒評議会は,「世界への宣言」を発表しました。中にはこう述べられています。「家族は神の子供たちの永遠の行く末に対する創造主の計画の中心を成すもので……夫婦は,互いに愛と関心を示し合うとともに,子供たちに対しても愛と関心を示すという厳粛な責任を負っています。……両親には,愛と義をもって子供たちを育て,物質的にも霊的にも必要なものを与え,また互いに愛し合い仕え合い,神の戒めを守……るように教えるという神聖な義務があります。」(「家族-世界への宣言」(35602 300)『聖徒の道』1996年6月号,10-11)

今年の2月,大管長会はすべての両親に,次のように呼びかけました。「子供たちを福音の原則の中で教え育てることに全力を尽くしてください。そうすれば,子供たちは教会に活発であり続けるでしょう。家庭は義にかなった生活の基であり,ほかのどのような手段も,家庭に代わる役割を果たしませんし,神から与えられたこの責任を遂行するうえでの大切な役割を果たしてはくれません。」

この2月の手紙の中で,大管長会が教えているように,福音の原則の中で子供を教え育てるならば,両親は破壊的な要素から家族を守ることができます。大管長会はさらに次のように勧めています。「家族の祈り,家庭の夕べ,福音の研究と指導,そして健全な家族活動を最優先するようお勧めします。必要とされるその他の事柄や活動がどれほど価値のある適切なものであったとしても,それらは,親と家族だけが全うできる天与の義務に取って代えられるものでは決してありません。」(1999年2月11日付けの大管長会からの手紙。Church News,1999年2月27日付,3で引用)

主御自身と教義による助けがあれば,家族は,様々なチャレンジに隠れた悪の力をすべて察知し,克服することができます。家族に必要なものが何であれ,預言者の勧告に従うときに,家族を強めることができるのです。

家族を強めるかぎは,主の御霊みたまを家庭に招くことです。家族の目標は,細くて狭い道を歩いて行くことです。

家族を強めるためのアイデア

家族を強めるために,家庭という囲いの中でできることは,無数にあります。家族の中で強める必要のある分野が分かるように,幾つかのアイデアを紹介しましょう。人や家族がそれぞれ異なることはよく承知していますが,皆さんを励ますためにお伝えします。

家庭を安全な場所にする

  • 家庭を安全な場所にして,一人一人が愛と帰属感を抱くことができるようにしましょう。それぞれの子供が異なった賜物たまものと能力を持っていることを理解してください。一人一人が特別な愛と思いやりを必要としています。

  • 「柔らかいこたえは憤りをとどめ」ることを心に留めましょう(箴言15:1)。わたしと愛する妻がソルトレーク神殿で結び固められたとき,ハロルド・B・リー長老は,「怒って大声を上げると,御霊みたまは家庭から離れていきますよ」という賢明な勧告を与えてくれました。わたしたちは怒りのあまり,子供に対して家庭や心の扉を閉ざすようなことをしてはなりません。放蕩ほうとう息子のように,本心に立ち返ったときに,いつでも愛と助言を求めて帰って来られることを子供に伝えてください。

  • 子供たちと時間を過ごし,活動や話題を子供に選ばせましょう。気を散らすものを排除してください。

子供に祈り,聖文を読み,ふさわしい音楽を聞くように教える

  • 子供自身の宗教的な行いを奨励しましょう。例えば,個人の祈り,聖文の研究,特別な目的をもった断食などです。子供の行動や言葉遣い,人に対する態度などを観察して,霊的な成長を評価してください。

  • 子供と毎日祈りましょう。

  • 一緒に聖文を読みましょう。わたしが覚えているのは,両親が聖文を読んで,子供たちが床に座ってそれを聞いていたことです。時々両親からこう質問されました。「この聖句は,どういう意味かな?」「この聖句からどんな気持ちを感じるかな?」それから両親は,子供たちの答えに耳を傾けました。

  • 生ける預言者の言葉や,教会機関誌の中から子供や青少年や成人向けの力強い記事を読みましょう。

  • 『賛美歌』や『子供の歌集』から選んだ歌を家族で歌い,家庭の中をふさわしい音楽で満たしましょう。

家庭の夕べと家族会議を開く

  • 毎週家庭の夕べを開きましょう。両親は時々,恐れるあまり,子供に教えたり,あかししたりできないことがあります。わたしの人生にも,そのような罪悪感を覚えたことがありました。子供たちが必要としているのは,霊的な気持ちを分かち合い,教えや証を伝えてくれる両親なのです。

  • 家族会議を開いて,家族の計画や関心事について話し合いましょう。最も効果的な家族会議の一つは,家族と一対一で行うものです。子供たちの考えが大切であると感じさせてください。子供に耳を傾け,学んでください。

福音を分かち合い,教会の指導者を支持し,家族で参加する

  • 家庭に宣教師を招いて,教会にあまり活発でない友人や会員でない友人にレッスンをしてもらいましょう。

  • 教会の指導者を支持していることを示しましょう。

  • できるだけ家族一緒に食事をして,有意義な会話を楽しみましょう。

  • 自分一人ですれば簡単に速くできる仕事でも,家族みんなで行いましょう。家族で働くときに,子供たちと話をしてください。わたしの父は,そのような機会を土曜日ごとに与えてくれたものです。

子供に友情を築き,将来に備えることを教える

  • 子供が友情を築く方法を学べるように助け,友達が家庭で歓迎されていると感じられるようにしましょう。友達の両親と知り合いになってください。

  • 時間や資源の賢明な使い方を模範によって子供に教えましょう。自立と,将来に備えることの大切さを学べるように助けてください。

先祖からの受け継ぎと家族の伝統を分かち合う

  • 先祖や家族の歴史について子供に教えましょう。

  • 家族の伝統を築きましょう。子供たちの必要や才能,能力を考慮して,有意義な休暇を過ごす計画を立て,実行してください。子供たちが楽しい思い出を作り,才能を伸ばし,自尊心を築けるように助けてください。

戒めを守り,儀式を受けることの大切さを教える

  • 言葉と行いにより,道徳的な価値観と,戒めを守る決意を教えましょう。

  • わたしがバプテスマと確認の儀式を受けた後,母がわたしをかたわらに連れて行き,「どんな気持ち?」と聞きました。わたしは何とか言葉を見つけて,その平安に満ちた穏やかで,幸せで,温かい感じを伝えました。すると母は,それは今受けたばかりの聖霊の賜物たまもので,もしふさわしく生活すれば,その賜物が常にわたしとともにあることを説明してくれました。そのとき受けた教えは,生涯にわたってわたしの心に刻まれています。

バプテスマと確認の儀式を受け,聖霊の賜物たまものを授かり,聖餐せいさんを取り,神権を尊び,神殿で聖約を交わして守ることの重要性について子供に教えましょう。子供たちは神殿推薦状を受けるにふさわしく生活し,神殿結婚に備えることの大切さを知る必要があります。

  • 神殿で伴侶はんりょや子供と結び固めをまだ受けていなければ,家族で神殿の祝福に備えましょう。家族で神殿の目標を立ててください。

  • 自分の持っている神権にふさわしくなり,家族の生活に祝福をもたらすためにそれを使いましょう……。

地域社会,学校,教会の活動を知る

家庭外にも役立つものがあります。それらを賢く活用すれば,家族は強められます。

  • 教会や地域社会で奉仕するように,子供を励ましましょう。

  • 子供の問題や必要について,子供の教師,コーチ,カウンセラー,アドバイザー,教会の指導者と話し合いましょう。

  • 子供たちが余暇にしていることを知っておきましょう。映画やテレビ番組,ビデオの選択に口を挟んでください。もしインターネットを使っていれば,何をしているのか尋ねましょう。健全な娯楽の大切さが理解できるように助けてください。

  • 学校の有意義な活動を奨励しましょう。子供たちが何を学んでいるのか知ってください。宿題を助けてください。子供たちに教育の大切さ,および職業と自立に備えることの大切さを理解させてください。

  • 若い女性は18歳になったら扶助協会に出席しましょう。中には,気が進まない人もいるかもしれません。溶け込めないのではないかと不安になるかもしれません。若い姉妹の皆さん,そんなことはありません。扶助協会の中には皆さんのために備えられていることがたくさんあります。生涯を通じて,皆さんに祝福を与えるでしょう。

  • 若い男性はアロン神権を尊びましょう。それは備えの神権であり,メルキゼデク神権に皆さんを備えるものです。そしてメルキゼデク神権に聖任されたら,長老定員会で活発に活動してください。兄弟愛や定員会のレッスン,奉仕する機会は,生涯にわたって皆さんと家族に祝福を与えるでしょう。

主の愛の模範に従う

主の御霊みたまが家庭にもたらされ,わたしたちが主の模範によって教えるなら,どの家庭も何らかの方法で強められます。

  • 恐れずに,信仰をもって行動しましょう。10代の子供が家族の価値観を試し始めるとき,両親は一人一人に必要なことについて主に導きを求める必要があります。これはさらに愛と支援が必要なときであり,選択の方法についてあなたの教えを再度強調するときです。子供が自ら陥る誤りから学ぶのを見守るのは,恐ろしい経験です。しかし,わたしたちがその価値観を強要しようとするときよりも,子供が自らの手で選ぶとき,主の方法や家族の価値観を進んで選ぶ気持ちはさらに強くなります。愛と寛容という主の方法は,力と強制というサタンの方法よりも優れています。10代の子供を育てる場合は,特にそうです。

  • 預言者ジョセフ・スミスの言葉を忘れないでください。「人々に罪を捨てさせるには,手を取って導き,優しく見守る以外にない。人々がわたしに少しでも愛と親切を示してくれたら,わたしはどんなにか心強いことだろう。ところがその反対の行為は,あらゆる不快な思いを巻き起こし,人の心を憂うつにさせるものである。」(ジョセフ・フィールディング・スミス,Teachings of the Prophet Joseph Smith,〔1976年〕,240)

道を外れる子供は戻って来る

  • わたしたちができることをすべて行っても子供が義の道から離れて絶望感に襲われるときは,オーソン・F・ホイットニーの次の言葉が慰めになるでしょう。「中には迷い出る羊もいるでしょう。しかし羊飼いは常に彼らを見守っておられるのです。彼らは,囲いに戻そうと神の手が差し伸べられていることに,遅かれ早かれ気づくでしょう。この世にいる間か,あるいは来世に行ってからになるかもしれませんが,いずれ彼らは戻って来るでしょう。正義に対しては負債を支払い,犯した罪の報いを受けなくてはなりません。また,いばらの道を歩むことでしょう。しかし最終的には,罪を悔い改めた放蕩ほうとう息子のように,優しくゆるしの心で迎えてくれる〔母親と〕父親の家,彼らの心に導かれるのであれば,つらい経験も無駄にはなりません。軽率で反抗的な子供のために祈ってください。信仰をもって見守るのです。希望と信頼を捨てずに,神の救いの業を見届けてください。」(ジョセフ・スミスの言葉をオーソン・F・ホイットニーがConference Report,1929年4月,110で引用)

独身成人や親族は力を貸すことができる

  • 独身者や,子供に恵まれていない人はどうでしょう。家族についての助言に関心を持つ必要があるでしょうか。あります。現世ですべての人が学ばなければならないことだからです。未婚の成人会員は,しばしば,特別な力を家族に与えることができます。自分の家族や周囲の家族に対して,援助と寛容と愛のすばらしい源になれるのです。

  • 親族の成人会員の中には,自らの資格で養育の責任を果たしている人がたくさんいます。祖父母,おばやおじ,兄弟姉妹,めいおい,いとこ,そのほかの親族は,家族に大きな影響を与えることができます。わたしは自分自身の親族に感謝したいと思います。彼らは模範とあかしによって,わたしを導いてくれました。親族の人は時々,両親が言えば口論になってしまう事柄を話すことができます。ある若い女性は,長い時間心から母親と話し合った後,こう言いました。「自分のした間違いをパパやママに話すのは,とてもつらいわ。でも,スーザンおばさんに話すのは,もっとつらいの。おばさんをがっかりさせたくないから。」

完全な家族はない

わたしたちが現世にいるのは学習し信仰をはぐくむためであると知っているので,すべての物事には反対のものがなければならないことを理解しなければなりません。わが家の家族会議で,妻が言いました。「ある家族が完全だと思ったら,その家族をよく知らないということね。」

家と家族を整える

兄弟姉妹の皆さん,1833年に主によってジョセフ・スミスと教会の指導者に与えられた「〔わたしたち〕自身の家を整え」るように(教義と聖約93:43)という叱責しっせきとも言うべき勧めに,わたしたちは親として耳を傾けようではありませんか。主はさらにこうおっしゃっています。「わたしはあなたがたに,あなたがたの子供たちを光と真理の中で育てるようにと命じた。」(教義と聖約93:40)「〔わたしたちの〕家族を整える必要がある。また,家族の者に,家庭でもっと勤勉に家庭のことに携わり,常に祈るようにさせる必要がある。そうしなければ,彼らはその場所から退けられるであろう。」(教義と聖約93:50)。

わたしたちの時代の預言者も,家族を整えるようにという同様の勧めと警告を与えています。わたしたちが霊感と愛という祝福を受けて,家族の信仰をもって反対のものに対処していけますように。そうするとき,わたしたちは,それらの試練がわたしたちを主に近づけ,家族を互いに近づけるものであることを理解できるでしょう。預言者の声に聞き従って,わたしたち自身の家庭を整えることができますように(教義と聖約93:41-49参照)。わたしたちが主に近づくとき,家族全体が強められます。そして,互いに高め合い,強め合い,愛し合い,関心を持つときに,家族一人一人が強くなります。「助けを受け,助けを与えて,一緒に登って行く」のです(クエーカー教徒の格言)。

家族を強めるために,主の御霊みたまを家庭に招いて保つことができますように。また,家族一人一人が「永遠の命に至る細くて狭い道」(2ニーファイ31:18)を歩んで行くことができますようにお祈りします。