教科課程の訓練
学習進度ガイド作成の訓練


「学習進度ガイド作成の訓練」『セミナリー教科課程の訓練』

コンピューターで作業する男性

付録

学習進度ガイド作成の訓練

はじめに

生徒はセミナリーにおいて,「聖文コース」レッスンと「人生の備え」レッスンの両方を通じてイエス・キリストの福音を学びます。以下の表は,このタイプのレッスンに関連した様々なカテゴリーを挙げたものです。

「聖文コース」レッスンのカテゴリー

「人生の備え」レッスンのカテゴリー

「聖文コース」レッスンのカテゴリー

  • 『わたしに従ってきなさい』の週間スケジュールに結びついたレッスン

  • 学習を評価する

  • マスター教義の実践

「人生の備え」レッスンのカテゴリー

  • マスター教義:疑問への答えを見つける

  • 聖文研究スキル

  • 青少年の強さのために—選択する

  • 自立を育む

  • 心身の健康

  • 将来の教育と就職に備える

  • 学校で成功を収める

  • 宣教師への備え

  • 神殿への備え

  • 教会指導者の教え

学習進度ガイドを作成する際,様々な種類のレッスンを,年間を通じて,いつ,どのような頻度でスケジュールに入れたらよいのか判断が難しい場合もあるでしょう。本訓練は,プログラムアドミニストレーターやコーディネーター,教師が,これらのレッスンカテゴリーを適切なバランスで教えられるように,学習進度ガイドを作成する際の指針を提供することを目的としています。

学習進度ガイドの作成時に従うべき原則

学習進度ガイドを作成する際は,以下の4つの原則を理解し,従うことが助けとなるでしょう。

原則1:「聖文コース」レッスンスケジュールを立てるときは,『わたしに従ってきなさい』の週間スケジュールに従う

「聖文コース」レッスンの内容は,生徒が個人で学んでいる内容や,家庭で家族と一緒に学んでいる内容に合うように用意されています。このため,教師は通常,『わたしに従ってきなさい』の手引きでスケジュールが組まれているのと同じ週に,「聖文コース」のレッスンも教えるべきです。時折,セミナリーで『わたしに従ってきなさい』の進度とは異なる「聖文コース」のレッスンを教えることもありますが,そのような例外はまれであり,教師は『わたしに従ってきなさい』から大幅に遅れたレッスンや大幅に進んだレッスンを教えることは避けるべきです。

原則2:「聖文コース」と「人生の備え」のレッスンを毎週適切にスケジュールに組み込む

「聖文コース」レッスン(「マスター教義の実践」レッスンや「学習を評価する」レッスンを含む)と「人生の備え」レッスンは,セミナリーでの経験において重要なものとなります。これらのレッスンを,毎週バランス良くスケジュールに組み込むよう努めてください。例えば,平均して週に5回実施するプログラムでは,通常「聖文コース」レッスンを3回,「人生の備え」レッスンを2回教えます。

一般的に推奨されているバランスのグラフ

この推奨されているバランスを調整することが適切な週もあるでしょう。例えば,「モルモン書」コースで,第三ニーファイに記録されている救い主の現れについて教える週では,教師は「聖文コース」レッスンにもっと多くの時間を割くことができるでしょう。また,「人生の備え」レッスンにもっと時間を割くことのできる週もあるでしょう。教師やプログラムアドミニストレーターがこうした判断を下せるよう,教科課程には,「聖文コース」レッスンが通常のように週に3回ではなく,週に2回または4回用意されている場合があります。そのような週は,いつ「聖文コース」と「人生の備え」レッスンのどちらかに重点を置くべきかを把握する助けとなります。「聖文コース」レッスンが3回未満だった場合,その週は「人生の備え」のレッスンを増やすことができます。また,「聖文コース」レッスンが3回以上あった場合は,その週は「人生の備え」レッスンに割く時間を減らすことができます。

ただし,年度内に「人生の備え」の各レッスンを教え終えることができるよう最善を尽くしてください。「人生の備え」レッスンは,手引きの中の「聖文コース」レッスンの後に載っています。

以下の指針は,「人生の備え」レッスンの様々なカテゴリーをいつスケジュールに組み込むかを決めるうえで助けとなるでしょう。

  • 「人生の備え」レッスンの回数が,コースの前半と後半でほぼ同じになるようスケジュールに組み込むようにする。こうすることで,教師は年間を通して「聖文コース」レッスンと「人生の備え」レッスンをバランス良く教えることができます。

  • 自分の監督下にある教師たちが,コースの半期内で同じ「人生の備え」レッスンを教えるようにする。こうすることで,コースの半分を終えた時点で教師が交代する場合でも,生徒が「人生の備え」レッスンを重複して受けるのを防ぐことができます。

  • 地元の地域や地区,プログラムの指示に従う。地元の地域や地区,プログラムから,「人生の備え」レッスンの一部または全部を教える時期に関して指示が来る場合があります。

  • 各「人生の備え」カテゴリーの「概要」セクションにある学習配分の提案を確認する。「人生の備え」レッスンの各カテゴリーにある「概要」セクションには,学習進度の提案が載っています。これらの提案は,「人生の備え」レッスンの一部をいつ教えるのが最適かを判断するうえで助けとなります。例えば,「教育と就職に備える」の概要では,年度初めに「教育の重要性」というタイトルのレッスンを教えるよう提案されています。また,「概要」セクションには,順番に教えたり,近い時期に教えたりすることでより効果を発揮する特定の「人生の備え」レッスンに関する指示も載っています。

  • 生徒が特定の「人生の備え」レッスンから最も恩恵を受けられる時期を見極める。一年のうち,特定の「人生の備え」レッスンを教えるのに最も適した時期が存在する場合もあるでしょう。例えば,セミナリーのクラスに間もなく伝道に出る生徒がいる場合,年度末に向けて「宣教師への備え」レッスンを教えるのが良い場合もあります。また,一年のうちで生徒がストレスを感じやすい時期に,「心身の健康」のレッスンを幾つか教えてもよいでしょう。

  • 「人生の備え」レッスンのカテゴリーに結びつく「聖文コース」レッスンを見つける。「聖文コース」のレッスンには,「人生の備え」レッスンの土台となる内容が含まれていることがよくあります。例えば,「神殿への備え」レッスンは,神殿に焦点を当てた聖句ブロック(教義と聖約95章109-110章124章127-128章出エジプト35-40章列王上6-9章など)の付近にスケジュールを組み込むとよいでしょう。

原則3:生徒は,学んでいることを振り返り,分かち合い,実際に行う機会を定期的に持つべきである

この手引きには,「聖文コース」レッスンの間に定期的に行う「学習を評価する」レッスンと「マスター教義の実践」レッスンも載っています。これらのレッスンは,生徒のセミナリーでの経験において重要な要素となります。「学習を評価する」レッスンは,生徒が重要な教義を説明し,自分が霊的にどのように成長しているかを振り返る機会となります。これらのレッスンに参加することは,生徒がセミナリーの単位を取得するための必須条件でもあります。「マスター教義の実践」レッスンは,生徒にとって,マスター教義の成果の達成に向けて取り組む機会となります。

学習進度ガイドを作成する際は,セミナリー開講中に行う「学習を評価する」レッスンや「マスター教義の実践」レッスンを省略することのないようにしてください。ただし,夏休みや冬休みなど,生徒が学校に通っていない期間に行う「学習を評価する」レッスンや「マスター教義の実践」レッスンを移動する必要はありません。

原則4:後で評価を行う「聖文コース」のレッスンをスケジュールに組み込む

週によっては,教えられる日数よりも「聖文コース」レッスンのほうが多い場合もあるでしょう。このため,「聖文コース」のどのレッスンをスケジュールに組み込むかを決める必要が生じることもよくあります。このような決定を下す際は,(1)「学習を評価する」レッスンで取り上げられる内容に関連した,(2)マスター教義聖句が含まれている「聖文コース」レッスンを優先してください。こうすることで,最適で教義的に重要な「聖文コース」レッスンをスケジュールに組み込める可能性が高くなります。

以下は,「学習を評価する」レッスンと「マスター教義の実践」レッスンにかかわりのある「聖文コース」レッスンを見極める助けとなるでしょう。

  • 「学習を評価する」レッスンにかかわりのある「聖文コース」レッスンを確認する。「学習を評価する」レッスンでは,「聖文コース」の様々なレッスンの活動が参照されることがよくあります。スケジュールに組み込んだ「学習を評価する」レッスンに目を通すことは,学習進度ガイドで優先させられる「聖文コース」のレッスンを見極める助けとなります。

  • マスター教義聖句が含まれている「聖文コース」のレッスンを確認する。各年度のセミナリー教科課程には,マスター教義聖句が24個含まれています。この聖句の一覧は,『マスター教義に関する基本文書』に載っています。学校が開いている時期にマスター教義聖句が含まれている「聖文コース」レッスンがあるときは,そのレッスンを教えるべきです。ただし,夏休みや冬休みなど,生徒が学校にいない時期にマスター教義聖句が含まれている「聖文コース」レッスンを行う場合は,必ずしもマスター教義聖句を使ったレッスンをする必要はありません。

学習進度ガイドの作成手順例

上記の原則を用いて学習進度ガイドを作成する方法として,様々な方法が存在します。例えば,以下のような手順で学習進度ガイドを完成させることができます。

  1. 以下を含めた「聖文コース」レッスンのスケジュールを組む:

    • 「学習を評価する」レッスン

    • 「マスター教義の実践」レッスン

    • 上記のいずれかのレッスンに生徒を備える「聖文コース」レッスン

  2. 「人生の備え」レッスンのスケジュールを組む。

  3. 必要に応じて調整を加える。

事例研究

メンドーサ姉妹は,早朝セミナリーの教師です。彼女とコーディネーターのアマシオ兄弟は現在,1月から始まる「教義と聖約」コースの進度ガイドを作成しているところです。以下は,メンドーサ姉妹とアマシオ兄弟が上記の3つのステップを用いて,どのように学習進度ガイドを作成したかを説明したものです。

ステップ1:「聖文コース」レッスンのスケジュールを組む

メンドーサ姉妹とアマシオ兄弟は,学習進度ガイドの作成に取り掛かる際,セミナリーのクラスがある週に「聖文コース」の全レッスンをスケジュールに組み込むことから始めました。また,『わたしに従ってきなさい』で学ぶ内容に合わせてレッスンのスケジュールを組むようにしました。

二人は「聖文コース」レッスンに目を通し,コースの前半と後半それぞれに行う「学習を評価する」レッスンと「マスター教義の実践」レッスンをすべて確認しました。すると,生徒が学校に通っている時期に行う「学習を評価する」レッスンが5回(年度の前半に2回,後半に3回)あることに気づきました。

次に,メンドーサ姉妹とアマシオ兄弟は,セミナリー開講中に行う「マスター教義の実践」レッスンが5回(年度の前半に3回,後半に2回)あることに気づきました。

メンドーサ姉妹とアマシオ兄弟は,自分たちが学習進度ガイドに組み込んだ「学習を評価する」の各レッスンに目を通すと,各評価活動で焦点を当てている「聖文コース」レッスンはどれなのかに着目しました。そして,メンドーサ姉妹がそれらのレッスンを適切に強調できるように,また,後で生徒にどの活動を追って確認することになるかを知らせることができるように,学習進度ガイドの各レッスンの横にメモしました(*)。

次に,メンドーサ姉妹とアマシオ兄弟は,このコースで扱う24個のマスター教義聖句を確認しました。その結果分かったのは,このマスター教義聖句のうち,セミナリーが開かれている年度前半のレッスンで教える聖句は11個で,後半には7つの聖句のみ教えることになるということでした。そして,メンドーサ姉妹がレッスンの一環としていつマスター教義聖句を強調すればよいか分かるように,該当する学習進度ガイドの各レッスンのタイトルを太字にすることにしました。

ステップ2:「人生の備え」レッスンのスケジュールを組む

メンドーサ姉妹とアマシオ兄弟は,「聖文コース」の全レッスンのスケジュールを組み終えると,学習進度ガイドに「人生の備え」レッスンのスケジュールを入れ始めました。

アマシオ兄弟は前もって,自分の監督下にある教師全員に,コースの前半と後半でそれぞれどの「人生の備え」レッスンを教えるべきかについて指示を出していました。この指示を出したのは,コースの前半と後半で生徒に教える「人生の備え」レッスンに重複がないようにするためでした。アマシオ兄弟は,万が一コースの後半を教えるよう別の教師が召された場合に備えて,こうしておくことが特に重要だと考えていました。

アマシオ兄弟の指示は以下のようなものでした。

コースの前半に組み込むことにした「人生の備え」レッスン:

  • マスター教義:疑問への答えを見いだす(全5課)

  • 聖文研究スキル(全5課)

  • 学校で成功を収める(全4課)

  • 心身の健康(全7課)

  • 「総大会への備え」(4月の総大会の前に教える)

  • 「主の僕のメッセージを研究する」(コースの開始時に向けて教える)

  • 「テンプレート:教会指導者の教え」を用いた教会指導者からの8つのメッセージ(コースの前半で均等に教える)

コースの後半に組み込むことにした「人生の備え」レッスン:

  • 自立を育む(全4課)

  • 青少年の強さのために—選択する(全6課)

  • 将来の教育と就職に備える(全4課)

  • 宣教師への備え(全5課)

  • 神殿への備え(全4課)

  • 「総大会への備え」(10月の総大会の前に教える)

メンドーサ姉妹とアマシオ兄弟は,「人生の備え」レッスンをすべて学習進度ガイドに組み込みました。「人生の備え」レッスンの一部は,各レッスンカテゴリーの「概要」セクションにある提案に基づき,『わたしに従ってきなさい』で学ぶ教義と聖約の章に合わせるために,特定の週に組み込みました。二人は,生徒が各トピックにより最も恩恵を受けると思われる時期に基づいて,その他のレッスンも組み込みました。

学習進度ガイドに「人生の備え」レッスンを組み込んだ後も,まだレッスンの予定が入っていないクラスが,コースの前半に4つ,コースの後半に4つ残っていました。そこで,これらのクラスでは,最近の総大会の教会指導者の話を基にしたレッスンにすることに決めました。メンドーサ姉妹は,「テンプレート:教会指導者の教え」を使って,これらのレッスンを教えることにしました。

ステップ3:必要に応じて調整を加える

メンドーサ姉妹とアマシオ兄弟は,一緒に作成した学習進度ガイドに目を通して,何らかの調整が必要かどうかを確認しました。二人は,学校のスケジュールが休みになるためにセミナリーが休みになる週を見落としていたことに気づきました。この週に,生徒はマスター教義聖句も学ぶことになっています。アマシオ兄弟とメンドーサ姉妹は二人とも,このレッスンはその前の週か次の週に行うべきだと感じたため,そのレッスンを前の週にずらすことにしました。そのためには,スケジュールに組み込んでいるほかのレッスンと入れ替える必要があります。そこで,このレッスンを「教会指導者の教え」レッスンの一つと入れ替えることにしました。学習進度ガイドで調整する必要があったのはこれだけでした。

メンドーサ姉妹もアマシオ兄弟も,自分たちが下した決断について良い気持ちを感じました。メンドーサ姉妹は,生徒がセミナリーで意義深い経験を味わい,天の御父とイエス・キリストに近づくことになるだろうという確信が持てました。また,教え始める前にこうした事柄を決められたことで,年度内は次に教えるレッスンの準備に集中できることに感謝しました。そして,レッスンの準備に加えて,その週にどのレッスンを教えるかを決めなくても済むことで,大きな負担が取り除かれたように感じました。