「人生の備えレッスンの訓練」『セミナリー教科課程の訓練』
「人生の備え」レッスンの訓練
概要
大管長会のヘンリー・B・アイリング管長は,青少年に祝福をもたらす教師の努力を称えてから,次のように述べました。「しかし,〔生徒〕にはさらなることが必要です。セミナリーを卒業したあとに,あまりにも多くの生徒が伝道に出る資格を失っています。あまりにも多くの忠実な生徒が,神殿の儀式の祝福を一度も受けていません。わたしたちが変わらなければ,彼らに起こっているこのような悲劇の割合が増えるでしょう。」(「わたしたちは目標を高く掲げなければなりません」〔CES大会,2001年8月14日〕「福音ライブラリー」)
アイリング管長がこの言葉を述べてから,20年以上がたちました。現代の青少年は,信仰面だけでなく,人生のほかの面においても,さらに大いなる試練や反対の力に直面しています。「人生の備え」レッスンは,この世代の青少年の必要にこたえられるよう用意されています。これらの「人生の備え」レッスンでは,以下の事柄に関して,生徒が救い主の教えを応用する機会を設けています。
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難しい質問や人生における困難な状況に対処する。
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自分や家族を養うために自立を育む。
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心身ともにさらに健康になる。
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学校で成功を収めるためのスキルを伸ばす。
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将来の教育や就職に備えるための計画を立てる。
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伝道や教会での奉仕に備える。
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神殿で聖約を交わして守る備えをする。
これらのレッスンは,青少年が直面する課題に対して,御霊の導きによる,キリストを中心とした,聖典に基づく,学習者に焦点を合わせた方法で対処する助けとなるでしょう。「人生の備え」レッスンは,「聖文コース」レッスンと併せて,生徒がイエス・キリストと回復された福音への改心を深める助けとなります。
「人生の備え」レッスンとその目的
本訓練では,「聖文コース」のレッスンと同様,セミナリー・インスティテュートの目的を果たすために,「人生の備え」レッスンがどのように構成されているかを学ぶ機会があります。「人生の備え」レッスンはそれぞれ,セミナリー・インスティテュートの目的の「教える」という段落にある以下の標準に従って書かれています。
わたしたちはどの学習経験においても,イエス・キリストとその模範,特質,贖いの力を中心にします。わたしたちは聖典と預言者の言葉にあるとおりのイエス・キリストの回復された福音を,生徒が学べるように助けます。わたしたちは生徒が自分自身で学ぶという,自らの役割を果たせるように助けます。わたしたちはどの学習経験でも聖霊を招き,その役割を果たしていただけるよう努めます。
「人生の備え」レッスンは,セミナリー・インスティテュートの目的を果たす助けとなる
定義する
「人生の備え」レッスンを含め,レッスンを準備する際には,目的にある「教える」という段落の各文を,このレッスンでどのように達成できるかを調べるとよいでしょう。
例
以下の二つのレッスンは,2025年の「人生の備え」レッスンからの抜粋です。一つ目は,「健全な思考パターンを身につける」というタイトルの「心身の健康」からのレッスンです。二つ目は,「自分の強みや能力を見いだす」というタイトルの「学校で成功を収める」からのレッスンです。まったく異なるトピックに焦点を当てたこれらの学習活動が,セミナリー・インスティテュートの目的を果たすため,どのように組み立てられているかに注目してください。
第186課:健全な思考パターンを身につける
キリスト中心:このレッスンの中から,学習経験をイエス・キリストを中心としたものにする助けとなる例を幾つか紹介します。これらの例において,生徒がどのように救い主の助けを求め,救い主の模範と教えから学ぶよう求められているかに注目してみましょう。
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これから,正しくない考えや不健全な考えを正すために,救い主の助けを求める訓練をすることを生徒に伝えるとよいでしょう。
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思いの中で救い主を仰ぎ見るとは,どのようなことだと思いますか。(例としては,わたしたちが直面する状況において,救い主がどう振る舞われるかを深く考えることで,その状況で主の教えをどう当てはめられるかを探すことや,主の愛を覚えておくことなどが挙げられます。)
聖典ベース:このレッスンの中から,生徒が聖典や預言者の言葉から学ぶ助けとなる例を幾つか紹介します。生徒には聖典を学ぶ機会が提供されており,生徒がこの聖句を理解するうえでラッセル・M・ネルソン大管長の言葉が助けになるかもしれないことに注目してください。
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教義と聖約6:36を読み,主がわたしたちに何を行うよう招いておられるかを見つけてください。
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ネルソン大管長は,この聖句に関して次のように教えています。「救い主とその福音に焦点を絞る必要があります。あらゆる思いの中で主を仰ぎ見ようと努めるには,精神的な強さが求められます。しかし,そうするなら,わたしたちの疑いや恐れは消え去るのです。」(ラッセル・M・ネルソン「イエス・キリストの力を生活に取り入れる」『リアホナ』2017年5月号,41)
学習者重視:このレッスンの中から,生徒が自分自身で学ぶという自らの役割を果たす助けとなる例を幾つか紹介します。生徒は,学習体験に取り組む意欲を高めるため,自分が必要としている事柄を認識するように求められていることに注目してください。生徒はまた,自分独自の意見や考えを分かち合うよう求められています。
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生徒に,自分の思考パターンに気づく頻度や,その思考パターンが有益なものか,あるいは正確なものかどうかよく考えるよう勧めます。
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ネルソン大管長の言葉で印象に残ったものは何ですか。
御霊に導かれる:レッスンで聖霊を招き,学習経験において聖霊に自らの役割を果たしていただく方法の例を紹介します。教師は,聖霊の導きを求めるよう,意図的に生徒を招くように勧められています。このような招きは,生徒が学ぶ中で聖霊の導きを受けようと努める助けとなります。
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特に困難な状況に対処する際,自分の思考パターンをさらによく理解するため,聖霊を通して導きを求めるよう生徒に勧めます。
第193課:自分の強みや能力を見いだす
キリスト中心:このレッスンの中から,学習経験をイエス・キリストを中心としたものにする助けとなる例を幾つか紹介します。このレッスンの太字になっている真理が,キリストにどう結びついており,主に助けを求めるよう生徒をどう促しているかに注目してください。生徒はまた,自らの神聖な本質や,自分の持つ強みや能力が神の愛と憐れみの現れであることについて思い起こすことになります。
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生徒は次のような真理を挙げるかもしれません。「主は外の顔かたちではなく,心を見られる」(サムエル上16:7参照)。「わたしたちを強くしてくださるイエス・キリストによって,何事でもすることができる」(ピリピ4:13,アルマ26:12参照)。「わたしたちの価値は神の目に大いなるものである」(教義と聖約18:10参照)。
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わたしたちは神の形に創造された神の子供として,それぞれが異なる強みや能力を授かっていることを生徒に思い起こしてもらいます。中には,神から授かった強みや能力を認識するのが難しい生徒もいるかもしれません。
聖典ベース:このレッスンの中から,生徒が聖典や預言者の言葉から学ぶ助けとなる例を幾つか紹介します。生徒が学ぶことになる聖句は,生徒がイエス・キリストに助けを求めることができるよう,意図的に選ばれたものであることに注目してください。生徒にはその後,神から与えられた賜物の一部を見いだす方法について,使徒の勧告を学ぶ機会が設けられています。
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以下の聖句を幾つか研究して,イエス・キリストを通して自らの可能性を発揮する能力を認識する助けとなるような永遠の真理を見つけてください。サムエル上16:7,ピリピ4:13,ヤコブ4:7,アルマ26:12,教義と聖約18:10。
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十二使徒定員会のロナルド・A・ラズバンド長老は,天の御父がわたしたちに与えてくださった才能や強み,能力を認識する方法を幾つか分かち合っています。「神から頂いている才能は,好きなことを突き詰めるうちにはっきりと分かるようになります。自分にはどんな才能があるのだろうかと悩んでいる人は,好きなことのリストを作ってみてください。生活の様々な分野で楽しんで行っていることをすべて書き出すのです。例えば霊的な分野,音楽,演劇,学業,スポーツの分野などを考えてください。目が開かれて霊感を受けられるよう,祝福師の祝福を研究し,思いを巡らしてください。家族や信頼できる友人,教師,指導者に相談してください。周りの人の方が,自分自身ではよく見えない部分をはっきりと見ていることがよくあります。」(ロナルド・A・ラズバンド,「イエスのたとえ—タラントのたとえ」『リアホナ』2003年8月号)
学習者重視:このレッスンの中から,生徒が自分自身で学ぶという自らの役割を果たす助けとなる例を幾つか紹介します。これらの活動が,生徒が自分の経験や状況について考えるうえでどのような助けとなるかに注目してください。こうした活動は,生徒が現在抱えている必要に対処できるよう,この学習経験に心と思いを注ぐ意欲を持てるようにすることを目的としています。また生徒にとって,自分が直面している現実の課題について,また聖文に出てくる真理がどう役立つのかについて考える機会にもなります。
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将来就きたいと思う責任や雇用の機会について考えてみてください。また,将来に向けてさらによく備えるのに役立つ,まだ伸ばす必要があるスキルや能力についても考えてみてください。
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自分の能力に落胆したとき,これらの真理はどのような助けとなるでしょうか。
御霊に導かれる:レッスンで聖霊を招き,学習経験において聖霊に御自身の役割を果たしていただく方法の例を紹介します。生徒は,今自分が必要としていることや,人生に備えるための次のステップをよりはっきりと理解できるよう,聖霊の導きを求めるよう勧められていることに注目してください。
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今日学ぶ中で,これらの責任に備えるために,すでに持っている強みやスキルを見いだすことができるよう,聖霊を通して天の御父の導きを求めてください。
実践する
地元の学習進度ガイドに基づき,間もなく教えることになる「人生の備え」レッスンを確認します。このレッスンを確認し,以下の質問の答えを見つけてください。
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この学習経験は,どのようにイエス・キリストを中心に据えているでしょうか。
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このレッスンは,生徒が聖典や預言者の言葉にあるイエス・キリストの福音を学ぶうえでどのような助けとなるでしょうか。
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このレッスンは,生徒が自分自身で学ぶという自らの役割を果たすうえで,どのような助けとなるでしょうか。
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このレッスンは,学習経験において聖霊に御自身の役割を果たしていただけるよう招くうえで,どのような助けとなるでしょうか。
レッスンスケジュールを明確に伝える
生徒にとって,ある日は「聖文コース」のレッスンを受け,次の日には「人生の備え」のレッスンを受けるというのは,混乱を招く場合もあるでしょう。生徒が,その週に学ぶ内容についてより広い見通しを得られれば,学習に向けてよりよく備える助けとなります。それを実現するための手段として,以下のようなスキルが存在します。レッスンの種類を切り替えたときに生徒が混乱していることに気づいたら,これらの提案や自分で考えたことを一つ以上試してみるとよいでしょう。この訓練は以下のことを行う助けとなるでしょう。
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週の間に何を教えるのか,なぜ教えるのかを明確に伝える。
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週の間に,レッスンやトピックが「聖文コース」レッスンから「人生の備え」レッスンに移り替わるときには明確に伝える。
週の間に何を教えるのか,なぜ教えるのかを明確に伝える
定義する
各週の初めに,曜日ごとに予定されているレッスンやトピックを生徒に紹介することができます。生徒が,その週の方向性やレッスンの目的を理解していれば,もっと学習経験に取り組む心構えができるようになります。その週に教える内容を伝える一つの方法として,その週の各レッスンのタイトルと,そのレッスンで学ぶ内容についての簡単な要約を見せることができます。
例
「クラスの皆さん,わたしは今週のレッスンを楽しみにしています。」〔教師は以下のような図表を見せる〕
月曜日 |
教義と聖約3章 |
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火曜日 |
教義と聖約4章 |
水曜日 |
教義と聖約5章 |
木曜日 |
「学習を評価する」レッスン |
金曜日 |
「ストレスや不安にうまく対処する」 |
「今週は月曜日から水曜日にかけて,教義と聖約の3章―5章を学びます。預言者ジョセフ・スミスにとって,非常に困難な試練に遭ったこの時期は,ストレスの多い時期でした。これらの章から,ストレスの多い時期にイエス・キリストに頼り,確固として立つ助けとなる,神が明らかにされた重要な真理を学ぶ予定です。木曜日には,『学習を評価する』レッスンで,学んでいる内容を振り返る機会があります。金曜日には,天の御父とイエス・キリストの助けと力を受けて,ストレスや不安を乗り越える方法について話し合う予定です。」
実践する
来週の学習進度ガイドと概要を確認してください。その週に教える内容を明確に伝えるために,どのようなことができるかを書き出してみましょう。
週の間に,レッスンやトピックが「聖文コース」レッスンから「人生の備え」レッスンに移り替わるときには明確に伝える
定義する
「聖文コース」レッスンから「人生の備え」レッスンに切り替えるとき,その日のレッスンのテーマや目的を生徒に伝えることができます。レッスンの内容が前回のクラスと似ている部分や異なっている部分を伝えるとよいでしょう。毎回このように伝える必要はありませんが,生徒に目的や方向性を理解してもらううえで助けになる場合もあるでしょう。
例
「以下に示すのは,『聖文コース』レッスンと『人生の備え』レッスンの目的がしっかりと合致している例と,そうでない例です。」
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「今週は,預言者ジョセフが直面した非常にストレスの多い状況について学んできましたね。どのような状況だったか覚えていますか。」〔生徒の回答〕「それでは,ストレスの多い状況に直面したときに天の御父とイエス・キリストから力を見いだす助けとなるように,教義と聖約のこれらの箇所について学ぶのはここまでにして,ここからは聖文や教会指導者の言葉から学んでいきたいと思います。」
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「教義と聖約にあるこれらの記録を学ぶ中で,ストレスの多い状況に立ち向かうために,主からどのように力を得られるかを学んできました。それでは,今からは主の神殿に参入して主を礼拝するふさわしさを保つために,主からどのように力を得られるかを学んでいきたいと思います。」
実践する
今週の学習進度については,教科課程を確認してください。日々クラスで何に重点を置くかを明確に伝える方法を書き出してみましょう。
注意事項
「人生の備え」レッスンでは,セミナリーの生徒が,この世における試練を乗り越えられるよう,天の御父とイエス・キリストがどのように助けてくださるかを学ぶ機会を設けています。これらのレッスンを教える際は,以下の点に留意してください。
あらゆる学習経験は,キリストを中心とした,聖典に基づく,学習者に焦点を合わたものであるべきである
セミナリーにおけるあらゆる学習経験は,宗教教育セミナリー・インスティテュートの目的を果たす助けとなるべきです。つまり,学習経験は常にキリストを中心としたものであり,学習者に焦点を合わせており,聖典に基づいたもので,御霊によって導かれているということです。「人生の備え」レッスンでは,このバランスを崩してしまいがちです。例えば,あるトピックについて豊富な経験を積んできた教師は,学習者に焦点を合わせた経験にすることにかなり集中したことで,生徒の必要を満たすための様々なスキルや戦略に重点を置くことなる可能性があります。しかし,そうする中で,その教師は生徒をキリストに結びつけ,聖典や預言者の言葉から教える必要性を容易に見落としてしまう恐れがあるのです。
事例研究:ジョーンズ姉妹は,ファイナンシャル・プランニングに関して豊富な経験があります。ジョーンズ姉妹は,ファイナンシャル・プランニングに関する多くのスキルを,とりわけ学習者に焦点を合わせた形で生徒に教えることにしました。
ジョーンズ姉妹がこのような形でレッスンを行うと,どのような結果を招く恐れがあるでしょうか。
教科課程にあるように,「人生の備え」レッスンの数のバランスを取る
教師によっては,レッスンの種類やトピックによって,ほかのものよりレッスン時間を増やしたいものや減らしたいものがあるかもしれません。各カテゴリーのレッスン数は,教会のほかの部門の担当者も含め,多くの人々が話し合って決定したものであることを心に留めておいてください。教師にとってはあまり興味がないように思われるトピックでも,一部の生徒にとってはとても価値あるものかもしれません。一部のレッスンに,教科課程で概説されている時間よりも多くのレッスンの時間を費やすことは,ほかの重要な学習成果を軽視することにつながる恐れがあります。「学習進度ガイド作成訓練」によれば,学習進度ガイドでは通常,「聖文コース」レッスンのほうが「人生の備え」レッスンよりも多くなるべきであると推奨されています。「人生の備え」の各カテゴリーのレッスン数も,推奨されるバランスを示しています。ごく少数の例外を除き,これらの指針に従ってください。
事例研究:ヘンドリックス兄弟は,セミナリーで青少年を伝道に備えさせるための取り組みがようやく計画的に行われるようになったことに感激しています。彼は,伝道の備えに関する5つのレッスンのみを教える代わりに,これらのレッスンと自分で用意した幾つかのレッスンを2週間かけて教えています。
ヘンドリックス兄弟が「宣教師への備え」レッスンを教える際にとったアプローチは,どのような結果を招く恐れがあるでしょうか。
経験レベルに関係なく教科課程を活用する
各レッスンの目的も,レッスンの数と同様,教会のほかの部門の人々も含め,多くの人々と協力して決められています。これらの部門は,多くの場合,教会のコーリレーション・リサーチ課が行った調査を参考にしています。教会のコーリレーション部は,セミナリー・インスティテュート教科課程のすべてのレッスンと同様,「人生の備え」レッスンに関して,教義が正確かつ適切であるかを慎重に確認しています。これらのレッスンは,そのテーマに関する包括的なコースではなく,取り上げるトピックへのシンプルなアプローチとなるよう用意されています。そのトピックに詳しい人は,重要なアイデアが抜け落ちていると感じるかもしれません。レッスンにないものを追加する際は,十分に注意してください。特定のトピックに関する経験が多いか少ないかにかかわらず,教科課程を学習経験の土台として活用してください。何を調整するかを決める前に,レッスンを取り入れることから始めてください。この点について詳しくは,『セミナリー教科課程の訓練』にある「セミナリー教科課程の採用と調整の訓練」を参照してください。
事例研究:ベンソン姉妹は,臨床ソーシャルワーカーの資格を持っています。彼女は現在,依存症のクライアントを助けるための新たな手法で大きな成功を収めています。そこで,心の健康のレッスンの代わりに,この新たな手法に関連したスキルを生徒に教えることにしました。
ベンソン姉妹が心の健康のレッスンに対してとったアプローチは,どのような結果を招く恐れがあるでしょうか。
教師としての自らの役割を覚えておく
「人生の備え」レッスンを教えるときは,セミナリー教師としての自らの役割を覚えておくようにしてください。生徒から,自分が直面している困難な状況について相談される場合もあるでしょう。皆さんの役割は,生徒が必要な助けを得られるよう,親や神権指導者のもとへ導くことです。虐待を伴う可能性のある状況での助けについては,『セミナリー・インスティテュート緊急時対応ガイド』の「虐待」の項を参照してください。
事例研究:ベンソン姉妹は,レッスンを教えた後,多くの生徒がレッスン後もクラスに残っていることに気づきました。生徒は,自分の生活に関するきわめて個人的な事柄を話したがっています。そこで,レッスン後や放課後に,自分のオフィスで生徒と個別に話をすることにしました。
ベンソン姉妹と生徒とのやりとりは,どのような結果を招く可能性があるでしょうか。
まとめ
生徒は,セミナリーの4年間で,様々な状況や場面で救い主の教えを応用する方法を学ぶ多くの機会を得ることになります。「聖文コース」レッスンに「人生の備え」レッスンが加わったことで得られる学習経験は,救い主の力や教え,福音を活用することで,人生の試練に立ち向かえるようあらゆる世代をより良く備えてくれることでしょう。また,天の御父とともに永遠に暮らせるよう,自分自身や家族,その他の人々を備えるために,よりよく整えられることでしょう。