第7章
総大会説教の研究
はじめに
エズラ・タフト・ベンソン大管長(1899-1994年)は,このコースの基礎となる原則を次のように教えています:
「生ける預言者には,現に今起こっている出来事に関する主の御心を伝える力が与えられています。……そしてわたしたちにとって最も大切な読み物は,毎月の教会機関誌に記載される生ける預言者の言葉です。また,6か月ごとにわたしたちに進むべき道を示して為すべきことを教えてくれるのは,『エンサイン』(Ensign)〔または『リアホナ』〕大会特集号の大会説教です。」(“Fourteen Fundamentals in Following the Prophet”〔ブリガムヤング大学デボーショナル,1980年2月26日〕,2,speeches.byu.edu)
また,スペンサー・W・キンボール大管長(1895-1985年)は,教会機関誌の大会特集号を個人で入手し,各自の福音の蔵書に加えるように勧めています:
「〔『エンサイン』(Ensign)または『リアホナ』〕を入手して,皆さんに関連のある箇所に下線を引き,常に参照するようにしてください。教会の標準聖典を除けば,皆さんの書棚でこの機関誌ほど重要な位置を占める書物はほかにありません。それは文章のきらびやかさや表現方法の巧みさのためではありません。永遠の命へと通じる道を指し示す教えがそこに含まれているからなのです。」(In the World but Not of It, Brigham Young University Speeches of the Year〔1968年5月14日〕,2-3)
この章では,『Ensign』または『リアホナ』の大会特集号や中央幹部によるその他のお話をさらに効果的に研究するための提案や方法を学びます。このコースの大部分は,最近の総大会の説教を研究する方法について重点を置いています。生ける預言者の説教を注意深く聞き,研究することで,今の生活にあなたが必要とする主の御心を理解できるようになります。これから学ぶそれらの研究方法をどう活用するか祈りをもって決め,主イエス・キリストへの信仰と,主から聖任された指導者が霊感を受けて伝えるメッセージへの信仰を強めるようにしてください。
解説
7.1
思いと心を備える
主の御心を受け,それを理解するには準備が不可欠です。主は次のように約束しておられます。「あなたに降ってあなたの心の中にとどまる聖霊によって,わたしはあなたの思いとあなたの心に告げよう。」(教義と聖約8:2)あなたが思いと心を備えることで,主の言葉をもっと容易に受けられるようになります。十二使徒定員会のデビッド・A・べドナー長老は,準備と積極的に学ぶ姿勢の大切さを次のように教えています:
「ニーファイはこう教えています。『人が聖霊の力によって語るときには,聖霊の力が〔そのメッセージ〕を人の子らの心に伝える……。」(2ニーファイ33:1)注目するべきは,御霊の力は教えを心に伝えるのですが,それが常に心に入るとは限らないということです。教師は大いなる御霊の力を用いて効果的に説明し,論証し,説得し,証することができます。しかし,結局は生徒の側で心に取り込もうとしなければ,教えの内容も,聖霊による証も彼らの心にしみ込みません。信仰によって学ぶことによって心の扉が開くのです。……
正しい原則に従って行動することによって選択の自由を働かせる学習者は,聖霊に心を開きます。そして聖霊からの教え,聖霊による証の力,そして聖霊による確認の証の力を受けることができます。信仰によって学ぶ望みを持つには,外からの影響を受けるだけでなく,霊的,精神的,肉体的な努力が必要です。信仰に鼓舞されて行動し,真心を込めて努力し続けるとき,わたしたちは聖霊から教えを受けて学びたいという意欲を天の御父とその御子イエス・キリストに示しているのです。……
……様々な経験をするにつれ,人からもらった答えは忘れやすく,短い間しか記憶にとどまらないということが分かってきました。その反面,信仰を働かせて自分で見つけたり,たどり着いたりした答えは通常,生涯にわたって心に残ります。人生で最も大切な教訓は,教えられるものではなく,自分で得るものなのです。」(「信仰によって学ぶ望みを持つ」『リアホナ』2007年9月号,17,20,23)
総大会の前には次のような方法で準備することを考えてください:
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集中して総大会の説教を聞けるような時間を設ける。聖霊の促しを受けられるような環境作りをする。
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心のこもった祈り,断食,聖文研究を通じて,御霊の導きを求める。
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答えを求めている個人的な疑問,あるいは問題のリストを作る。その後に総大会の間に受けた答えや印象を書き留める。
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前回の総大会で書き取ったメモを見直す。
7.2
総大会の説教を研究する際の効果的な研究方法の実践
総大会の説教を研究する際には,聖文を学ぶときと同じ方法を多く活用することができます。この章の残りの部分では,そのような研究方法を幾つか学びます。この章に書かれている提案事項を実践することは,生ける預言者について研究することだけでなく,正しい選択をするための力にも変化を及ぼします。
7.2.1
教義と原則を見つける
総大会の説教を研究する際には,福音の教義や原則を明確に示す言葉を見つけるようにしてください。それらの言葉を見つけたら,後で見直し,覚えやすい方法で印を付けてください。教義や原則の言葉を見直し,それについて深く考えることで,福音の真理への理解が深まり,それらに従って生活する決意を強めることができます。次の言葉は,総大会の間に学ぶことのできる教義や原則の一例です:
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十二使徒定員会リチャード・G・スコット長老(1928-2015年):
「〔祈りに対する〕答えを全部すぐに与えられることはめったにありません。わたしたちが成長して力を増し加えられるよう,一度に少しずつ与えられるのです。一つ一つの答えも信仰があってこそ得られるもので,少しずつ導かれて,ついには,全部の答えを得るに至るのです。この手順を踏むには,御父がこたえてくださるという信仰を働かせることが求められます。この手順がとても難しいときもありますが,結果として大きく成長することができるのです。」(「祈りという天与の賜物を用いる」『リアホナ』2007年5月号,9)
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大管長会ヘンリー・B・アイリング管長:
「預言により,まことの生ける教会がもう地上から取り去られないだけでなく,さらに優れたものに発展していくことを,わたしたちは知っています。……聖文には,主は再び御自分の教会のもとに来られるときに,教会が御自分のために霊的に備えられているのを御覧になるだろうという約束が記されています。ですからわたしたちは固い決意を持ち,同時に,楽観的になるべきです。わたしたちは進歩しなければならず,それは可能であり,確かに実現するでしょう。」(「まことの生ける教会」『リアホナ』2008年5月号,21)
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十二使徒定員会ロバート・D・ヘイルズ長老:
「預言者のように聖文を研究し,断食し,祈り,信仰を築くことによって,わたしたちは個人の啓示を受ける備えをします。信仰が鍵です。」(「個人の啓示—預言者たちの教えと模範」『リアホナ』2007年11月,88)
7.2.2
聖典の解釈や説明を見つける
預言者には,聖文を解き明かし,より明確にするという重要な役割があります。以下に幾つか例を挙げます:
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十二使徒定員会のジェフリー・R・ホランド長老は,神会の御三方が別々の御方であることをいかに聖文が表しているかを教えています(「唯一のまことの神と,その神がつかわされたイエス・キリスト」『リアホナ』2007年11月号,40-42参照)。
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大管長会のジェームズ・E・ファウスト管長(1920-2007年)は,人を赦すという原則について聖句の言葉を実践する方法を教えています(「赦しのもたらす癒しの力」『リアホナ』2007年5月号,67-69参照)。
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十二使徒定員会のデビッド・A・べドナー長老は,1ニーファイ1:20に書かれている「主の深い憐れみ」について語っています(「主の深い憐れみ」『リアホナ』2005年5月号,99-102参照)。
7.2.3
説教と聖文を相互参照できるようにする
ある聖句の解釈や説明を見つけたら,その根拠となる大会説教の参照先を聖句の近くの余白に書いておくとよいでしょう。幾つかの例を以下に紹介します:
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ヨハネの黙示録22:18の近くの余白に,ジェフリー・R・ホランド長老『リアホナ』2008年5月号,91-94と書きます。このお話では,ホランド長老は黙示22:18に触れ,絶えることのない啓示の重要性について教えています。
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詩篇24:3-4の近くの余白に,デビッド・A・べドナー長老『リアホナ』2007年11月号,80-83と書きます。べドナー長老は,清い手,潔い心とはどういう意味かを話しています。
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ネヘミヤ記6章の余白に,ディーター・F・ウークトドルフ管長『リアホナ』2009年5月号,59-62と書きます。ウークトドルフ管長は,ネヘミヤによるエルサレムを取り囲む壁の再建と「偉大な業に携わっているから下って行くことはできない」という概念について話しています。
自分で使っているEnsignや『リアホナ』の余白に,説教で教えられている概念の支えとなる参照聖句を書くこともできます。
7.2.4
励まし,招き,戒めの言葉を見つける
励ましや招き,戒めの言葉を探すと,主の御心と調和するためにすべきことは何であるかを知ることができます。後でまた見つけることができるように,自分で使うEnsignまたは『リアホナ』の中にあるこれらの言葉に下線を引いておくとよいでしょう。そのような言葉の例を幾つか以下に紹介します:
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十二使徒定員会L・トム・ペリー長老(1922-2015年):
「霊的,肉体的,情緒的に必要な資格を備えたすべての若い男性に,イエス・キリストの教会の宣教師となるために備えて,出て来るよう再度呼びかけます。宣教師の最低基準を楽にクリアし,常にバーを上げ続けると決意してください。この偉大な召しをさらに効果的に果たせるように備えてください。(「バーを上げる」『リアホナ』2007年11月,49)
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十二使徒定員会ダリン・H・オークス長老:
「様々な選択肢を考慮するとき,『良い』というだけでは不十分であることを覚えておく必要があります。『より良い』選択肢もあれば,『最も良い』選択肢もあるのです。……
テレビを見たり,ビデオゲームをしたり,インターネットで様々なサイトを閲覧したり,本や雑誌を読んだりするという選択肢に費やす時間をどのように使っているか考えてみてください。もちろん,健全な娯楽を見たり,興味深い情報を得たりすることは良いことです。しかしそのようなことすべてが,そのために費やす時間に値するわけではありません。それより良いことがあり,最も良いこともあるのです。」(「良いこと,より良いこと,最も良いこと」『リアホナ』2007年11月号,105)
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トーマス・S・モンソン大管長:
「神殿に参入することのできる皆さんには,しばしば神殿に参入するよう勧めます。」(「豊かな祝福」『リアホナ』2008年5月号,112)
7.2.5
約束された祝福とそれを得るためにすべき事柄を見つける
預言者たちは,教える原則に従う人々に約束を与えることがよくあります。約束された祝福を追い求めることは,義にかなった生活を送るための励みとなります。そのような約束の例を以下に二つ紹介します:
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大管長会ヘンリー・B・アイリング管長:
「皆さんが聖文について深く考え,神と聖約を交わした事柄を実践し始めるなら,神に対する愛をいっそう深めることができ,また皆さんに対する神の愛をいっそうよく感じられることを約束いたします。そして,この愛を念頭に置いてささげられる皆さんの祈りは,感謝と願いとで心を満たしつつ,真心からささげられることになります。そして,神に頼る思いも強まります。また,恐れずに,心に平安を抱いて,神に仕える業のために行動を起こそうという勇気と決意とを見いだすことになります。常に祈るようになります。そして,将来どのようなことが起ころうとも,神を忘れるようなことはなくなるのです。(「祈り」『リアホナ』2002年1月号,18-19)
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十二使徒定員会L・トム・ペリー長老(1922-2015年):
伝道資金の大半を自分で賄うすべての若い男性には,社会的,肉体的,精神的,情緒的,そして霊的に,大いなる祝福が与えられることを約束します。」(「バーを上げる」49)
7.2.6
繰り返し使われる単語や語句を見つける
繰り返し使われる単語や語句により,わたしたちは話者のメッセージの主題に注意するようになります。例として,大管長会のディーター・F・ウークトドルフ管長はある総大会の説教の中で,繰り返し「わずかな誤差」という言葉を用いて,「ほんの小さな誤りが,しばしば個人,結婚,家族に幸福と悲劇のどちらをもたらすかを決める分かれ道になる」という点を強調しています(「わずかな誤差」『リアホナ』2008年5月号,57-60)。同様に,ウークトドルフ管長は,同じ大会の後の説教の中で「いにしえの聖徒の信仰」という語句を用いて,わたしたちのために道を備えてくれた,いにしえの人々の信仰を忘れないようにと勧告しています(「御父の信仰」『リアホナ』2008年5月号,68-70,75)。
繰り返し使われる単語や語句は,複数の話者のメッセージを結びつけることもあります。例えば「深い憐れみ」や「バーを上げる」などの語句が同じ総大会の間や複数の総大会で使われていることに気づくかもしれません。複数の説教を結び合わせることで,彼らが教える大切な福音の原則の理解が深まります。
7.2.7
印象深い語句のメモを取る
短くて覚えやすい語句でありながら深い意味を持つ語句を見つけてください。それらの語句について深く考えるとき,重要な原則の理解が深まります。以下に幾つか例を挙げます:
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十二使徒定員会ジョセフ・B・ワースリン長老(1917-2008年):
「主を愛するなら,従順は重荷ではなく〔なります〕。」(「いちばん大切な戒め」『リアホナ』2007年11月号,30)
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トーマス・S・モンソン大管長:
「自身の潔白な心……よりも価値のある友情などありません。」(「義の模範」『リアホナ』2008年5月号,65)
7.2.8
リストを見つける
話者は,悔い改めなどの過程やある原則の一部などをリストを使って説明することがあります。一例として,トーマス・S・モンソン大管長は,「神のまことの神権者の特質」をリストにして表現しました。そのリストには「展望という特質」,「努力という特質」,「信仰という特質」,「美徳という特質」,「祈りという特質」という言葉があります(「王国の神権者」『リアホナ』2007年11月号,59-61)。総大会の説教を研究するときにこのようなリストを見つけることで,その説教の中の情報をまとめたり,整理したりすることができます。それによって教えを理解し,覚え,自分の生活に当てはめることができるようになります。
7.2.9
「原因と結果」や「もし……ならば,……」の文を見つける
ある特定の行動の効果を明確に説明する文を見つけてください。そのような文には結果と祝福が書いてあります。以下に幾つか例を挙げます:
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大管長会ヘンリー・B・アイリング管長:
「もし聖文の研究がそっけないものになったら,祈りもそっけないものになるでしょう。祈ることはやめないかもしれませんが,祈りが,真心からでなく同じ言葉の繰り返しになったり,機械的にささげられるようになるでしょう。」(「祈り」18参照)
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ゴードン・B・ヒンクレー大管長(1910-2008年):
「〔怒りを制す〕れば,皆さんの人生は悔いのないものとなり,夫婦関係や家族関係が守られるでしょう。もっと幸福になり,もっと多くの善を行うことができ,すばらしい平安を味わえることでしょう。(「怒りをおそくする」『リアホナ』2007年11月号,66)
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トーマス・S・モンソン大管長:
「わたしたちは主の用向きを受けているなら,主の助けを受ける権利があります。」(「義の模範」『リアホナ』2008年5月号,65)
7.2.10
明確な論点や結論を表す単語や語句に注目してください。
「したがって」「最終的に」「よって」「要するに」「結論として」「忘れないでください」などの単語や語句は,主要な論点や結論を表します。以下に幾つか例を挙げます:
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十二使徒定員会のラッセル・M・ネルソン会長は,エペソ2:19-20と4:11-13を引用してから,次の言葉を述べました。
「したがって,使徒,すなわち大管長会と十二使徒定員会の務めは,信仰の一致をもたらし,救い主に関する知識を宣言することです。」(「救いと昇栄」『リアホナ』2008年5月号,7)
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十二使徒定員会のL・トム・ペリー長老(1922-2015年)は,父親が家長であることについて述べたとき,夫婦の間にあるべき一致を強調しました:
「兄弟の皆さん,家族の指導者として役割を果たすとき,妻が同僚であることを忘れないでください。……神は時の初めから,男女は結婚によって結び合い,一体となるよう人類に命じてこられました。したがって,家族には会長も副会長もいません。夫婦は家族のために永遠に協力するのです。夫婦は家族を導くときに,言葉にも行いにも一致していなければなりません。歩調を合わせて歩むのです。夫婦は一致協力して家族の事柄を計画し,準備し,進んでいきます。」(「父親,永遠の召し」『リアホナ』2004年5月号,71)
7.2.11
質問をする
良い質問をすることは学ぶ意欲を高め,話す言葉以上の教えを聖霊から受けられるようになります。総大会の説教を研究するときには,次のような質問をするようにしてください:
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話者はなぜその単語や語句を使ったのだろうか。
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わたしのため,わたしの家族のため,教会のためのメッセージは何だろうか。
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自分の生活でそれをどのように応用できるだろうか。
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それはイエス・キリストまたは救いの計画について何を教えているだろうか。
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この大会には主要なテーマがあるだろうか。
7.2.12
霊的な促しを書き留める
総大会で与えられる勧告について深く考えるならば,あなたの霊的な成長の度合いと必要に合った洞察や促しを聖霊が与えてくださいます。日記やノートに洞察を書き留めることで,それをあなたの思いや心に刻むことになります。また,自分を改善するための目標も書くとよいでしょう。定期的に書き留めたメモや目標を見直して,進歩しているか評価してください。
十二使徒定員会のリチャード・G・スコット長老(1928-2015年)は,心に浮かぶ思いを書き留めることで与えられる祝福について次のように説明しています:
「導きを感じ,それを記録し,それに従うという経験を繰り返すことにより,人は五感を通じてのコミュニケーションよりも御霊の導きに頼ることを学ぶのです(“Helping Others to Be Spiritually Led”〔教義と聖約,および教会歴史についての教会教育システムシンポジウム,1998年8月11日〕,3)。
ゴードン・B・ヒンクレー大管長(1910-2008年)も次のように勧めています:
「恐らく,ここでわたしたちが聞いたすべての説教の中から,一言でも二言でも心に残る言葉があるはずです。そのような言葉を書き留め,その意味の深さを味わい,その教えが自分の身に付くまでよく思い巡らしてください。」(「へりくだり悔いる心」『リアホナ』2001年1月号,102)
7.2.13
主の特別な証人が述べる証に注目する
信仰を築き上げるような力強い証は,自分の証を強めるための力の源です。証が述べられるときほど,御霊を強く感じられる機会はほかに多くはありません。その例を二つ紹介します:
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ゴードン・B・ヒンクレー大管長(1910-2008年)は,救い主について次の証を述べています:
「神の御子イエス・キリストに対する証を強めてください。主こそ,この偉大な御業のかしら石です。主が神性を有し,実在される御方であることを,厳粛に証します。主こそこの世のあらゆる罪のために,犠牲としてささげられた無傷の小羊なのです。主の苦しみがあったからこそ,恵みにより,永遠の命にあずかれるようになったのです。主こそわたしの教師であり,模範であり,友人であり,世の贖い主としてわたしの礼拝する救い主なのです。」(「あなたのタバナクルを築きなさい」『聖徒の道』1993年1月号,61,強調付加)
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十二使徒定員会のブルース・R・マッコンキー長老(1915-1985年)は生前最後の総大会の説教で次の証を述べています:
「さらに,神の血を流すことによってなされた完全な贖罪に関し,わたしはそれがゲツセマネとゴルゴタで行われたことを証します。またイエス・キリストに関して,イエスが生ける神の御子であり,この世の罪のために十字架におかかりになった御方であられることを証します。イエスはわたしたちの主であり,神であり,王であられます。わたしはこのことを,だれに頼ることなく自分自身の証として知っています。
わたしは主の証人の一人であり,いつの日か主の手と足の釘跡に触れ,主の足を涙でぬらすことでしょう。
しかし主が神の全能の御子であられ,わたしたちの救い主,贖い主であられ,また救いが主の贖いの血以外の何ものからももたらされないという知識は,これからも今と何ら変わることがないでしょう。
父なる神が光の中におられるように,わたしたちすべてが光の中を歩むことを神が許してくださいますように。それは,約束されているとおり,御子イエス・キリストの血によってわたしたちのあらゆる罪が清められるためです。(「ゲツセマネの清めの力」『聖徒の道』1985年7月号,11参照)
7.2.14
意義深い言葉を暗記する
主は,主の僕が「聖霊に感じて語ることは,聖文とな〔る〕」と述べられています(教義と聖約68:4)。この点において,十二使徒定員会のリチャード・G・スコット長老(1928-2015年)が与えた,聖句は正確に引用し暗記するべきであるという勧告は,生ける預言者の言葉にも当てはまることがあります:
「標準聖典に記されている言葉の中には,生活を変える力を持つ言葉があります。言葉遣いを言い換えたり,変更したりすると,その力は弱められてしまいます。ですから,皆さんの生徒が聖句を正確に引用できるよう助けていただければと思います。聖句を選んで正確に暗記させようと教師が懸命に取り組むならば,生徒の生活に聖句の力が必ず現れてくるでしょう。」(“Four Fundamentals for Those Who Teach and Inspire Youth”〔旧約聖書についての教会教育システムシンポジウム,1987年8月14日〕,7)
「わたしは皆さんに,心に触れた聖句,理解することにより魂が満たされた聖句を暗記するようにお勧めします。主が記録するよう命じられた聖句をそのまま引用すると,言い換えられた言葉では伝わらない本質的な力を発揮します。時々,生活の中で特に必要性を感じたとき,わたしは自分に力を与えてくれた聖句を心の中で暗唱します。そうすると聖句,特に主の御言葉から,大きな平安と,指針,そして力が注がれています。」(「主は生きておられる」『リアホナ』2000年1月号,105参照)
生ける預言者が語るメッセージの意義深い言葉を覚えることで,必要なときに使える霊感や導きの蓄えとすることができます。
7.2.15
同じテーマを持つ説教を研究する
同じテーマを持つ複数の説教を研究することで,強調されている事柄をよく理解し,さらなる洞察を得られることがよくあります。例えば,2007年10月の総大会で,十二使徒定員会のロバート・D・ヘイルズ長老が個人の啓示について語った後に,同じく十二使徒定員会のリチャード・G・スコット長老は,わたしたちの選択の指針として啓示を活用するよう語っています(「個人の啓示—預言者たちの教えと規範」と「真理—正しい決断の基」『リアホナ』2007年11月,86-92参照)。2006年4月の総大会では,十二使徒定員会のM・ラッセル・バラード長老とリチャード・G・スコット長老が福音を分かち合うことについて話しました。バラード長老が,福音を分かち合う方法として,友人や隣人を家庭に招くことを話した後,スコット長老は家庭と教会での宣教師の準備について教えました(「福音を伝える家庭を築く」と「今こそ伝道に出る時です」『リアホナ』2006年5月号,84-90参照)。
7.2.16
自分で書いたノートと『Ensign』または『リアホナ』の大会特集号を個人の蔵書にしてください。
後で参照できるように,総大会の間やお話を研究した際に取ったノートと一緒に教会機関誌の大会特集号を保管します。そうすることで過去のメッセージと思ったことを後に聞いたメッセージと比べることができます。また,ある原則や教義がいかに多くの大会で繰り返し使われているかに気づいて,それらを相互参照できるようになります。伝道中や聖餐会でのお話,クラスのレッスン,家庭の夕べなどで教える機会があるときに,預言者の言葉を頼りにレッスンを準備する技術が向上します。
7.2.17
学んだことを実践する
福音研究の目的は,より忠実に福音に添った生活ができるようになることです。あなたの人生に偉大な幸福がもたらされるのは,あなたの知識によるものではなく,その知識に基づいて行動することによるものです。わたしたちは「御言を行う人になりなさい。……ただ聞くだけの者となっては」なりません(ヤコブの手紙1:22)。学んだことを実践するときに,救いの計画の理解がさらに深まり,それを人と分かち合いたい気持ちが強くなります。幸福とは,わたしたちが主と主の預言者の勧告を受け入れ,それを実践することで約束されるものです。
総大会の説教を研究するときに,次の質問を深く考えることで学んだことを実践できるようになるでしょう:
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主はこの教えをどのように自分の生活に当てはめることを望んでおられるだろうか。
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信仰を強めるためにこの教えをどう活用できるだろうか。
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今教えを受けていることを自分で経験したのはいつだっただろうか。
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この教えに従うことで,自分の人生にどんな変化がもたらされるだろうか。
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福音の原則を教える際に,どのようにこの教えを活用することができるだろうか。