大きくなるローマ神殿をながめる
「いつの日か入る神殿に」(『子供の歌集』99)
ジョエレとミシェレは,道の向かいの建設地をじっと見ていました。たくさんの金属梁やセメントのそうが見えました。
ジョエレが言いました。「まだ神殿には見えないね。」
「でも,いつか神殿になるんだよ」とミシェレが答えます。
この二人の兄弟がイタリア・ローマ神殿の建設地を見るのは,これが初めてです。今,かれらの家族は神殿に行くために,わざわざスイスまで行かなければなりません。でも,この新しい神殿は家からたった30分のところにあるのです。
ミシェレとジョエレは大きな黄色いトラックが土の山を動かすのをながめていました。
「きっとあそこにせんとうが建つんじゃないかな」とミシェレは言い,建物の前の辺りを指さしました。
ジョエレはうなずきました。「見て!パパが来るよ」とジョエレは言いました。父親はふだんの仕事着を着ていました。教会の服と白い建設帽です。父親は,神殿で電気技師として働いていました。二人は,毎日父親がどんな仕事をしたかという話を聞くのが大好きでした。例えばある日,父親はキリストぞうが到着したと子供たちに教えてくれました。別のときには,バプテスマフォントについて話しました。
そのばん,ミシェレはわすれずにいのり,神殿のことを天のお父様に感謝しました。神殿についていのると,いつも心が温かくなりました。
それから何週間もたちました。神殿の丸みを帯びたかべは強い石でおおわれ,2本の高いせんとうが空に向かってそびえていました。また,小さな訪問者センターが近くに建設されました。時々,ジョエレとミシェレはそこに行って,顔をまどにおし当て,どこが変わったかを見ようとしました。
するとある日,うれしいことがありました。
「モロナイぞうが神殿のてっぺんに設置されるのを見たいと思わない?」とお母さんがたずねました。建設作業者の家族がみんな,見るよう招待されたのです。
ジョエレとミシェレにとってはまるでゆめのようでした。二人とも大喜びしました。
翌朝,二人は白いシャツとネクタイを身に着けて家族と一緒に神殿の周りを歩きました。金の天使モロナイと一緒に写真までとることができました。巨大でした!
その後,作業者がぞうを動かし始めました。ジョエレは,巨大なクレーンが慎重に天使モロナイをせんとうの上に上げるのをながめました。ドローンがブンブン飛びながら,ビデオさつえいをしていました。とてもかっこよかったです!
ジョエレは,神殿の敷地をおとずれることによって教会について学ぶ人々のことを考えました。また,たくさんの人が神殿で結婚したり,死者のためにバプテスマを受けたりすることを考えました。
ジョエレは,「神殿に見えるようになったね」とミシェレに言いました。ミシェレはにっこりして,うなずきました。
二人は幸せな気持ちになりました。もうすぐ神殿に入れると思うとわくわくしました。二人のあかしは,建物と一緒に大きくなりました。