「聖文の背景を理解する」『教義と聖約 セミナリー教師用手引き』 (2025年)
「聖文の背景を理解する」『教義と聖約 セミナリー教師用手引き』
聖文の背景が理解できると,生徒は霊感を受けた著者の意図が理解できるようになります。背景を理解すると,著者の言葉の理解が深まり,生活の中で主の言葉を聞く助けとなります。この課の目的は,聖文の背景が分かると聖文研究がどのように意義深いものになるか,生徒に理解してもらうことです。
レッスンの始めに,次の絵を1枚ずつ見せ,その後にある質問をします。または,絵を見せる度に,その絵の説明を生徒に書いてもらってもよいでしょう。それから,絵全体を見た後で,その説明がどう変わったかを話し合ってもらいます。
以下の絵を使う代わりに,生徒はスマートフォンのカメラロールから写真を選び,写真の一部だけを拡大して,何の写真かをほかの人に当ててもらってもよいでしょう。その後,ズームアウトして,パートナーの生徒の理解がどのように変わったかを尋ねます。
生徒にこの質問に答えてもらい,聖文研究を行う際の背景の理解度を評価します。この理解度の評価を基にして,以下のセクションのすべてを教えるか,一部を教えるか決めてください。
背景 という言葉をホワイトボードに書きましょう。
背景を理解していなければ,重要な細部を見逃してしまい,読んでいる事柄を完全に理解することができないことがあります。
ホワイトボードに生徒の答えを書くとよいでしょう。必要に応じて,背景に関する次の定義を伝えましょう:
背景とは,出来事が起こる背景事情,状況,環境であり,起こっていることについての理解を深めてくれるものです。
預言者ジョセフ・スミス(1805-1844年)の言葉に関する,デビッド・A・ベドナー長老の次の言葉を読んでください:
「『わたしは聖文を理解するための鍵を持っています。その答えを導き出した質問は何だったか,またイエスがそのたとえを用いられたのはなぜかを考えることにしています。』(History of the Church , 5:261).このように,ある啓示,たとえ,または出来事の前にどんな質問をしたのかを理解すると,聖文をもっと深く理解するのに役立ちます。」(David A. Bednar, in “Witnesses of the Prophet Joseph Smith ,” Ensign , Jan. 2009, 15)
生徒に,自分がどのくらい頻繁に,背景を知ろうとしているか深く考えてもらいます。1,2分時間を取り,聖文の背景を学ぶことによって聖文研究でどのような祝福があったか,またはあり得るか,深く考えてもらいましょう。何人かの生徒に,考えたことや経験したことを発表してもらうといいかもしれません。
以下は,背景の理解が,聖文研究をより意義深いものにする見本です。その方がよいと思えば,別の節を見本として選んでもよいでしょう。
教義と聖約121:7-8 を読み,主がジョセフ・スミスに教えられたことを探してください。
生徒は次のリソースを幾つか挙げるかもしれません:節や章の前書き,その前後の節,聖文の解説,手引き,教会指導者の話,子供向けの聖典の物語 。
教義と聖約および教会歴史のために利用できる特定のリソースには,『聖徒たち』 第1巻と『啓示の背景』 もあることを伝えるとよいでしょう。生徒がさらに知りたがった場合は,「福音ライブラリー」アプリでこれらのリソースにアクセスする方法を実演してもよいかもしれません。様々な資料を研究することは,もちろん役に立ちますが,研究する前に前書きを読むことを習慣づけるだけで,聖文研究がより有意義なものになることを生徒に約束しましょう。それがこの課の焦点となります。
121章の前書きを読み,これらの節をよりよく理解するのに役立つ情報を見つけてください。教義と聖約121:1-6 を読んで,さらに理解を深めてもよいでしょう。
背景情報を念頭に置いて,教義と聖約121:7-8 をもう一度読んでください。
生徒に答えてもらうときに,この背景から主について分かることを強調したり,尋ねたりする方法を見つけてください。例えば,主は預言者ジョセフ・スミスがつらい状況にあるときに,愛情を込めて平安と新たな物の見方を与え,将来祝福があることを約束されました。この背景を理解していると,主がわたしたちの生活にも平安と導きを与えてくださることがよく分かるようになります。
生徒が背景を理解する練習として,次の参照聖句と質問をホワイトボードに掲示しましょう。生徒に二人一組で参照聖句を一つ以上読んでもらい,そこから学んだことを紙の中央に書いてもらいましょう。それから,前後の節と章の前書きを読んでもらいます。先ほど書いたことの周りに,背景(全体像)を表すものを絵や文章で書き込んでもらうとよいでしょう。
教義と聖約3:6-9
教義と聖約8:2-3
教義と聖約27:1-2
教義と聖約28:2,7
教義と聖約46:3-5
教義と聖約49:15-17
教義と聖約98:1-3
教義と聖約109:22-23
生徒に,見つけたことを発表してもらいます。役に立つようであれば,以下の質問をしてもよいでしょう:
時間が許せば,現在個人または家族で研究している章にこの技術を使う練習を,生徒にしてもらってもよいしょう。
生徒には,背景を学ぶと,自分の聖文研究がどう変わってくるか,またこの技術を利用することで自分の聖文研究をどのように改善できるか,深く考えてもらいます。
これから数週間,今後のクラスのディボーショナルの一部として,生徒がこの聖文研究の技術を練習していく中で分かったことを分かち合う方法を考えるとよいでしょう。
ほかにも情報源があれば,聖文を理解し,その知識を深めるのに役立つことを生徒に示すために,次のことを行うとよいでしょう:教義と聖約の幾つかの章の前書きを調べて,最も短いと思われる前書きを探してもらいます。以下は,生徒が見つける可能性のある前書きの例です:教義と聖約4章 ,5章 ,26章 ,38章 ,65章 ,79章 ,80章 ,93章 ,114章 ,130章 ,131章 。生徒にどれか一つ章を選んでもらい,その章の節を幾つか読んでもらいます。
生徒が選んだ章の背景について生徒がさらに学べるように,「福音ライブラリー」アプリで「啓示の背景 」など,そのほかの情報源を使ってもよいでしょう。生徒に,目次からこれらの章の一つを探し,その後,そのページを開いて背景についてさらに詳しく学んでもらいます。その章で学んだことや,背景を知ったことで読んだ節からさらにどんなことが学べたかを,生徒に発表してもらうとよいでしょう。
ニール・L・アンダーセン長老は,人々がジョセフ・スミスに関する情報を取り上げて,いかに背景を示すことなく提示しているかを示す,ラッセル・M・ネルソン大管長の話を紹介しました。次のビデオクリップを見せてください。生徒にビデオを見てもらいながら,背景知識なしに情報を取り出すと誤った印象を与えてしまう様子をよく見てもらいましょう。それから,分かったことを発表してもらいます。生徒が発表してくれたことを,正しい背景知識を持って聖文の節を読むことの重要性に当てはめます。
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生徒に以下のシナリオを幾つか紹介しましょう。それぞれのシナリオについて,二つの文を一つずつ見せます。また,2番目の文を見せながら,それに関する画像を見せてもよいでしょう。文は,クラス全体に見せてもかまいませんし,グループごとに分けて見せてもよいでしょう。2番目の文で示された詳細情報が,状況の理解を深めるうえでどのように役立つか,話し合います。
一人の若い男性が祈っている様子を思い浮かべてください。次に,その若い男性の名前はダニエルで,ライオンの穴の中にいると考えてください。
海にいる男性を思い浮かべてください。次に,その人の名前はモーセであって,民を海の向こうに率いて行って解放しようとしていると想像してください。
ある男性が庭園で祈っている様子を思い浮かべてください。次に,その庭園はゲツセマネと呼ばれていると考えてください。
夫の前に立っている女性を思い浮かべてください。次に,彼女の名前はエステルで,夫は王であり,彼女は彼の許可なしに彼の前に立つことはできないと想像してください。
石投げ器を持っている少年を思い浮かべてください。次に,その少年がダビデで,ゴリアテの前に立っていると想像してください。
森で祈っている少年を思い浮かべてください。次に,その少年がジョセフ・スミスで,父なる神と救い主がその前に御姿を現されたと想像してください。