インスティテュート
第41課:教義と聖約103章,105章


「第41課:教義と聖約103章,105章」教義と聖約 教師用手引き

「第41課」教義と聖約 教師用手引き

第41課

教義と聖約103章,105章 

紹介とタイムライン

1834年2月24日,パーリー・P・プラットとライマン・ワイトは,ミズーリの聖徒たちの窮状を説明して勧告と援助を求めるために,預言者ジョセフ・スミスとカートランドの高等評議会との会合を持った。これと同じ日に,預言者は教義と聖約103章に記録されている啓示を受けた。この啓示で,主は聖徒たちが「受け継ぎを汚」さないならば,「シオンの地に戻され」る(教義と聖約103:13-14)と約束され,ミズーリの聖徒たちを助けるために物資を集め,一緒に行く者を募るよう教会の指導者たちに指示された。

主の命令に従って,預言者ジョセフ・スミスと200人を超える志願者が,ミズーリ州ジャクソン郡の家から強制的に追い出された聖徒たちの援助に向かうために,イスラエルの陣営(後にシオンの陣営として知られる)を結成した。1834年6月22日,インディペンデンスから約24マイル(約39キロメートル)離れた,ミズーリ州のフィッシング川の北4マイル(約6.5キロメートル)で野営していたとき,ジョセフ・スミスは教義と聖約105章に記録されている啓示を口述した。主はこの啓示で,聖徒たちは「しばしの間シオンの贖いを待つ」必要があると説明された(教義と聖約105:9)。主は将来,シオンが贖われる,つまりシオンが聖徒たちによって取り戻されるために,起こる必要がある事柄に関する指示もお与えになった。

1833年11-12月聖徒たちはミズーリ州ジャクソン郡から強制的に追い出された。

1834年2月24日教義と聖約103章が与えられた。

1834年3-5月教会の指導者たちは,ミズーリ州への行軍の準備として男性を募集し,金銭を集めた。

1834年5月シオンの陣営の隊員がオハイオ州からミズーリ州への行軍を開始した。

1834年6月15日預言者ジョセフ・スミスは,ミズーリ州ジャクソン郡の家に戻るために聖徒たちを助ける民兵を,ダニエル・ダンクリン知事が提供しないことを知った。

1834年6月22日教義と聖約105章が与えられた。

1834年6月下旬シオンの陣営の隊員と,そのほかの教会員がコレラに苦しめられた。

1834年7月初旬シオンの陣営の隊員は任務を解かれた。

教えるための提案

教義と聖約103:1-20

主はシオンが贖われることを約束される

ホワイトボードに「この世に打ち負かされる」という言葉を書きます。

  • あなたなら,この世に打ち負かされることの意味をどのように説明しますか。(考えられる回答としては,義に反する影響,誘惑,罪に圧倒される,傷つけられるなどがあります。)

  • ヤングアダルトは,どのような形で現代のこの世に打ち負かされていますか。

教義と聖約103章を研究しながら,この世の義に反する影響に打ち勝つ力を受ける方法を知るために役立つ原則を見つけるように,生徒たちに勧めます。

ミズーリ州ジャクソン郡から強制的に追い出されたとき,聖徒たちは適切な避難場所と十分な食料を見つけることに苦慮し,ジャクソン郡の自分の家に戻ろうとするより,ほかの場所に住むべきなのかどうかを考えていたことを説明します。教会の指導者たちが助けを求めて地元の役人や州当局に訴えたので,聖徒たちは,独自の治安部隊を編成すれば,ミズーリ州知事であったダニエル・ダンクリンが自分たちをジャクソン郡の土地まで護衛する州軍を派遣してくれるだろうと信じるようになりました。次に何をすればよいかよく分からなかったミズーリの聖徒たちは,預言者ジョセフ・スミスからの指示を仰ぐためにパーリー・P・プラットとライマン・ワイトをオハイオに送りました。パーリーとライマンは1834年2月下旬にカートランドに到着し,2月24日,ミズーリの聖徒たちの必要について話し合うために,預言者と新しく組織された高等評議会との会合を持ちました。これと同じ日に,預言者は教義と聖約103章に記録されている啓示を受けました。

一人の生徒に,教義と聖約103:1-4を声に出して読んでもらいます。ほかの生徒には,一緒に黙読しながら,聖徒たちが迫害され,ジャクソン郡から追い出されることを主がお許しになった理由を見つけてもらいます。

  • ミズーリの聖徒たちが迫害され,家から追い出されるのを主がお許しになったことについて,主はどのような理由を挙げられましたか。

一人の生徒に,教義と聖約103:5-7を声に出して読んでもらいます。ほかの生徒には,一緒に黙読しながら,聖徒たちに対する主の勧告と約束を見つけてもらいます。

  • 主は,聖徒たちにどのような勧告と約束をお与えになりましたか。

  • これらの節にある主の勧告と約束から,どのような原則を見いだすことができますか。(生徒たちが答えた後,次の原則をホワイトボードに書きます:主の勧告に聞き従うならば,世に打ち勝つ力を得る。

一人の生徒に,教義と聖約103:8-10を声に出して読んでもらいます。ほかの生徒には,一緒に黙読しながら,主の言葉に聞き従わない人々に対する主の警告を見つけてもらいます。

  • 8節によると,戒めを守らなければどうなりますか。(生徒たちが答えた後,次の原則をホワイトボードに書きます:戒めを守らなければ,世がわたしたちに打ち勝つ。

クラスを2,3人のグループに分け,生徒たちにそれぞれのグループで次の質問に対する答えについて話し合ってもらいます。(これらの質問をホワイトボードに書くか,または質問を配付資料として生徒に配るとよいでしょう。)

  • 主の勧告に聞き従うと,どのように世に打ち勝つ力が与えられるか,例を挙げてください。

  • 主の勧告に聞き従うなら,主が世に打ち勝つために助けてくださると感じたのはどのようなときでしたか。

主の勧告に聞き従うために熱心に努め,過ちを犯したときに心から悔い改めるならば,主はこの世の邪悪な影響に打ち勝つようにわたしたちを助けてくださると証してください。生徒たちに,主の勧告にさらに完全に聞き従うために何をするかについて深く考えて,それらを書き留めてもらいます。

教義と聖約103:11-20では,主が「多くの艱難の後に」,「やがて」(12節,20節)主の民をシオンの地に戻されることを明らかにされたと説明します。

教義と聖約103:21-40

主は,シオンの地がどのように贖われるべきかを明らかにされる

数人の生徒に,教義と聖約103:21-25を順番に声に出して読んでもらいます。ほかの生徒には,一緒に黙読しながら,主が,シオンを贖うために行うようにジョセフ・スミスに言われた事柄を見つけてもらいます。生徒たちに,見つけた事柄を発表してもらいます。

教義と聖約103:26-40では,シオンの地を贖う,つまり取り戻すために男性を募集し,金銭と物資を集めるために,主が8人の教会の指導者たちを召されたと説明します。主は彼らに,可能ならば500人の男性を募集するように,しかし100人を下回らないように言われました。この遠征隊は,シオンの陣営として知られるようになります。

一人の生徒に,次の文を声に出して読んでもらいます。

教会の指導者たちがミズーリの聖徒たちの状況について話し合った高等評議会の終わりに,ジョセフ・スミスは自らシオンに赴き,その贖いを助けると言いました。そこにいたおよそ30人から40人の男性たちも同様に志願しました。それから数か月間,召された8人の教会指導者たちは,その遠征に備えるために勤勉に働きました。最終的に,200人以上の志願者がミズーリに行軍するためにシオンの陣営に参加しました。

教義と聖約105:1-19

シオンの贖いは「しばしの間」延期される

オハイオ州カートランドとミズーリ州ジャクソン郡の地図を見せます(本手引きにある地図9「シオンの陣営の道のり,1834年」など)。

〔地図,シオンの陣営の道のりの画像〕

シオンの陣営の隊員の多くは,この遠征への参加に意欲的で,この経験を肯定的に捉えていたと説明します。しかし,彼らは多くの苦難にも遭遇しました。この一団は,起伏の多い地形を900マイル(約1,448キロメートル)旅しました。ほとんどの人が徒歩で旅し,毎日32キロから64キロを歩きました。彼らは,暑さ,湿気,雨,泥,壊れた備品,食物と水の不足,病気,傷つき血が出た足に苦しみました。時折,のどの渇きに駆られて,沼地の水や豪雨の後で馬の足跡に溜まった水を飲んでしまう人がいました。この行軍の状態について不平を言う陣営の隊員もいました。

  • あなたがシオンの陣営の隊員だったとしたら,これらの経験はあなたの信仰をどのように試したと思いますか。

シオンの陣営がミズーリに到着した後,聖徒たちがそれぞれの土地に戻るのを助けるための州兵をダニエル・ダンクリン知事は派遣しないということを知ったと生徒に伝えます。この悲観的な知らせにもかかわらず,シオンの陣営はクレイ郡に向かって進み続けました。1834年6月22日,ミズーリ州ジャクソン郡のすぐ北にあるフィッシング川が東西に分かれる分岐点で陣営が野営していたときに,主は教義と聖約105章に記録されている啓示をお与えになりました。

数人の生徒に,教義と聖約105:1-6を順番に声に出して読んでもらいます。ほかの生徒には,一緒に黙読しながら,聖徒たちがシオンを贖う妨げになった事柄を見つけてもらいます。

  • 聖徒たちがシオンを贖う妨げになったのは何ですか。

  • 5節によると,シオンを築き上げることができる唯一の方法とは何ですか。

これらの節にある主の勧告が,ミズーリの聖徒たちのみに向けられたものではなかったことを説明します。主は教義と聖約105:8-9で,シオンの陣営への参加を拒んだり,ミズーリで苦しむ聖徒たちを支援する金銭の送金を拒んだほかの教会員を叱責されました。

数人の生徒に,教義と聖約105:9,16-17を順番に声に出して読んでもらいます。ほかの生徒には,一緒に黙読しながら,聖徒たちの背きの結果を見つけてもらいます。

  • 聖徒たちの背きの結果にはどのようなものがありましたか。

  • あなたがシオンの陣営の隊員だったとして,1,448キロ以上も行進した後で,あなたがシオンの地を取り戻すために戦うことを主が望んでおられないと知ったら,どのような考えや気持ちを持ったと思いますか。

ミズーリの聖徒たちが彼らの家と土地に戻されなかったとき,シオンの陣営の隊員たちの一部は,シオンの陣営が失敗したと感じたために背教したと説明します。しかし,多くの人々が忠実であり続けました。

数人の生徒に,教義と聖約105:10-14を順番に声に出して読んでもらいます。ほかの生徒には,一緒に黙読しながら,シオンの贖いを遅らせる主の目的を見つけてもらいます。

  • シオンの贖いを遅らせる主の目的は何でしたか。(12節にあるエンダウメントが,カートランド神殿で授けられると主が約束された力の授与を指していることを生徒たちに思い出してもらいます〔教義と聖約95:8参照〕。)

一人の生徒に,教義と聖約105:18-19を声に出して読んでもらいます。ほかの生徒には,一緒に黙読しながら,「〔主の〕言葉に聞き従った」(18節)者に対する主の約束を見つけてもらいます。

  • 主は,主の言葉に聞き従った人々に何を約束されましたか。

  • これらの節から,どのような原則を見いだすことができますか。(生徒たちが答えた後,次の原則をホワイトボードに書きます:神は,信仰が試されるときに神の言葉に聞き従い続ける人々に対して,大きな祝福をお与えになる。

シオンの陣営の進軍の間,そしてその後も忠実であった人々が,預言者ジョセフ・スミスから個人的に教えを受け,将来教会で導き教えるために備えられたことを指摘します。

一人の生徒に,ウィルフォード・ウッドラフ大管長(1807-1898年)の次の言葉を声に出して読んでもらいます。

「わたしは神の預言者とともにシオンの陣営にいました。そして預言者に対する神の計らいと,神の力が預言者とともにあるのを見ました。彼は預言者で〔した〕。 ……

シオンの陣営が召集されたとき,わたしたちの多くはそれまで互いの顔を一度も見たことがありませんでした。見知らぬ者同士であり,多くの者が一度も預言者に会ったことがありませんでした。……背教者や不信仰な人々からは『一体何をしてきたのか』と幾度も尋ねられましたが,わたしたちは多くを成し遂げました。ほかのどのような方法によっても決して得ることのできない経験でした。預言者の顔を見る特権を得,ともに1,000マイルを旅し,神の御霊が働くのを見ました。そしてイエス・キリストの啓示がジョセフに与えられて,成就するのを見る特権を得ました。

〔わたしたちが〕シオンの陣営における旅で得た経験は黄金よりも価値があるものであり,その陣営の歴史は最後の世代に至るまで伝えられるでしょう。」(『歴代大管長の教え—ウィルフォード・ウッドラフ』135, 138

ホワイトボードに書かれた「神は,信仰が試されるときに神の言葉に聞き従い続ける人々に対して,大きな祝福をお与えになる」という原則に注目してもらいます。

  • この原則を,ヤングアダルトと,彼らが今日経験する信仰の試しにどのように関連付けることができますか。

  • あなたや,あなたの知っている人が,信仰の試しの中でさえも,主の言葉に聞き従い続けたのはどのようなときでしたか。

信仰が試されるときでさえも主の言葉に聞き従い続けることを,今ここで決心するように生徒たちを励まします。

教義と聖約105:20-41

主は,シオンが贖われる前に行う必要がある事柄を聖徒たちにお教えになる

教義と聖約105:20-41で,主は,聖徒たちが主の勧告に従うならば,「多くの日の後」,シオンを贖うための「力を持つ」(37節)と彼らに約束されたと説明します。

このレッスンで見いだした真理についての証を述べ,それらの真理を実践するように生徒たちに勧めて,レッスンを終えます。