第10章
聖文
今日 ,わたしたちは聖文を手にすることができる
-
今日これほど容易に聖文を手にすることができるおかげで,わたしたちはどのような祝福を享受しているでしょうか。
主の
末日聖徒イエス・キリスト教会は4つの書物,すなわち聖書,モルモン書,教義と聖約,高価な真珠を聖典として受け入れています。これらは教会の標準聖典と呼ばれています。さらに,生ける預言者が霊感を受けた言葉も聖文として受け入れています。
聖書
聖書は神から人への啓示を含む神聖な文書を集めたものです。アダムの時代からイエス・キリストの使徒が生きていた時代に至るまで,何世紀にもわたって,世界史の様々な時代に生きた多くの預言者により記されました。
聖書は旧約聖書と新約聖書という二つの部分に分けられます。旧約聖書には救い主であり
預言者ジョセフ・スミスを通して,主は聖書の幾つかの箇所についてわたしたちの理解を広げてくださっています。主は預言者ジョセフに,書かれた後に失われたり,書き変えられたりした聖書の原文について,真理を回復するように霊感をお与えになりました。こうして霊感により訂正されたものは,聖書のジョセフ・スミス訳と呼ばれています。欽定訳聖書の末日聖徒版(英語)には,ジョセフ・スミス訳の抜粋が797-813ページおよび多くの脚注に載っています。
モルモン書
モルモン書は,およそ紀元前2000年から紀元400年にかけてアメリカ大陸に住んでいたある民族の神聖な記録です。イエス・キリストの完全な福音が載っています(教義と聖約20:9;42:12;135:3参照)。イエス・キリストが復活後間もなく,アメリカ大陸の民のもとを訪れられたことが記されています。
ジョセフ・スミスは神の
エズラ・タフト・ベンソン大管長の解説で,モルモン書がどのような理由でわたしたちの宗教のかなめ石なのか,理解できるでしょう。ベンソン大管長は次のように語っています。
「モルモン書は3つの点でわたしたちの宗教のかなめ石です。それはキリストに対する
モルモン書はイエス・キリストに対するわたしたちの証のかなめ石であり,キリスト御自身はわたしたちが行うすべてのことの隅石となる御方です。モルモン書は力強く,しかも明快にイエスが実在の御方であることを証しています。……
〔モルモン書〕は救いの教義に関するわたしたちの理解を広げてくれます。モルモン書はこの時代のために書かれたもので,……主の再臨に備える方法が書かれています。……
モルモン書は真理を教え,イエス・キリストについて証をしています。……しかし,それ以上のものがあるのです。モルモン書には力があって,真剣に読み始めるやいなやその力は読む者の人生に流れ込み,誘惑に打ち勝つ力となります。欺きを避ける力となり,狭くて細い道にとどまる力となります。聖文は『命の言葉』と呼ばれていますが,モルモン書ほどその言葉にふさわしいものはありません。……『末日聖徒はすべて,生涯この書物を学び続けるべきなのです。』」(「モルモン経-私たちの宗教のかなめ石」『聖徒の道』1987年1月号,5-7参照。同説教中でマリオン・G・ロムニー「モルモン経」『聖徒の道』1980年9月号,102を引用)
教義と聖約
教義と聖約は,現代の啓示を集めた書物です。教義と聖約第1章で,この書物が世に出たのは,地上に住む人々を主の再臨に備えさせるためである,と主は啓示されています。
「それゆえ,主の声は,聞こうとするすべての人が聞けるように地の果てにまで及ぶ。
あなたがたは備えなさい。来るべきことのために備えなさい。主は近いからである。」(教義と聖約1:11-12)
この書物には,終わりの時に回復されたイエス・キリスト教会に関する啓示が収められています。数章にわたり教会の組織が説明され,神権の職とその職務が定義されています。ほかにも,第76章や88章のように何百年もこの世から失われていた栄えある真理の記された章や,第29章や93章のように聖書の教えを説いた章,さらに第133章のように将来の出来事を預言した章などもあります。神はこの書物に収められた啓示を研究するように命じておられます。「これらの戒めを調べなさい。これらは真実であり,確かであって,これらの中にある預言と約束はすべて成就するからである。」(教義と聖約1:37)
高価な真珠
高価な真珠はモーセ書,アブラハム書ならびに,ジョセフ・スミスが霊感を受けて記した幾つかの書から成っています。モーセ書には,預言者ジョセフ・スミスに啓示された,モーセの示現と記録が含まれています。聖書から失われた教義と教えを明らかにし,地球の創造に関してさらに詳しい知識を与えてくれます。
アブラハム書はエジプトの地下墓地で発見されたパピルスの巻き物から預言者ジョセフ・スミスが翻訳したものです。創造,福音,神の性質および神権に関する重要な事柄が記されています。
ジョセフ・スミスの書いたものは,ジョセフ・スミスの霊感訳聖書の一部,『教会歴史』(History of the Church)からの抜粋,信仰箇条が収められています。
-
霊感を与えてくれた聖典の中の物語にどのようなものがありますか。助けとなってきた聖典の中の教えに,どのようなものがありますか。
生ける預言者の言葉
この4つの聖典に加えて,生ける預言者の霊感された言葉も聖文と見なされます。預言者の言葉は,大会や『リアホナ』,『エンサイン』(Ensign),地元の神権指導者への指示を通して届きます。「わたしたちは,神がこれまでに啓示されたすべてのこと,神が今啓示されるすべてのことを信じる。またわたしたちは,神がこの後も,神の王国に関する多くの偉大で重要なことを啓示されると信じる。」(信仰箇条1:9)
-
生ける預言者の言葉はどのようにして得ることができるでしょうか。
聖文の研究
-
聖文を研究するとき,どのような祝福が得られるでしょうか。
わたしたちはそれぞれ毎日聖文を学び,真理を子供に教えなければなりません。また,標準聖典をともに読み,そこに記されている真理のゆえに子供が聖文を愛し,用いるようにすべきです。
この世の悪を避けたいと思うならば,聖文から学ぶ真理と義によって心を養わなければなりません。一緒に聖文を読んで深く思い巡らすとき,わたしたちは神に近づき,また互いに近づくようになります。
聖文を読んで深く思い巡らし,理解できるように神に祈り求めるとき,聖霊はそれが真実であることを証してくださるでしょう。わたしたち一人一人は自分で真実であることを知り,惑わされることがないでしょう(ジョセフ・スミス-マタイ1:37参照)。ニーファイが述べた次の言葉に共感できるのです。「わたしは主に関することに喜びを感じる。わたしの心は,これまでに見聞きしたことを絶えず深く考えている。」(2ニーファイ4:16)
-
毎日聖文を読む決意を貫くにはどうすればよいでしょうか。毎日聖文を研究する時間と場所を決めておくことについて考えてみてください。
参照聖句
-
1ニーファイ14:20-26(記録を書くように命じられた預言者)
-
1ニーファイ19:1-3,6-7;アルマ37:1-8(聖文には大いに価値がある)
-
2ニーファイ33:10(聖文はキリストを証する)
-
アルマ29:8(主は聖文を通してすべての国民に語られる)
-
アルマ31:5;ヒラマン3:29-30(神の言葉には力がある)
-
ヒラマン15:7-8(聖文は確固とした信仰に導いてくれる)
-
2テモテ3:16-17;1ニーファイ19:21-24(聖文が与えられる理由と方法)
-
2ペテロ1:20;アルマ13:20;教義と聖約10:62(聖文は教義の真の要点を明るみに出す)
-
教義と聖約128:18;信仰箇条1:9;1ニーファイ14:25-26(将来世に出る聖文)
-
2ニーファイ29:3-10(ユダヤ人と異邦人に与えられた聖文)