「第1章:宣教師の目的を果たす」『わたしの福音を宣べ伝えなさい—イエス・キリストの福音を分かち合うためのガイド』
「第1章」『わたしの福音を宣べ伝えなさい』
第1章
宣教師の目的を果たす
あなたの目的:あなたの目的は,人々をキリストのもとへ来るよう招くことです。そのためにあなたは,イエス・キリストとキリストの贖いを信じる信仰,悔い改め,バプテスマ,聖霊の賜物を受けること,最後まで堪え忍ぶことを通して,彼らが回復された福音を受け入れられるよう助けるのです。
回復されたイエス・キリストの福音を教える務め
あなたの周りには大勢の人々がいます。あなたは道端で人々に出会います。どこに赴いても,そこには人々がいます。彼らの家庭を訪れたり,オンラインでつながったりします。彼らは皆,神の子供であり,あなたの兄弟姉妹です。神は,あなたを愛しているのと同じように,彼らを愛しておられます。
こうした人々の多くは,人生の目的を探しています。自分の未来や家族のことを気にかけています。自分が神の子供であり,神の永遠の家族の一員であると知ることによってもたらされる帰属意識を必要としています。価値観が絶えず変化する世の中にあって,心の安定を求めています。「この世において平和を,また来るべき世において永遠の命を」(教義と聖約59:23)得たいと望んでいます。
多くの人が「見いだす場所を知らないということだけで真理を得られずに」(教義と聖約123:12)います。預言者ジョセフ・スミスを通して回復されたイエス・キリストの福音は,永遠の真理をもたらします。この真理は,人々の霊的な必要を満たし,心の奥底に宿る望みを成し遂げるのを助けてくれます。
あなたはイエス・キリストの正式な代表者として,「贖いは聖なるメシヤによって,またメシヤを通じてもたらされる」(2ニーファイ2:6)ことを教えます。イエス・キリストのもとに来て,主に帰依し,回復された主の福音に改宗するよう人々を招きます。人々があなたの招きを受け入れるとき,彼らはより大きな幸福と希望,平安,目的を見いだすことでしょう。
救い主のもとに来るには,主を信じる信仰を持たなければなりません。あなたは以下のような方法を通して,人々がそのような信仰を築くのを助けることができます:
-
回復されたイエス・キリストの福音を教え,それが真実であることを証する。
-
福音の教えに従って生活することを決意するよう招く。
-
決意に基づいて行動できるようにフォローアップし,助ける。
-
聖霊の影響を感じる経験ができるように助ける(1ニーファイ10:17-19参照)。
イエス・キリストを信じる信仰は人々を悔い改めに導きます。イエスはわたしたちの罪を贖うことにより,悔い改めを可能にしてくださいました。悔い改めるとき,人々は罪から清められ,天の御父とイエス・キリストに近づきます。赦しを得る喜びと平安を経験します。
悔い改めによって,人々はバプテスマの聖約を交わし,聖霊の賜物を受ける備えができます。救い主は次のように言っておられます。「わたしのもとに来て,わたしの名によってバプテスマを受けなさい。そうすれば,あなたがたは聖霊を受けて聖められ,終わりの日にわたしの前に染みのない状態で立てるであろう。」(3ニーファイ27:20)
救い主と主の贖いに対する理解と証が強まるにつれて,福音を分かち合いたいという望みは増すでしょう。リーハイのように,「これらのことを地に住む者に知らせ……るのは,何と大切なことであろうか」(2ニーファイ2:8)と感じるようになるでしょう。
あなたの召しに伴う権能と力
あなたは「胸躍る大いなる喜びのおとずれ,すなわち永遠の福音を宣言する」(教義と聖約79:1)ために召され,任命されています。モーサヤの息子たちのように,神の力と権能をもって教えることができます(アルマ17:2-3参照)。
キリストの指示の下,福音を宣べ伝える権能が,預言者ジョセフ・スミスを通して回復されました。あなたは宣教師として任命されたとき,この権能を受けました。それには主を代表して主の福音を教える権利と特権と責任が伴います。
この権能には,召しにふさわしく生活する責任も伴います。「任命」〔訳注—英語ではset apartで「隔てる」の意〕を文字どおりに受け止めてください。罪や,下品で卑わいなものから遠ざかってください。世の方法や考えから遠ざかってください。『宣教師の標準—イエス・キリストの弟子として』にある標準に従ってください。主の代表者として「信者の模範に」(1テモテ4:12)なってください。行いと言葉においてイエス・キリストの御名を尊んでください。
権能に加えて,召しを果たすための霊的な力が必要です。神とイエス・キリストについて,そしてあなたが教える福音の真理についての証を強めるために絶えず努力するとき,神は霊的な力を与えてくださいます。また,祈り,聖文を研究し,宣教師の目的を果たすように努めるとき,神は霊的な力を授けてくださいます。神の戒めを守り,救いの儀式を受けたときに交わした聖約を守るように励むとき,神は霊的な力を与えてくださいます(教義と聖約35:24参照)。
霊的な力はあなたが次のようなことを行うときに現れます:
-
人々を教え,彼らが福音の真理に対する理解を深め,それらの真理を生活に取り入れる方法が分かるよう助けるために,聖文を使うとき(1ニーファイ19:23;アルマ26:13;31:5参照)。
-
主があなたに語るよう望んでおられることについて御霊の導きを受けるとき(教義と聖約84:85参照)。
-
向かうべき場所やなすべき事柄について御霊の導きを受けるとき(教義と聖約28:15;31:11;75:26-27参照)。
-
御霊の証によって,あなたが教えている事柄やあなたの証が確認されるとき(2ニーファイ33:1;教義と聖約100:5-8参照)。
-
救いの儀式に携わるとき(教義と聖約84:19-20参照)。
-
長老であれば,神権の祝福を授けるとき(ヤコブの手紙5:14-15参照)。
-
ともに働く人々のために,またそれらの人々とともに祈るとき(アルマ6:6;8:18-22;10:7-11;31:26-35;教義と聖約75:19参照)。
-
主に対して,また家族やほかの宣教師たち,そしてあなたが仕えている人々に対して,愛を示すとき(教義と聖約59:7;78:19参照)。
聖霊がともにいてくださるように求める
あなたは教会の会員に確認されたとき,聖霊の賜物を受けました。宣教師として,またあなたの生涯を通じて,最も必要になることの一つは,聖霊にともにいていただくことです(1ニーファイ10:17;3ニーファイ19:9参照)。聖霊は,神会の第三の御方です。
聖霊はあなたを導き,教え,慰めてくださいます。あなたを清め,聖別してくださいます。真理について,そして御父と御子について証してくださいます。あなたの改心と,あなたが教える人々の改心をもたらしてくださいます(3ニーファイ27:20;28:11;エテル12:41;モロナイ8:26;10:5;ヨハネ15:26参照)。
「聖霊は,あなたがたがなすべきことをすべてあなたがたに示〔して〕」(2ニーファイ32:5)くださいます。あなたの能力と奉仕を,あなたが自分で成し得るよりもはるかに大いなるものにしてくださいます。
聖霊がともにいてくださるように求めることは,あなたの最も切なる望みの一つであるべきです。以下のことをするとき,聖霊がともにいてくださるのを感じることでしょう:
-
祈る(教義と聖約42:14参照)。
-
神の言葉を大切に蓄える(教義と聖約11:21;84:85参照)。
-
心を清くする(教義と聖約112:28参照)。
-
戒めを守る(教義と聖約130:20-21参照)。
-
毎週聖餐を取る(モロナイ4-5章;教義と聖約20:77,79参照)。
「啓示を受ける霊的な能力を伸ばすように,切にお願いします。……聖霊の賜物を享受するために,そしてもっと頻繁に,もっとはっきりと御霊の声を聞くために求められる霊的な業を行うことを選んでください。」(ラッセル・M・ネルソン「教会のための啓示,わたしたちの人生のための啓示」『リアホナ』2018年5月号,96)
御霊を認識することを学ぶ
聖霊からの導きを認識し,それに従うことを学ぶとき,宣教師の目的をよりよく果たせるようになります。御霊は大抵静かに,あなたの気持ちや思いを通して語りかけます。これらのかすかな促しを求め,認識し,従うことに心を注いでください。促しは,様々な方法で与えられます(第4章参照。教義と聖約8:2-3;11:12-14;ガラテヤ5:22-23も参照)。
御霊によって教える
イエス・キリストの福音は「すべて信じる者に,救いを得させる神の力」(ローマ1:16)です。ですから,福音の回復のメッセージは神の力,すなわち聖霊の力によって教えなければなりません。
主は言われました。「御霊は信仰の祈りによってあなたがたに与えられるであろう。そして,御霊を受けなければ,あなたがたは教えてはならない。」(教義と聖約42:14。50:13-14,17-22も参照)あなたが聖霊の力によって教えるとき,聖霊は次のことをしてくださいます:
-
あなたに真理を教え,学んだ教義を思い起こさせてくださる(ヨハネ14:26参照)。
-
あなたが必要とするときに,語るべき言葉を与えてくださる(教義と聖約84:85参照)。
-
あなたが教える人々の心にあなたのメッセージを届けてくださる(2ニーファイ33:1参照)。
-
あなたと,御霊によって教えを受ける人々が,互いに理解し合い,ともに教化されて喜ぶように助けてくださる(教義と聖約50:17-22参照)。
-
あなたの言葉を受ける人々に対して,あなたのメッセージが真実であることを証し,あなたの言葉を確認してくださる(教義と聖約100:5-8参照)。
あなたが聖霊を求め,聖霊に頼り,聖霊によって教えるときに,主はあなたを豊かに祝福してくださいます(第4章;第10章参照)。
キリストの福音とキリストの教義
イエス・キリストの福音は,あなたのメッセージとあなたの目的をはっきりと定めています。すなわち,宣教師としての活動とは「何」であり,「なぜ」行うのかを明確にしています。主の福音には,救いと昇栄に必要なすべての教義,原則,律法,戒め,儀式,聖約が含まれます。
福音が伝えるメッセージとは,主を信じる信仰を働かせ,悔い改め,バプテスマを受け,聖霊の賜物を受け,最後まで堪え忍ぶことによって,わたしたちはイエス・キリストの救いと贖いの力にあずかることができるというものです(3ニーファイ27:13-22参照)。
これはキリストの教義としても知られています。この教義に従って生活することによって,わたしたちはキリストのもとに来て,救いを得るのです(1ニーファイ15:14参照)。このことは,モルモン書の中で力強く教えられています(2ニーファイ31章;32:1-6;3ニーファイ11:31-40参照)。あなたの目的は,人々が主の教義に従って生活するのを助けることによって,人々がキリストのもとに来るのを助けることです。
「福音の第一の原則を宣べ伝えてください。繰り返し宣べ伝えてください。そうすればあなたは,来る日も来る日もそれらについての新しい考えが明らかにされ,さらなる光が与えられることに気づくでしょう。原則についていっそう深く知ることにより,それらを明確に理解することができます。そうすればあなたは,教える人々にいっそうはっきりと理解させることができるでしょう。」(Hyrum Smith, in History, 1838–1856, volume E-1 [1 July 1843–30 April 1844], 1994, josephsmithpapers.org)
イエス・キリストを信じる信仰
信仰は,福音のほかのすべての原則を支える礎です。行動と力の原則です。
救いへと導かれるには,わたしたちの信仰はイエス・キリストを中心としたものである必要があります。救い主は次のように教えておられます。「神はそのひとり子を賜わったほどに,この世を愛して下さった。それは御子を信じる者がひとりも滅びないで,永遠の命を得るためである。」(ヨハネ3:16)
イエス・キリストを信じる信仰には,主が神の独り子であられると信じることが含まれます。また,主を救い主,贖い主として信頼することです(モーサヤ3:17;4:6-10;アルマ5:7-15参照)。主と,主の言葉,教え,約束に全幅の信頼を置くことです。キリストを信じるわたしたちの信仰は,十分に固い決意をもって主の教えと模範に従うときに強められます(2ニーファイ31:6-13;3ニーファイ27:21-22参照)。
宣教師として,人々がイエス・キリストを信じる信仰を築く決意をし,それを守れるように助けてください。これらの決意は,人々が儀式を受け,神と神聖な聖約を交わして守るための備えとなります。
悔い改め
イエス・キリストを信じる信仰は,わたしたちを悔い改めへと導きます(ヒラマン14:13参照)。悔い改めは罪に背を向け,神に立ち返るための過程です。悔い改めるとき,わたしたちの行い,望み,思いは神の御心とより調和したものになります。
救い主はその贖いの犠牲を通して,わたしたちの罪の代価を払ってくださいました(モーサヤ15:9;アルマ34:15-17参照)。わたしたちは悔い改めるとき,イエス・キリストと主の犠牲のおかげで赦しを受けることができます。主は悔い改める人に対する御自分の憐れみの権利を求められるからです(モロナイ7:27-28参照)。預言者リーハイの言葉を借りると,わたしたちの「贖いは……聖なるメシヤの功徳と憐れみによ〔って〕」(2ニーファイ2:6,8)もたらされるのです。
悔い改めとは,意志の力を働かせて振る舞いを変えたり,弱さを克服したりする以上のことです。悔い改めとは,心の中に「大きな変化」を経験する力を与えてくださるキリストに,心から立ち返ることです(アルマ5:12-14参照)。へりくだって御霊に自らをゆだね,神の御心に自らを従わせることを意味します。悔い改めるとき,神に仕え,神の戒めを守る決意が強まります。キリストによって霊的に再び生まれます。
悔い改めは前向きな原則であり,喜びと平安をもたらしてくれます。わたしたちを「贖い主の力のもとに導き,〔わたしたち〕に救いを得させるもの」(ヒラマン5:11)です。
なぜ悔い改める必要があるのかを理解できるように,大胆に,また愛をもって人々を助けてください。教えている人々が決意するように招くことは,悔い改めるように招くことであり,希望を与えることになるのです。
バプテスマ
イエス・キリストを信じる信仰と悔い改めは,わたしたちをバプテスマの儀式に備えます。「悔い改めの最初の実はバプテスマ」(モロナイ8:25)です。神から権能を受けている者によって水に沈められるバプテスマを受けるとき,わたしたちは永遠の命へと通じる門に入ります。
バプテスマを受けるときに,わたしたちは神と聖約を交わします。この聖約を守るとき,聖霊がともにいてくださり,罪が赦され,イエス・キリストの教会の会員の資格が与えられると,神は約束しておられます(教義と聖約20:77,79;モロナイ6:4参照)。わたしたちは主のもとに集められ,この喜びと希望に満ちた儀式を通して霊的に再び生まれます。
教える人々にバプテスマを施し,確認を行うことは,あなたの目的の中心にあります。バプテスマを受ける資格を得るには,教義と聖約20:37に記されている条件を満たさなければならないことを,人々が理解できるよう助けてください。
確認と聖霊の賜物
バプテスマは二つの部分から成ります:水によるバプテスマと,霊によるバプテスマです。水によるバプテスマを受けた後,神から権能を受けている者の按手による確認を受けることで,バプテスマが完全なものとなります。確認を通して,わたしたちは聖霊の賜物と罪の赦しを受けることができます。
預言者ジョセフ・スミスは次のように教えています。「水によるバプテスマはバプテスマの半分にすぎず,残りの半分,すなわち,聖霊のバプテスマがなければ,何の役にも立たないのです。」(『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』95)
アルマはこう教えています。「全人類〔は〕……再び生まれなければならない……。まことに,人は神から生まれ,肉欲にふける堕落した状態から義の状態に変わって,神に贖われ,神の息子や娘にならなければならない。このようにして,彼らは新たな者となる。」(モーサヤ27:25-26)
悔い改める人にとって,水と霊によるバプテスマは,霊的に再び生まれることになります。
最後まで堪え忍ぶ
イエス・キリストに従うことは,生涯にわたる決意です。生涯を通じてキリストを信じる信仰を働かせ,日々悔い改め,福音のすべての儀式を受けて聖約を交わし,それらの聖約を守り,聖霊を伴侶とすることによって,最後まで堪え忍びます。これには,聖餐を取ることにより,自分が交わした聖約を新たにすることも含まれます。
福音—天の御父のみもとに戻るための御父の道
イエス・キリストの福音には,わたしたちがどのように生活し,どのような人になるかを変える力があります。その原則は,わたしたちが人生で一度だけ踏めばよいステップではありません。生涯を通じて繰り返し実践するとき,それらの原則はわたしたちを神に近づけてくれ,ますます豊かな報いをもたらす生活の規範となっていきます。平安,癒し,赦しをもたらしてくれます。また,天の御父とともに永遠の命にあずかるために,御父が与えてくださっている道を明確にしてくれます。
イエス・キリストの福音は,あなたが宣教師としてどのように働けばよいか導いてくれます。また,あなたの取り組みの焦点を鮮明にしてくれます。人々が,悔い改めを生じるイエス・キリストを信じる信仰を得られるよう助けてください(アルマ34:15-17参照)。イエス・キリストの完全な福音と神権の権能が回復されたことを教え,証してください。バプテスマを受け,救い主の教えに従って生活するよう,人々を招いてください。
イエス・キリストの福音は,神のすべての子供たちを祝福する
イエス・キリストの福音は,神のすべての子供たちのためにあります。聖文は,「すべての人が神にとって等しい存在」であると教えています。主は「御自分のもとに来て主の慈しみにあずかるように,すべての人を招〔き〕,主のもとに来る者を決して拒まれない」(2ニーファイ26:33)のです。
福音は,現世の生涯を通じて,そして永遠にわたって,わたしたちに祝福をもたらします。イエス・キリストの教えに従って生活するとき,わたしたちは個人としても,家族としても幸福になるに違いありません(モーサヤ2:41;「家族—世界への宣言」ChurchofJesusChrist.org参照)。福音に従って生活することで,喜びが深まり,行いについて霊感を受け,人間関係が豊かなものになります。
回復された福音のすばらしいメッセージの一つは,わたしたちは皆,神の家族の一員であるということです。わたしたちは神の愛する息子たち,娘たちです。地上での家庭がどのような状況であるかにかかわらず,わたしたち一人一人が神の家族の一員なのです。
もう一つのすばらしいメッセージは,家族は永遠にわたって結ばれることができるということです。家族は神によって定められたものです。末日の預言者たちは次のように教えています。
「神の幸福の計画は,家族関係が墓を超えて続くことを可能にしました。聖なる神殿において得られる神聖な儀式と聖約は,わたしたちが個人として神のみもとに帰り,また家族として永遠に一つとなることを可能にするのです。」(「家族-世界への宣言」)
結婚や愛にあふれた家族関係を築く機会が限られている人は大勢います。離婚やそのほかの難しい家庭状況を経験している人も大勢います。ですが,家族がどのような状況であろうと,福音はわたしたちを個人的に祝福してくれます。わたしたちが忠実であるなら,この世で,あるいは次の世で,神は愛にあふれた家族を持つという祝福を受ける道を備えてくださいます(モーサヤ2:41参照)。
回復のメッセージ—信仰の礎
あなたがどこで働くか,だれを教えるかにかかわらず,イエス・キリストと主の福音の回復を中心にして教えてください。宣教師のレッスンで採り上げられている教義を研究していくと,わたしたちの伝えるメッセージは一つであることが分かるでしょう。イエスがキリストであり,わたしたちの救い主,贖い主であられることです。現代の預言者を通して,天の御父はわたしたちの救いのために御父が用意された計画に関する知識を回復されました。この計画はイエス・キリストを中心としています。主の贖いの犠牲を通して,救い主はわたしたち皆が罪と死から救われ,天の御父のみもとに帰ることを可能にしてくださっています。
あなたが教える人々が,以下の事柄を理解できるように助けてください:
-
神は,文字どおり天におられるわたしたちの御父であられます。わたしたちを完全に愛しておられます。地上のすべての人は神の子供であり,神の家族の一員です。
-
天の御父は,わたしたちが神の最も大きな祝福である不死不滅と永遠の命を受けられるように,計画を与えてくださいました(モーセ1:39参照)。わたしたちが地上に来たのは,学び,成長し,神の完全な祝福に備えるためです。
-
計画の一部として,天の御父はわたしたちがこの世で導きを受け,みもとに戻ることができるように,戒めを与えておられます(例として,出エジプト20:3-17参照)。
-
この世において,わたしたちはだれもが罪を犯し,だれもが死を迎えます。天の御父はわたしたちを愛しておられるので,わたしたちを罪と死から贖うために御子イエス・キリストを遣わしてくださいました。
-
イエスの贖いの犠牲のおかげで,わたしたちは悔い改めてバプテスマと確認を受けることによって罪から清められます。このことは平安をもたらし,神のもとに戻って満ちみちる喜びを受けることを可能にします。
-
イエスの復活のおかげで,わたしたちは皆死んだ後で復活します。すなわち,わたしたち一人一人の霊と肉体が再び一つとなり,永遠に生きるということです。
-
聖書の歴史を通じて,主は預言者を通して御自分の福音を明らかにし,御自分の教会を組織されました。しかし何度も,大半の人々がそれを拒みました。人々が福音から離れ去り,回復が必要になるというパターンは,旧約の時代に始まっていたのです。
-
救い主の死と復活の後,しばらくの間,主の使徒たちが教会を導きました。やがて使徒たちが亡くなり,神権の権能が失われ,再び人々は救い主の教えから離れ去りました。人々は教義と儀式に変更を加えました。
-
預言者ジョセフ・スミスを通して,イエス・キリストの福音が天の御父によって回復されました。1820年の春,天の御父とイエス・キリストがジョセフに御姿を現されました。ジョセフ・スミスは後に神権の権能を受け,地上に再びイエス・キリストの教会を組織するように指示されました。
イエス・キリストの教会は単なるもう一つの宗教ではないことを教えてください。アメリカの教会でもありません。そうではなく,イエス・キリストの「完全な福音」が回復されたのです(教義と聖約1:23参照)。この福音が地から取り去られることはもう二度とありません。
モルモン書—イエス・キリストについてのもう一つの証は,イエス・キリストと世の救い主としての主の神聖な使命について証しています。また,イエス・キリストが預言者ジョセフ・スミスを通して御自分の福音と教会を回復されたことの力強い証です。モルモン書を読み,そのメッセージについて祈るように人々を招き,助けてください。
モロナイ10:3-5に記されているすばらしい約束を信頼してください。モルモン書が神の言葉であるかどうか誠心誠意神に尋ねるよう,人々を励ましてください。誠心誠意祈るとは,聖霊の証によって得た答えに進んで従って行動するという意味です。その証は,キリストが御自身の教会を回復されたことを信じる信仰の礎となるものです。あなたの教える人々がその霊的な確認を求めるよう助けてください。
教会を確立し,築き上げる
イエス・キリストは御自身の教会を回復したとき,預言者ジョセフ・スミスとそのほかの人たちに,教会を「設け」,「築き上げる」(教義と聖約31:7;39:13)ように命じられました。証を持つ人々がバプテスマと確認を受け,聖約を守り,神殿に参入する備えをし,ワードや支部を強めるのを助けるとき,教会が確立され,築き上げられます。
あなたは宣教師として,救い主の教会を確立し,築き上げるのを助けます。そのためにできることはたくさんあります。会員が,愛し,分かち合い,招くという原則を通して福音を分かち合う際に助けることができます(『総合手引き』23.1参照)。人々がバプテスマを受け,信仰を強めるのを助けることができます。新会員が新しい生活に慣れ,霊的に成長し続けるのを助けることができます。教会に再び集うようになった会員がイエス・キリストを信じる信仰を強められるように助けることができます。
新会員と教会に再び集うようになった会員は,生活の中で福音が力を発揮しているのを経験するときに証と信仰が強まります。そのような経験をするには,以下のことが重要です:
-
教会員の友人がいる。
-
教会で責任を与えられる。
-
神の言葉によって養われる。
(ゴードン・B・ヒンクレー「改宗者と若い男性について」『聖徒の道』1997年7月号,56参照)
宣教師,地元の指導者,そのほかの教会員は,新会員や教会に再び集うようになった会員を養い,強める機会を喜んで受け入れるべきです。この務めは「彼らを正しい道にとどめる」(モロナイ6:4)助けとなります。
よい働きをしながら巡回する
救い主は,地上で務めを果たしておられたとき,人々に仕えられました。「よい働きをし」,「福音を宣べ伝え」(使徒10:38;マタイ4:23)ながら巡回されました。主の模範に従うとき,あなたは自分が仕えることのできる人々や,自分を受け入れてくれる人々を見いだすことでしょう。
奉仕を通して,あなたは神を愛し,隣人を愛するという二つの大切な戒めを果たします(マタイ22:36-40;25:40;モーサヤ2:17参照)。奉仕を通して,あなたと人々は力強く,また霊感あふれる方法で団結することになるかもしれません。
宣教師として,あなたは毎週計画された奉仕を行います(詳しくは,『宣教師の標準』2.7および7.2を参照)。伝道部会長の指示の下で,JustServe(承認されている地域の場合)や,教会の人道支援,災害対応の活動を通じて,地域社会で奉仕する機会を見つけるかもしれません。
一日を通して,善を行うための計画されていない機会を祈り求め,探してください。小さな親切を行える機会に気付けるように,御霊に耳を傾けてください。
「幸せになりたいと思いますか。それならば,自分を忘れて,この大義に没頭してください。人々を助けるために手を貸してください。……もっと自分を磨いて,ひざの弱っている人を背負い,手の垂れた人の腕を支えてあげてください。イエス・キリストの福音に従って生きてください。」(ゴードン・B・ヒンクレー『歴代大管長の教え-ゴードン・B・ヒンクレー』203)
宣教師として成功する
宣教師としてのあなたの成功はおもに,改宗者を見つけ,教え,バプテスマを施し,確認し,彼らがキリストの忠実な弟子および主の教会の会員となるのを助けることに対して,あなたが抱く望みと決意によって決まります(アルマ41:3参照)。
あなたの成功は,何人の人を教えたり,バプテスマに導くのを助けたりしたかで決まるのではありません。リーダーの役職に就くことによって決まるのでもありません。
あなたの成功は,人々があなたやあなたの招き,心からの親切な行いにどう応じることを選ぶかによって決まるのでもありません。人々には,福音のメッセージを受け入れるかどうかについて,選択の自由があるのです。人々が情報に基づいて自分に祝福をもたらす選択ができるように,はっきりと力強く教えることがあなたの責任です。
マタイ25:14-28に記されている,救い主が語られたタラントのたとえについて考えてください。主を表している主人は,それぞれがささげたものの量は異なっていましたが,二人の忠実な僕を褒めました(マタイ25:21,23参照)。彼らが自分に与えられたものを尊んで大いなるものとしたので,「主人と一緒に喜んでくれ」と主人は彼らを招き,二人に同じ報いを与えました。
神はあなたに,神の務めにおいて用いるための才能や賜物を与えておられます。あなたの才能や賜物は,ほかの人のものとは異なっています。目に見えにくいものも含めて,これらがすべて重要なものであることを認識してください。あなたが自分の才能や賜物を主に奉献するとき,主はそれらを大いなるものとして,あなたがささげるものを用いて奇跡を行われます。
ほかの宣教師と自分を比べることや,自分の取り組みの表面上の結果をほかの宣教師の結果と比較して評価することは避けてください。比較することは大抵,落胆や高慢などの悪い結果につながります。また,比較することはしばしば誤解を招く恐れがあります。主が望んでおられるのはあなたの最善の努力であり,あなたが「あなた……の心と,勢力と,思いと,力を尽くして神に仕え〔る〕」(教義と聖約4:2;強調付加)ことです。
人々が福音を受け入れないとき,あなたは悲しみを覚えるかもしれません。時には落胆することもあるかもしれません。聖文に記されている偉大な宣教師たちや預言者たちでさえも,時には落胆しました(2ニーファイ4:17-19;アルマ26:27参照)。そのようなときには,主に頼り,主に信頼を寄せ,強さを祈り求め,主がこれまでにあなたにしてくださった善いことを思い出すことで,ニーファイの模範に倣ってください(2ニーファイ4:16-35参照)。
困難の中で主に頼るなら,主は次のように約束しておられます。「わたしはあなたを強くし,あなたを助け,……あなたをささえる。」(イザヤ41:10)キリストを信じる信仰を働かせることを通して,あなたは平安を見いだし,自分の努力に自信を持つことができます。信仰は,前に進み,義にかなった望みを持ち続ける助けとなります。
表面上の結果ではなく,キリストに対するあなたの献身と,あなたの宣教師の目的に焦点を当て続けてください。これらの結果は,すぐにはっきりと分からないことが多いです。また同時に,どのような試練に直面していようとも,期待を高く持ち続けてください。高い期待を持つことで,あなたの効果的に働く力や望み,御霊に従う能力が増すでしょう。
以下の方法によって,主に対するあなたの献身と,宣教師として成功するためのあなたの努力を評価することができます。
-
主に学び,少しずつ改善して,イエス・キリストの弟子となるよう熱心に努める(ヨハネ8:31;2ニーファイ28:30参照)。
-
キリストのような特質を求める(2ペテロ1:2-9;教義と聖約4:5-6参照)。
-
人々を心から愛し,人々をキリストのもとへ導くために毎日最善を尽くす(1コリント13章;モロナイ7:45-48参照)。
-
救い主を信じる信仰を築く様々な決意をし,それらの決意を守るよう人々を招き,助ける。
-
聖文を研究し,感謝を表し,神の助けを求めるために熱心に祈る(ヨハネ5:39;2ニーファイ32:3;エノス1:4;アルマ37:37;教義と聖約26:1参照)。
-
神の戒めに従い,宣教師の標準を守る(教義と聖約35:24参照)。
-
どこへ行き,何を行い,何を語るべきかについて御霊の導きを受けられるように生活する(教義と聖約18:18;42:14参照)。
-
よく祈って目標を決め,計画し,それらを達成するために努力する(ルカ14:28;教義と聖約88:119参照)。
-
割り当てられているワードまたは支部を高め,強める(教義と聖約18:5参照)。
-
人々があなたのメッセージを受け入れるかどうかにかかわらず,あらゆる機会を捉えて人々に善を行い,奉仕しながら巡回する(使徒10:38参照)。
最善を尽くしたとき,それでもなお落胆を経験することがあるかもしれませんが,自分自身に対して落胆することはないでしょう。御霊が自分を通して働いているのを感じるとき,あなたは主が喜んでおられると確信することができるのです。
研究と応用のためのアイデア
個人学習
-
警告の声を上げるとはどのような意味かを考えてください(モルモン書ヤコブ3:12;教義と聖約1:4;38:41;63:57-58;88:81;112:5;エゼキエル3:17-21;33:1-12参照)。その意味を自分の言葉で書き,どのような方法で実行できるかを書き出してください。
-
これまでの人生で,ジョセフ・スミスと回復についての証を強めてくれた出来事を思い浮かべてください。受けた印象を書き留めてください。
同僚学習と同僚交換
ディストリクト評議会,ゾーン大会,伝道部リーダーシップ評議会
-
最近改宗した人を2,3人招いて,改宗に当たって経験した事柄を話してもらいます。宣教師についてどのように感じたでしょうか。宣教師が教えたことについてどのように感じたでしょうか。決意を守る助けとなったものは何でしょうか。改宗に最も大きな影響を与えたのはどのようなことだったでしょうか。
-
集会の数日前に,章の初めの「深く考えましょう」から質問を指定し,その質問について考えてくるよう複数の宣教師に割り当てます。割り当てられた質問について2,3分の話を準備してくるように頼んでください。ディストリクト評議会またはゾーン大会の中で,宣教師たちに話をしてもらいます。話が終わったら,学んだ事柄について,また宣教師としての活動でどのように活用できるかについて話し合いましょう。
-
宣教師を4つのグループに分けてください。各グループに,預言者ジョセフ・スミスを通して回復され,明らかにされた真理や聖約や儀式をできるだけ多く書き出すように言います。各グループに自分たちのリストを発表してもらいます。回復により明らかにされた真理が自分の生活にどのような影響を及ぼしてきたかを分かち合うよう,宣教師たちに働きかけます。
-
宣教師として成功するとはどのような意味かを話し合ってください。具体例を挙げるよう宣教師たちに働きかけます。
伝道部指導者と伝道部会長会顧問
-
宣教師との面接や会話の中で,以下について分かち合ってくれるよう定期的に宣教師に求めてください。
-
イエス・キリストについての証。
-
回復された福音とジョセフ・スミスの使命についての証。
-
モルモン書についての証。
-
宣教師の目的についての思い。
-
-
自分の伝道の目的だと感じていることを幾つか学習帳に書き留めるよう,宣教師たちに働きかけます。面接や会話の中で,書き留めた内容を分かち合ってもらいましょう。
-
新会員に歓迎の手紙を送ってください。