「第6章:キリストのような特質を求める」『わたしの福音を宣べ伝えなさい—イエス・キリストの福音を分かち合うためのガイド』
「第6章」『わたしの福音を宣べ伝えなさい』
第6章
キリストのような特質を求める
はじめに
地上での務めを始められたとき,イエスはガリラヤの海辺を歩いて,二人の漁師ペテロとアンデレに声をおかけになりました。主は言われました。「わたしについてきなさい。あなたがたを,人間をとる漁師にしてあげよう。」(マタイ4:19。マルコ1:17も参照)
主はあなたも御自分の業に召し,御自分に従ってくるよう招いておられます。「あなたがたはどのような人物であるべきか」と主は尋ねておられます。「まことに,あなたがたに言う。わたしのようでなければならない。」(3ニーファイ27:27)
『わたしの福音を宣べ伝えなさい』の幾つかの章では,どのように研究し,どのように教え,どのように目標を設定すればよいかなど,あなたが宣教師として行う必要のある事柄に焦点が当てられています。あなたが行う事柄と同様にきわめて重要なことは,あなたがどのような人物であり,どのような人物になろうとしているかです。それが本章で焦点を当てていることです。
聖文には,あなたが宣教師として,また生涯を通じて求めることが必要不可欠である,キリストのような特質について述べられています。キリストのような特質とは,救い主の属性または性質の特徴や特性です。本章ではそれらの特質の幾つかについて説明しています。これらの特質とそれに関連した聖句を研究してください。またそのほかの聖句を研究しながら,ほかのキリストのような特質を探してください。
「イエスを求める」
預言者モロナイは次のように勧めています。「わたしは,預言者たちと使徒たちが書き記してきたイエスを求めるように,あなたがたに勧めたい。」(エテル12:41)イエスを求める一つの大切な方法は,主について学び,もっと主のようになろうと熱心に努力することです。伝道はこのことに集中するのに理想的な期間です。
もっとキリストのようになろうと努力するときに,宣教師としての目的をよりよく果たすことができるでしょう。主の特質があなたの人格の一部となるとき,喜び,平安,霊的な成長を経験することでしょう。また生涯を通じて主に従い続けるための土台を築くことになるでしょう。
神からの賜物
キリストのような特質は神からの賜物です。すべての善いものと同じように,この賜物は「父なる神と主イエス・キリストと……聖霊の恵み」(エテル12:41)を通して授けられます。
主の特質を育もうと努めるときには,キリストに焦点を当ててください(教義と聖約6:36参照)。これらの特質は,チェックリストの項目ではありません。自己改善プログラムで身につけるテクニックでもありません。個人の決意だけで得られるものでもありません。これらは,より献身的なイエス・キリストの弟子になろうと努めるときに得ることができます。
これらの特質を授けてくださるよう神に祝福を祈り求めてください。へりくだって自分の弱さを認め,あなたの生活において神の力が必要であることを認めてください。そうするときに,神は「〔あなた〕の弱さを強さに変え」(エテル12:27)てくださいます。
段階的な過程
さらに救い主のようになることは段階的な,生涯にわたる過程です。神に喜んでいただきたいという望みをもって,一度に一つずつ決断を改善していきましょう。
自分自身に忍耐強くありましょう。変化と成長には時間が必要であることを神は御存じです。神はあなたの心からの望みを喜ばれ,あなたのすべての努力に対して祝福を与えてくださいます。
さらにキリストのようになろうと努めるときに,あなたの望みや思いや行いが変わっていきます。イエス・キリストの贖罪と聖霊の力を通して,あなたの本質が精錬されます(モーサヤ3:19参照)。
聖霊はわたしたちの能力を高め,増してくださいます。聖霊は「徳や親切,善行,思いやり,寛大さ,慈愛を呼び起こされます。……要するに,昔も今も,骨に髄を,心に喜びを,目に光を,耳に音楽を,全身に命を与えてくださるのです。」(Parley P. Pratt, Key to the Science of Theology [1855], 98–99)
イエス・キリストを信じる信仰
信仰を救いにつながるものとするには,イエス・キリストをその中心に置かなければなりません(使徒4:10-12;モーサヤ3:17;モロナイ7:24-26参照)。キリストを信じる信仰を持つ人は,神の独り子として主を信頼します。悔い改めるときに主の贖いの犠牲を通して罪が赦され,聖霊によって聖められることを確信します(3ニーファイ27:16,20参照)。
信仰とは物事を完全に知ることではありません。そうではなく,まだ見ていないけれども真実であることについて,御霊から受ける確信です(アルマ32:21参照)。
あなたは行動を通して信仰を表します。そのような行動には,救い主の教えと模範に従うことが含まれます。ほかの人々に仕え,人々がキリストに従うことを選ぶように助けることが含まれます。また,勤勉,悔い改め,愛によっても信仰を示します。
信仰は力の原則です。イエス・キリストを信じる信仰を働かせるとき,あなたは主の力によって自分の状況に適した祝福を受けるでしょう。主の御心に従って,奇跡を経験することもできるでしょう(モルモン書ヤコブ4:4-7;モロナイ7:33;10:7参照)。
イエス・キリストを信じる信仰は,主と主の教えをよく理解するにつれて強くなっていきます。聖文を調べ,心から祈り,戒めに従うときに増していきます。疑いや罪は信仰を徐々に弱らせます。
「信仰とは単なる感情にとどまりません。信仰とは決意です。祈り,研究,従順そして聖約によって,わたしたちは自らの信仰を築き,強固にします。救い主とその末日の業に対する確信は,強力なレンズとなり,わたしたちはこのレンズを通してほかのあらゆる事柄を正しく判断できるようになります。人生の試練の中にあっても,……正しい道を歩む力が得られるのです。」(ニール・L・アンダーセン「福音は真実ではないのですか。それなら,ほかのものが何だというのですか」『リアホナ』2007年5月号,74-75)
希望
希望とは単にこうなってほしいという思いではありません。キリストを信じる信仰に根差した,神が約束を果たしてくださるという揺るぎない確信です(モロナイ7:42参照)。キリストを通して「現れ〔る〕祝福」(ヘブル9:11)を期待することです。
あなたの希望の究極の源はイエス・キリストです。預言者モルモンは次のように問いかけています。「あなたがたは何を望めばよいのであろうか。」そしてこう答えています。「あなたがたは,キリストの贖罪とキリストの復活の力によって永遠の命によみがえることを望まなければならない。あなたがたがキリストを信じることで,約束のとおりこれが果たされるのである。」(モロナイ7:41。40-43節も参照)
キリストをあなたの望みの中心とするなら,万事が益となるようにともに働くという確信を持つことができます(教義と聖約90:24参照)。この確信によって,試練に直面したときに信仰を持ち続けることができます。また試練を通して成長し,霊的なレジリエンスと強さを育むことができます。キリストに希望を抱くことは,心の錨となります(エテル12:4参照)。
希望は,神があなたの熱心で義にかなった努力を大いなるものとしてくださるという確信を与えてくれます(教義と聖約123:17参照)。
希望を増す方法の一つは,悔い改めです。イエス・キリストの贖いの犠牲を通して清められ,赦されることにより,希望が生じたり,再び湧き起こったりします(アルマ22:16参照)。
ニーファイは次のように勧めています。「キリストを確固として信じ,完全な希望の輝きを持ち,神とすべての人を愛して力強く進まなければならない。」(2ニーファイ31:20)福音に従って生活するとき,「望みにあふれ〔る〕」(ローマ15:13)能力が増していきます。
「苦難の中で神の預言者の勧告に従うなら,物事が『〔わたしたちの〕益となるようにともに働く』という希望を確固として持つことができます。このような希望を,神と,神の慈しみ,神の力に対して持つなら,難しい状況の中で勇気を得,気持ちを新たにし,迫り来る恐れ,疑い,絶望に対して力を得ることができます。」(ディーター・F・ウークトドルフ「希望という無限の力」『リアホナ』2008年11月号,23)
慈愛と愛
かつてある人がイエスに尋ねました。「律法の中で,どのいましめがいちばん大切なのですか。」イエスは答えられました。「『心をつくし,精神をつくし,思いをつくして,主なるあなたの神を愛せよ。』これがいちばん大切な,第一のいましめである。第二もこれと同様である,『自分を愛するようにあなたの隣り人を愛せよ。』」(マタイ22:36-39)
慈愛とは「キリストの純粋な愛」(モロナイ7:47)です。それには神が御自分のすべての子供たちに対して抱いておられる永遠の愛が含まれます。
預言者モルモンは次のように教えています。「この愛で満たされるように……熱意を込めて御父に祈りなさい。」(モロナイ7:48)慈愛で心が満たされるように祈るならば,あなたは神の愛を味わうでしょう。人々に対する愛が増し,彼らの永遠の幸福に対して心からの関心を抱くようになるでしょう。人々を,神のようになる可能性を持った神の子供として見るようになり,彼らのために力を尽くすようになるでしょう。
慈愛の賜物を祈り求めるとき,怒りやねたみといった否定的な感情に捕らわれることが少なくなります。人々を裁いたり,批判したりすることが少なくなります。人々を理解し,彼らの視点を理解するよう努力したいという望みが増します。もっと忍耐強くなり,人々が苦しみや落胆を経験しているときに助けようとします(モロナイ7:45参照)。
慈愛は,信仰のように,行動へと駆り立てます。人々に仕え,自らをささげるときに,慈愛を深めることができます。
慈愛は変化をもたらします。天の御父は,この愛を「御子イエス・キリストに真に従う者すべてに授け……,御子が御自身を現わされるときに……御子に似た者となれるように,……さらにわたしたちが清められて清い御子と同じになれるよう」(モロナイ7:48)にしてくださいます。
徳
「わたしたちは,……徳高くあるべきこと……を信じる」(信仰箇条1:13)と信仰箇条は述べています。徳とは高い道徳的標準に基づいた思いと行いのパターンです。それは神とほかの人々に対する忠誠です。徳の重要な要素には,霊的および肉体的に汚れなく,清くある努力が含まれます。
徳はあなたの思いと望みから始まります。「絶えず徳であなたの思いを飾るようにしなさい」(教義と聖約121:45)と主は言っておられます。義にかなった,自分を高めるような思いに焦点を当ててください。ふさわしくない思いを抱き続けることなく,心の中から追い払ってください。
あなたの思いは,劇場の舞台のようなものです。不健全な思いが舞台にとどまるのを許せば,罪を犯しやすくなります。積極的に健全な事柄で思いを満たすなら,徳高いことを受け入れて悪いことを避ける可能性が高まります。あなたの思いの舞台にどのような思いが立ち,そこにとどまるのを許すかについて,賢くあってください。
徳高く生活しようと努力するにつれて,「神の前においてあなたの自信は増し,……聖霊は常にあなたの伴侶とな〔る〕」(教義と聖約121:45-46)でしょう。
高潔
高潔さは,神を愛するという第一の戒めから来るものです(マタイ22:37参照)。あなたは神を愛しているので,常に神に忠実なのです。ヒラマンの息子たちのように,「神の前をまっすぐに歩む」(アルマ53:21)のです。
高潔であるとき,あなたは善と悪があることと,絶対的な真理,すなわち神の真理があることを理解しています。神の真理に従って選択の自由を使い,そのように選択しなかったときには速やかに悔い改めます。何について考えることを選ぶか,まただれも見ていないと思うときに何をすることを選ぶかは,高潔さを測る強力な尺度となります。
高潔とは,人々に良い印象を与えたり,受け入れられたりするために自分の行いや標準を下げないことです。たとえ神に忠実でありたいという望みをあざける人がいても,正しいことを行います(1ニーファイ8:24-28参照)。すべての環境において,インターネットで自分をどう表すかも含めて,名誉をもって生活します。
高潔であるとき,あなたは神と交わした聖約と,ほかの人々に対する義にかなった決意を守ります。
高潔さには,神と自分自身,指導者,そのほかの人々に対して正直であることが含まれます。うそをついたり,盗んだり,ごまかしたり,欺いたりしません。間違ったことをしたときは,責任を受け入れ,正当化したり理屈づけたりしようとせずに悔い改めます。
高潔に生活するとき,内なる平安と自尊心を持つことができます。主やほかの人々の信頼を受けるようになります。
知識
主は「研究によって,また信仰によって学問を求めなさい」(教義と聖約88:118)と勧告しておられます。伝道の期間を通して,そして生涯を通じて,知識,特に霊的な知識を求めてください。
毎日聖文と生ける預言者の言葉を研究してください。研究と祈りを通して,具体的な疑問,課題,機会について助けを求めてください。福音について教えたり,質問に答えたりする際に用いることのできる聖句を探してください。
熱心に,また祈りをもって研究するとき,聖霊があなたの思いを照らしてくださいます。あなたを教え,理解を与えてくださいます。聖文と末日の預言者の教えを生活の中で応用できるよう助けてくださいます。ニーファイのように,あなたは次のように言うことができるでしょう。
「わたしは聖文に喜びを感じるからである。わたしは聖文について心に深く考え〔る。〕……見よ,わたしは主に関することに喜びを感じる。わたしの心は,これまでに見聞きしたことを絶えず深く考えている。」(2ニーファイ4:15-16)
忍耐
忍耐とは,遅れや逆境や苦しみに直面するときに神を信頼する能力です。信仰を通して,神の約束された祝福が成就する神の時期を信頼するのです。
忍耐強くあるとき,あなたは人生を永遠の観点から見ます。即座に祝福や結果がもたらされることを期待しません。あなたの義にかなった望みは大抵,「ここにも少し,そこにも少しと」(2ニーファイ28:30)実現していくのです。義にかなった望みの中には,この世の生涯の後まで実現しないものもあるかもしれません。
忍耐とは,怠惰であることでも,消極的に諦めることでもありません。神に仕えながら「力の限りすべてのことを喜んで行〔う〕」(教義と聖約123:17)ことです。種をまき,水をやって養うときに,神は「やがて」(アルマ32:42。1コリント3:6-8も参照)祝福を増し加えてくださいます。自分の役割を果たしたときに,神が御自身の時と個々の選択の自由に応じて御自分の業を成し遂げられると信頼しながら,神と協力して働きます。
忍耐とは,変えられないことを,勇気と高潔さと信仰をもって受け入れることでもあります。
同僚やあなたが仕える人を含む,人々に対する忍耐を育んでください。自分自身に対しても忍耐強くあってください。一歩一歩成長していくのだということを認識して,自分の最善を尽くすよう努力してください。
ほかのキリストのような特質と同じように,忍耐を育むことは生涯にわたる過程です。忍耐を働かせることは,あなた自身や周りの人々に癒しをもたらします。
「忍耐とは,積極的に待って堪え忍ぶことです。持ちこたえ,できるすべてを行い,働き,希望を持ち,信仰を働かせることです。望むように事が進まなくても,不屈の精神で苦難に耐えることです。忍耐は単なる我慢ではなく,よく堪え忍ぶことなのです。」(ディーター・F・ウークトドルフ「忍耐し続ける」『リアホナ』2010年5月号,57)
謙遜
謙遜とは進んで主の御心に従うことです。達成したことについて進んで主に誉れを帰すことです。素直に学ぶ姿勢があることです(教義と聖約136:32参照)。謙遜さには,神の祝福に感謝し,神の助けがいつも必要であることを認めることが含まれます。神は謙遜な人々を助けられます。
謙遜さは霊的な強さのしるしであって,弱さのしるしではありません。謙遜さは霊的な成長を促す重要な特質です(エテル12:27参照)。
へりくだって主を信頼するとき,主の戒めは自分の益となるようにあるのだと確信することができます。主に頼れば主から求められることは何でも果たせるという自信を抱きます。また,進んで主の僕たちを信頼し,彼らの勧告に従います。謙遜さは,従順になり,熱心に働き,仕える助けとなります。
謙遜の反対は高慢です。高慢であるとは,神よりも自分自身に大きな信頼を寄せている状態を意味します。神にかかわることよりもこの世のことを優先するという意味もあります。高慢は競争心をかき立てます。高慢な人は,より多くを得ようとし,自分はほかの人々よりも優れていると思い込みます。高慢は大きなつまずきの石です。
勤勉
勤勉とは,一貫して,熱心に励むことです。伝道における勤勉さは,主に対する愛の表れです。勤勉であるとき,あなたは主の業に喜びと満足感を見いだすでしょう(アルマ26:16参照)。
勤勉には,指導者から何をすべきか告げられるのを待つのではなく,自らの自由意志によって多くの善いことを行うことが含まれます(教義と聖約58:27-29参照)。
難しいときや,疲れているときでも,善いことを行い続けてください。しかし,「自分の力以上に速く走る」(モーサヤ4:27)ことのないように,バランスと休息が必要であることを認識してください。
主と主の業を,あなたの心と関心の中心に置いてください。優先順位の高いものから注意をそらす事柄を避けてください。あなたの地域で最も効果的な活動や,あなたが教えている人々にとって最も有益な活動に,あなたの時間と努力を集中させてください。
「この教会は主の教会です。主は,わたしたちの弱さを知りながら,召し,信頼してくださいました。主は各自が経験する試練を御存じでした。忠実な奉仕と主の贖罪により,わたしたちは主が望まれることを望み,主に代わって自分が仕える人を祝福する者になれます。十分な期間勤勉に主に仕えるなら,わたしたちは変えられます。常にさらに主に似た者となれるのです。」(ヘンリー・B・アイリング「まったく勤勉に遂行する」『リアホナ』2010年5月号,62-63)
従順
宣教師としての奉仕は,バプテスマと神殿で神と交わした聖約の延長線上にあります。バプテスマとエンダウメントの儀式を受けたとき,あなたは神の戒めを守ると聖約しました。
ベニヤミン王は次のように教えています。「あなたがたは,神の戒めを守る者の祝福された幸福な状態についても考えてほしい。見よ,これらの者は物質的にも霊的にも,すべてのことについて祝福を受ける。そして,もし最後まで忠実であり続けるならば,彼らは天に迎えられ,決して終わりのない幸福な状態で神とともに住めるのである。」(モーサヤ2:41)
戒めに従うことは,天の御父とイエス・キリストに対する愛の表れです(ヨハネ14:15参照)。イエスは次のように言っておられます。「もしわたしのいましめを守るならば,あなたがたはわたしの愛のうちにおるのである。それはわたしがわたしの父のいましめを守ったので,その愛のうちにおるのと同じである。」(ヨハネ15:10)
『宣教師の標準—イエス・キリストの弟子として』の指針に従ってください。また,伝道部会長姉妹の勧告に従ってください。彼らは義のうちにあなたに勧告を与えてくれます。
「従順はわたしたちの選択です。救い主はこのことを明らかにしておられます。ジョセフ・スミス訳のルカによる福音書14章28節にあるように,イエスは次のように指示しておられます。『それであるから,わたしがあなたがたに教え,命じる事柄を行うように心を決めなさい。』とても単純明快です。……そうするときに,霊的な安定が大いに高まります。神に与えられたリソースを浪費し,人生で生産性のない破壊的な回り道をすることを避けるでしょう。」(Dale G. Renlund, “Constructing Spiritual Stability” [Brigham Young University devotional, Sept. 16, 2014], 2, speeches.byu.edu)
さらにキリストのようになるためのパターン
以下のパターンに従うことは,本章で述べられている特質や聖文で述べられているそのほかの特質を伸ばし,得る助けとなるでしょう:
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求めたいと思う特質を明確にする。
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その特質の説明を書く。
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その特質について例を示している聖句や教えている聖句をリストにして,研究する。
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感じたことや印象を記録しておく。
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その特質について進歩するための目標と計画を立てる。
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その特質を伸ばし,得るために神に助けを祈り求める。
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進捗状況を定期的に評価する。
「向上を望む人,戒めが必要であることを認め,それを守ろうと努める人,そしてキリストのような徳を愛し,それを身につけようと全力を尽くして努力する人,そのような人を主は祝福してくださいます。その過程でつまずくことがあれば—だれでもつまずいてしまうのですが,皆さんが努力し続けられるよう助けるために,救い主がおられます。……やがて自分の求める成功が得られることでしょう。」(ジェフリー・R・ホランド「あす,主があなたがたのうちに不思議を行われるからである」『リアホナ』2016年5月号,126参照)
研究と応用のためのアイデア
個人学習
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本章の最後にある「特質を伸ばすための活動」を定期的に完了させてください。
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本章で採り上げている特質を一つ選びます。次のように自問します:
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この特質についてもっと学ぶにはどうすればよいだろうか。
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イエス・キリストの福音のより良い教導者となるために,この特質を求めることはどのような助けとなるだろうか。
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生活の中でキリストのような特質を示した男女の例を聖典から探します。感じたことを学習帳に書き留めてください。
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キリストのような特質の例を,教会の神聖な音楽から探してください。特質を求めるとき,強さと力を得られるように,賛美歌や歌の歌詞を覚えてください。霊感を求めて,また御霊の影響を招くために,自分で歌詞を繰り返したり歌ったりしましょう。
同僚学習と同僚交換
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福音ライブラリーやそのほかの承認されたリソースから,キリストのような特質に言及している箇所を研究してください。学んだことをどのように応用できるか話し合ってください。キリストのようになるための個人の取り組みから学んだことについて話し合うのもよいでしょう。
ディストリクト評議会,ゾーン大会,伝道部リーダーシップ評議会
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評議会または大会の数日前に,それぞれの宣教師にキリストのような特質について5分程度の話を準備しておくように言います。集会の中で何人かの宣教師に話を分かち合ってもらう時間を取ってください。
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宣教師を4つのグループに分けて,各グループに以下の割り当てを与えます:
グループ1:1ニーファイ17:7-16を読んで,以下の質問に答えてください:
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ニーファイはどのように信仰を働かせたでしょうか。
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ニーファイはどのようなキリストのような行いをしたでしょうか。
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主はニーファイにどのような約束をされたでしょうか。
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この出来事は宣教師としての活動にどのように応用できるでしょうか。
グループ2:マルコ5:24-34を読んで,以下の質問に答えてください:
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この女性はどのようにイエス・キリストを信じる信仰を働かせたでしょうか。
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彼女はなぜ癒されたのでしょうか。
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宣教師としての取り組みの中で,彼女の模範にどのように従うことができるでしょうか。
グループ3:モルモン書ヤコブ7:1-15を読んで,以下の質問に答えてください:
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ヤコブの信仰がシーレムの攻撃に耐え得るほど強かったのはなぜでしょうか。
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ヤコブはシーレムと話したときに,どのように信仰を働かせたでしょうか。
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ヤコブの行動はどのような点でキリストのようだったでしょうか。
グループ4:ジョセフ・スミス—歴史1:8-18を読んで,以下の質問に答えてください:
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ジョセフ・スミスはどのような方法でイエス・キリストを信じる信仰を働かせたでしょうか。
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ジョセフの信仰はどのように試されたでしょうか。
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ジョセフはどのようなキリストのような行いをしたでしょうか。
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わたしたちはジョセフ・スミスの模範にどのように従うことができるでしょうか。
各グループが割り当てを終えたら,集合して,話し合ったことを発表してもらいます。
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伝道部指導者と伝道部会長会顧問
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宣教師たちに,新約聖書の四福音書の一つ,または3ニーファイ11-28章を読むように言います。救い主が行われたことで自分も行えることに線を引いてもらいます。
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目標を設定することと計画することを用いて,宣教師たちに勤勉について教えてください。熱心に人々に関心を向けることがどのような点で愛の現れであるかを示してください。
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面接や会話において,宣教師に自分が求めているキリストのような特質について話してもらいます。
特質を伸ばすための活動
この活動の目的は,あなたが霊的な成長の機会を見つけるのを助けることです。以下の各項目を読んでください。あなたがどの状態にあるかを判断して,該当する回答を選んでください。回答を学習帳に書いてください。
すべての項目で「いつも」を選べる人はいません。霊的な成長は生涯にわたる過程です。成長し,成長の祝福を経験する機会が数えきれないほどあることが,霊的な成長が胸の躍る,やりがいのあるものである理由の一つです。
安心して自分が今いるところから始めましょう。成長するために必要な霊的な努力をすると決意してください。神の助けを求めてください。失敗したときは神が助けてくださるという確信を持ちましょう。祈るとき,伝道期間中の様々な時期にどの特質に焦点を当てるべきか導きを求めてください。
該当するレベル
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1=まったくない
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2=時々
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3=頻繁に
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4=ほとんどいつも
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5=いつも
信仰
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イエス・キリストを信じ,救い主として受け入れています。(2ニーファイ25:29)
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神がわたしを愛しておられることを確信しています。(1ニーファイ11:17)
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主の御心を受け入れ,主から求められることを行うほど,救い主を信頼しています。(1ニーファイ3:7)
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イエス・キリストの贖罪と聖霊の力を通して,悔い改めるときに罪が赦され,聖められることを信じています。(エノス1:2-8)
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神がわたしの祈りを聞き,こたえてくださるという信仰があります。(モーサヤ27:14)
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日中,救い主について考え,救い主がわたしのためにしてくださったことを思い起こしています。(教義と聖約20:77,79)
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神と神の御子に献身するとき,神がわたしやほかの人々の生活に良いものをもたらしてくださるという信仰があります。(エテル12:12)
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モルモン書が真実であることを聖霊の力によって知っています。(モロナイ10:3-5)
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主がわたしに望まれることを成し遂げる信仰があります。(モロナイ7:33)
希望
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わたしの最大の望みの一つは,日の栄えの王国で永遠の命を受け継ぐことです。(モロナイ7:41)
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幸せで実りの多い伝道ができると確信しています。(教義と聖約31:3-5)
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将来について心に平安があり,楽観的です。(教義と聖約59:23)
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いつの日かわたしは神とともに住み,神のようになることを信じています。(エテル12:4)
慈愛と愛
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人々の永遠の福利と幸福を心から願っています。(モーサヤ28:3)
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祈るとき,慈愛すなわちキリストの純粋な愛を願い求めています。(モロナイ7:47-48)
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人々の気持ちを理解し,彼らの視点を理解するように努めています。(ユダ1:22)
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自分を傷つけた人や不当に扱った人を赦しています。(エペソ4:32)
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孤独な人,苦しんでいる人,落胆している人を助けるために,愛をもって手を差し伸べています。(モーサヤ18:9)
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適切であれば,言葉や行いを通してミニスタリングをすることで人々に愛と関心を示しています。(ルカ7:12-15)
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人々に奉仕する機会を探しています。(モーサヤ2:17)
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人々について前向きなことを言っています。(教義と聖約42:27)
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協調していくのが難しいときでも,人々に親切にし,忍耐しています。(モロナイ7:45)
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ほかの人が成し遂げたことに対して喜びを感じています。(アルマ17:2-4)
徳
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わたしの心は清く,純粋です。(詩篇24:3-4)
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善いことを行いたいと望んでいます。(モーサヤ5:2)
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義にかなった,心を高めてくれる思いに集中し,不健全な思いを追い払っています。(教義と聖約121:45)
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自分の罪を悔い改め,弱さを克服するよう努力しています。(教義と聖約49:26-28;エテル12:27)
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生活の中で聖霊の影響を感じています。(教義と聖約11:12-13)
高潔
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いつでも神に忠実です。(モーサヤ18:9)
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人々に良い印象を与えたり受け入れられたりするために自分の行いや標準を下げることはしません。(1ニーファイ8:24-28)
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神と自分自身,指導者,そのほかの人々に対して正直です。(教義と聖約51:9)
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わたしは信頼できる人物です。(アルマ53:20)
知識
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福音の教義と原則を確実に理解しています。(アルマ17:2-3)
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毎日聖文を研究しています。(2テモテ3:16-17)
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真理を理解し,疑問の答えを見つけようと努めています。(教義と聖約6:7)
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御霊を通して知識と導きを求めています。(1ニーファイ4:6)
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福音の教えと原則を大切にしています。(2ニーファイ4:15)
忍耐
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主の祝福と約束が成就するのを忍耐強く待ちます。(2ニーファイ10:17)
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取り乱したりいらだったりせずに物事を待つことができます。(ローマ8:25)
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宣教師として受ける試練に対して忍耐強いです。(アルマ17:11)
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ほかの人々に対して忍耐強いです。(ローマ15:1)
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自分の弱さを克服するために努力するとき,自分に対して忍耐し,主に頼っています。(エテル12:27)
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忍耐と信仰をもって逆境と向き合います。(アルマ34:40-41)
謙遜
勤勉
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細かく監督されていなくても効果的に働きます。(教義と聖約58:26-27)
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最も大切なことに焦点を当てて取り組んでいます。(マタイ23:23)
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1日に少なくとも2度,個人の祈りを行っています。(アルマ34:17-27)
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宣教師としての召しに思いを集中させています。(教義と聖約4:2,5)
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定期的に目標を設定し,計画を立てています。(教義と聖約88:119)
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務めを果たし終えるまで熱心に働きます。(教義と聖約10:4)
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自分の務めに喜びと満足を覚えています。(アルマ36:24-25)
従順
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祈るとき,誘惑を退け,正しいことを行う強さを願い求めています。(3ニーファイ18:15)
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神殿推薦状を持つにふさわしいです。(教義と聖約97:8)
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進んで伝道部の規則を守り,指導者の勧告に従っています。(ヘブル13:17)
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福音の律法と原則に従って生活するよう努力しています。(教義と聖約41:5)