キリストの降誕にまつわる14の出来事
わたしたちはイエス・キリストの降誕を毎年祝います。賛美歌を歌い,家族の伝統を楽しみます。そして,主の降誕をたたえることによって,主を思い起こすのです。でも,イエスの降誕の詳細は,聖文にどう書かれているでしょうか。
キリストの降誕が預言される |
古代エルサレムと古代アメリカ |
救い主がお生まれになるはるか以前に,預言者たちは,イエス・キリストについて啓示を受けていました。旧約聖書の預言者たちは,ダビデ王の子孫である王,つまりメシヤがベツレヘムにお生まれになると言っていたのです。ユダヤ人の解釈によると,このメシヤは,御自分の民であるユダヤ人を政治的な抑圧から解放する王となり,公正に地を治めるとされていました。 一方で,古代のユダヤ人は,民を霊的な抑圧から解放する王を望んではいませんでした。イエス・キリストは,一時的な救いと地上の王国ではなく,永遠の救いと御父の王国をもたらそうとしておられたのです。 | |
天使ガブリエル,バプテスマのヨハネの親を訪れる |
ユダヤ |
マタイ17:12-13;ルカ1:5-25(特に17節);教義と聖約27:7;『聖句ガイド』「エライアス」の項 |
バプテスマのヨハネは,エライアス,つまりキリストに先駆ける者でした。天使ガブリエルは,ヨハネの父となるザカリヤに,妻エリサベツに子が生まれることを告げ,その子をヨハネと名付けなければならないと言いました。ザカリヤはこれを信じなかったため,耳が聞こえず,口もきけなくなりました。 |
天使ガブリエル,マリヤに現れる |
ナザレとガリラヤ |
ガブリエルは6か月後に,今度はエリサベツの親族であるマリヤのもとを訪れました。そして,マリヤはおとめではあるけれども,聖霊の力によって身ごもり,その子はイエス・キリストになると告げたのです。マリヤは,神の御子の母となる召しをへりくだって受け入れます。この天使は,親族のエリサベツが身ごもっていることも告げました。 | |
マリヤ,エリサベツを訪ねる |
ユダヤ |
マリヤは天使の訪れを受けた後,ナザレをたって,ユダヤにいる親族エリサベツのもとを訪れ,そこに3か月間滞在しました。マリヤの滞在中,エリサベツは,マリヤの宿している子が神の御子であるという証を,聖霊によって得ます。マリヤも神について自分の証を述べました。 | |
バプテスマのヨハネ生まれる |
ユダヤ |
バプテスマのヨハネが生まれたとき,人々は彼を,父親の名にちなんでザカリヤと名付けようとしました。しかし,エリサベツはそれに納得せず,友人や隣人に,その名はヨハネだと言います。友人や隣人がこれについてザカリヤに問うと,ザカリヤはエリサベツと同じことを言いました。ザカリヤは,ガブリエルに言われた通りの名を息子に付けたところ,舌が緩み,聴覚も戻ってしゃべれるようになり,神をほめたたえました。 | |
天使ガブリエル,ヨセフに現れる |
ナザレ |
マリヤと婚約していたヨセフは,ナザレに帰ったマリヤが身重であることを知ると,「ひそかに離縁」,つまり人知れず婚約を解消しようと思いました。ところが,そうする前に天使ガブリエルが夢に現れて,マリヤのおなかの子は聖霊によって宿っているのであり,民を罪から救う者になると証したのです。そこでヨセフは,マリヤと別れることなく,結婚することにしました。 | |
すべての人が課税される |
ローマ帝国 |
ルカ2:1-4;ジェームズ・E・タルメージ『キリスト・イエス』100-101 |
ローマ帝国が実施した課税制度には,税を課すことと,人口調査のために登録することの二つの役割がありました。通常ローマ人は居住地で登録しましたが,ユダヤ人は,慣習に基づいて先祖の地で登録することにしていました。そのために,ヨセフの先祖の地であるベツレヘムには大勢の人が集まり,宿に空きがありませんでした。 |
イエス・キリストがお生まれになる |
ナザレと,ベツレヘム,ユダヤ ベツレヘムには「パンの家」という意味があり,そこはメシヤがお生まれになると預言されていた地である。 |
ヨセフとマリヤは登録手続きのためにベツレヘムに行きました。イエスがお生まれになると,マリヤはイエスを飼い葉おけに寝かせました。飼い葉おけとは家畜のえさを入れる容器で,マリヤはこれをみどりごのベッドにしたのです。そこに動物がいたという記述はありません。 | |
預言されていたしるしがアメリカ大陸に現れる |
アメリカ大陸 |
キリストがお生まれになった日,アメリカ大陸では,預言されていたように一昼夜にわたって真昼の明るさが続き,空に一つの新しい星が現れました。 | |
羊飼いにキリストの降誕が知らされる |
ベツレヘム付近 |
この季節,羊飼いは戸外で昼夜羊の群れの番をしていました。天使が現れて救い主の降誕を告げたのも,まさに彼らが羊の群れの番をしていたときのことです。天使がこれを告げると,おびただしい数の天使が現れて神を賛美しました。羊飼いたちはこれを聞くと,イエスにお会いするために急いでベツレヘムに行きました。彼らはイエスにまみえると,ヨセフとマリヤのもとを去り,目にしたことを人々に伝えました。 | |
イエス,割礼を受け,命名され,宮もうでをする |
ベツレヘム |
ルカ2:21-38;ジェームズ・E・タルメージ『キリスト・イエス』92-93 |
8日が過ぎると,イエスは,ユダヤ人の慣習に従って割礼を受け,命名されました。「イエス」,すなわち「イェーシューア」と名付けられたのです。この名は,ヘブライ語では「救い主」を意味します。 ユダヤ人の慣習では,女性は出産後40日たたないと神殿に参入できないので,40日たった後に,マリヤとヨセフはイエスを連れて宮もうでをしました。そこで出会ったシメオンは,キリストに会うまでは死なないという約束を受けていました。シメオンはそのみどりごこそがキリストだと分かると,みどりごを腕に抱いて神をほめたたえました。また,この地上でのキリストの使命について預言しました。 女預言者アンナもまた,このとき神殿でキリストにまみえ,キリストの使命について証しました。 |
博士たちがキリストのことをヘロデに尋ねる |
エルサレム |
人数は記録にありませんが,何人かの博士が,キリストを探し求めて「東から」エルサレムにやって来ました。博士たちは空に,キリストがお生まれになったしるしである新しい星を見ていたので,ローマ帝国からユダヤの王に任命されていたヘロデ王に,その幼子がどこにいるのか尋ねました。ヘロデは,新しい王であるメシヤが誕生したのかと恐れました。自分の王国を奪われるかと思ったのです。その恐れについては博士たちに告げず,キリストが見つかったら知らせてくれるように言いました。キリストを殺そうとたくらんだのです。 | |
博士たち,キリストにまみえ,贈り物をささげる |
ベツレヘム |
博士たちは結局,キリストにまみえました。博士たちが家でまみえたイエスを,マタイは特に「幼な子」と記しています。このことから,博士たちの来訪がキリストの降誕から少なくとも1年はたっていたことがうかがわれます。彼らがささげたのは,黄金,乳香,没薬といった,イエスが王であられることを認める高価な贈り物でした。博士たちは,イエスにまみえたことをヘロデに言ってはならないとの御告げを夢で受けました。 | |
ヨセフ,エジプトに逃れるよう警告される |
ベツレヘム,エジプト,ナザレ |
ヘロデは,命じておいた報告を博士たちから受けることがなかったため,ベツレヘムにいる2歳以下の子供をすべて殺すようにとの布告を出しました。ヨセフは,示現で警告を受け,マリヤとイエスを連れてエジプトに逃れ,ヘロデが死ぬまでそこにとどまりました。ヘロデが死ぬと,天使が示現の中でヨセフのもとに来て,イスラエルに戻ってもよいと告げました。しかし,ヘロデの息子が統治者になっていることを聞いて,ヨセフは,ユダヤに行かずに,家族を連れてガリラヤのナザレに行きました。こうして,ナザレのイエスとしての,キリストの生涯が始まったのです。その後年月がたってイエスはバプテスマを受け,奇跡を起こし,すばらしい永遠の贖罪を成し遂げられます。 |