救い主の方法で教える
家族の話し合いを改善する
著者は現在,ブラジル・クリティーバ伝道部の伝道部会長として奉仕しています。
子供たちがより積極的に福音を学べるように助けるには,どうしたらよいでしょうか
何年か前,妻とわたしは,10代の子供たちが家族の聖文研究や家庭の夕べ,そして1対1で福音について交わす何気ない会話のときに見せる行動パターンを心配するようになりました。物理的に参加する,時折目を合わせる,質問に一言で答えるなど,最低限の学習基準を満たしてはいたものの,積極的に学習に携わってはいなかったからです。
子供たちが堅固な証を得,聖霊の力によって個人的な深い改心を経験するためには,さらなる行動を起こす必要があることは分かっていました。救い主は,弟子たちが単に主の言葉を聞くのではなく,信仰をもって御自分の教えを実践するように望んでおられます(『救い主の方法で教える』30参照)。
ある夜のこと,わたしたち夫婦の思いを子供たちに話しました。わたしたちの目的は,御霊に導かれた評議の場を持つことだったのですが,話し合いはすぐに一方的な説教になってしまいました。わたしたちの言葉は,彼らの耳には届いたものの,その心と思いには届かなかったのです。
妻とわたしは,そのような経験に心を痛めました。そこで,子供たちがより能動的に福音を学べるように助け,わたしたちに言われ,作用されたからではなく,自ら行動を起こすよう励ますにはどうすればよいのかを深く考え始めたのです。そのような問いかけから,わたしたちは聖文や末日の預言者の言葉,またそのほかの教会のリソースを調べ,教えることと学習することについて学ぶようになりました。そして,それに基づいてこのような原則を打ち立てたのです。
家族の話し合いにおいて,子供たちが聖霊を求めるように導く
愛と尊敬を培う——愛は心を和らげます。愛を示すことは,子供たちが聖霊の影響を受けられるように備えるうえで助けとなるものです。また,霊的な学習に積極的に取り組みたいという望みと意欲を養うことにもなります。子供たちの考えや思いに耳を傾け,確かめ,それを尊重するときに,子供たちはいっそう安心し,進んで自分の気持ちを伝えるようになります。
御霊によって教える——子供たちを注意深く観察し,耳を傾けましょう。そうすることで御霊によって備えられ,次に語るべきこと,尋ねるべき質問,勧めるべき事柄を判断できるようになり,子供たちが学ぶ際に聖霊の導きを求めることにつながります。
すべての話し合いにおいて神の言葉を用いる——福音に関するわたしたちの考えや意見を伝えることは助けとなりますが,往々にして聖文や末日の預言者の言葉の方が,より深く,より力強く御霊を招いてくれます(教義と聖約84:45参照)。
福音に関する話し合いの中心を救い主に据える——話し合っている事柄が救い主とその贖い,すなわち「キリスト教の教義の根本」にどのように関連しているかを子供たちが理解するとき,その話し合いに実体と力が伴います(ボイド・K・パッカー「仲保者」『聖徒の道』1977年10月号,488参照)。
霊感を招く質問をする——効果的な質問をすると,子供たちは御霊の助けによって,聖文や預言者の言葉から直接真理を導き出し,理解することができるようになります。そのような方法で学ぶことは,わたしたちが同じ資料を使ってどれほど明解に説明するよりも,子供たちにとって意味あることなのです。
話すように家族を励ます——子供たちが目にしているもの,考えていること,または感じていることを自分の言葉で表現しようするとき,聖霊を招くことになります。何を,どのように話せばよいかを理解できるよう,聖霊が助けてくださるのです。このプロセスは,主が子供たちに何を学び,感じてほしいと望んでおられるかを,子供たち自身がよりはっきりと理解する助けとなります。
忍耐強くある!——子供たちが真理を知り,理解しようと思い巡らすとき,聖霊が彼らに働きかけてくださいます。わたしたちは個人的な意見や解決策を手に,不用意に立ち入って,子供たちの探究を遮ろうとする誘惑に打ち勝つ必要があります。
模範によって導く——子供たちに求めているのと同じ方法でわたしたち自身が福音を学び,それに従って生きようと努めることで,家族の話し合いにおいて御霊の導きと支えを受けるうえでのふさわしさが得られます。
計画を実行に移そうする中で,家族の話し合いに聖霊の影響力を招くには,訓練と時間が必要であることを学びました。しかし,わたしたちは落胆したり,諦めたりしないようにしました。少し前のある夜,家族で読んでいたモルモン書の一節から促しを受けた10歳の娘が,真剣にこう尋ねたのです。「どうしたら聖霊によって学べるの。」わたしはほほえみました。効果が出始めていることが分かったからです。