「人を信頼できなくなったらどうすればよいのでしょう」「被害者への支援」
「人を信頼できなくなったらどうすればよいのでしょう」「被害者への支援」
人を信頼できなくなったらどうすればよいのでしょう
あなたが虐待の被害者であるなら,二度と人を完全に信頼することはできないと感じているかもしれません。自分を守るために,もうほかの人や自分自身,あるいは神さえ頼りにすることができないのではないかと疑問に思うことがあるかもしれません。虐待によって裏切られたという気持ちは,加害者が自分と親しい人であったり,守ってもらうよう頼りにしていた人だったりしたらなおさらのこと,克服が特に難しい場合があります。
一部の犯罪が重大であるのは,虐待後に再び信頼を築き,安心感を取り戻すのに長い時間がかかる場合があることで説明がつきます。また,虐待の破壊的な性質によって,加害者との信頼関係を二度と立て直すことができなくなる場合もあります。人を赦すということは,その人を信頼しなければならないという意味ではないことを覚えておいてください。
新たな関係あるいは今ある関係において信頼を築く
健全な関係は,新たなものであろうと元からあるものであろうと,どちらも信頼の上に成り立っています。ほかの人が進んであなたとの信頼関係を築いたり,立て直したりしようとするとき,その人を信頼することを選択できます。ほかの人を信頼できるようになるには,時間と継続した養いが必要です。
信頼を築くというのは,預け入れや払い戻しをすることによって増減する銀行口座のようなものです。あなたがだれかと信頼関係を築くときには,以下の原則を心に留めてください。
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口座の持ち主はあなたです。自分で信頼する人を選んでください。
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自分のペースで信頼関係を築いてください。自分が準備できる前にだれかを信頼しなければならないというプレッシャーを感じる必要はないのです。
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どのような行いが預け入れ(敬意を払うこと,正直であることなど)となり,払い戻し(不正直であること,間違いを秘密にしたり隠したりすることなど)になるのかを判断してください。
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ほかの人たちとともに,どのような振る舞いが自分の信頼を築いたり,取り去ったりするのかを明確にしてください。
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ほかの人の振る舞いに対する自分の見解が正確であることに自信を持ってください。
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どの程度信頼関係を築いているかによって,人との関係の親密さを定めてください。
だれかと信頼関係を築くことを決めたら,自分を守るうえで必要となる限度を決めてください。信頼関係を築くうえでその人のなすべきことをしないという選択をする人もいるかもしれませんが,そのような人はあなたの信頼を得るに値しない人なのです。主は「へびのように賢く,はとのように素直であれ」(マタイ10:16)と勧告しておられます。
ほかの人が信頼に値しないとしても,主はあなたを愛し,あなたが癒されるように助けてくださることを常に信頼することができます。神の助けを求めるなら,主を信頼できる証拠となる「その豊かな深い憐れみ」(1ニーファイ8:8)を見いだすでしょう。「主の憐れみには力強い癒しの力があり……罪の犠牲になった人にさえ及びます。」(ボイド・K・パッカー「わたしたちに希望がある理由」『リアホナ』2014年11月号,7)
それでも信頼を築くことができずに苦心しているなら,親,家族,友人,教会の指導者,教師,良き相談相手など,成熟しており,信頼の置ける人に助けを求めてください。自分自身やほかの人に対する信頼を取り戻すために専門のカウンセラーの助けを求めてもよいでしょう。
地域社会と教会のリソース
(下記のリソースの中には,末日聖徒イエス・キリスト教会によって作成,保持,管理されていないものもあります。これらの資料は,追加のリソースとして役立てるように意図されていますが,教会の教義や教えと一致しない内容について,教会が是認するものではありません〔一部のリソースは英語のみ〕。)
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「虐待の傷を癒す」リチャード・G・スコット『リアホナ』2008年5月号,40-43
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「贖罪はすべての苦痛を癒す」ケント・F・リチャーズ『リアホナ』2011年5月号,15-17
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「イエス・キリストの力を生活に取り入れる」ラッセル・M・ネルソン『リアホナ』2017年5月号,39-42
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“Trust,” Help for Adult Victims of Child Abuse (HAVOCA)
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“Trust,” The National Domestic Violence Hotline