ステップ9
償いと和解
基本原則──自分が傷つけたすべての人々に,可能なかぎり,直接償いをする。
ステップ9に進んだとき,わたしたちは
このチャレンジに満ちたプロセスでわたしたちが経験したことを基に,幾つかの提案をします。償いをしようとする際に,きわめて大切なことは,感情的になったり,不注意であったりしてはならないということです。同様に大切なのは,償いを引き延ばさないことです。立ち直りの途上にある人の中には,恐れに負けてステップ9に取り組むのを引き延ばしたとき,再び元の習慣に戻ってしまった人が大勢います。このような落とし穴を避けるために,信頼できる助言者とともに主の導きと助言を祈り求めてください。
時にあなたは,リストに挙げた人と会うのを避けたいという思いに駆られるかもしれません。しかし,そのような誘惑に立ち向かってください。もちろん,特定の人との面会が法的に制限されている場合は別です。あなたが分別をわきまえ,本人に会う努力をするとき,
幾つかの行為に対する謝罪は,とりわけ難しい場合があります。例えば,盗みや重大な性犯罪のように法的制裁を伴う事柄について話す必要があるかもしれません。そのような場合,あなたは過剰反応をしたり,弁解したり,償うのを避けたいと思うかもしれません。このようなきわめて重大な問題の場合には,何か行動を起こす前に祈りの気持ちで教会指導者や専門カウンセラーの助言を求めるべきです。
場合によっては,直接償える方法がないかもしれません。相手が亡くなっていたり,居所がつかめなかったりする場合もあるでしょう。そのような場合でも,間接的に償うことができます。その人にあてて,あなたの後悔や和解を願う思いを伝える手紙を書くのも良いでしょう。たとえその手紙が届けられなくても良いのです。またその人が好意を寄せている慈善団体に贈り物をするのも良いでしょう。その人を思い出させるだれか別の人を見つけて,その人を助けるために何かをすることもできます。あるいは,その人の家族のだれかを助けるために,匿名で何かすることもできます。
ほかの人と接触を図ったり,償いをしようとすることが,その人に苦痛を与えたり,あるいは,傷つけることさえあります。そのような恐れがあると思ったら,行動に移る前に,信頼できる相談相手とその状況について話し合ってください。立ち直りのこの段階で,ほかの人々をさらに傷つけるような事態を招くことが決してあってはなりません。また,時として,人の力では修復できない害を及ぼしていることもあります。ニール・A・マックスウェル長老はこのような現実について次のように語っています。「……実際に償うことが不可能な場合もあります。例えば,相手の信仰や純潔を失わせたような場合です。ただし,その後に正しい模範を示すというのは,罪の償いの一つの方法といえましょう。」(「悔い改め」『聖徒の道』1992年1月,35)これら真の原則を自らの新しい生き方として取り入れる決心をした瞬間から,あなたは償いを始めているのです。
過去の多くの行為について償った後でも,あなたがまだ顔を合わせられないと感じる人が幾人かいるかもしれません。でも気を落とさないでください。わたしたちの多くが同じような現実に立ち向かってきたのです。誠実な祈りを通してあなたの様々な思いを主に話してください。特定の人に対して依然として大きな恐れや怒りを抱いているなら,多分,その人に会うのを先に延ばした方が良いでしょう。否定的な感情を克服するために,慈愛を持てるように,またその人を主と同じ観点から見ることができるように祈ることもできます。また償いと和解が助けとなる明確な理由を探ってみると良いでしょう。これらのことを実践し,忍耐強くあるならば,主は御自分の方法と時にかなって,リストに載っているすべての人々と和解するための能力と奇跡的な機会をあなたに与えてくださるでしょう。主はそれらをあなたに与えたいと願っておられます。
あなたが全力を尽くしてステップ9を成し遂げたとき,あなたはついに,自分自身を主の戒めに調和させるためにできることをすべて行ったことになります。あなたはすでに希望に満ちた新たな生活を歩み始めましたが,その希望は,あなた自身の中ではなく神の愛の中に見いだすことができるものです。あなたは深くへりくだり,主があなたを
行動のステップ
人を愛する。人を裁かない。喜んで教会の召しを受け,什分 の一とささげ物を納める
過去に,あなたは教会活動に参加していたかもしれませんが,その動機は神の裁きや人の評価に対する恐れだったかもしれません。もしかしたら,義務感から行動していたかもしれません。しかし今では,奉仕がキリストのもとに来る方法の一つであることをあなたは理解しています。奉仕は神への愛を表す一つの方法なのです。奉仕はまた,あなたが神の力を常に必要としており,神の神聖な助けに感謝していることを示すものです。教会でのあなたの働きは,今でも恐れや義務からのものか,それともキリストにあって新たに生まれた信仰から派生した,ごく自然な行動かについて,よく考えてみてください。
どこにいても奉仕する方法を見つけてください。教会の召しやそのほかの奉仕の機会に,いつでも応じられるように備え,またふさわしくあってください。兄弟姉妹に奉仕し,言葉と模範によって彼らを教えることを通して,あなたの生活の中に神がまさに実在しておられることを彼らに伝えてください(マタイ25:40;ヨハネ13:34-35;ヨハネ15:15;モーサヤ2:17参照)。
償いをするために,自ら進んで必要なことを行う
ステップ9に取り組む中で,たとえほかの人々があなたの謝罪を十分に受け入れてくれなかったり,あなたが実際に変わったことを信じてくれなかったりしても,落胆しないようにしなければなりません。償いをするには時間と忍耐が必要なのです。今度こそ,今までとは違うことをほかの人が理解できるように,彼らに時間を与えてください。今度こそ,あなたは口先だけのむなしい約束をしているのではありません。あなたは依存症と性格的な弱さに関して完全な
研究と理解
以下の聖句と教会指導者の言葉はステップ9に取り組むうえで助けとなるでしょう。これらの聖句と質問を
ほかの人々に良い影響を及ぼす
「主の
思いと勢力と力を尽くして主に立ち返りなさい。だれの心をも悪いことを行うように惑わしてはならない。むしろ彼らのところに帰り,あなたの過ちと,あなたが行った悪事を認めなさい。」(アルマ39:12-13)
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わたしたちがほかの人々に及ぼした最大の害の幾つかは,彼らの依存症を助長させてしまったことによるものです。あなたの人生で,そのような害を与えてしまった人々について書いてください。
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これらの聖句に記されているアルマの教えによれば,これらの人々と向き合うための勇気はどこから得られるでしょうか。
説得それとも強制
「来たいと思う者はだれでも来て,価なしに命の水を飲むことができる。また,来たいと思わない者はだれも来るように強いられない。しかしその者は,終わりの日にその行いに応じて回復を受ける。」(アルマ42:27)
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ステップ9に取り組むべき,否定し難い根拠が数多くありながら,ほかに選択肢がなかったからなどという自己弁護や偽りのわなに陥ってはなりません。依存症立ち直りプログラムは,説得のプログラムであって,強制のプログラムではありません。ステップ9に取り組むのを,あなたは説得されていると感じるか,それとも強制されていると感じるかについて書いてください。この聖句には,これが説得のプログラムであることの根拠として,どのような理由が挙げられていますか。
神にお会いする用意をする
「進み出て,もはや心をかたくなにしないでほしい。見よ,今があなたがたの救いの時であり,救いの日である。したがって,あなたがたが悔い改めて心をかたくなにしなければ,偉大な
見よ,現世は人が神にお会いする用意をする時期である。まことに,現世の生涯は,人が各自の務めを果たす時期である。」(アルマ34:31-32)
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心を和らげ,償いに取り組むとき,あなたが達成できることとしてほかに何があるでしょうか。
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償うことは神に会う用意をしていることにもなると気づくとき,この取り組みに対するあなたの思いはどのように強まりますか。
教会における活動
「〔モーサヤの息子たち〕はゼラへムラの全地を旅し,……自分たちがかつて教会に加えたすべての害悪の償いをしようと熱心に努め,自分たちのすベての罪を告白し,自分たちが見たすべてのことを告げ,また自分たちの言葉を聞きたいと望んだすべての人に,預言と聖文について解説した。」(モーサヤ27:35)
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依存症が原因で,教会に来なくなる人々が大勢いました。中には自分が限られた活動にしか参加していないことを正当化するために,ほかの人の落ち度を理由に挙げる人々もいました。末日聖徒イエス・キリス卜教会での活動に関するあなた自身の経験について書いてください。
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立ち直りを通じて救い主により近づいたことは,救い主の教会と再び一体感を持つうえでどのように役立ちましたか。
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教会活動に活発でいることは,あなたが償いをし,さらに完全に立ち直るうえでどのように助けとなりますか。
自発的な償い
「盗んだものや損害を与えたもの,汚したものを可能なかぎりすべて元どおりにしなければなりません。自発的な償いは,皆さんができるかぎりのことをすべて行なって悔い改めようと決意していることを,主に具体的に示す証拠となります。」(リチャード・G・スコット「
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ステップ9に取り組むことで,あなたが
謙遜 で正直な生活を送ると決意していることを,主に対するだけでなく自分自身やほかの人に対しても,どのように証明することになるかについて書いてください。
真実の心
「悔い改めて主の戒めを守る者は
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償いをする際に,あなたを
赦 そうとしない人々に出会うかもしれません。おそらく,彼らは,今でもあなたに対して心を閉ざしているか,あるいは,あなたの真意を測りかねているのかもしれません。主があなたの真意を理解しておられ,悔い改めて償いをしようとするあなたの申し出を受け入れてくださると理解することは,たとえほかの人々はそうではなくても,あなたにとってどのような助けとなるでしょうか。
あなたのために主がしてくださること
「人は自分の罪を
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償いをしようとするとき,次のように考えて気を落とさないでください。「それは不可能だ!わたしがこの人に対して犯した過ちを十分に償う方法などあるはずがない!」確かにそうかもしれませんが,あなたに償えないことを償ってくださるイエス・キリストの力についてよく考えてください。あなたにできないことを代わってしてくださるイエス・キリストを信頼することの必要性について書いてください。
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主に対する信頼を,あなたはどのような方法で主に示すことができるでしょうか。そのような信頼をどのようにして深めることができるでしょうか。