セミナリー
第190課:健全な人間関係を築く:家族や友達と強いきずなを作る


「第190課:健全な人間関係を築く:家族や友達と強いきずなを作る」『教義と聖約 セミナリー教師用手引き』(2025年)

「健全な人間関係を築く」『教義と聖約 セミナリー教師用手引き』

第190課:心身の健康

健全な人間関係を築く

家族や友達と強いきずなを作る

友達との集まり

天の御父は,わたしたちが御父や周りの人たちを愛することを望んでおられます。家族や友達と密接な関係を築くと,平穏なときも困難なときも,必要な慰め,強さ,支えに恵まれます。この課は,生徒が主に助けを求めて,自分の総合的な健康と幸福のためになる人間関係を構築できるようにします。

学習活動案

最も大切なことは何か

人生で最も大切だと思うことをホワイトボードに書き出してもらいましょう。

次の言葉を見せ,一人の生徒に読んでもらいます。

大管長会の一員であったディーター・F・ウークトドルフ管長は,最も大切なことについて次のように教えています。

19:14
ディーター・F・ウークトドルフ管長

「天の御父に頼り,最も大切な事柄について主の知恵を求めるとき,わたしたちは次の4つの鍵となる関係について繰り返し学びます。神との関係,家族との関係,周囲の人々との関係,そして自分自身との関係です。」(ディーター・F・ウークトドルフ「最も大切な事柄について『リアホナ』2010年11月号,19参照)

  • ウークトドルフ管長の言葉からどのようなことが学べるでしょうか。

ホワイトボードに書かれたことの中で,神や人との関係が人生で最も大切なことの一つであることを示す語句を,丸で囲んでもらいましょう。必要であれば,ホワイトボードのリストに「神や人との関係」と書き足します。

この課では人との関係に焦点を当てることを説明します。現在の人間関係と,その関係が自分を神に近づけ,人生で必要な強さと支えをもたらすものかどうかを考えてもらいます。また,既存の関係を強めたり,新しい関係を築いたりするために,主がどのようなことを望んでおられるかを深く考えてもよいでしょう。

わたしたちの人間関係

配付資料のアイコン「教会歴史と教義と聖約における意義深い関係の例」という表題の資料を配り,次の真理の証拠を生徒に見つけてもらいます:神がわたしたちの人生を祝福し信仰を強めてくださる一つの方法は,人との意義深い関係を通してである。(ホワイトボードにこの真理を書くとよいでしょう。)

生徒が配付資料をうまく使えるように工夫してください。一つの方法は,生徒を3人ずつのグループに分け,配付資料にある例を各自に一つ,研究課題として割り当てることです。自分の研究を終えたら,人との関係を通して神がどのように祝福してくださるかについて学んだことを,グループ内で順番に発表するよう促します。

教会歴史と教義と聖約における意義深い関係の例

例1

1823年9月にクモラの丘を訪れた後,ジョセフ・スミスは自分の経験と天使モロナイの訪れについて家族に詳しく話しました。身近な人たちにも経験と示現を伝え続けました。こうした神聖な出会いについて,預言者の母ルーシー・マック・スミスは次のように記しています。

ルーシー・マック・スミス

「毎晩,わたしたちは子供を集めました。かつて地上で暮らしたどんな家族にもない,特異な光景が展開されていたのではないかと思います。全員が輪になって座り,父親も母親も,息子たちも娘たちも,かたずを飲んで……少年が語る宗教の教えに耳を傾けました。……

……この上なくすばらしい結びつきと幸福感が家中にみなぎっていました。争いや不一致で平和が乱されることはなく,平安がわたしたちを包んでいました。」(ルーシー・マック・スミス『歴代大管長の教え—ジョセフ・スミス』486で引用)

  • スミス家について印象に残ったのはどのようなことですか。

  • ジョセフが家庭で感じた愛は,ジョセフがその重要な召しを果たすのにどのように役立ってきたでしょうか。

  • この例から,有意義な人間関係を通して,神はあなたをどのように祝福してくださるか,あなたはどのように人が祝福されるのを助けられるかについて,どのようなことが学べるでしょうか。

例2

イリノイ州ノーブーに住んでいたとき,ジョセフ・スミスは有意義な人間関係がもたらす恩恵を思い起こし,次のように語っています。

預言者ジョセフ・スミス

「もしこの世で苦しみを受けなければならないのであれば,周囲の至る所に兄弟や友を見いだせる場所にいられることは,最も大いなる祝福の一つであると思います。」(『歴代大管長の教え―ジョセフ・スミス』466

  • 困難な課題に直面しているとき,家族や友達はどのような助けになるでしょうか。

  • 家族や友達が人生に祝福をもたらしてくれる方法には,ほかにどのようなものがありますか。

例3

教義と聖約108:7を読み,主が七十人のライマン・シャーマンに与えられた勧告を見つけてください。

  • この勧告に従うのが難しいときがあるのはなぜでしょうか。

  • 人との交流によって,自分が強められたり,高められたりしたように感じたことはありますか。それはどのようなときでしたか。

学んだことと,神が人間関係を通してどのようにわたしたちを祝福してくださるかをクラスで発表してもらいましょう。

  • 人生で人と有意義な関係を築くことの価値について,どのようなことを学んできましたか。

  • 人と関係を築いて強めると,神との関係と,自分の総合的な健康と幸福にどのような影響があるでしょうか。

人間関係を築く

人間関係を築くスキルについて話し合う時間を取るとよいでしょう。全員に白紙を1枚ずつ配ってください。だれかと関係を築いたり強めたりするのに役立つことを,一つ以上書くよう促します。紙を集めて,幾つかを声に出して読みます。必要に応じて,以下のアイデアの一部またはすべてを紹介するとよいでしょう。

  • 共通の関心事を探す。

  • 人の名前を覚えて,名前で呼ぶ。

  • ほほえむ。

  • 人が話しているとき,注意深く耳を傾ける。

  • 相手を心から称賛し,褒める。

  • 批判したり,あら探しをしたりしない。

  • 心からの興味を示す。

  • 名前を挙げて人のために祈る。

  • 慈愛を求める。

  • 忍耐強くある。

  • 奉仕する機会を探す。

クラスで時間を取って,人間関係を築くこれらのスキルを幾つか練習してもよいでしょう。生徒が互いの名前をあまり知らない場合,次の例が役立つかもしれません。生徒がすでに互いの名前を知っている場合は,別のスキルを選んで練習するとよいでしょう。

定義する:人を名前で呼ぶことは,健全な人間関係を築くのに役立つスキルであることを説明します。主はわたしたちを名前で呼ばれることを説明します(創世35:10ルカ19:5エノス1:5ジョセフ・スミス-歴史1:17参照)。相手が自分を知っていて名前で呼んでくれたら,どのように感じるか尋ねるとよいでしょう。

モデルを示す:互いの名前を覚えて,名前で呼び合うことに挑戦することを生徒に伝えます。名前を覚える一つの方法は,書き留めて見直すことであることを説明します。クラス全員の名前をあなたが読み上げ,知らない名前があれば書き留めてもらいましょう。

また,名前を覚えるのにどのようなことが障害になるか,どうすれば乗り越えられるかを尋ねるのも助けとなるでしょう。

練習する:何分か時間を取って,書き留めた名前を見直します。その後,練習します。二人一組で,協力してクラス全員の名前を言えるか試すとよいでしょう。クラス全員の名前を言える人がいるか尋ね,いれば言ってもらいます。さらに適切な場合,座る場所を変えて全員の名前を言えるか試してみてください。

時間が許せば,別のスキルも選択してください。例えば,人との共通点を見つけてもらいます。普段は一緒に活動しない人と協力して,質問し合って共通の関心事を見つけてもよいでしょう。その後,別の相手に同じ練習を繰り返します。(両方のスキルを組み合わせるには,練習中に名前で呼び合うよう勧めましょう。)

実生活への応用

天の御父とイエス・キリストがそれぞれの生徒に抱いておられる愛について証するとよいでしょう。生徒が築いて育もうと努めている有意義な人間関係を通して,神は彼らの生活を祝福し強めてくださることを証してください。また,あなた自身の人生で人間関係によって祝福され,強められた例を話してもよいでしょう。

聖霊の導きを求めながら次のことを行うよう勧めましょう。

すでにある人間関係を強めしたり,だれかと新しく関係を築いたりするのを主はどのように助けたいと望んでおられるかを考えてください。今日学んだことを用いて,その人とのつながりを深める計画を立ててください。その過程でどのように主に助けを求めるかも書いてください。